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グランプリ・ウランバートル男子各階級ひとこと展望

(2015年7月2日)

※ eJudoメルマガ版7月2日掲載記事より転載・編集しています。
男子各階級ひとこと展望
グランプリ・ウランバートル
グランプリ・ウランバートル大会は7月1日~4日の3日間、モンゴル・ウランバートルで開催される。アスタナ世界選手権まで2か月を切り、残されたワールドツアーは僅か2大会。シード権獲得を目指す選手にとってはこの上なく貴重な機会のはずだが、1週間前に欧州選手権という超ビッグイベントが終了したばかりということもあり、強豪の影は薄い。特にヨーロッパの1番手クラスの出場は皆無と言って良い状態だ。

今大会で注目すべきポイントは3点。

1つは、地元モンゴル勢の活躍。モンゴルは2週間前の東アジア大会に一軍を送り込まずに今大会に焦点を合わせて調整して来ており、特に男子は一線級メンバーを惜しみなく投入。ロンドン五輪以降すっかり世界の強豪国として定着、躍進続く地元モンゴルがエースメンバーをズラリと並べてエントリーさせることで今大会も「グランプリ」としてのレベルは辛うじて保たれたと言えよう。

2つ目は、ワールドツアーに選手を派遣することの少ない強国日本が12名の大量派遣を行っていること。女子はロンドン五輪王者の松本薫、男子も今季ツアーで優勝を飾っている阿部一二三に丸山剛毅らを投入しており、欧州勢の影が薄い今大会にあってはモンゴルと日本の東アジアの強国2つが大会のメインキャストを張ると理解して良いだろう。

3つ目は、ロシアがロンドン五輪金メダリスト3名を同時に送り込んでいること。73kg級にはなんとあのマンスール・イサエフが2014年2月のグランドスラム・パリ以来久々の国際大会出場を表明、今大会ともに出場する66kg級のアルセン・ガルスチャン、100kg級のタギル・カイブラエフに続いて衝撃的なワールドツアー復帰を果たすこととなった。いずれの階級も五輪以降若手が伸び悩んでいる階級であり、ロシアチームがリオ五輪を睨んでこれらベテランが「使えるか」どうかのテストの場を設けていることは間違いない。わけてもイサエフが今大会どのようなパフォーマンスを見せるか、これは目の離せないポイント。

以上を踏まえて、男子最注目階級は地元の英雄ハッシュバータル・ツァガンバータルとサインジャルガル・ニャムオチル、そしてミラグチャ・サンジャスレンのモンゴル勢3人がロンドン五輪銀メダリストのイサエフとチェリャビンスク世界選手権銀メダリストのホン・カクヒョン(北朝鮮)を迎え撃つ73kg級と規定したい。続いてグランドスラム東京を制した高校生阿部一二三がダバドルジ・ツムレクフルグとの再戦に挑む66kg級、ガンバット・ボルドバータルとダシュダヴァー・アマーツブシンの世界選手権金銀メダリストに実力者ガンボルド・ケーレンとモンゴルの「3本の矢」が同時出場する60kg級が面白い。

■ 60kg級(エントリー12名)
出場選手僅か12名。冒頭書いた通りガンバット・ボルドバータルとダシュダヴァー・アマーツブシン、ガンボルド・ケーレンが揃い踏み。モンゴル勢のみがやたらに豪華というトーナメントだ。僅かに対抗出来るのはチェリャビンスク世界選手権でダシュダヴァーを食った経験のあるソフィアン・ミルス(フランス)、事前評として表彰台に絡めるのはルドウィック・シャンマルタン(スイス)までは予想することは出来るが、他には全くと言って良いほど役者が見当たらない。リオ五輪代表が誰になるのか、モンゴル勢同士の豪華な「食い合い」が唯一最大のみどころ。

【プールA】
Aシード選手:ガンバット・ボルドバータル(モンゴル)

【プールB】
Aシード選手:ソフィアン・ミルス(フランス)
Bシード選手:ルドウィック・シャンマルタン(スイス)

【プールC】
Aシード選手:ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)

【プールD】
Aシード選手:ガンボルド・ケーレン(モンゴル)

■ 66kg級(エントリー13名)
アジア大会王者ダバドルジ・ツムルクフレグ(モンゴル)とグランドスラム東京王者阿部一二三の対決構図がトーナメントの軸。阿部は対戦必須と思われたダバドルジが早期敗退を喫したグランドスラム東京では表彰台の真ん中まで駆け上がり、一方直接対決を果たしたグランプリ・デュッセルドルフでは自身の得意技でもある「やぐら投げ」で「技有」を奪われて敗れて予選ラウンド敗退に終わっている。ダバドルジは右組みに滅法強く、かつ阿部の好む近接戦闘が大好物、しかも阿部がその生命線である奥襟を叩いた瞬間を狙って思い切り一撃を食わせてもいる。つまりは阿部にとっては不利な材料が揃っているわけだが、しかしこの試合、パワーと経験の差に怖じずにタイムアップまでひたすら大技を連発する阿部の戦いぶりをダバドルジは明らかに持て余してもいた。今回は如何なる様相となるかまことに楽しみ。両者の対戦の実現あるとすれば、それは決勝。見逃してはならない戦いだ。

