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グランプリ・ブタペスト女子各階級レポート

(2015年7月16日)

※ eJudoメルマガ版7月16日掲載記事より転載・編集しています。
女子各階級レポート
グランプリ・ブタペスト
■ 48kg級・好調パレトが優勝飾る、日本の渡名喜風南はチェルノビスキ破る殊勲も2位
【入賞者】 エントリー19名
1.PARETO, Paula(ARG)
2.TONAKI, Funa(JPN)
3.KONDRATYEVA, Nataliya(RUS)
3.LIMA, Taciana(GBS)
5.LOKMANHEKIM, Dilara(TUR)
5.MESTRE ALVAREZ, Dayaris(CUB)
7.MATEI, Ioana(ROU)
7.PODRYADOVA, Alexandra(KAZ)

優勝は第1シードのチェリャビンスク世界選手権準優勝者ポウラ・パレト(アルゼンチン)。2回戦でレカ・ブップ(ハンガリー)を両袖の右袖釣込腰「有効」を奪って優勢勝ち、準々決勝はナタリア・コンドラチェバ(ロシア)からこれも両袖の右袖釣込腰「技有」による優勢で勝利、準決勝は売り出し中のディアラ・ロクマンヘキム(トルコ)と対戦、左背負投から右一本背負投に連絡して見事な「一本」(2:21)を奪い決勝進出決定。

決勝では2回戦で優勝候補筆頭のエヴァ・チェルノビスキ(ハンガリー)を下して勝ち上がって来たダークホース・渡名喜風南と対戦。担ぎ技を連発して前技を意識させると、準備完了とばかりに一本背負投のフェイントを入れた左小内巻込を決めて1分0秒「有効」を獲得。以後は守備中心にモードを切り替えて渡名喜の追撃をかわし、通算3度目のワールドツアー優勝を決めた。

ベテランのパレトは3月のグラプンリ・サムスンに優勝、4月のパンナム選手権でもサラ・メネゼス(ブラジル)を下し優勝、5月のワールドマスターズでも決勝進出するなど今季はまことに好調。昨年の世界選手権での成功を機に、29歳にしてキャリア最高の存在感を発揮している。今大会の決勝はシンプルな組み立てながらその試合力の高さは明らか、経験の差で若い渡名喜を置き去りにしたという体の試合だった。

渡名喜はチェルノビスキを下すという最上級の成果を上げながら優勝ならず。好評価を受けて然るべき戦果ではあったが、階級の序列を覆すようなインパクトのある結果があるとすればそれは優勝のみであったはず。そしてその優勝に片手が届いていただけに、率直に言って勿体ない結果であった。キャリアのここぞというところで勝ち切れない、渡名喜の線の細さがここでも出てしまったという印象。


【準決勝】

ポウラ・パレト(アルゼンチン)〇一本背負投(2:21)△ディアラ・ロクマンヘキム(トルコ)
渡名喜風南〇優勢[指導2]△ダヤリス・メストレ アルヴァレス(キューバ)

【決勝】

ポウラ・パレト(アルゼンチン)〇優勢[有効・小内刈]△渡名喜風南

【日本選手勝ち上がり】

渡名喜風南(帝京大2年)
成績:2位

[1回戦]

渡名喜風南〇横四方固(2:08)△ミリカ・ニコリツ(セルビア)

渡名喜が左、ニコリツ右組みのケンカ四つ。渡名喜序盤から積極的に仕掛けて主導権を握る。相手の捨身技を捌いて腕を確保、抑え込み掛ける場面があったが獲りきれず。1分40秒過ぎ、左背負投で相手が腹這いになったところを横四方固で抑え込み「一本」。

[2回戦]

渡名喜風南〇横四方固(1:10)△エヴァ・チェルノビスキ(ハンガリー)

ケンカ四つ。両袖を絞る相手を小内刈で攻め、左一本背負投から横四方固「一本」。優勝候補筆頭のチェルノビスキを突破。

[準々決勝]

渡名喜風南〇横四方固(2:27)△アレクサンドラ・ポドヤドワ(カザフスタン)

