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グランプリ・ブタペスト男子各階級レポート

(2015年7月11日)

※ eJudoメルマガ版7月11日掲載記事より転載・編集しています。
グランプリ・ブタペスト男子各階級レポート
■ 60kg級・優勝は復調果たしたスメトフ、志々目は3位確保も課題克服はならず
【入賞者】 エントリー29名
1.SMETOV, Yeldos(KAZ)
2.IMASHEV, Aibek(KAZ)
3.LUTFILLAEV, Sharafuddin(UZB)
3.SHISHIME, Toru(JPN)
5.GARRIGOS, Francisco(ESP)
5.TSAI, Ming Yen(TPE)
7.CHKHVIMIANI, Lukhumi(GEO)
7.PETRIKOV, Pavel(CZE)

優勝はアジア大会王者のイェルドス・スメトフ(カザフスタン)。初戦はデミトリー・クリコフ(ロシア)から左一本背負投「技有」を奪うものの自身も「技有」を失い結果は「指導2」による優勢勝ち。決して良い出だしとは言えなかったが以後の出来は出色で、準々決勝ではパヴェル・ピエトリコフ(チェコ)を肩固「一本」(5:00)、そして最大の山場となった準決勝では日本の志々目徹を肩車「技有」で破って決勝進出。決勝は同国の2番手で同世代のアイベック・イマシェフ(カザフスタン)から右背負投「有効」、肩車「技有」、そして最後は相手を引き出しながらの小内巻込「技有」と立て続けにポイントを奪って圧勝、見事優勝を決めた。

昨年のアジア大会で素晴らしい出来を見せて優勝したスメトフだが、以後ワールドツアーの優勝は直後に行われたグランプリ・アスタナのみで、特に今年に入ってからは一貫して苦戦が続いていた。しかしこの日の出来は「世界選手権の優勝候補では」と周囲に大きなインパクトを与えたアジア大会時を彷彿とさせるもの。夏に合わせてコンディション調整が成果を上げつつあると見て間違いないだろう。昨年は欠場した世界選手権、今季のスメトフには主役級の活躍を期待しておいて間違いなさそうだ。

志々目はアジア大会で競り負け(GS延長戦「指導」)、グランプリ・デュセルドルフでリベンジを果たした(内股「有効」)スメトフに再び敗戦。3位決定戦では14年世界ジュニア王者のフランシスコ・ガリーゴス(スペイン)に勝利して銅メダルは確保したものの、攻撃力の高さの一方で見せる攻め手の遅さと受けに回る展開での対応の悪さは今回も払拭出来ず。特に悪い組み手をリセットするために使う「自ら切り離す内股」はいつ偽装攻撃が宣告されてもおかしくないもので、少なくとも主審に自身の守勢を印象付ける消極的行動であることは間違いない。組み手の手立て、攻撃の早さ、投げに至る形の多様さの獲得と積み上げねばならないものはまだまだ多い。本番まで残すところあと2か月、率直に言って世界選手権に向けて不安の残る戦いぶりであった。

【準決勝】

イェルドス・スメトフ(カザフスタン)〇優勢[技有・肩車]△志々目徹
アイベック・イマシェフ(カザフスタン)〇優勢[技有・小外掛]△シャラフディン・ルトフイラエフ(ウズベキスタン)

【決勝】

イェルドス・スメトフ(カザフスタン)〇合技[肩車・小内巻込]△アイベック・イマシェフ(カザフスタン)

[日本選手勝ち上がり]

志々目徹(了徳寺学園職)
成績:3位

[2回戦]

志々目徹〇大外刈(2:53)△アーロン・クニヒロ(アメリカ)

左相四つ。組手に多くの時間を費やすも1分40秒に左大外刈で「有効」獲得。さらに両袖を持って左大外刈「一本」。

[準々決勝]

志々目徹〇優勢[指導3]△ツァイ・ミン・イェン(台湾)

ケンカ四つ。双方投技の切れ味が売りだが攻め合う場面自体が少なく、志々目は担ぎに行くがすっぽ抜けること数回。結果は「指導3」対「指導1」の優勢で志々目の勝利。

[準決勝]

