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金鷲旗高校柔道大会男子レポート④決勝

(2015年8月4日)

※ eJudoメルマガ版8月4日掲載記事より転載・編集しています。
④決勝
金鷲旗高校柔道大会男子レポート
■ 決勝
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全国「二冠」目に挑む国士舘高の選手たち。決勝から田嶋剛希が投入された。

決勝カードは3月の全国高校選手権決勝の再戦、国士舘高と大成高の激突となった。

同大会を圧勝で制した国士舘高は今回も優勝候補の筆頭。2回戦で名城大付高(愛知)、3回戦で大阪電通大高(大阪)、4回戦でれいめい高(鹿児島)をいずれも不戦四人で下し、5回戦は東海大甲府高(山梨)を不戦三人で下す。以降は先鋒を米山魁人から磯村亮太に替えて6回戦で作陽高(岡山)から不戦二人、準々決勝は埼玉栄高(埼玉)から不戦二人で勝利したもののそれぞれの選手に硬さが目立ち、準決勝は日体荏原高(東京)に食い下がられて乱戦。結果、大将同士の対決を今季全国大会初出動の山田伊織の活躍で制して決勝進出決定。この決勝で4年ぶりの優勝と高校選手権に続く「二冠」を狙う。

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高校選手権決勝の再戦に臨む大成は、同大会と同じメンバーでリベンジを目指す

一方の大成高は2回戦の嘉穂東高(福岡)を不戦四人、3回戦の報徳学園高(兵庫)戦を不戦三人、4回戦の南筑高(福岡)戦不戦三人と順調に勝ち上がり、5回戦は東海大浦安高(千葉)の激しい抵抗を振り切って不戦一人で勝利。先鋒と次鋒に決戦戦力である古賀颯人と前濱忠大を投入した6回戦は古賀の活躍で不戦三人と大勝して決勝パート進出決定。以降は準々決勝で神戸国際大附高(兵庫)を不戦一人、準決勝で足立学園高(東京)を不戦一人とスコアは小差ながらも大枠危なげなく勝ち上がって決勝へと乗り込んで来た。悲願の全国制覇まであと一勝、個性派を揃えて宿敵国士舘超えを狙う。

前回対戦では中堅に入った飯田健太郎の2勝1分けの活躍により国士舘が二人残しの大差で勝利しているこのカード、開示された今回のオーダー順は下記。

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決勝が開始される

国士舘高 - 大成高
(先)磯村亮太 - 古賀颯人(先)
(次)田嶋剛希 - 前濱忠大(次)
(中)飯田健太郎 - 友田皓太(中)
(副)竹村昂大 - 並木泰雅(副)
(大)山田伊織 - 神鳥剛(大)

国士舘は決勝に至って次鋒を河田闘志から田嶋剛希に入れ替えて布陣。ここまで「負けられない」自縄自縛に陥って動きが硬い傾向にあった国士舘チームにあって、左右に担ぎまくる田嶋の存在はカンフル剤になり得る。しかし対面には短躯の担ぎ技ファイター前濱忠大がマッチアップしている。高校選手権決勝でも先鋒で対峙した2人だが、この時の対戦では田嶋の「下から」の柔道が似た組成の前濱に噛み合わず引き分けに終わっている。

双方の大戦略を考えてみる。国士舘は試合が終わるごと、前衛、中盤とブロックが終わるごとに少しずつ差をつけて勝負を終わらせてしまいたいはず。一方の大成は粘り続けてタイスコアのまま試合を進め、エース神鳥が戦う1試合がそのままチームの勝敗を決める状況を作り上げ、その一撃に賭けたい。高校選手権で狙い、飯田に潰されたプランの再チャレンジということになる。

