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グランドスラム・バクー女子各階級レポート

(2015年5月19日)

※ eJudoメルマガ版5月19日掲載記事より転載・編集しています。
女子各階級レポート
グランドスラム・バクー
■ 48kg級・ウングレアヌが優勝、チェルノビスキはファンスニック破るも2位に留まる
【入賞者】 エントリー21名
1.UNGUREANU, Monica(ROU)
2.CSERNOVICZKI, Eva(HUN)
3.BRIGIDA, Nathalia(BRA)
3.VAN SNICK, Charline(BEL)
5.CLIMENCE, Aurore(FRA)
5.FIGUEROA, Julia(ESP)
7.MOSCATT, Valentina(ITA)
7.RISHONY, Shira(ISR)

第1シードのエヴァ・チェルノビスク(ルーマニア)と、グランプリ・デュッセルドルフで近藤亜美を横三角で「瞬殺」したシャーリン・ファンスニック(ベルギー)の階級を代表するパワーファイター2人による準決勝が今大会の山場。

この試合は予想通りの激戦。1分14秒にまずファンスニックが巴投「有効」を先制するが、2分10秒にチェルノビスキが右袖釣込腰で「有効」を取り返す。双方「有効」ひとつ、「指導」2つを得て本戦は終了となり、迎えたGS延長戦11秒に再びチェルノビスキの右袖釣込腰が炸裂。これが「有効」となって熱戦に幕、チェルノビスキが決勝へと駒を進めることとなった。

しかしチェルノビスキは表彰台の真ん中に立つことは叶わず。混戦ブロックをしっかり勝ち上がって来た第3シード選手モニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)との決勝は「指導2」ずつを得て迎えたGS延長戦24秒、圧を掛け合ったところからウングレアヌの支釣込足にチェルノビスキが大きくバランスを崩し「技有」。優勝はウングレアヌとなった。チェルノビスキは最高到達点の高さの一方で抱える安定感の欠如、メンタルの揺れという積年の課題をまたもや示した形の敗戦だった。

ファンスニックは3位決定戦を制して表彰台は確保。もう1人の3位には、準々決勝で第2シード選手ヴァレンティナ・モスカット(イタリア)を「腰絞め」で破ったナサリア・ブリヒダ(ブラジル)が入賞した。前週のザグレブ大会で素晴らしい出来で優勝したディアラ・ロクマンヘキム(トルコ)は初戦でオロール・クレメンス(フランス)に「指導1」対「指導3」の反則累積差で敗れた。

【3位決定戦】

ナサリア・ブリヒダ(ブラジル)○優勢[指導2]△ジュリア・フィゲロア(スペイン)
シャリーン・ファンスニック(ベルギー)○優勢[指導1]△オロール・クラモンス(フランス)

【決勝】

モニカ・ウングレアヌ(ルーマニア)○優勢[技有・支釣込足]△エバ・チェルノビスキ(ハンガリー)

■ 52kg級・キトゥまさかの一本負け、優勝はミランダ
【入賞者】 エントリー23名
1.MIRANDA, Erika(BRA)
2.CHITU, Andreea(ROU)
3.GNETO, Priscilla(FRA)
3.KRASNIQI, Distria(KOS)
5.RYZHOVA, Yulia(RUS)
5.SUNDBERG, Jaana(FIN)
7.COHEN, Gili(ISR)
7.KRAEH, Mareen(GER)

第1シードのアンドレア・キトゥ(ルーマニア)と第2シードのエリカ・ミランダ(ブラジル)が順当に決勝進出。キトゥは2回戦でハンナ・トロッター(オーストリア)を開始17秒の小外刈、準々決勝は今季好調のディストリア・クラニスキ(コソボ)を横四方固(1:41)、勝負どころと目された準決勝もプリシラ・ネト(フランス)を出足払(1:54)と全試合一本勝ちでの勝ち上がり。一方のミランダも2回戦でアンジェリカ・デルガド(アメリカ)を左釣込腰(3:35)、準々決勝ではユリア・リツォヴァ(ロシア)を袖車絞(2:28)と立ち上がりから2試合連続の一本勝ち。準決勝は前戦で第3シード選手のマリーン・ケリー(ドイツ)を破るなどこの日大健闘のヤーナ・スンドベルグ(フィンランド)をGS延長戦の左内股「技有」(GS0:25)で下し、充実の内容で決勝に進出。

