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グランドスラム・チュメン第1日各階級ひとこと展望

(2015年7月17日)

※ eJudoメルマガ版7月17日掲載記事より転載・編集しています。
第1日各階級ひとこと展望
グランドスラム・チュメン
アスタナ世界選手権まで残り1か月を切り、IJFワールドツアーも、いよいよ上半期最終戦のグランドスラム・チュメン(7月19日~20日)を残すのみとなった。

世界選手権で頂点を狙うレベルの超強豪は、ごくごく一部を除いて今大会の出場を回避。1階級4人までの出場枠を持つ開催国ロシアすら一線級の出場は見合わせる慎重策を採っている。
今大会のメインストリームを為すのは、もともと鍛錬期と試合期をクロスさせ、年中ツアーに出場し続けてもはや試合に出ること自体が調整という感のある中堅の強豪たち。彼らすれっからしの常連選手が、敢えて出場の道を選んだ少数の超強豪、および世界選手権代表を含む強者を複数送り込んで来た日本勢に挑むというのが今大会大枠の様相だ。

男子で注目すべきは73kg級。2010年東京世界選手権王者の秋本啓之に、かつて秋本と激戦を繰り広げたハッシュバータル・ツァガンバータルとサインジャルガル・ニャムオチルのモンゴルのエース2人、そして開催国ロシアが強豪ムサ・モグシコフを敢えて送り込み、4人がそのまま四つ角シードを形成して準決勝以上でサバイバルマッチを行うこととなった。

常連の強豪の大量参戦という文脈では、アントワーヌ・ヴァロアフォルティエ(カナダ)をはじめスヴェン・マレシュ(ドイツ)、トラヴィス・スティーブンス(アメリカ)ら世界選手権で表彰台に手が届くクラスの選手たちに加え、長島啓太、ラズロ・チョクナイ(ハンガリー)、レアンドロ・ギヘイロ(ブラジル)らの実力者が大量参戦する81kg級が面白い。

全階級に選手を送り込む日本男子は、世界選手権に出場する90kg級のベイカー茉秋と100kg超級の全日本選手権覇者原沢久喜に注目。ベイカーの階級はこれぞというライバルのエントリーはなく、原沢の敵は第1シードのファイセル・ヤバラー(ブラジル)のみ。目指すはもちろん優勝だ。

女子は世界王者ヤーデン・ゲルビ(イスラエル)にアニカ・ファンエムデン(オランダ)、アリス・シュレシンジャー(イギリス)ら世界選手権の上位候補が名を連ねた63kg級、ベルナデッテ・グラフ(オーストリア)にリンダ・ボルダー(イスラエル)ら上げ潮にある選手にヌンイラ華蓮、田知本遥、ケリタ・ズパンシック(カナダ)らが絡む70kg級が面白い。52kg級のアンドレア・キトゥ(ルーマニア)とマー・インナン(中国)のパワーファイター2人の対決にも注目したい。

■ 60kg級(エントリー24名)
意外と言ってはなんだが、各ブロックになかなかの有力選手が集った。優勝候補はリオ世界選手権銀メダリストのダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)、対抗馬は木戸慎二と規定して間違いないかと思われるが、世界ジュニア王者でツアー皆勤中のフランシスコ・ガリーゴス(スペイン)、技の切れ味のあるツァイ・ミンエン(台湾)、後輩ヴィンセント・リマールの台頭で後のない状況のソフィアン・ミルス(フランス)など面白い選手がトーナメントに散らされ、この時期の大会としてはなかなか見どころ多い陣容となっている。

優勝候補筆頭は2週間前のグランプリ・ウランバートルで優勝したばかりのダシュダヴァー。準々決勝でガリーゴスと対戦し、準決勝では木戸か、チェリャビンスク世界選手権の初戦でダシュダヴァーを食った因縁の相手ミルスとの対戦が待ち受ける。過去ダシュダヴァーに2戦2敗の木戸にとっても、この準決勝が最大の山場だ。