志々目徹△優勢[技有・肩車]○イェルドス・スメトフ(カザフスタン)

ケンカ四つ。腰を引いて構える相手に足技を出し、37秒スメトフに「指導」。以後は双方ポイントの積み上げなく中盤まで試合が進み、2分25秒スメトフが右肩車で「技有」を獲得。以後なかなか組み合わないスメトフに対し4分4秒「指導」、志々目は巴投に大内刈と仕掛けるがポイント奪回はかなわず終戦。

[3位決定戦]

志々目徹〇優勢[有効・背負投]△フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)

左相四つ。両袖を絞るガリーゴスに対して志々目は左内股、左大内刈に股中に落とす左体落も見せて主導権を確保、1分30秒過ぎには相手の裏側に進出しての左大外刈も見せる。1分37秒ガリーゴスに「指導」。
しかし直後、リスタートからガリーゴスに引き手で袖を確保されると志々目は自身の内股を利用して相手に背を向けて引き手を切り離す悪癖が顔を出す。以後の展開に悪い予感漂ったが、志々目は3分過ぎに片襟の左背負投に左大外刈と技を繋げて山場を作ると2分29秒に左背負投を決めて「有効」を獲得。どうやらこれで勝利が見えたというところだが、直後の3分3秒に奥襟を叩かれて首抜きの「指導」、さらに10秒経たずに「極端な防御姿勢」の「指導2」を食らい、僅か30秒強で2つの反則を貰う良くない流れ。
残り2分から1分に至る時間帯をを片襟の大内刈に自身の内股による展開のリセットでなんとか乗り切った志々目、残り14秒で3つ目の「指導」を貰うがなんとかフィニッシュ。「有効」優勢で勝利して表彰台を確保。

■ 66kg級・スマグロフが混戦抜け出し優勝、ガルスチャンは転向後初のGP表彰台確保
【入賞者】 エントリー41名
1.SMAGULOV, Zhansay(KAZ)
2.SEIDL, Sebastian(GER)
3.GALSTYAN, Arsen(RUS)
3.OLEINIC, Sergiu(POR)
5.LAROSE, David(FRA)
5.SOBIROV, Rishod(UZB)
7.MA, Duanbin(CHN)
7.MUKANOV, Azamat(KAZ)

優勝はノーシード、ランキング48位のズハンサイ・スマグロフ(カザフスタン)。1回戦はイリア・シガノビッチ(セルビア)を右払腰「一本」(4:11)、2回戦はルイス・キーブル(イングランド)を左背負投「有効」と混戦ブロックをなんとか勝ち抜けると以後は大爆発。準々決勝ではダビド・ラローズ(フランス)を相手に左背負投「有効」で勝利、さらに準決勝では第1シードのリショド・ソビロフ(ウズベキスタン)を右内股「技有」に右内巻込「有効」と2度投げつける圧勝劇を演じる。決勝も第2シードのセバスティアン・ザイドル(ドイツ)を右内股で攻めまくり3つの「指導」を奪って快勝。見事ワールドツアー初優勝を飾ることとなった。

22歳のスマグロフ、ワールドツアー参戦は2014年の春から。ツアーの表彰台のないまま出場したチェリャビンスク世界選手権は2回戦敗退、以後も目立った成績は10月のグランプリ・アスタナの2位のみで、2月のグランプリ・デュッセルドルフでは予選ラウンド敗退、3月のグランプリ・トビリシも7位に終わっており、率直に言ってここまで全く目立つ存在ではなかった。それが同国の先輩アザマト・ムカノフが7位に沈む中で、トーナメントの主役と目されたラローズとソビロフを投げて優勝を飾ったのだから「大ブレイク」と表現して然るべきであろう。一線級の人材少なきトーナメントであったが、スマグロフの台頭という興味深い事件の起こった大会であったと総括しておきたい。