チェリャビンスク世界選手権の銀メダリストと銅メダリストの対決となった決勝は意外な決着。「指導1」リードを得たキトゥが終盤に大内刈で突進、足がついて行かず自ら膝を屈したところにミランダがすかさず送襟絞。2分55秒「一本」で勝負が決し、ミランダの優勝が決まった。

ミランダはグランドスラム東京(中村美里と志々目愛に敗れて5位)以降、ワールドツアーにはこれが久々の出場。4月のパンナム選手権は順当に制していたが、その好調な調整ぶりが明らかとなった大会であった。

3位にはネトとクラニスキが入賞。ネトはノーシードからのスタートだったが、2戦目(2回戦)ではBシード選手のイルゼ・ヘイレン(ベルギー)を右袖釣込腰「一本」、準々決勝では第4シードのギリ・コーヘン(イスラエル)を袖釣込腰「有効」からの崩上四方固「一本」(3:30)としっかり実力を見せていた。クラニスキも2回戦でローラ・ゴメス(スペイン)を右内股「技有」で破るなど好調、両者の3位入賞は妥当な結果だった。

【3位決定戦】

ディストリア・クラスニキ(コソボ)○優勢[指導2]△ヤーナ・スンドベルグ(フィンランド)
プリシラ・ネト(フランス)○優勢[指導2]△ユリア・リツォヴァ(ロシア)


【決勝】

エリカ・ミランダ(ブラジル)○送襟絞(2:55)△アンドレア・キトゥ(ルーマニア)

■ 57kg級・カプリオリウが好調スミスデヴィス破って優勝、シウバは期待外れの出来で初戦敗退
【入賞者】 エントリー20名
1.CAPRIORIU, Corina(ROU)
2.SMYTHE DAVIS, Nekoda(GBR)
3.ROPER, Miryam(GER)
3.ZABLUDINA, Irina(RUS)
5.OHAI, Loredana(ROU)
5.WAECHTER, Viola(GER)
7.KAZENYUK, Tatiana(RUS)
7.ROGIC, Jovana(SRB)

優勝候補筆頭と目された13年リオ世界選手権王者ラファエラ・シウバ(ブラジル)が無名と言って良いノーシード選手タチアナ・カゼニュク(ロシア)に食われ、あっさり初戦敗退。ケンカ四つの相手に対して序盤に一足の素晴らしい左内股で「有効」を奪ったところまでは順調だったが、直後右釣腰であっさり一回転「技有」を失う。2分28秒には不用意に右一本背負投を食って2つ目の「技有」を失いあっという間に試合終了。敗者復活戦にすら残れず大会を終えることとなった。勝ったカゼニュクは直後のロレダナ・オハイ(ルーマニア)戦から2連敗で7位に終わり、シウバの負けには例えば「無名の大物新人のデビューに出くわした」というようなエクスキューズは得られず。

シウバらしいメンタルの弱さがハッキリ出た試合だった。釣腰による「技有」失陥は釣り手の袖を殺され、これを嫌がるがゆえに、直後現出したカゼニュクが上から釣り手で背中を持つという相手の力が100%出る形をひとまず受け入れてしまい、ならばと横抱きに接近したその瞬間に食った技。2つ目の「技有」失陥となった右一本背負投も、釣り手の袖を殺された形を嫌がるあまり、明らかに仕掛ける形ではない状況で「とりあえず」左内股に入ってしまい、その戻りに合わされたという、悪手の罰を食った格好の一撃だった。

かねてからその最高到達点の高さの一方でラテン系らしいメンタルの振れ幅の大きさが目だっていたシウバだが、2月のグランプリ・デュセルドルフでは隙のない試合振りで圧勝V。ついに一皮剥けたかと思われたが、あっさり「暗黒面」に陥ったこの日試合を見る限り、この評価は訂正されるべきだろう。投げるか投げられるかの大味な組み手で試合に入り、失点に焦り、時間が経てば経つほど雑さが増す。シウバの負けパターンの典型とも言える試合だった。少なくとも「ケンカ四つの時は釣り手で袖を殺しておけばOK」とライバル達に思わせたであろうこの試合の評価は、早めに払拭しておかねばならない。シウバの次戦は、対右組みの試合にどう入っていくかに注目。