ケンカ四つ。ボドヤドワ奥襟を叩いて渡名喜を引き出しながら試合を進め、渡名喜は左一本背負投で粘ってなんとか展開を留保する。1分8秒勢いよく入ったボドヤドワの右内股が「有効」。1分50秒過ぎ、ポドヤドワが谷落に入りかけたところを渡名喜が崩して得意の寝技に持ち込み、腕を極めながら横四方固「一本」。

[準決勝]

渡名喜風南〇優勢[指導2]△ダヤリス・メストレ アルヴァレス(キューバ)

ケンカ四つ。序盤は渡名喜が左体落で良く攻めアルヴァレスに「指導」。アルヴァレスは左右の担ぎ技に潰れ続け、偽装攻撃の咎で2つの「指導」。以後ポイントの積み上げなくタイムアップ。

[決勝]
渡名喜風南△優勢[有効・小内刈]○ポウラ・パレト(アルゼンチン)

左相四つ。パレトは担ぎ技を連発、渡名喜は左大内刈と背負投で対抗。1分、パレト一本背負投のフェイントを入れながら左小内巻込に飛び込み「有効」奪取。以後パレトは腰を引いて守備に舵を切り、渡名喜は残り20秒でタイミングの良い左一本背負投を見せるが獲りきれず、タイムアップ。

■ 52kg級・第1シードのクラエーが順当に優勝、決勝は8歳年下の後輩エイテルを下す
【入賞者】 エントリー21名
1.KRAEH, Mareen(GER)
2.ERTL, Maria(GER)
3.GOMEZ, Laura(ESP)
3.RAMOS, Joana(POR)
5.COHEN, Gili(ISR)
5.MORETTI, Elena(ITA)
7.DELGADO, Angelica(USA)
7.PIENKOWSKA, Karolina(POL)

人材少なき階級を第1シードの31歳マレーン・クラエー(ドイツ)が順当に優勝。2回戦はケリー・エドワーズ(イングランド)を隅落と横四方固の合技「一本」(3:51)、準々決勝はカロリナ・ピンコフスカ(ポーランド)を「指導2」対「指導1」の優勢勝ち、唯一の勝負どころとなった第4シード選手ヨアナ・ラモス(ポルトガル)との準決勝は左大外刈「有効」、支釣込足「一本」と連取して快勝。

決勝は同国の後輩、ダークホースのマリア・エイテル(ドイツ)を相手に終盤まで試合を持ち越したが、残り14秒で相手の股中に作用足を落とす体落崩れの技を決め浮落「有効」獲得。そのまま優勢勝ちを果たし、大過なく優勝を決めた。

第2シードのギリ・コーヘン(イスラエル)は準々決勝でエイテルに「指導2」優勢、3位決定戦でラモスに「一本」でそれぞれ敗れて5位。第3シードのイルゼ・ヘイレン(ベルギー)は初戦でエレナ・モレッティ(イタリア)に小外掛「一本」で敗れた。クラエーの勝利以外は荒れた、というより52kg級の中堅選手の混戦ぶりがそのまま表れたという様相のトーナメントだった。

【準決勝】

マレーン・クラエー(ドイツ)〇支釣込足(1:52)△ヨアナ・ラモス(ポルトガル)
マリア・エイテル(ドイツ)〇優勢[有効・大内刈]△エレナ・モレッティ(イタリア)

【決勝】

マレーン・クラエー(ドイツ)〇優勢[有効・浮落]△マリア・エイテル(ドイツ)

■ 57kg級・連珍羚がワールドツアー初優勝、苦戦続いた玉置桃は3位に終わる
【入賞者】 エントリー24名
1.LIEN, Chen-Ling(TPE)
2.WAECHTER, Viola(GER)
3.MALLOY, Marti(USA)
3.TAMAOKI, Momo(JPN)
5.KARAKAS, Hedvig(HUN)
5.MINAKAWA, Camila(ISR)
7.DIEDHIOU, Hortance(SEN)
7.ROPER, Miryam(GER)