「裏の主役」であった60kg級五輪王者アルセン・ガルスチャン(ロシア)は前回の初戦敗退から一気の躍進で3位に入賞。ザイドルとマッチアップした準決勝では左大外刈「技有」で一時はリードを奪い、3位決定戦ではラローズを隅落「有効」と鮮やかな左一本背負投「一本」で立て続けに投げるなど爆発力の高さも見せつけた。力強い柔道でラローズを圧倒したこの試合は、ガッチリ持って相手を追い詰め、敢えて掛けさせた技を力で振り返してまずポイント奪取、さらに後のなくなった相手が前へ出てくるところを担いで「一本」という完璧な内容だった。少なくとも何も出来ずに終わったバクー大会とは別人と評すべき出来であり、この先の上がり目も十分期待出来る好内容であった。

【準決勝】

ズハンサイ・スマグロフ(カザフスタン)〇優勢[技有・内巻込]△リショド・ソビロフ(ウズベキスタン)
セバスティアン・ザイドル(ドイツ)〇後袈裟固(3:12)△アルセン・ガルスチャン(ロシア)

【決勝】

ズハンサイ・スマグロフ(カザフスタン)〇優勢[指導3]△セバスティアン・ザイドル(ドイツ)

■ 73kg級・手堅さ売りのファンティシェルとドラクシックを連続撃破、大ベテランのウングバリが地元で優勝飾る
【入賞者】 エントリー45名
1.UNGVARI, Miklos(HUN)
2.DRAKSIC, Rok(SLO)
3.DELPOPOLO, Nicholas(USA)
3.VAN TICHELT, Dirk(BEL)
5.MACIAS, Tommy(SWE)
5.WANDTKE, Igor(GER)
7.ESTRADA, Magdiel(CUB)
7.JEZEK, Jaromir(CZE)

優勝候補の大本命であった大野将平が出場取り消し。有力選手と「それ以外」という今回のトーナメントの個性はよりハッキリ打ち出されることとなり、第1シードのロク・ドラクシッチ(スロベニア)と第2シードのディルク・ファンティシェル(ベルギー)、そしてこの2人に第3シードに入った今季好調のミクロス・ウンバリ(ハンガリー)が絡むというシナリオ以外が予想しにくい組み合わせ。

数少ないダークホース候補アリム・ガダノフ(ロシア)も3回戦でトミー・マシアス(スウェーデン)に敗れ、結果トーナメントは大枠順当に進行。ドラクシック、ニコラス・デルポポロ(アメリカ)、ファンティシェル、ウングバリのAシード選手4人がそのままベスト4に残り、決勝はドラクシックと、準決勝でファンティシェルを破ったウングバリの2人によって争われることとなった。

ドラクシッチは2回戦から登場、まずサム・ファンヴェステンド(オランダ)を左一本背負投による2つの「有効」と隅落「一本」(3:47)で一蹴。3回戦はダニエル・ウイリアムズ(イギリス)を「指導3」の優勢で破り、準々決勝はイゴール・ヴァンドケー(ドイツ)を開始25秒の肩車「一本」で秒殺。デルポポロとマッチアップした準決勝は右小外掛「一本」(4:15)でなんなくクリアして決勝進出決定。

ウングバリは2回戦でヤン・ゴシエフスキ(イギリス)から左小内巻込「有効」、右小内刈「一本」(3:25)と連取して快勝。3回戦はディエゴ・サンチェスモンダカ(スペイン)を開始37秒の片手絞「一本」で秒殺、準々決勝はトミー・マシアスを縦四方固「一本」(4:33)、そして勝負どころの準決勝はしぶといファンティシェルを左大外刈「有効」で振り切って決勝進出。

決勝はドラクシッチが右、ウングバリが左組みのケンカ四つ。ウングバリは「指導2」対「指導1」でリードした終盤戦に、ドラクシッチが仕掛けた横落を体を入れ替えて潰し返し「有効」奪取。そのまま縦四方固に抑え込むと、絞技が決まったかドラクシッチは8秒で「参った」を表明。結果「一本」でウングバリの優勝が決まった。