優勝を飾ったのはベテランのコリナ・カプリオリウ(ルーマニア)。第3シードからスタートした今回の組み合わせ配置は決して楽なものではなかったが、2回戦でエレン・ルスヴォ(フランス)を右払腰「技有」、準々決勝はヨヴァナ・ロギッチ(セルビア)を腕挫十字固(1:36)、準決勝は前戦で第2シードのミリアム・ローパー(ドイツ)を破ったイリーナ・ザブルディナ(ロシア)を袖釣込腰「技有」と充実の内容で決勝進出。迎えた決勝は混戦ブロックを勝ち上がったネコダ・スミスデヴィス(イギリス)を左大腰で崩すとこれも腕挫十字固「一本」(1:35)で料理。4戦して3つの一本勝ちという好内容で優勝を飾った。大会皆勤のカプリオリウだが、今季は3月のグランプリ・トビリシ5位、同じく3月のグランプリ・サムスン3位、一週間前に行われたグランプリ・ザグレブ5位と振るわず。久々の好パフォーマンス、そして優勝劇だった。率直に言って、毎大会カプリオリウの低調を見せつけられていたファンの立場からすればその強さは意外な程であった。

2位のスミスデヴィスは前週のザグレブ大会優勝に続く大健闘。この日は組み合わせに恵まれた感もあったが、これで今季3度目のワールドツアー表彰台獲得。どうやら中堅クラスの強豪の仲間入りを果たしたと評して良いだろう。ディティールはまだまだ甘いが、敗れたカプリオリウ戦も怖じずに右内股を撃ち込むなど勝負度胸の良さも見せており、比較的多くの大会に選手を送り込む傾向のあるイギリスチームの傾向と考え合わせれば以後ワールドツアーで上位に絡む「役者」の1人となるところまでは確実かと思われる。

【3位決定戦】

イリーナ・ザブルディナ(ロシア)○優勢[有効・袖釣込腰]△ヴィオラ・ベヒター(ドイツ)
ミリアム・ローパー(ドイツ)○優勢△ロレダナ・オハイ(ルーマニア)

【決勝】

コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)○腕挫十字固(1:35)△ネコダ・スミス・デヴィス(イングランド)

■ 63kg級・役者揃ったサバイバルトーナメント、生き残ったのはウンターヴルツァハー
【入賞者】 エントリー28名
1.UNTERWURZACHER, Kathrin(AUT)
2.TRAJDOS, Martyna(GER)
3.SCHLESINGER, Alice(GBR)
3.VAN EMDEN, Anicka(NED)
5.OZDOBA, Agata(POL)
5.QUADROS, Ketleyn(BRA)
7.LABAZINA, Marta(RUS)
7.SILVA, Mariana(BRA)

アニカ・ファンエムデン(オランダ)、カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)、マルティナ・トラジドス(ドイツ)のAシード選手3名、そして今季の主役の一人アリス・シュレシンジャー(イギリス)が揃ってベスト4に進出するという鉄板展開のトーナメント。

優勝を飾ったのは第2シードのウンターヴルツァハー。2回戦でケンカ四つの津金恵を僅か54秒の裏投「一本」に仕留めると、準々決勝はベテランのケトレン・クアドロス(ブラジル)に「有効」2つを先制されながら小外刈「技有」、出足払「技有」と足技2発で逆転勝利。シュレンシンジャーとの準決勝は内股透「技有」で勝ち抜け、決勝は前戦でファンエムデンを大内刈と大外刈の合技「一本」で下して勝ち上がって来たトラジドスを出足払「一本」で仕留めて優勝を決めた。役者の揃った大会にあって4戦して3つの一本勝ちという出色の出来。