国士舘の各選手が順行運転の陥穽に陥りつつある今回の様相を踏まえれば、国士舘側の前衛と中盤で勝ちを計算できる最大の駒は実はもっとも重量の軽い田嶋。しかし大成の対面には前述の通り田嶋の力を相殺してしまうタイプの前濱がいる。ということは、双方次鋒に配置された田嶋と前濱の対戦がズレるかどうか、つまりは国士舘の先鋒磯村が体格差を利して今回の大成の勢いを支えてきた古賀を抜き、前濱を止めるというところまでの活躍が出来るかどうかが最初のシナリオの分かれ目。初戦で磯村が抜けば流れは国士舘に、一方古賀が分ければ大成に以後の盤面は大きく傾くはずだ。前回の大差を受けて、引き分けによる拮抗が続けば続くほど大成は自信を得るはずで、一方早い段階で国士舘側に勝利があれば前回の圧勝をテコに早々に大成のメンタルを折ることも可能。勝負は盤面の「流れ」を決める前衛2枚同士の戦いに、まず掛かる。

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古賀颯人と磯村亮太による先鋒戦

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古賀は体格差に怖じず果敢に内股で攻め込む

その大事な先鋒戦は国士舘・磯村亮太と大成・古賀颯人ともに右組みの相四つ。磯村は圧倒的な体格差にも油断することなく引き手でまず襟を掴む丁寧な手順で試合に入るが、この手順と圧力を古賀が強気の右内股と足技で跳ね返す。磯村はその内股をことごとくガッチリ止めるがやや手数に欠ける印象。2分過ぎの磯村の奥襟への組みつきも古賀は瞬間すかさず足技を入れて剥がし、どちらかというと古賀が試合を上手く進めているという印象だったが、2分36秒主審は古賀にのみやや不可解な「指導1」。

これを受けて古賀は奮起、直後一方的に組むとケンケンの大内刈で激しく磯村を追う。これを受けて主審磯村の側にも「指導1」を宣告。磯村両襟の大内刈で前に出るが、古賀は支釣込足を当てて磯村を崩し転がし、横三角で十分に時間を使う。

結果この試合は引き分け。磯村は古賀を捕まえ切れなかったというよりは、そもそも獲りに行く強い意志に欠けた印象で、誤解を怖れずに言えば初手から引き分けを受け入れたかのような試合だった。少なくとも軽中量級の古賀を体格で粉砕しようとするような強い破壊衝動はそこにはなく、採った策は圧を掛けて負ける要素を減らした上で取れる場面があれば行くという、消極的順行運転に見受けられた。古賀はその磯村の曖昧な試合プランに付け込んで比較的イージーに引き分けを得ることが出来た感あり。差をつけられずに終盤まで試合を運びたい大成、少しづつでも差をつけていきたい国士舘という大戦略を考えると成果を得たのは明らかに古賀。客観的には、決戦戦力に取り置いた「違う色」のジョーカー田嶋を鏡合わせの同タイプ前濱からズラすことが出来なかった国士舘の、大事な第1戦の位置づけを誤った末の痛いミスと評したいところ。

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次鋒対決、田嶋剛希が前濱忠大を寝技で下から攻める

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試合終了直前、田嶋が得意の背負投を見せるがまたしても担ぎ切れず

第2試合の次鋒対決は国士舘・田嶋剛希が右、大成・前濱忠大が左組みのケンカ四つ。双方組み手の調整に時間が掛かり44秒双方に「指導1」。なかなか投げを仕掛けられない田嶋ならばと前濱の左背負投を潰して寝技に持ち込み「国士舘返し」を試みるが十分対策済みの前濱回り際に相手から離れて「待て」。

前濱は左背負投に足を振り上げての左一本背負投とペースを上げ、田嶋の再びの「国士舘返し」も今度は仕掛けの段階で下がって畳に体を降ろし早い段階で手順進行を切る。

前濱は前傾、腰を大きく相手から引いて距離を取った体勢で対峙。どちらからでも、どこからでも担ぐ一発ラッシュが売りの田嶋だが、「的」が小さく、かつ試合が進むごとに後重心となる前濱の腰は離れる一方でなかなかその間合いの中に侵入することが出来ない。これまでのチーム全体としての大人しさが伝染したのか平時の「試合を壊す」ような左右のラッシュを繰り出すこともないまま時計の針だけが着実に進む。