ガルスチャンは66kg級に階級を挙げた今春以降映えない戦いを続けているが、それでも6月のグランドスラム・バクーでは3位に入賞しアジャストの気配を見せている。今大会の参加メンバーの質は高くなく、表彰台までの確保はまずまず確実。準決勝でダバドルジのパワーとスタミナ、機関車のような連続攻撃についていけるかどうかを注視しておきたい。

【プールA】
Aシード選手:ダバドルジ・ツムルクフレグ(モンゴル)

【プールB】
Aシード選手:マー・ドゥアンビン(中国)
Bシード選手:ジェレブ・アンドラッツ(スロベニア)
有力選手:アルセン・ガルスチャン(ロシア)

【プールC】
Aシード選手:ドフトン・アルタンスフ(モンゴル)
Bシード選手:バットセトセグ・バットゲレル(モンゴル)

【プールD】
Aシード選手:阿部一二三
Bシード選手:ベスハ・マグベラシビリ(グルジア)

■ 73kg級(エントリー19名)
役者揃った、今大会の最注目階級。第1シードにホン・カクヒョン(北朝鮮)、第2シードにはサインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)、第3シードがハッシュバータル・ツァガンバータル(モンゴル)、そしてハッシュバータルの山には復帰1戦目のマンスール・イサエフ(ロシア)が配された。

イサエフは初戦でエマニュエル・ナーティ(ガーナ)と対戦、次戦(準々決勝)でハッシュバータルと対戦する。膝の負傷ゆえ休養が長引いたとされるイサエフの出来は現時点ではまったく予想不可能。まずは試合を見てみるほかはない。

日本からは橋本壮市と土井健史の2人がエントリー。選抜体重別王者の橋本は初戦で2010年ワールドマスターズ66kg級2位のミラグチャ・サンジャスレンとの対戦があるが、この選手は先日の東アジア大会で土井と高校生の古賀颯人に連続一本負けを喫している。まずはここで良い勝ち方をして波に乗りたい。準々決勝で対戦予定のホンはベストパフォーマンスを見せた世界選手権では平時より体が大きく組み力だけで他を圧していた印象があったが、平常運転に戻った以降のワールドツアーでは参加選手の質が一段落ちるグランプリ青島での優勝があるくらいで良い出来の試合がほとんどない。ここはしっかり勝って「銀メダリスト越え」の成果を得ておきたいところ。

土井は2試合目でサインジャルガルに挑戦。国内では骨の太い試合を見せて玄人筋の評価の高い土井、サインジャルガルは強敵だが同時にこれは一気に国際級に躍り出る大チャンスでもある。攻めの遅いサインジャルガルに対して適切な距離を保ち、間合いの詰め際に土井が持ち前の一発を決めるというのは十分考えられるシナリオ。健闘に期待したい。

【プールA】
Aシード選手:ホン・カクヒョン(北朝鮮)
Bシード選手:橋本壮市
有力選手:ミラグチャ・サンジャスレン(モンゴル)

【プールB】
Aシード選手:ガンバータル・オドバヤル(モンゴル)
Bシード選手:イゴール・ヴァンドケー(ドイツ)

【プールC】
Aシード選手:サインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)
日本選手:土井健史

【プールD】
Aシード選手:ハッシュバータル・ツァガンバータル(モンゴル)
有力選手:マンスール・イサエフ(ロシア)

■ 81kg級(エントリー17名)
第1シードに配された「ミスター指導」ことアントワーヌ・ヴァロアフォルティエ(カナダ)と、対照的に技一撃の威力と切れ味で勝負する丸山剛毅がトーナメントの主役。率直に言って、競技成績に柔道の質、キャラクターまで考え合わせてこの2人以外に注目すべき選手がいないのがこの階級の様相。フォルティエと丸山の準決勝が今大会最大の山場だ。

丸山は2月のヨーロッパオープン・ローマで投げ技を決めまくって優勝、ヴァロアフォルティエにも大内刈「一本」で勝利しているが、5月のグランドスラム・バクーでは意外な受けの脆さを露呈し、ウサンジ・マーギアニ(ジョージア)に敗れて3位に終わっている。「海外勢にも技で勝負できる丸山」との評価を取り戻すべく、今大会はなんとしても優勝を勝ち取りたいところ。

【プールA】
Aシード選手:アントワーヌ・ヴァロアフォルティエ(カナダ)
シード選手:サイード・モラエイ(イラン)

【プールB】
Aシード選手:ニャムスレン・ダグワスレン(モンゴル)
Bシード選手:丸山剛毅

【プールC】
Aシード選手:オトゴンバータル・ウーガンバータル(モンゴル)
Bシード選手:ドミニク・レゼル(ドイツ)

【プールD】
Aシード選手:ロビン・パチェック(スウェーデン)
Bシード選手:アッティラ・ウングバリ(ハンガリー)