3位決定戦はファンエムデンがクアドロスを得意の袖釣込腰と崩袈裟固の合技「一本」、シュレシンジャーがアガタ・オズドバ(ポーランド)を左腰車「有効」で下してそれぞれ3位を確保した。第3シードのアンロール・ベラルは初戦でマルタ・ラバジナ(ロシア)に4つの「指導」を奪われて上位に絡むことは出来なかった。

日本の津金恵は前述の通り2回戦で敗退。ヨーロッパオープンローマに優勝しているとはいえ、昨年の講道館杯は初戦敗退で客観的にはそもそも欧州シリーズの選出根拠が薄弱、選抜体重別でも初戦敗退に終わっている中での今大会の派遣は明らかに「期待値」込みの飛び級選出のはず。潜在能力の高さは誰もが認めるところだが今回は結果で周囲を納得させるしかなかった状況だったはずで、非常に厳しい立場に置かれることになってしまった。津金にとっても、その最高到達点の高さを買った強化陣にとってもまことに残念な結果だった。

【3位決定戦】

アリス・シュレシンジャー(イングランド)○優勢[有効・腰車]△アガタ・オズドバ(ポーランド)
アニカ・ファンエムデン(オランダ)○合技[袖釣込腰・崩袈裟固]△ケトレン・クアドロス(ブラジル)

【決勝】

カトリン・ウンターヴルツァハー(オーストリア)○出足払(1:30)△マルティナ・トラジドス(ドイツ)

【日本選手勝ち上がり】

日本代表選手:津金恵(筑波大2年)
成績:2回戦敗退

[1回戦]
津金恵○内股(3:20)△アンナ・ベルンホルム(スウェーデン)

津金が右、ベルンホルム左組みのケンカ四つ。50秒に右払巻込「有効」獲得、そのまま袈裟固で抑え込むも取り逃し「技有」に留まる。「指導1」を追加した後の3分20秒、相手が奥襟を叩きに来るところに右内股を合わせ「一本」。

[2回戦]
津金恵△裏投(0:54)○カトリン・ウンターヴァルツハー(オーストリア)

右相四つ。右小内刈に入ったところを捉えられ、裏投「一本」。

■ 70kg級・コンウェイ大逆転「一本」で意外な優勝、久々登場のポリングは煮え切らない柔道で復帰戦飾れず
【入賞者】 エントリー22名
1.CONWAY, Sally(GBR)
2.POLLING, Kim(NED)
3.GAHIE, Marie Eve(FRA)
3.GRAF, Bernadette(AUT)
5.BOLDER, Linda(ISR)
5.PORTELA, Maria(BRA)
7.DIEDRICH, Szaundra(GER)
7.TIMO, Barbara(BRA)

トーナメント最大の話題はなんといってもキム・ポリング(オランダ)の参戦。13年、14年とワールドツアーで圧倒的な強さを見せて勝ちに勝ちまくり両年とも年間ランキングは1位。しかしリオ世界選手権は3位、チェリャビンスク世界選手権でも5位に沈んで肝心の世界選手権で王座奪取に失敗。以後出場した国際大会は昨年12月のグランドスラム東京のみで、その際はあたかも世界選手権のショック癒えぬかのように初戦でジブリス・エマヌ(フランス)に「有効」優勢で敗れている。以後欧州シリーズに姿を現さずにこおまで力を溜めて来たポリングの出来に世界の注目が集まる。

ポリングは2回戦でマリア・ベルナベウ(スペイン)に左袖釣込腰「技有」で勝利、準々決勝は今季絶好調のもと同僚リンダ・ボルダー(イスラエル)から右大内刈「技有」、左一本背負投「有効」と連取して勝利するなどまずまず順調。しかし準決勝では開始10秒で仕掛けた得意の左一本背負投をマリーイブ・ガヒエ(フランス)に谷落で振り返されて「有効」を失う。以後巴投「有効」、小内刈「一本」(1:14)とあっという間に取り返して勝利したものの、いささか不安定な試合振りで先行きに不安漂う。