残り時間僅かとなったところで田嶋は上下のあおりに出足払、そして左背負投と良い攻撃を見せるが、背に載った前濱はゆっくりと畳に落ち伏せて「待て」。結局この試合は引き分けに終わる。2戦連続の引き分けを受けて、勝負は中堅同士の対決へと続く。

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飯田健太郎が奥襟を狙い、友田皓太はその釣り手を抑えに掛かる

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飯田の右内股、ポイント相当かと思われたが引き手の拘束が剥がれ、友田は手をついて身を捻って耐え切る

第3試合は国士舘・飯田健太郎、大成・友田皓太ともに右組みの相四つ。高校選手権決勝では飯田が3人を相手する活躍を見せたことが国士舘勝利の直接の因であり、大成にとってはここはまさしく勝負どころ。

友田は飯田の右袖を徹底管理し、1分過ぎには右内巻込。さらに組みつきながらの右大内刈と気迫十分に試合を進め、飯田は直後こちらも組み際の右大内刈で友田を大きく崩し転がして試合展開を持ち直す。

2分過ぎ、友田あさっての方向を見ながらの小内刈で飯田を牽制すると良いタイミングで思い切り左背負投、飯田を背に負うことに成功し会場をどよめかせる。十分ポイントが想起される一撃だったが、これは落ち際に飯田がなんとか膝をついて耐え「待て」。

飯田、直後の2分14秒に内股の動作で探りを入れ、回り込んで位置を変えると左の小内刈を当てる。予期しない攻撃だったか友田意外にあっさり崩れて畳に落ち伏せ「待て」。

勝負どころが訪れつつあると見たか、飯田組み手を叩き入れながら右大外刈、さらに一方的に組み手の形を作るが、二次攻撃を起こす一瞬前に友田左一本背負投に潰れて展開を切ることに成功。飯田の攻撃機は潰える。

残り1分を過ぎたところで飯田が内股を回しこむ。友田大きく崩れて副審1人は「有効」を示すが、主審動かずこれはノーポイント。奥襟を得たい飯田まず肩越しに釣り手を入れ、次いでその手に頭を越えさせて組み手の完成を狙うが友田は都度首を傾けてブロックし、反則を犯すわけにはいかない飯田は結局手を離さざるを得なくなる。この試合何度か見せた友田の「相手に肩越しを強いる」「戻す動作を許さない」戦術がこの土壇場でも奏功し、飯田はまたしても攻撃機を逃す。

残り4秒、友田に「極端な防御姿勢」の「指導1」が宣告された直後に試合終了。この大事な第3試合も引き分けに終わり、3戦連続の引き分けという結果を以て試合の襷は副将同士による第4試合へと引き継がれる。

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副将対決、並木泰雅が支釣込足で竹村昂大を大きく崩す

いよいよ双方副将が登場、明らかに1勝がそのまま試合の行方を決めてしまう段階となり、場が煮え始める。

国士舘・竹村昂大が左、大成・並木泰雅が右組みのケンカ四つ。
30秒、引き手争いの中から並木ステップを切っての支釣込足を放つと竹村大きく浮いて腹から畳に落ちる。さらに並木再度の支釣込足で再び竹村を大きく崩し、ペースを掴む。

並木続いて回り払腰を見せて投げに掛かるがこれは潰れてしまい「待て」。竹村得意の左内股は並木が出足払で切り替えし、しかし竹村はそこに右一本背負投を入れて攻防を重ね塗りして拮抗継続。経過時間は2分9秒。

以降は前に出る竹村を並木が足技でいなし続け、残り1分を切ってからは専ら引き手争いの駆け引きで時間が消費される。もはや双方試合を壊せないという体であっという間に時間が過ぎ去り、結局この試合も引き分けに終着。4戦連続の引き分けでついに勝負の行方は大将同士の一騎打ちに委ねられることとなった。