ロンドン五輪2位のウングバリは既に34歳でもはやその調整は数年をまたぐスパン。来年に五輪を控える中で明らかにコンディションを上げて来ており、昨年12月のグランドスラム東京と5月のグランドスラム・バクーではともに3位に入賞している。5月のワールドマスターズでは初戦敗退に終わっておりやはり勝負どころでのハイランカー対決で勝ち抜くだけの力はないかとも思われたが、どうしても勝ちたい地元大会をキッチリ勝ち切ってみせたことでその力と調整力の高さを証明、再び五輪に向けて展望が開けた感ありだ。

3位決定戦を経た結果、表彰台にはAシード選手4人がそのまま名を連ねることとなった。波乱少なきトーナメントであった。

【準決勝】

ロク・ドラクシッチ(スロベニア)〇小外掛(4:15)△ニコラス・デルポポロ(アメリカ)
ミクロス・ウンバリ(ハンガリー)〇優勢[有効・大外刈]△ディルク・ファン ティシェル(ベルギー)

【決勝】

ミクロス・ウンバリ(ハンガリー)〇縦四方固(4:10)△ロク・ドラクシッチ(スロベニア)

■ 81kg級・イマモフが圧勝でワールドツアー2度目の優勝
【入賞者】 エントリー52名
1.IMAMOV, Yakhyo(UZB)
2.SCHMITT, Alain(FRA)
3.MARESCH, Sven(GER)
3.MOUSTOPOULOS, Roman(GRE)
5.SEMENOV, Stanislav(RUS)
5.WIECZERZAK, Alexander(GER)
7.KERMARREC, Julian(FRA)
7.SOBIROV, Shaxzod(UZB)

期待された地元ハンガリーの2強サボールジュ・クリザン、ラズロ・チョクナイがともに初戦敗退。アッティラ・ウングバリとミラン・コーラーも初戦で敗れ、有力視されたハンガリー勢はあっという間にトーナメントから姿を消すこととなった。

優勝したのは30歳になったヤキョー・イマモフ(ウズベキスタン)。2回戦でアッティラ・ウングバリ(ハンガリー)を右一本背負投「一本」(5:00)、3回戦はイヴァルロ・イワノフ(ブルガリア)を払腰「一本」(4:35)、準々決勝は第1シードのスヴェン・マレシュ(ドイツ)を右大外刈「一本」(3:42)、準決勝はダークホースのスタニスラフ・セメノフ(ロシア)を右一本背負投「一本」(2:45)と全試合一本勝ちの圧倒的な内容で決勝に進出。

決勝は敵少なきブロックを順当に勝ち上がってきたアラン・シュミット(フランス)とマッチアップ。イマモフは右相四つのシュミットを相手にしっかり先に引き手を確保し、自身のパワーを生かすべく間合いを詰め続ける。対するシュミットは担ぎ技を狙うがなかなか飛び込む決心のつかない様子で攻めが遅く、そこに付け込んだイマモフは2分51秒に右内股を決めて「技有」奪取。以後も引き手で袖を織り込んでの右大外刈を見せるなど主導権を渡さず試合を終え、「技有」優勢で勝利を飾ることとなった。

イマモフは2013年のグランドスラム・パリ以来となる久々のワールドツアー大会制覇。イマモフの爆発力は見事だったが参加陣容の薄さもあり、81kg級の勢力図に大きな影響のあった大会とは言い難い様相でもあった。

【準決勝】

ヤキョー・イマモフ(ウズベキスタン)〇一本背負投(2:45)△スタンスラフ・セメノフ(ロシア)
アラン・シュミット(フランス)〇優勢[有効・背負投]△アレクサンデル・ヴィークツェルツァク(ドイツ)

【決勝】

ヤキョー・イマモフ(ウズベキスタン)〇優勢[技有・内股]△アラン・シュミット(フランス)

■ 90kg級・ディアスまさかの大爆発、一気にワールドツアー初優勝飾る
【入賞者】 エントリー38名
1.DIAS, Celio(POR)
2.BUFFET, Romain(FRA)
3.GONZALEZ, Asley(CUB)
3.KOCHMAN, Li(ISR)
5.ODENTHAL, Marc(GER)
5.RANDL, Milan(SVK)
7.BOZBAYEV, Islam(KAZ)
7.NHABALI, Quedjau(UKR)