山梨学院大卒、コマツ所属の連珍羚が27歳にして初めてワールドツアー大会を制した。2回戦でエモケ・クネティグ(ハンガリー)を横三角からの崩上四方固(0:47)、準々決勝でもダークホースのオタンス・ジェジュー(セネガル)を同じく横三角から崩上四方固「一本」(1:25)に仕留めると、山場の準決勝はリオ世界選手権銀メダリストで今大会第1シードのマーティ・マロイ(アメリカ)に「指導1」で勝利して決勝進出。

決勝の相手は、準々決勝で第2シードのミリアム・ローパー(ドイツ)に一本勝ち、準決勝は玉置桃と「技有」を取り合った末の「指導2」優勢で勝ち上がって来たヴィオラ・ベヒター(ドイツ)と対戦。横三角で度々攻めてペースを掴むと、1分53秒に左内股。回り込みながら相手を前に引きずり出す連得意の一撃は文句なしの「一本」かと思われたが相手が回り過ぎてこれは「技有」。連は3分31秒にもケンカ四つの腰の差し合いから縦回転の内股を決めて「有効」を追加、危なげなく試合終了まで戦い抜いて優勝を決めた。

前述の通り、連のワールドツアー(グランプリ以上)大会優勝はこれが初めて。57kg級は階級全体として強豪乱立の混戦傾向にあり、連が割って入る隙も十分。おそらくはキャリアの集大成となる来年の五輪に向けて視界大いに開けた大会となった。
連のワールドランキングは5月のアジア選手権2位で獲得した240ポイントに今回の300ポイントを合わせて13位まで上昇、五輪出場資格ランクでは8位にまで順位を上げている。今後が楽しみになってきた。

日本代表の玉置桃は3位。準々決勝でヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)に袖釣込腰「技有」優勢で競り勝つなど大枠順調であったが、準決勝ではベヒターを相手に不用意に負った内股返「技有」を追いかける苦しい展開。残り数秒で内股「技有」を奪回するが中盤に失った2つの「指導」が残ってしまい、トーナメント脱落が決まった。
「技有」失陥の場面は右相四つ、長身の相手に横変形で組み負け、絞った相手の釣り手をめくり上げるように左袖釣込腰。投げ切ろうとしたのか体を捨てて展開を切ろうとしたのか定かではないが、すぐさま脚を振り上げて左内股の形になったところを、タイミングを合わせて体を浴びせられてしまった。ほとんど自ら両足ジャンプを行った体のこの攻防、玉置に耐える材料は残っていなかった。相手の上下のあおりに合わせて飛び込んだタイミング自体は決して悪くなかったが深く入りきれず、長身のベヒターは全く崩れず余裕を持って返し技を狙っていた。組み負けた形を甘受してしまった前段の構成、相手が崩れておらずその重心を捕まえていないにも関わらず脚を挙げて体を捨てようとした早過ぎる判断と反省材料は多々あろうが、「不用意」という表現はこの試合の様相を大枠正確に伝えるものではないかと思われる。カラカス戦とGS延長戦にまで決着を持ち込んだ3位決定戦の苦戦までを合わせて考えると、この陣容の大会を勝ち抜くだけの絶対的な地力が不足していたとの評はひとまず受け入れざるを得ないのではないだろうか。カラカスに勝利した時点で勝ち残った選手の顔ぶれは十分玉置の優勝が想起されるものであり、非常に勿体ない大会ではあった。

【準決勝】

連珍羚(台湾)〇優勢[指導1]△マーティ・マローイ(アメリカ)
ヴィオラ・ベヒター(ドイツ)〇優勢[指導2]△玉置桃

【決勝】

連珍羚(台湾)〇優勢[技有・内股]△ヴィオラ・ベヒター(ドイツ)

【日本選手勝ち上がり】

玉置桃(三井住友海上)
成績:3位

[1回戦]
玉置桃〇三角絞(1:04)△コンセプシオン・ベロリン(スペイン)

右相四つ。相手の右袖釣込腰を潰して寝勝負に移行、上から三角で絞め上げて「一本」。

[2回戦]

玉置桃〇袖釣込腰(3:26)△イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)