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大将同士の最終戦、山田伊織は神鳥剛の高い釣り手を逆手にとって、なかば腕を固める支釣込足で再三大きく崩す

4戦連続の引き分けというここまでの展開は、明らかに大成の流れ。このバックグランドに神鳥剛が乗るか、山田伊織が跳ね返すのか。満場固唾をのむ中で開始された一番は山田、神鳥ともに左組みの相四つ。

神鳥強気に背中を叩くが、山田はその腕を極めるように支釣込足。崩れた神鳥との寝技は山田が腕挫腹固の形でその腕を引っ張り出しに掛かるが21秒「待て」。

神鳥再び釣り手を高く入れて組み勝つ形を作るが、山田は釣り手操作で状況を整えると再び腕を固めての支釣込足。耐えた神鳥を押し込んで半ば抑え込みの形を作るも主審はここで「待て」を宣告。経過時間は1分4秒。

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神鳥反撃、ケンケンの大内刈で山田を場外まで追って伏せさせる

山田は刈り足鋭く左大外刈の大技。足を下げて耐えきった神鳥は羽後袖を管理し、足技を入れることで試合の拮抗を図りながらチャンスを狙い、1分43秒に思い切った左大内刈一撃。ケンケンで追いこむと山田場外で横倒しに近い形で倒れ「待て」。

山田の一方的な試合になり掛けた流れはこの一撃でリセットされ、乱戦気配が漂い始める。場を荒らしたい神鳥にとっては悪くない展開。

ガップリの組み合いから左、右と神鳥が足を入れると山田が左大外刈。さらに足車に連絡するがこの技は潰れてしまう。山田の強さと前評判が圧倒的なぶん、神鳥が凌ぐだけでその都度に少しづつ流れは神鳥に傾く印象。

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山田が大外巻込で「有効」を獲得する

勢いを得た神鳥、残り1分30秒を過ぎたところでケンケンの左大内刈。しつこく前に出、かつ双方の足が高く上がってバランスの取り合いとなる非常に取り味のある攻めだったが、柔らかく耐えきった山田は返す刀で左大外巻込を深く入れて神鳥の体を固定、決定的な「有効」を獲得する。経過時間は2分40秒、残り時間は1分20秒。

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山田の左大外刈を神鳥が大外返に捉える。大成がもっとも優勝に近付いた瞬間だが、山田驚異的なバランスで堪えてノーポイント。

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神鳥の大外返(連続写真)

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神鳥の大外返(連続写真)

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山田は支釣込足「有効」から横四方固に移行

5戦目にしてついに入った攻撃ポイント、それもそのまま試合を決める大事なポイント奪取劇。この攻防のこの余韻冷めやらぬまま、あたかも乱取りで投げられた相手が立ち上がった瞬間再び投げに掛かるかのように、山田一気に勝負に出て肩越しに左大外刈の大技。しかしまったく気持ちの折れていなかった神鳥釣り手の高い位置での拘束をテコに大外返に切り返し、山田の体は一瞬で仰け反り崩れる。ほとんど両者ともに中空に浮く強烈な一撃に誰もが「一本」を想起したこの大技は、しかし山田が着地寸前に体を捻りノーポイント。

絶体絶命のピンチを土俵際で残した国士舘、一瞬の差で大逆転の日本一奪取を逃した大成、両軍ベンチ大きく息をつくが、畳の上の両者は試合を落ち着けるつもりなど毛頭なし。さらに続く攻防で山田が得意の支釣込足、神鳥崩れて3分9秒2つ目の「有効」。そのまま山田が横四方固に抑え込んでついに熱戦決着、国士舘が畳に1人を残して勝利し、今大会4年ぶり8回目の優勝、そして「二冠」目の奪取を決めた。