迎えた決勝は、前週のザグレブ大会でも決勝まで進出し、「万年3位」の印象から抜け出しつつあるサリー・コンウェイ(イギリス)とマッチアップ。明らかにポリングが格上のこのカード、コンウェイの動きの良さに序盤やや手を焼くが1分10秒に相手が右大内刈を探った瞬間に素早く反応、支釣込足を押し込んで「有効」奪取。ここまではポリングのペースだったが以後裏投に送襟絞と決定的な場面で仕留め損ねることを続けてしまいかえって失速、逆にコンウェイは背負投崩れの右大外刈に巴投と取り味のある技を仕掛け続けて徐々に勢いを得る。そして明らかにポリングが疲労した残り10秒、コンウェイが奥襟を深く叩いて右大内刈。ポリング裏投で返そうとするが体がついていかずそのまま背中から畳に落ちて「一本」。劇的な逆転勝利でコンウェイの優勝が決まった。

決勝はツアーに出続けてハイコンデイションを維持しているコンウェイと、まだ試合勘戻らずアクションごとの疲労度が高いポリングのコンディションの差が出た印象。左右に良く足が動き「待て」の後も先んじて開始線に戻るコンウェイに対し、ポリングが攻め疲れの末に根負けしたという試合だった。

気になるのは、強気が売りのポリングが決勝で見せた躊躇と、終盤の意外な諦念。いまだ世界選手権奪取失敗のショックからから立ち直っていないのか、トーナメント序盤戦で「一本」を取り切れず準決勝ではポイントを失うというバタバタの展開の中で自信を失ったのか、それとも単にコンディションが整っていなのか。あるいは復帰戦である今大会をさほど重要視していないのか。おそらくは今大会をきっかけにツアーに復帰して世界選手権を目指すポリングが、どの段階で本調子に戻るのか。以後注目しておきたいポイント。

3位決定戦では第2シードのベルナデッテ・グラフ(オーストリア)がボルダーとのパワー対決を大内刈「一本」で制して銅メダル獲得。もう1つの3位決定戦では準決勝でポリングに激しく抵抗した世界カデ王者、18歳のマリーイブ・ガヒエがマリア・ポーテラ(ブラジル)を合技「一本」で下し、ワールドツアー初参加で見事表彰台に立つこととなった。

【3位決定戦】

ベルナデッテ・グラフ(オーストリア)○大内刈(3:01)△リンダ・ボルダー(イスラエル)
マリーイヴ・ガヒエ(フランス)○合技[背負投・崩袈裟固]△マリア・ポーテラ(ブラジル)

【決勝】

サリー・コンウェイ(イングランド)○大内刈(3:50)△キム・ポリング(オランダ)

■ 78kg級・緒方突如煮詰まり優勝逸す、フェルケルクは2敗で5位に沈む
【入賞者】 エントリー20名
1.STEENHUIS, Guusje(NED)
2.OGATA, Akari(JPN)
3.HARRISON, Kayla(USA)
3.POGORZELEC, Daria(POL)
5.THIELE, Kerstin(GER)
5.VERKERK, Marhinde(NED)
7.DMITRIEVA, Anastasiya(RUS)
7.TURKS, Victoriia(UKR)

第1シードのケイラ・ハリソン(アメリカ)が意外な敗退。準々決勝でケンカ四つのダリア・ポゴジャレッツ(ポーランド)を相手に開始50秒で「指導」を失うと突如ペースを乱し、場外際で谷落「有効」、さらに左一本背負投「有効」と連続失点、最後は崩袈裟固「一本」(4:00)と良いところのないままトーナメント脱落決定。以後も調子は上がらなかったが、敗者復活戦でディミトリエワ・アナスタシア(ロシア)を「指導1」優勢、3位決定戦でケルティン・ティール(ドイツ)を「指導2」対「指導1」の優勢で下して試合をまとめ、なんとか3位は確保した。突如低パフォーマンスに陥った今大会の出来が単にスポット的な不調なのか、それとも試合連続出場による疲労の蓄積なのか。2週間後のワールドマスターズに注目。

久々の試合出場で注目された第2シードのもと世界王者マルヒンデ・フェルケルク(オランダ)も振るわず。準々決勝で同国の後輩フッシェ・ステインハウス(オランダ)に対して「足取り」を犯しダイレクト反則負けという不覚を取り、3位決定戦でもポゴジャレッツに「指導1」の優勢で敗れて5位に沈んだ。ほぼ1年ぶりの大会出場であることと29歳という年齢に鑑み、以後も世界大会で表彰台に絡む存在でありえるかどうかの評価は次回に持ち越しというところ。