ケンカ四つ。組み際に左袖釣込腰「一本」。

[準々決勝]

玉置桃〇優勢[技有・袖釣込腰]△ヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)

右相四つ。「指導3」対「指導2」でリードを奪われるも、終盤スタミナが切れた相手に組み勝ち、低い左袖釣込腰で「技有」奪取。

[準決勝]
玉置桃△優勢[指導2]○ヴィオラ・ベヒター(ドイツ)

右相四つ。互いに作用足を上げて相手の様子を伺う探りの攻防が続く。1分8秒、左内股を試みるが内股返で「技有」失陥。残り2秒、右大内刈で膝を着かせた相手を左内股の形でめくり回して「技有」奪回、そのまま腕挫十字固を狙うがタイムアップ。中盤に失った2つの「指導」が残ってしまい敗退。

[3位決定戦]

玉置桃〇GS指導2(GS2:13)△カミラ・ミナカワ(イスラエル)

ケンカ四つ。釣り手のコントロール権を掌握して優位に試合を進めるが、主審はミナカワが展開を保つために当てる足技の手数を評価し1分23秒玉置にやや不可解な「指導」。残り1分を切り玉置が縦四方固から横四方固に連絡して抑え込みの形を作るが審判見極めないまま「待て」を宣告して流れる。残り26秒でミナカワに「指導」が与えられようやくスコアはタイとなる。GS2分13秒、ミナカワの担ぎ技が偽装攻撃と判断され「指導2」宣告で決着。

■ 63kg級・好調トゥルステニャック圧勝V、世界選手権に向けて視界良好
【入賞者】 エントリー26名
1.TRSTENJAK, Tina(SLO)
2.SURAKATOVA, Pari(RUS)
3.BERNHOLM, Anna(SWE)
3.HERMANSSON, Mia(SWE)
5.LABAZINA, Marta(RUS)
5.ZOUAK, Rizlen(MAR)
7.HAECKER, Katharina(AUS)
7.SZABO, Franciska(HUN)

第1シードのティナ・トゥルステニャック(スロベニア)が圧勝優勝。2回戦はアナ・カチョラ(ポルトガル)の捨身技を捌いて横四方固「一本」(3:55)、準々決勝はアンナ・ベルンホルム(スウェーデン)を相手に「指導2」の優勢勝ちだったが、準決勝はマルタ・ラバジナ(ロシア)を大内返「有効」、左一本背負投「一本」(3:58)と圧倒し、決勝もダークホースのパリ・スラカトヴァ(ロシア)を左一本背負投で崩して横四方固「一本」(3:52)。トゥルステニャックは勝利が決まった瞬間も拳を握りしめながら当然といった表情を見せ、もはやこの程度の試合で止まっている暇はないといった様子。世界選手権では当然優勝争いに絡んでくるのではないかと思われる。

日本の田中美衣はノーシードながら優勝候補の一角と目されていたが、意外な早期敗退。1回戦を勝利した際に足を負傷。2回戦の相手はオセアニア選手権の優勝をテコに第2シードに配置されたカタリナ・ヘッカー(オーストリア)という遥か格下の相手であったが、負傷の影響は隠せず。2つの「指導」を取り返せずに試合時間を使い切ってしまい予選ラウンド敗退に終わった。

【準決勝】

ティナ・トゥルステニャック(スロベニア)〇一本背負投(3:58)△マルタ・ラバジナ(ロシア)
パリ・スラカトヴァ(ロシア)〇大外刈(2:56)△リズレン・ゾウアック(モロッコ)

【決勝】

ティナ・トゥルステニャック(スロベニア)〇横四方固(3:52)△パリ・スラカトヴァ(ロシア)

【日本選手勝ち上がり】

田中美衣(了徳寺学園職)
成績:2回戦敗退

[1回戦]
田中美衣〇上四方固(2:17)△マリア・アルテアガ(ベネズエラ)

左相四つ。序盤に足を負傷、奥襟を叩かれ技が出せず「指導」。巴投から腕挫十字固を狙うが獲りきれず。1分40秒過ぎに小外刈で相手を倒し、腹這いの相手をめくり返して上四方固「一本」。