国士舘高〇大将同士△大成高
(先)磯村亮太×引分×古賀颯人(先)
(次)田嶋剛希×引分×前濱忠大(次)
(中)飯田健太郎×引分×友田皓太(中)
(副)竹村昂大×引分×並木泰雅(副)
(大)山田伊織〇横四方固(3:29)△神鳥剛(大)

大成の戦略通りに進んだ試合を、国士舘の大将山田がその個の強さを以て強引に収拾したという一番。大成は4戦を引き分けで粘って神鳥と山田という「個」の勝負に持ち込むという前段のプランの完遂のみならず、先手攻撃とこれ以上ないタイミングの後の先の一撃というディティールでも国士舘の上を行きかけたが、山田の牙城を崩すには至らなかった。あと一歩、どころかあと半歩まで迫った初の全国制覇の夢を、山田の強さが断った。

この試合の評は山田の強さを語ることに他ならない。周辺戦力のあまりの強さの前に今季全国大会での出番がまったくなく、つまりは高校生の成長に必須のはずの「修羅場」をくぐることのないまま乗り込んだこの金鷲旗。そこで準決勝、決勝と続いた緊急出動に動じることなく「一本」を積むメンタリティの強さは普通ではない。神鳥はポイントを失っても、むしろそのことで立ち現れる「場の荒れ」を利して一発取ってしまおうという超強気の特攻作戦に打って出ており、これは格上の選手、リードした立場にとってはまことに嫌なもの。その展開を押しとどめるのではなくむしろ歓迎するかのように大技を連発した、それも一旦思い切り返し技を食って試合自体を失い掛けたにも関わらず投げ切った最終戦終盤における山田の選択と結果はまさしく規格外だ。準決勝の評でも述べた通り、高校選手権における国士舘の躍進と自在の戦いぶりは「後ろに山田がいる」という安心感に支えられていたものだと、ここに至って改めて気づかされた次第である。

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熱戦決着、山田の一本勝ちにより国士舘の勝利決定

国士舘の選手層の厚さは史上稀に見るものであるが、この金鷲旗に関しては優勝を意識して動きが縮こまった前衛4枚と山田はほとんど異人種と言って良いほどにそのパフォーマンスが違った。試合出動の少なさゆえにさほど研究にさらされなかった(この点、高校選手権で力を発揮した飯田健太郎ら抜き役の選手が徹底研究にさらされ、それを感じることでさらに動きを悪くした今大会の様相とは対照的であった)という要素はあるかもしれないが、インターハイに向けて「山田一枚」の強さとその意味が大きく上がった大会であった。

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勝ってなお、厳しい「ダメ出し」で課題を指摘する岩渕公一監督

国士舘高・岩渕公一監督は「出来は良くなかった。なんとか勝ってホッとしている」と安堵のコメント。しかし優勝直後選手たちに語りかけるその表情は厳しさ一杯だった。岩渕監督が「プレッシャー」と語り、大将山田伊織が「研究されている」と分析した今大会終盤の大苦戦を、巨大戦力と評される今代チームがいったいどう消化してインターハイに臨むのか非常に興味深いところ。

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あと一歩で初の日本一を逃した大成ベンチはしばし声なし

一方敗れた大成は初の日本一にまさしく片手、どころか残る片手の指までを届かせたこの惜敗でその気持ちは折れてしまうのか。それともこの大健闘で手応えを得て、インターハイで悲願の日本一を獲得するのか。敗戦決定直後に選手が見せた悔しい表情、そして石田輝也監督が見せた異常なまでの悔しがりようには、今後に大いに期待を抱かせるものがあった。あと僅か一勝、あとほんの一瞬で手に出来たはずの日本一の座に対して、どのようなアプローチを見せてくれるのか、これも見逃せない観戦ポイント。

そして今代圧倒的と評された国士舘も「絶対」ではないと、攻略の糸口が見えた今大会を受けて強豪各校がどのような戦いを見せてくれるのか。迫る今季最終戦、奈良・天理で行われるインターハイがまことに楽しみとなってきた。