そんな中、決勝に進んだのはパリ世界選手権銀メダリストの緒方亜香里とステインハウスの2人。緒方は初戦から3試合を横四方固「一本」で勝ち上がり、準決勝では前戦でハリソンを食ったポゴジャレッツを大外刈と横四方固の合技で破るという充実の勝ち上がり。一方のステインハウスは初戦でジェンマ・ギボンス(イギリス)を「指導3」の優勢、準々決勝は前述の通りフェルケルクの反則負けで勝利を得、準決勝はティールを片手絞「一本」(2:34)で下しての決勝進出。

決勝は格上の緒方が左相四つのステインハウスに横変形で組み勝ち、相手の下がり際に左大外刈を合わせて強引に投げ切って50秒「有効」を先制。緒方の圧を剥がせないステインハウスには1分14秒に「極端な防御姿勢」での「指導」が与えられる。

ここまでは完全な緒方ペースだが、横変形で組み続ける緒方はなぜかほぼ組み勝ったその姿勢のまま、明らかに煮詰まり始める。焦りの表情を浮かべたまま右大内刈で自ら掛け潰れることを繰り返し、ほとんど攻撃してこない相手に流れを献上。精神的な主導権を得たステインハウスは2分52秒に意を決して反撃に出、左大内刈から左大外刈、さらに釣り手を放してガッチリ相手の腕を抱き込み外巻込へと連絡する。ここまでほとんど見るべき技のなかったステインハウスの大技に、精神的に追い詰められていた緒方はあっさりその侵入を許して転がり「技有」失陥。

それでもこの時点で残り時間は1分8秒。本来の力関係からすれば十分逆転可能な時間のはずだが、緒方はこれまでと戦い方を変えることなく、横変形から右大内刈、右大外刈と散発の大技を繰り返しては自ら潰れることの連続。残り25秒で2つ目の「指導」は得たものの攻撃ポイントの予感は薄く、そのままあっさりタイムアップ。ステインハウスが「技有」優勢で逆転勝ちを収め、ワールドツアー初優勝を飾ることとなった。緒方はハリソンが中途で潰れるという大チャンスを生かせず痛恨のタイトル奪取失敗。

決勝は、客観的にはまことに不可解な一番。「有効」ひとつ(それも不完全な体勢のまま無理やり投げ切るという、力の差が明らかな一撃だった)、「指導」ひとつをリードし、しかも力の差が出やすい相四つで、格下の相手に引き手、釣り手としっかり持って組み合っているというポジティブファクターが揃い切った状況でなぜあれほど焦り、勝手に煮詰まってしまうのか。ひょっとすると、もっとも戸惑ったのは初めてのツアー優勝が掛かるという緊張度マックスの場面で「何もしないうちに勝手に相手が潰れていく」という珍しい状況に放り込まれたステインハウスだったかもしれない。

かつて負傷した膝がやはり痛むのだろうか。ともかく「自滅」と評されて然るべき、一言で言って非常にまずい試合だった。

インサイドワークに難があるとされていた緒方、今回もその評を払拭出来ず。首脳陣には2位という結果よりも「メンタル負け」と称すべき決勝の失敗のほうが強く印象づけられた大会ではなかったろうか。78kg級における、日本チームの苦戦と迷走は続く。

【3位決定戦】

ケイラ・ハリソン(アメリカ)○優勢[指導2]△ケルティン・ティール(ドイツ)
ダリア・ポゴジャレッツ(ポーランド)○優勢[指導1]△マリンダ・フェルケルク(オランダ)

【決勝】

フッシェ・ステインハウス(オランダ)○優勢[技有・大外巻込]△緒方亜香里(日本)

【日本選手勝ち上がり】

日本代表選手:緒方亜香里(了徳寺学園職)
成績:2位

[1回戦]
緒方亜香里○横四方固(0:41)△マルタ・トルト メリーノ(スペイン)

緒方が左、トルトメリーノ右組みのケンカ四つ。相手が巴投で潰れたところを逃さず横四方固「一本」

[2回戦]
緒方亜香里○横四方固(3:38)△ナタリー・ポウエル(イギリス)