【プールA】
Aシード選手:ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)
有力選手:フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)

【プールB】
Aシード選手:ソフィアン・ミルス(フランス)
有力選手:木戸慎二

【プールC】
Aシード選手:ルドウィグ・ペイシャー(オーストリア)

【プールD】
Aシード選手:ツァイ・ミン・イェン(台湾)

■ 66kg級(エントリー26名)
第1シードが現在ランキング6位のコリン・オーツ(イギリス)。ワールドツアーでは昨年と今年のグランドスラム・バクーで2度決勝に進んでそれぞれ優勝と2位になっているが、逆に言えばツアーに皆勤しながらここぞのハイレベルゲームではほとんどまったく表彰台に上がることができない選手でもあり、この選手の地力を理解するには世界選手権に5度出場して5位が1回、今年の欧州選手権で2回戦敗退という実績を持ち出すほうが適切かと思われる。

というわけで大会のレベルは決して、というより全く高くない。第2シードの高上智史と第3シードのスゴイ・ウリアルテ(スペイン)が準決勝を演じ、高上が決勝でオーツを下すというのが、客観的に見て妥当な予想かと思われる。

高上は唯一かすかながらも強豪の影があるプールBに配置。初戦はおそらく60kg級からの転向組で時折大物食いを演じるエリオ・ヴェルデ(イタリア)、準々決勝は前述のオーツを欧州選手権で下して5位に入賞視野セルジュ・オレイニック(ポルトガル)と対戦、準決勝でウリアルテ、決勝でオーツを迎えることとなる。オーツは比較的上り調子だが実績は前述の通りで柔道にもさほどの癖があるタイプではなく、31歳のウリアルテは来年のリオ五輪に向けて大会出場を続けているが12月のグランドスラム東京以来6戦して表彰台は僅かに1回と苦戦が続いている。どちらも世界選手権に向け他の強豪の参加者の少なさを見越してポイントを拾いに来たと言う印象で、負けられないバックグランドを背負う高上としては負けるわけにはいかないトーナメント。5月のアジア選手権に優勝して復活の狼煙をあげたばかりの高上、国際大会での連続優勝なるか。

【プールA】
Aシード選手:コリン・オーツ(イギリス)

【プールB】
Aシード選手:アントワーヌ・ブシャード(カナダ)

【プールC】
Aシード選手:高上智史
有力選手:エリオ・ヴェルデ(イタリア)、

【プールD】
Aシード選手:スゴイ・ウリアルテ(スペイン)

■ 73kg級(エントリー30名)
冒頭書いた通り強豪4人がAシード選手として名を連ねた、非常に面白い階級。改めてその陣容を書きだすと、第1シードから順にサインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)、ハッシュバータル・ツァガンバータル(モンゴル)、秋本啓之、ムサ・モグシコフ(ロシア)。

世界選手権王者の秋本とモグシコフには負けられない事情がある。秋本は国内に中矢力と大野将平の世界選手権王者2人が控え、かつ両者が揃ってアスタナ世界選手権に出場する。秋本に再び五輪挑戦のチャンスが巡ってくるとすれば、あまり考えたくない事態だがこの2人がアスタナで揃って勝ち切れなかった場合のみで、その「非常事態」時の挑戦権を得ておくためにはここで絶対に負けるわけにはいかない。モグシコフのほうも五輪王者マンスール・イサエフの復活にデニース・ヤルツェフの大躍進を受けて後のない状況にあり、地元ロシアで行われる今大会は代表戦線に踏みとどまる最後のチャンス。両者の奮戦はみものである。

モンゴル勢2人で注視すべきはその技術。2週間前のウランバートル大会でモンゴル勢の軽量級、軽中量級選手は打ち揃って「逆の内股」を多用して成果を上げていた。釣り手で相手の頭を固定しておいて、引き手で脇をカチ上げながら相手を浮かせて腰を切るこの技は、「逆の腰車」、「やぐら投げ」と続いたパワー系技術開発の系譜に連なるもの。世界選手権に向けてもう1度この新兵器をチェックできる機会はまことに貴重だ。