ノーシードのセリオ・ディアス(ポルトガル)が圧勝優勝。ディアスは2回戦でチェン・シュンジャオ(中国)の左一本背負投を返して裏投「一本」(1:50)、3回戦はミハエル・ツガンク(スロベニア)から右背負投「技有」を奪って優勢勝ち。リオ世界選手権王者のアスレイ・ゴンザレスとマッチアップした準々決勝ではディアスの右背負投をゴンザレスが脚を触って防御してしまい「足取り」のダイレクト反則負けが宣告されて勝負あり。この意外な勝利で勢いに乗ったディアスは準決勝で第4シードのマルク・オーデンタール(ドイツ)を一本背負投「一本」(1:58)に仕留め、決勝でもケンカ四つのロマン・ブフェ(フランス)を相手に片襟を差した左大外刈を決めて2分58秒「技有」奪取。このポイントで優勢勝ちを決め、見事優勝を果たすこととなった。ワールドツアーで表彰台に上がったことすらないディアスはもちろんこれが初優勝。

ディアスは、2013年リオ世界選手権で7位入賞、昨年のチェリャビンスク世界選手権では2回戦でベイカー茉秋を豪快な大外刈「一本」で下し、次戦でも王者イリアス・イリアディス(ギリシャ)と好試合を繰り広げた22歳。もちろんこの時点では次世代を担う有望株と目されていたが、以後は大会皆勤も早期敗退を繰り返し、グランプリ以上に限れば7大会出場して7位が1回、予選ラウンド敗退が6回、うち4回が「1コケ」という超低空飛行を繰り返して来た選手だ。受けが弱く、逆境に弱く、あきらめ早く我慢が利かないその戦いぶりは黒い肌と大きな体躯という押し出しとまったく釣り合わないもので、アスリートの基本的資質に欠けるのではと疑わざるを得ないほど。この先も期待薄というのが衆目の一致した評ではなかったかと思われるが、今回の活躍で再び世界選手権時の「嵌れば強い」というところに認識を戻さねばならないだろう。序盤戦の組み合わせの良さにゴンザレスが犯した「足取り」の反則と運に恵まれた部分はもちろんあるが、オーデンタール戦の勝利とブフェ戦で見せた強気のファイトは確かに優勝に値するもであった。もう一度「注目株」の箱に入れて以後を見守る必要があるかと思われる。

ゴンザレスは3位決定戦でミラン・ランドル(スロバキア)を右体落で捻り落とし「技有」奪取、そのまま袈裟固で抑え込んで一本勝ち。もう片側の3位決定戦はリ・コツマン(イスラエル)がオーデンタールを食って表彰台に上がることとなった。

【準決勝】

セリオ・ディアス(ポルトガル)〇一本背負投(1:58)△マルコ・オーデンタール(ドイツ)
ロマン・ブフェ(フランス)〇優勢[指導3]△ミラン・ランドル(スロバキア)

【決勝】

セリオ・ディアス(ポルトガル)〇優勢[技有・大外刈]△ロマン・ブフェ(フランス)

■ 100kg級・優勝は第3シードのダーウィッシュ、カイブラエフは初戦でアルメンテロスに屈す
【入賞者】 エントリー34名
1.DARWISH, Ramadan(EGY)
2.PETERS, Dimitri(GER)
3.BISULTANOV, Adlan(RUS)
3.BLOSHENKO, Artem(UKR)
5.KUMRIC, Zlatko(CRO)
5.PACEK, Martin(SWE)
7.CHERKASOV, Mykhailo(UKR)
7.SAYIDOV, Ramziddin(UZB)