[2回戦]

田中美衣△優勢[指導2]〇カタリナ・ヘッカー(オーストリア)

ケンカ四つ。奥襟を叩かれると腰を引いてしまい、負傷の影響明らか。攻めに出ることが出来ずに「指導」を連続失陥、巴投に活路を見出すが獲り切れず終戦。

■ 70kg級・荒れたトーナメント縫ってベルナベウが初優勝、復活メサロシュは新井千鶴破って3位
【入賞者】 エントリー21名
1.BERNABEU, Maria(ESP)
2.DIEDRICH, Szaundra(GER)
3.BREITENBACH, Anett(HUN)
3.VARGAS KOCH, Laura(GER)
5.NIANG, Assmaa(MAR)
5.STAM, Esther(GEO)
7.CORTES ALDAMA, Onix(CUB)
7.GERCSAK, Szabina(HUN)

Aシード選手4人のうちベスト4に進んだのはラウラ・ファルカスコッホ(ドイツ)のみ、かつファルカスコッホも決勝に進めずという荒れたトーナメント。

その中を縫って優勝したのはノーシードスタートのマリア・ベルナベウ(スペイン)。1回戦はレネタ・ロリンツ(ハンガリー)を崩上四方固「一本」(1:38)、2回戦はカタリナ・クリス(ポーランド)をGS延長戦の末の「指導2」(GS0:17)、準々決勝ではエステル・スタム(ジョージア)を右払腰と後袈裟固の合技「一本」(1:57)、そして準決勝ではアネット・ブライテネバッハ(ハンガリー)を崩袈裟固「一本」(2:14)、決勝は前戦でファルカスコッホを「指導1」対「指導2」で破ったスザンドラ・ディードリッヒ(ドイツ)を大内返「有効」で下して優勝を決めた。ベルナベウはこれがワールドツアー(グランプリ以上)大会初優勝、敵の少ないプールDに配され、以後も他ブロックでシード選手が次々倒れるというチャンスをしっかりモノにしたという体の勝利であった。

優勝こそならなかったが、今大会の主役は間違いなくアネット・ブライテネバッハ(ハンガリー)。姓は変わったが、この人は世界選手権で銀メダル2つを獲得しているスター選手アネット・メサロシュその人である。ロンドン五輪ほとんど試合に出ていなかったが、リオ五輪を来年に控え、地元で開催される今大会でワールドツアーに劇的復帰を果たすこととなった。復帰第一戦で優勝候補の新井千鶴とマッチアップするという厳しい組み合わせだったが、この試合を「指導1」の優勢で勝ち抜けると、準々決勝はオニキス・コルテスアルダマ(コロンビア)を「指導2」対「指導1」の反則累積差で下し、準決勝を落として迎えた3位決定戦でも気合十分の柔道を披露。シード選手のアッセマ・ニアン(モロッコ)を左大腰を中心に攻め続け、「指導2」対「指導1」の反則累積差で競り勝ち、復帰第1戦で早くも表彰台に登ることとなった。

4戦して決めた投げ技はゼロ、3位決定戦も正直地元贔屓の判定に助けられた部分もあったが、復帰するなり表彰台に登ってみせたのはさすが。若くして世に出たゆえベテランのイメージが強いが、ブライテネバッハはまだ28歳。突出した選手がいない混戦にある70kg級の状況を考えれば以後世界選手権や五輪の表彰台に絡む可能性も十分だ。以後の出来を注視しておくべきだろう。

新井は前述の通り初戦敗退。相手が大物であったこと、かつ情報がなかったこと、立て続けの大会出場でコンディション調整が難しかったことなどエクスキューズは多々あるが、現在の新井の力と立場を考えればこの結果は残念の一言。嵌れば誰でも投げることが出来る技の切れ味を持つ新井の柔道は、上位入賞を狙ってキャラクターの似たパワー系選手がひしめく70kg級にあってその「行列」とは別ルートで一気に頂点を極められる面白さがあるはずなのだが、勝ち負けを繰り返すうちにこの中堅集団に吸収されつつあるのが非常に気に掛かる。なんとか上がり目を掴んで世界選手権を迎えられるよう、以後の期間でしっかり準備を進めて欲しいところ。