左相四つ。組み勝って相手の頭をロックすると嫌ったポウエルが自ら潰れる。そのまま横四方固で抑え込み一本勝ち。

[準々決勝]
緒方亜香里○横四方固(2:59)△アナスタシア・デミトリエワ(ロシア)

ケンカ四つ。終盤、デミトリエワが隅返に潰れ、かわした緒方が横四方固で抑え込む。

[準決勝]
緒方亜香里○合技[大外刈・横四方固](2:16)△ダリア・ポゴジャレッツ(ポーランド)

左相四つ。一方的な組み手を続けて形勢優位。左大外刈「技有」から横四方固に繋いで一本勝ち。

[決勝]
緒方亜香里△優勢[技有・払巻込]○フッシェ・ステインハウス(オランダ)

左相四つ。横変形で組み合い、50秒に強引に左大外刈を入れて「有効」獲得。1分14秒には「極端な防御姿勢」による「指導1」を得て順風満帆のはずだが、組み合い続ける緒方の様子がおかしい。自ら大内刈で膝を屈することを続けて流れを乱すと、意を決したステインハウスの連続技についていけず深々と払巻込を食って残り1分36秒で「技有」失陥。以後も戦い方を変えられずに終戦。

■ 78kg超級・クルブス今回も優勝ならず、第2シードのイアロムカが2度目のツアー制覇決める
【入賞者】 エントリー11名
1.IAROMKA, Svitlana(UKR)
2.PAKENYTE, Santa(LTU)
3.KAYA, Belkis Zehra(TUR)
3.KUELBS, Jasmin(GER)
5.CHIBISOVA, Ksenia(RUS)
5.NUNES, Rochele(BRA)
7.OZEN, Gulsah(TUR)
7.WEISS, Carolin(GER)

トーナメントの中に、これぞという強豪の参加はなし。ワールドツアーで2位が2回、そして3位が実に9回という第1シードのヤスミン・クルブス(ドイツ)についに優勝の機会訪れたかに思われたが、クルブスは勝負どころの脆さという弱点を如何なく発揮し、なんと初戦(準々決勝)で、これまでワールドツアーでの表彰台がなくコンチネンタルオープンですら優勝したことがないサンタ・パケニテ(ラトビア)に敗退してしまう。それも小外掛「技有」、内股返「一本」と立て続けに失うという完敗だった。クルブスは敗者復活戦以降の2戦を勝って3位は確保したが、なんとも勿体ない結果。

パケニテは準決勝で久々ツアー参加のブラジルの2番手ロチュレ・ヌネス(ブラジル)を下して決勝進出。

優勝したのは第2シードのスヴィタナ・イアロムカ(ウクライナ)。初戦(準々決勝)でベルキスゼラ・カヤ(トルコ)に大外刈と崩袈裟固の合技で一本勝ち(2:38)、準決勝は第3シードのクセニア・チビソワ(ロシア)に内股返「一本」(1:31)で勝利し、決勝ではパケニテと対戦。クルブスに劣らぬ大型選手のパケニテに対してイアロムカは短躯、しかも持ち技は自身を大型選手と規定した技ばかりで担ぎ技の装備なしと苦戦必至のカードだったが、「指導2」を取り合った後の終盤、パケニテの浮技を巧みに躱して袈裟固。最後までしっかり抑え切って一本勝ち(3:15)を果たし、14年10月のグランプリ・タシケント以来キャリア2度目のワールドツアー優勝を決めた。

3位には前述の通りクルブス、そしてベルキスゼラ・カヤが入賞。31歳のカヤは前週のザグレブ大会優勝に続く、嬉しい2週連続の表彰台となった。


【3位決定戦】

ヤスミン・クルブス(ドイツ)優勢[技有・払巻込]△クセニア・チビソワ(ロシア)

ゼラ・ベルキス・カヤ(トルコ)○合技[裏投・横四方固]△ロチュレ・ヌネス(ブラジル)


【決勝】

スヴィタナ・イアロムカ(ウクライナ)○袈裟固(3:15)△サンタ・パケニテ(リトアニア)

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