第1シードから順にディミトリ・ピータース(ドイツ)、アドラン・ビスルタノフ(ロシア)、ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)、マーティン・パチェック(スウェーデン)、さらにBシード選手にラムズディン・サイドフ(ウズベキスタン)、チェリャビンスク世界選手権2位のホセ・アルメンテロス(キューバ)、ノーシードにも同世界選手権3位のイワン・レマレンコ(UAE)、そして今季好調のジョルジ・フォンセカ(イタリア)と中堅選手が集中参戦したなかなかのレベルのトーナメント。さらにロンドン五輪金メダリストの30歳タギル・カイブラエフ(ロシア)の復活参戦という大事件が重なり、大会序盤から目の離せない戦いが続いた。

カイブラエフは初戦(2回戦)で得意の背負投を徹底警戒してきたアルメンテロスの作戦を崩せず「指導2」対「指導3」の優勢で敗退。大会全体を通じた山場となったプールDの準々決勝ではダーウイッシュがサイドフを「指導3」対「指導4」で破り、結果ベスト4にはピータース、パチェック、ビスルタノフ、ダーウイッシュの4人が残った。

準決勝第1試合のピータース対パチェックの試合はパチェックの右内股を崩したピータースが腕挫脚固でその肘を極めて一本勝ち(4:16)。第1シードで対戦相手に恵まれたピータースはここまでアレハンドロ・サンマルティンカレラ(スペイン)を腕挫十字固「一本」(0:43)、3回戦でバボウカル・マーヌ(セネガル)を同じく腕挫十字固「一本」(0:52)、準々決勝でミハイロ・チェルカソフ(ウクライナ)を内股と縦四方固の合技「一本」(1:47)と全試合一本勝ち、うち3つが関節技による勝利と出色の出来。

第2試合はダーウィッシュがビスルタノフを相手に負った「有効」ビハインドを残り6秒で逆転、両襟の左内股「一本」で勝利して決勝進出を決めることとなった。

決勝はダーウイッシュが左体落を中心に攻めて度々崩し、「指導2」対「指導1」の反則累積差で勝利。ワールドツアー通算5度目、今季初のタイトルを獲得することとなった。組み合わせに恵まれて早い時間帯の「一本」を連発して勝ち上がったピータースに対して、準々決勝以降強敵と連戦して勝負勘を養ってきたダーウィッシュがディティールで上を行ったという一番だった。

3位決定戦第1位試合はビスルタノフがダークホースのズラトコ・クムリッチ(クロアチア)を「一本」で下して表彰台確保。もう片側の3位には敗者復活戦でサイドフ、3位決定戦でパチェックを立て続けに下したアルテオム・ブロシェンコ(ウクライナ)が入賞した。

カイブラエフに勝ったアルメンテロスは次戦でクムリッチに内股透「技有」で食われて予選ラウンド敗退。レマレンコは初戦で無印のヴァレンティン・ラドゥ(ルーマニア)に左払巻込「技有」、さらに袈裟固で抑え込まれて完敗を喫している。


【準決勝】

ディミトリ・ピータース(ドイツ)〇腕挫脚固(4:16)△マーティン・パチェック(スウェーデン)
ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)〇内股(4:54)△アドラン・ビスルタノフ(ロシア)

【決勝】

ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)〇優勢[指導2]△ディミトリ・ピータース(ドイツ)

■ 100kg超級・王子谷剛志しっかり優勝、準決勝は注目選手ボールを「一本」で捻じ伏せる
【入賞者】 エントリー26名
1.OJITANI, Takeshi(JPN)
2.GORDIIENKO, Oleksandr(UKR)
3.HEINLE, Sven(GER)
3.JABALLAH, Faicel(TUN)
5.BOR, Barna(HUN)
5.VOLKOV, Andrey(RUS)
7.BREITBARTH, Andre(GER)
7.CERAJ, Matjaz(SLO)

第1シードにファイセル・ヤバラー(チュニジア)、第2シードにワールドマスターズで準優勝したばかりのバルナ・ボール(ハンガリー)と中堅選手が揃ったトーナメントを、日本の王子谷剛志がしっかり優勝。