【準決勝】

マリア・ベルナベウ(スペイン)〇GS指導2(GS0:45)△ラウラ・ファルカスコッホ(ドイツ)
スザンドラ・ディードリッヒ(ドイツ)〇崩上四方固(2:14)△アネット・ブライテネバッハ(ハンガリー)

【決勝】

マリア・ベルナベウ(スペイン)〇優勢[有効・大内返]△スザンドラ・ディードリッヒ(ドイツ)

【日本選手勝ち上がり】

新井千鶴(三井住友海上)
成績:2回戦敗退

[2回戦]
新井千鶴△優勢[指導1]○アネット・ブライテネバッハ (ハンガリー)

左相四つ。ブライテネバッハは片襟、片手一本の技で攻め立てて「指導1」を先行。新井これを覆せずに終戦。

■ 78kg級・ハリソン今回もしっかり力を見せて優勝、梅木真美は健闘も試合をまとめ切れず5位に留まる
【入賞者】 エントリー21名
1.HARRISON, Kayla(USA)
2.VELENSEK, Anamari(SLO)
3.MALZAHN, Luise(GER)
3.VERKERK, Marhinde(NED)
5.GALEONE, Assunta(ITA)
5.UMEKI, Mami(JPN)
7.JOO, Abigel(HUN)
7.POWELL, Natalie(GBR)

ケイラ・ハリソン(アメリカ)、マリンダ・フェルケルク(オランダ)、アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)、ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)の優勝候補4人が順当にベスト4入り。

準決勝第1試合ではハリソンがフェルケルクを左一本背負投と横四方固の合技(3:51)で下し、第2試合はヴェレンチェクがマルツァーンを横四方固「一本」で破って決勝進出決定。

大物対決となった決勝はハリソンがヴェレンチェクを圧倒。1分過ぎに大外返「技有」を獲得すると後袈裟固、しかしヴェレンチェクはこの抑え込みを2度解く粘りを見せてこの攻防はハリソンの後袈裟固「有効」、横四方固「有効」で終了。ハリソンは圧倒的リードにも「一本」への執念の火を消さず、残り0秒で大腰を決めて「一本」獲得。「一本」「技有」に「有効」2つという凄まじいスコアで優勝を決めて見せた。

ハリソンは昨年12月のグランドスラム東京からここまでで実に5回目のツアー制覇。7月のパンナム競技大会、そして8月の世界選手権制覇に向けて視界良好と言って良いだろう。昨春のツアー復帰以来、今が一番良い状態と評して間違いないかと思われる。

日本代表の梅木真美はこのハリソンと準々決勝で対戦、「指導1」の小差で試合を終える大健闘。敗者復活戦でも好調ナタリー・ポウエル(イギリス)に一本勝ちするなど世界選手権に向けて期待膨らむ内容であったが、肝心の3位決定戦でマルツァーンに大腰「一本」で敗れてしまい成績をまとめ切れず。高校の先輩である緒方亜香里を彷彿とさせるケンカ四つ時のノーガードの撃ち合いについては賛否両論あろうが、この段階ではその強気と、3位決定戦に至る前2戦の健闘の方を買っておきたい。ただし、上位陣多士済済の78kg級にあっては世界選手権でもチャンピオンクラスの強豪との連戦は必須のはず。地力も爆発力も備えつつある梅木、コンスタントにその力を出し切ることを、ひとつの課題として提示された形の大会でもあった。


【準決勝】

ケイラ・ハリソン(アメリカ)〇合技[一本背負投・横四方固](3:51)△マリンダ・フェルケルク(オランダ)
アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)〇横四方固(2:06)△ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)

【決勝】

ケイラ・ハリソン(アメリカ)〇大腰(4:00)△アナマリ・ヴェレンチェク(スロベニア)


日本代表選手:梅木真美(環太平洋大3年)
成績:5位

[2回戦]