■ 90kg級(エントリー16名)
今大会の男子でもっとも、注目すべき要素の少ない階級。トーナメントの顔たる第1シードがヨアキム・ドゥファービ(スウェーデン)、第2シードがシリル・グロスクラウス(スイス)とともにワールドツアーの優勝歴がなく最高成績が3位という2人であるという一事を以て、トーナメントのレベルは推して知るべし。2010年欧州選手権優勝で一瞬輝いたマーカス・ナイマン(スウェーデン)の参加はあるもののこの選手も最近はすっかり敗者復活戦の常連として階級の序列の中に納まっており目を見張るような活躍を期待するのは少々無理があり、正直見るべきものの少ない階級。モンゴル勢に有力選手がいないという地元の強化事情がそのまま大会のレベルに跳ね返ったという恰好だ。参加選手にとってはビッグポイント獲得のチャンスだが、ファンにとっては少々切ないトーナメント。

【プールA】
Aシード選手:ヨアキム・ドゥファービ(スウェーデン)
有力選手:マーカス・ナイマン(スウェーデン)

【プールB】
Aシード選手:ラグワスレン・オトゴンバータル(モンゴル)

【プールC】
Aシード選手:シリル・グロスクラウス(スイス)

【プールD】
Aシード選手:アーロン・ヒルデブランド(ドイツ)

■ 100kg級(エントリー15名)
第1シードが巴投ファイターのマーティン・パチェック(スウェーデン)。グランプリ大会の看板を背負うには線が細すぎる選手であり、ここから推し量られる通りトーナメントの陣容は脆弱。しかしこの階級にはタギル・カイブラエフ(ロシア)の参戦という大きなトピックがある。

今年30歳になるカイブラエフはロンドン五輪後長期休養。昨年7月のグランプリ・ウランバートルで突如国際舞台に復帰すると、得意の担ぎ技を決めまくり圧倒的な強さで優勝。しかし8月のチェリャビンスク世界選手権で5位に終わると再びツアーから姿を消し、今年6月のグランプリ・ブタペストで復帰するも、初戦でチャリャビンスクの銀メダリストであるホセ・アルメンテロス(キューバ)に「指導3」の優勢で敗れている。休養、そして世界選手権直前の夏期シリーズで復帰というスケジュール自体は昨年と相似だが、バクー大会で見せた背負投にはあの起重機のような飛び込みの鋭さと追い足の強さは全く見られず、少なくとも昨年のウランバートル大会の出来には程遠い内容であった。果たしてこれは衰えなのか、調整不足なのか。今大会の出来で引かれる補助線で、あの試合の位置づけが明らかになるはずだ。

日本代表のウルフアロンはなんと初戦でこのカイブラエフにマッチアップ。ここに勝てばヤハド・マージョウブ(イラン)とマッチアップする準決勝までの勝ち上がりは濃厚、表彰台確保が見えてくる。健闘に期待。

【プールA】
Aシード選手:マーティン・パチェック(スウェーデン)

【プールB】
Aシード選手:ベンジャミン・フレッチャー(イギリス)

【プールC】
Aシード選手:ヤハド・マージョウブ(イラン)

【プールD】
Aシード選手:タギル・カイブラエフ(ロシア)
日本選手:ウルフアロン

■ 100kg超級(エントリー11名)
海外の強豪の参加は僅少。第1シードを張る22歳のユーリ・クラコベツキ(キルギスタン)は世界選手権で7位入賞を果たしている有望選手だがまだワールドツアーの優勝が1度もなく、つまりは彼が筆頭選手にランクされるという今大会のトーナメント全体のレベルも高くない。日本代表の西潟健太に課せられるミッションはどう考えても優勝のみだ。

圧倒的なパワーをテコに国内大会を勝ちまくっている西潟だが5月のアジア選手権では大ベテランのアブドゥロ・タングリエフ(ウズベキスタン)に敗退する失態を演じ、その力が海外で発揮されるかどうかの評価は保留状態。飛び道具的な存在であるタングリエフと異なり、ワールドツアーの序列内に収まる「普通」の選手ばかりが揃った今大会は言い訳なしにその力が測られる機会となる。合格ラインは優勝のみ、もし負ければその柔道が海外勢には通用しないとレッテルを貼られても文句が言えないという、対戦相手のレベルとは関係なしに非常にハードルの高い大会だ。初戦は世界ジュニア王者のウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)、準決勝はもと日大のバトトルガ・テムーレン(モンゴル)で、今季の両者の試合をウォッチする限りでは西潟が敗れる相手とは到底思えない。となれば敵はクラコベツキのみ。西潟らしさを十分発揮しての優勝に期待したい。

【プールA】
Aシード選手:ユーリ・クラコベツキ(キルギスタン)

【プールB】
Aシード選手:スヴェン・ハインル(ドイツ)

【プールC】
Aシード選手:バトトルガ・テムーレン(モンゴル)

【プールD】
Aシード選手:ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)
日本選手:西潟健太

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