勝ち上がりのハイライトは準決勝のボール戦。地元期待の、そして絶対王者テディ・リネールが「注目している」と評していたパワーファイターのボールを3分42秒の右腰車「一本」で一蹴。決勝は右相四つのオレクサンドル・ゴルディエンコ(ウクライナ)を相手に横襟を高く握って圧力をかけ続け、3分52秒に3つ目の「指導」を獲得。以後残り27秒、残り8秒と2つの「指導」まで失ったもののなんとか試合をまとめて優勢勝ち、見事優勝というミッションを達成して見せた。

王子谷はここまで全試合一本勝ちも、決勝はやや受け過ぎた感あり。3分21秒には内股で侵入されてケンケンの揺さぶりを許し、残り30秒で2つの「指導」を受けてしまうなど、100点満点には僅かに届かなかったという印象。

ゴルディエンコはこの日2回戦でアブドゥロ・タングリエフ(ウズベキスタン)を谷落と横四方固の合技「一本」(4:54)、準々決勝では第4シードのアンドレ・ブライドバルト(ドイツ)を内股「一本」(0:30)と実力者2人に一本勝ちし、準決勝ではアンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)の負傷棄権により勝利を収めている。つまりは、運も味方につけて乗っているこの日の「ラッキーボーイ」であった。一発のある重量選手、それも失うもののない選手が乗っている際に撃ち合いは禁物であり、こういう面倒なバックグランドを背負った相手に対して万が一にも失敗しまいとの手堅い戦いで勝利を得たことはまさしく賞賛に値する。しかし、王子谷強し、と内外に印象づけるだけの爆発力を見せることは出来なかったのは残念。準決勝の勝利が素晴らしいインパクトを伴うものであっただけに、この点やや勿体なさの残る一番でもあった。

第1シードのヤバラーは準々決勝でヴォルコフを相手に浮落「技有」を奪われ敗退。敗者復活戦に勝ち、3位決定戦では相手のボールの棄権によって勝利を収め銅メダルは確保した。
5月のグランプリ・ザグレブで優勝し欧州選手権でも3位に入賞したイアキフ・カーモ(ウクライナ)は初戦でアスラン・カンビエフ(ロシア)を「有効」3つに横四方固「一本」と圧倒したが、次戦でスヴェン・ハインル(ドイツ)に大内刈「有効」で敗れた。

【準決勝】

オレクサンドル・ゴルディエンコ(ウクライナ)〇棄権(0:49)△アンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)
※負傷による

王子谷剛志〇腰車(3:42)△バルナ・ボール(ハンガリー)


【決勝】

王子谷剛志〇優勢[指導3]△オレクサンドル・ゴルディエンコ(ウクライナ)


[日本選手勝ち上がり]

王子谷剛志(旭化成)
成績:優勝

[2回戦]

王子谷剛志〇横四方固(3:18)△ムカマドムロッド・アブドゥラクモノフ(タジキスタン)

王子谷が右、アブドゥラクモノフが左組みのケンカ四つ。王子谷序盤から積極的に技を出すが両者に消極的との咎で「指導」。2分過ぎに「取り組まない」判断によりアブドゥラクモノフに2つ目の「指導」。その後手が詰まった相手から右体落で「有効」を奪い、そのまま横四方固「一本」。

[準々決勝]

王子谷剛志〇上四方固(4:41)△マティヤツ・セラジ(スロベニア)

ケンカ四つ。「指導1」対「指導3」でリードした最終盤に右内股「有効」を奪い、上四方固「一本」でフィニッシュ。時間は掛かってしまったが、あくまで一本勝ちを追求し、そして獲得した価値ある勝利。

[準々決勝]

王子谷剛志〇腰車(3:42)△バルナ・ボール(ハンガリー)

右相四つ。右払腰から、膝を畳に着いて右腰車の形で投げ切り「一本」。強敵ボールに見事一本勝ち。

[決勝]

王子谷剛志〇優勢[指導3]△オレクサンドル・ゴルディエンコ(ウクライナ)

右相四つ。釣り手で横襟を高く保って圧を掛け、3分52秒には場外の咎でゴルディエンコに3つの「指導」累積。以後やや受け過ぎて、残り8秒までに「指導」2つを失陥も大枠手堅く戦い切って優勝決定。

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