シード選手4人以外に有力選手の出場はほとんどまったくなし。中堅の強豪がこれでもかと参戦した81kg級とは全く逆の様相、「4点豪華主義」の二極分解トーナメントだ。

【プールA】
Aシード選手:サインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)

【プールB】
Aシード選手:ムサ・モグシコフ(ロシア)

【プールC】
Aシード選手:ハッシュバータル・ツァガンバータル(モンゴル)

【プールD】
Aシード選手:秋本啓之

■ 48kg級(エントリー13名)
参加選手はわずか13名、第1シードはモニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)。この人をはじめ参加選手全体のランキングも高くないが、順位以上に、キャリア的に見て勢いのある選手、上がり目の選手がほとんどいないのが少々寂しい。ウングレアヌはランキング6位であるが、今季ツアー大会に6度参加して表彰台は僅かに1つ(グランドスラムバクー1位)のみ。率直に言って見どころの少ないトーナメントだ。事前評としてはウングレアヌが今季2つめのグランドスラム制覇を達成して、世界選手権のAシード圏内までランキング順位を上げてくるであろう、とコメントしておくしかないというところ。

【プールA】
Aシード選手:モニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)

【プールB】
Aシード選手:ヴァレンテイナ・モスカット(イタリア)
Bシード選手:ジョン・ボキョン(韓国)
有力選手:ナタリア・コンドラチェワ(ロシア)

【プールC】
Aシード選手:イリナ・ドルゴワ(ロシア)

【プールD】
Aシード選手:ジュリア・フィギュロア(スペイン)

■ 52kg級(エントリー22名)
48kg級とは打って変わってこちらはなかなか役者のタマ数が揃った。ともに今季階級内でもっとも目立つ選手と言って良いアンドレア・キトゥ(ルーマニア)とマー・インナーン(中国)のパワーファイター2人に、6月のグランプリ・ブタペストで今季ワールドツアー初優勝を飾ったばかりのマレーン・クラー(ドイツ)が絡むというのがトーナメント大枠の様相。

6月の欧州選手権を獲ったキトゥは、ついに僅か30点差で世界選手権2連覇中のマイリンダ・ケルメンディ(コソボ)を凌いでワールドランキングのトップに躍り出ている。今大会の優勝でこの座を安泰として、確実に第1シードを得た上で世界選手権に臨みたいところ。そしておそらくこのシナリオ、実現することが濃厚と見る。

マーは勝ちに勝ちまくった冬季欧州大会の勢いが、ワールドマスターズにおける初戦敗退でついに止まってしまった。世界選手権に向けてマーの力をどう見積るべきか、今回は貴重な観察の機会。初戦でローラ・ゴメス(スペイン)、準決勝ではクラーかイルゼ・ヘイレン(ベルギー)、決勝ではキトゥと続くその対戦順は見応え十分。

【プールA】
Aシード選手:アンドレア・キトゥ(ルーマニア)
Bシード選手:ユリア・リゾワ(ロシア)
有力選手:ヨアナ・ラモス(ポルトガル)

【プールB】
Aシード選手:ギリ・コーヘン(イスラエル)
Bシード選手:ヤーナ・スンドベルグ(フィンランド)

【プールC】
Aシード選手:マレーン・クラー(ドイツ)
Bシード選手:イルゼ・ヘイレン(ベルギー)

【プールD】
Aシード選手:マー・インナン(中国)
Bシード選手:オデット・ジュッフリダ(イタリア)
有力選手:ローラ・ゴメス(スペイン)

■ 57kg級(エントリー20名)
シード選手8人に日本の芳田司を加えた9名が表彰台候補。中堅人材の層が厚い57kg級らしく、世界選手権直前のこの時期としてはなかなかの陣容が揃った。

優勝争いの2強は第1シードのコリナ・カプリオリウ(ルーマニア)と第2シードに配されたサブリナ・フィルツモザー(オーストリア)。実績、実力ともに他選手からは頭一つ抜け出ている。