文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

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優勝の国士舘高

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福岡の地で4年ぶりに宙に舞う岩渕監督

【入賞者】

優 勝:国士舘高(東京)
準優勝:大成高(愛知)
第三位:日体荏原高(東京)、足立学園高(東京)
ベスト8:埼玉栄高(埼玉)、白鴎大足利高(栃木)、神戸国際大附高(兵庫) 、習志野高(千葉)

優秀選手:
山田伊織、磯村亮太(国士舘高)
並木泰雅、古賀颯人(大成高)
松井海斗(日体荏原高)、佐々木卓磨(足立学園高)、今入晃也(埼玉栄高)、太田彪雅(白鴎大足利高)、新井滉燿(神戸国際大附高)、篠崎忠史(習志野高)

国士舘高・岩渕公一監督のコメント
「出来は良くなかったですが、なんとか勝ってホッとしています。3年前の優勝では大将を使わなかったのですが、今回は準決勝、決勝と大将が連戦する接戦。油断していたわけでもなんでもありません。勝たなければいけないというプレッシャーで選手の動きが悪かった。(-選手個々について具体的な評をお願いします)磯村と河田が本来の力を出せていなかったですね。もっと攻めなきゃいけなかったし、磯村は緊張で物凄く息が上がっていた。勝つだろう、圧倒するだろうという気持ちやプレッシャーがチーム全体の重石になったのでしょう。決勝での田嶋投入はチームに勢いをつけるためのものでしたが、流れを変えることは出来ませんでした。先鋒戦で磯村が取って、次に繋げて欲しかった。山田は組み手の姿勢が課題。あんなに遠いところから仕掛けてはいけない。練習試合でずっと投げていたという意識があったのでしょう。決勝は仕掛けも遅かった。ただ、あの場面で動じないのは大したものです。あいつはそういう奴だし、皆がプレッシャーで動けなくなっているのに、山田だけは違った。だから大将に置いているんです。飯田は、へばりましたし、準決勝はいつも取っている相手だという意識のせいか釣り手を十分にさせたまま行ってしまった。出てきた課題をやり直して、なによりみんなでもう1回、元気を作っていかなきゃいけないですね。私も含めて『勝ちを反省』してインターハイでは三冠を目指します。」


国士舘高・山田伊織選手のコメント

「(決勝の大将戦は)負けるとは思わなかったので普通に試合をしました。春の合宿で何回か稽古をしていて、自分の技が掛かることに確信がありましたし、大外刈を返されかけたのも相手に組み負けていたのに仕掛けてしまっただけなので、きちんと組めば大丈夫だと動揺することはありませんでした。大外刈をずっと堪えられていて、相手が警戒して左を引いていたのでそこに支釣込足か大内刈を合わせようと狙っていました。抑え込むときに足を絡まれましたが、相手がバテていることがわかったので最後まで落ち着いてやれました。(-国士舘は選手全体の動きが硬かったですが?)特に決勝に関しては、相手が良く研究して来ていたと思います。うちの選手の技が決まらないし、組み勝つ場面も少なかったし、相手のほうが上手いと感じました。プレッシャーというよりも、相手が研究してきた結果、こちらが自分の柔道が出来なくなってしまっていた。徹底的に研究されるのは当然なので、それに負けないように練習して研究されても勝てるようにならないといけない。今年の目標ですか?インターハイの団体戦を勝つことと、個人的にはインターハイで勝ってジュニアにも出て、講道館杯に出たい。なるべく若いうちに経験しておきたい大会なので。次も頑張ります」


【準々決勝】

国士舘高〇不戦二人△埼玉栄高
日体荏原高〇不戦三人△白鴎大足利高
大成高〇不戦一人△神戸国際大附高
足立学園高〇不戦一人△習志野高

【準決勝】

国士舘高〇大将同士△日体荏原高
大成高〇不戦一人△足立学園高

【決勝】

国士舘高〇大将同士△大成高

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