梅木真美○崩上四方固(3:03)△マルタ・トルト メリーノ(スペイン)

梅木が左、トルトメリート右組みのケンカ四つ。カメの形で耐える相手を横三角から崩上四方固に捉えて「一本」。

[準々決勝]

梅木真美△優勢[指導1]○ケイラ・ハリソン(アメリカ)

ケンカ四つ。「指導1」のビハインドを覆せず惜しくも敗戦。

[敗者復活戦]

梅木真美○横四方固(2:13)△ナタリー・ポウエル(イギリス)

釣り手を徹底して落とされ、なかなか攻めに出れずに手数での先制攻撃を許す。1分40秒を過ぎたところで左払腰、間髪入れずに寝技に持ち込み横四方固で抑え込んで「一本」。

[3位決定戦]

梅木真美△大腰(1:51)○ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)

ケンカ四つ。得意の横三角で攻める展開を早い段階で作り出し、脚を絡んで耐えるマルツァーンの体を乗り越えて腕緘。しっかり極まったかに思われたがマルツァーンあくまで絡みついたまま必死に耐え切り「待て」。
1分51秒、腰の差し合いからマルツァーンが右大腰。ファーストアクションで腹をしっかり出した教科書のような一撃に梅木乗っかってしまい悔しい「一本」。

■ 78kg超級・大ダークホースのサイエトが優勝、オルティスは成績手堅くまとめて3位
【入賞者】 エントリー21名
1.SAYIT, Kayra(TUR)
2.CHEIKH ROUHOU, Nihel(TUN)
3.KONITZ, Franziska(GER)
3.ORTIZ, Idalys(CUB)
5.ISSANOVA, Gulzhan(KAZ)
5.SLUTSKAYA, Maryna(BLR)
7.CERIC, Larisa(BIH)
7.KAYA, Belkis Zehra(TUR)

ほとんど無名と言って良いトルコの27歳カイラ・サイエトが優勝。1回戦でヤスミン・クルブス(ドイツ)、準決勝でイダリス・オルティス(キューバ)、そして決勝でニヘル・シェイキロウホウ(チュニジア)を食うという堂々たる経過を経ての優勝だった。勝ち上がりを追うと、1回戦はクルブスの左内股を堪えて右小外刈で「有効」奪取、そのまま縦四方固で一本勝ち(2:32)。準々決勝はラリッサ・セリック(ボスニアヘルツェゴビナ)を「指導2」優勢、そして準決勝はオルティスの右内股を押し倒し横四方固で「一本」(1:54)。決勝ではシェイキロウホウ得意の浮技に引っかかって「技有」を失う場面もあったがこれは取り消し、残り45秒でシェイキロウホウに与えられた偽装攻撃の「指導」をテコに最後まで粘り切り、優勝を決めることとなった。

ベルキス・ゼヤ・カヤなど息の長い選手が一線で頑張っているトルコだが、サイエトもニューカマーでは全くなく既に27歳のベテラン。しかしワールドツアーの優勝は今回が初めてで、表彰台も2011年グランプリ・アブダビの2位1回があるのみ。これが一発だけの花火で終わるのか、それとも継続して活躍することが出来るのか、今大会だけで判断することは難しい。以後の試合を見守りたいところ。

オルティスは3位決定戦でグルサン・イッサノワ(カザフスタン)を「指導」4つの反則で下して表彰台は確保。試合によって出来不出来の激し過ぎるオルティスだが今回はまずまずきちんと成績をまとめたというところ。2位シェイキロウホウ、3位がオルティスにコニッツと、優勝者以外の顔ぶれはまずまず順当な線に収まった階級だった。


【準決勝】

カイラ・サイエト(トルコ)〇横四方固(1:52)△イダリィス・オルティズ(キューバ)
ニヘル・シェイキ ロウホウ(チュニジア)〇優勢[有効・横車]△フランジスカ・コニッツ (ドイツ)

【決勝】

カイラ・サイエト(トルコ)〇優勢[指導1]△ニヘル・シェイキ ロウホウ(チュニジア)

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