芳田は6月のグランプリ・ブタペストで玉置桃に勝利して2位入賞と大躍進したヴィオラ・ベヒター(ドイツ)と2回戦で激突、次戦の準々決勝ではフィルツモザーと戦うというなかなかに厳しい組み合わせ。健闘に期待したい。

【プールA】
Aシード選手:コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)
Bシード選手:ヨワナ・ロジェ(セルビア)
有力選手:ジュリア・クインタバレ(イタリア)

【プールB】
Aシード選手:サンネ・フェルハーヘン(オランダ)
Bシード選手:ネコダ・スミスデヴィス(イギリス)

【プールC】
Aシード選手:サブリナ・フィルツモザー(オーストリア)
Bシード選手:ヴィオラ・ベヒター(ドイツ)
日本選手:芳田司

【プールD】
Aシード選手:キャサリン・ブーシェミンピナード(カナダ)
Bシード選手:イリーナ・ザブルディナ(ロシア)

■ 63kg級
リオ世界選手権王者ヤーデン・ゲルビ(イスラエル)、ゲルビの雌伏時代にイスラエルで不動のエースを務めたアリス・シュレシンジャー(イギリス)、一頃の爆発力はないものの相変わらず試合力の高さは折り紙つきのアニカ・ファンエムデン(オランダ)、鉈を振るうような担ぎ技連発で今季好成績を収めているエドウィッジ・グウェン(イタリア)となかなかの役者が揃った。

「人」として注目すべきはなんといってもゲルビ。2015年シーズン開始当初63kg級は、世界選手権で2大会連続で決勝を争ったクラリス・アグベニュー(フランス)とゲルビの2強時代、あるいはチェリャビンスク世界選手権で圧倒的な勝ち振りを見せたアグベニューの1強時代という構図にあったが、以後ツアー優勝なしというゲルビの失速とアグベニューのグランプリザグレブ(2位)と欧州選手権(3位)における連敗を受けて、どうやら混戦状態に陥っている。

特にゲルビの「負け振り」は褒められたものとは言えず、他大会と比べると勝ち抜きやすい陣容の今大会を落とすようであれば世界選手権連続ファイナリストという「名前」のアドバンテージは完全になくなってしまうだろう。正念場だ。

そして「試合」として注目すべきは、準々決勝でほぼ実現確実なゲルビ対シュレシンジャーの因縁対決。シュレシンジャーの国籍変更の背景には後輩ゲルビの台頭と重用があったことはほぼ間違いなく、この対決はその意味でも見もの。直接対決が実現しそうになるとゲルビが意外な早期敗退、ということが繰り返されてなかなか戦うことのなかった2人だが、今回はゲルビが2戦目、シュレシンジャーが初戦という早い段階の顔合わせで、さすがに激突は不可避。かつての「序列」が試合にどこまで持ち込まれるのか、興味は尽きない。

日本からは西川真帆が参加。グランドスラム東京で3位に入賞しながら負傷で欧州シリーズに出場ならず、アジア選手権は初の海外大会ということもあり優勝はならなかった(2位)が、ここでその骨太の試合振りを発揮することが出来るか。初戦からツェンドアユシュ・ツェレンナドミド(モンゴル)、ヒルデ・ドレクスラー(オーストリア)、アニカ・ファンエムデン(オランダ)とその組み合わせは決して楽ではないが、健闘に期待したい。

【プールA】
Aシード選手:ヤーデン・ゲルビ(イスラエル)
Bシード選手:アリス・シュレシンジャー(イスラエル)

【プールB】
Aシード選手:ツェデフスレン・ムンクザヤ(モンゴル)


【プールC】
Aシード選手:アニカ・ファンエムデン(オランダ)
有力選手:ケトレン・クアドロス(ブラジル)
日本選手:西川真帆

【プールD】
Aシード選手:エドウィッジ・グウェン(イタリア)
有力選手:ヤン・ジュインシュア(中国)

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