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グランドスラム・バクー男子各階級レポート

(2015年5月19日)

※ eJudoメルマガ版5月19日掲載記事より転載・編集しています。
男子各階級レポート
グランドスラム・バクー
■ 60kg級・ノーシードからイブラエフが優勝、モンゴル勢は未だ調子上がらず
【入賞者】 エントリー28名
1.IBRAYEV, Rustam(KAZ)
2.LIMARE, Vincent(FRA)
3.CHKHVIMIANI, Lukhumi(GEO)
3.ENGLMAIER, Tobias(GER)
5.DASHDAVAA, Amartuvshin(MGL)
5.PAPINASHVILI, Amiran(GEO)
7.GANBAT, Boldbaatar(MGL)
7.SAFAROV, Orkhan(AZE)

シード選手は全滅。事前のみどころとしては第1シードのガンバット・ボルドバータルと第4シードのダシュダヴァー・アマーツブシンの世界選手権金銀メダリストによるモンゴル勢対決が実現するであろう準決勝がその第一に挙げるべきかと思われていたが、なんと両者ともに準決勝に辿り着けず。ガンバットは3回戦(準々決勝)でノーシードのヴィンセント・リマール(フランス)に「指導2」対「指導3」で食われ、ダシュダバーも同じく3回戦でノーシード選手のルークミ・チュクヴィミアニ(ジョージア)に右大腰「技有」、左大腰「技有」と2度投げられて完敗。結局優勝候補のモンゴル勢同士の対決はなんと敗者復活戦で実現、この試合はダシュダヴァーが小外掛「一本」で勝利したが、ダシュダヴァーは続く3位決定戦では完全に格下のはずのトビアス・エングルマイエル(ドイツ)に「指導2」対「指導1」で敗れてしまう。結局ダシュダヴァーが5位、ガンバットが7位という映えない低空飛行で大会を終えた。出れども出れども成績を残せないモンゴル勢の低調、今大会も継続。

優勝したのはプールDにノーシード扱いで配された中堅常連選手ルスタン・イブラエフ(カザフスタン)。1回戦はルドヴィック・シャンマルタン(スイス)を浮落と後袈裟固の合技(3:57)、2回戦はルドウィグ・ペイシャー(オーストリア)を巴投と左内股巻込の合技(4:06)、勝負どころとなった第3シード選手オルカン・サファロフとの準々決勝は左相四つの相手と縺れたところから左への横落で抜け出し「有効」を獲得して優勢勝ち。準決勝はトビアス・エンゲルマイエル(ドイツ)の右小内刈を浮落で返し「技有」、そのまま横四方固に抑え込んで合技の一本勝ち(2:01)。

決勝は準々決勝でガンバットを破り、準決勝でチュクヴィミアニを左一本背負投「有効」で倒したリマールと対戦。2分2秒に体捌き良く浮技で「技有」を奪い、リマールの反撃を残り14秒に受けた「指導3」までで抑えて優勝決定。イブラエフは23歳、これまでのワールドツアー最高成績は3位が3回。昨年12月のグランドスラム東京3位、今年2月のグランプリ・デュッセルドルフ3位とビッグゲームで成績が残るようになって来た上昇カーブに乗って、うれしいIJF主催大会初優勝となった。

2位のリマールは22歳、特に昨秋から11月のグランプリ青島(1位)、グランドスラム東京(7位)、グランプリ・デュセルドルフ(7位)、グランプリ・ザグレブ(初戦敗退)と立て続けにワールドツアーに派遣されている。周知の通りフランスの60kg級は13年リオ世界選手権には選手を送らず、唯一世界と呼吸が出来ているソフィアン・ミルスの孤軍奮闘状態。リマールが五輪を狙う存在としてミルスを脅かす存在に成り得るか、以後の活躍に注目。

【準決勝】

ヴィンセント・リマール(フランス)○優勢[有効・一本背負投]△ルークミ・チュクヴィミアニ(ジョージア)
ルスタン・イブラエフ(カザフスタン)○合技[浮落・横四方固](2:01)△トビアス・エングルマイエル(ドイツ)

【3位決定戦】

トビアス・エングルマイエル(ドイツ)○優勢[指導2]△ダシュダヴァー・アマーツブシン(モンゴル)
ルークミ・チュクヴィミアニ(ジョージア)○棄権△アミラン・パピナシビリ(ジョージア)

【決勝】

ルスタン・イブラエフ(カザフスタン)○優勢[技有・浮技]△ヴィンセント・リマール(フランス)

■ 66kg級・混戦縫って地元のシカリザダが優勝
【入賞者】 エントリー27名
1.SHIKHALIZADA, Nijat(AZE)
2.OATES, Colin(GBR)
3.KORVAL, Loic(FRA)
3.URIARTE, Sugoi(ESP)
5.HEYDAROV, Hidayat(AZE)
5.JEREB, Andraz(SLO)
7.MARGVELASHVILI, Vazha(GEO)
7.SHMAILOV, Baruch(ISR)

第1シードと第2シードがそれぞれコリン・オーツ(イギリス)とゴラン・ポラック(イスラエル)というハイランクの所以を大会出場数の多さに拠るタイプの選手ということで、少々迫力に欠けるトーナメント。大ベテランのスゴイ・ウリアルテ(スペイン)やチョ・ガンヘン(韓国)の参戦、ダビド・ラローズとロイック・コーバルのフランスが送り込んだ強豪2人の出来など見どころが分散する中、優勝を飾ったのはノーシードスタートの地元選手ニジャット・シカリザダ(アゼルバイジャン)。

2013年リオ世界選手権銅メダリストのシカリザダは1回戦でガビット・イェシムベトフ(カザフスタン)を左一本背負投「一本」(3:39)、2回戦はキム・リマン(韓国)に「技有」を先制されながらも裏投「一本」(3:14)で逆転勝利、準々決勝は前戦でラローズに一本勝ちを果たしたヴァスハ・マルグヴェラシビリ(ジョージア)から左一本背負投「有効」、横落「技有」と連取して優勢勝ち、準決勝は2回戦でポラックに圧勝しているアンドラッツ・ジェレブ(スロベニア)に内股透と横四方固の合技で一本勝ち(5:00)。

決勝は第1シードのオーツと対戦。「指導2」対「指導1」でリードした終盤の4分19秒、小外刈から左払腰に繋いで鮮やかな「一本」奪取。地元アゼルバイジャンの観客の大歓声に応えて見事今季初優勝を決めた。5戦して4つの一本勝ちという堂々たる成績だった。

第2シードのポラックは前述の通り、初戦(2回戦)でジェレブに右内股「技有」から腕挫十字固「一本」と立て続けに食って今大会の試合時間僅か1分26秒でトーナメントから脱落。
コーバルは準々決勝でウリアルテを相手に先んじて攻め込むが組み手の反則を立て続けに犯すミスで「指導3」対「指導2」の反則累積差で敗退し本戦トーナメント脱落、敗者復活戦を勝ち上がってなんとか3位は確保。
30歳のウリアルテは準々決勝でコーバルに「指導3」対「指導2」でしぶとく競り勝って健在をアピール。準決勝ではオーツに「指導3」対「指導1」で敗れたが、3位決定戦は欧州カデ選手権連覇者の17歳ヒダヤト・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)と対戦、横四方固「一本」で勝利して貫禄を見せつけた。
チョ・ガンヘンは2回戦でバルチ・シマイロフ(イスラエル)に左内股「技有」で敗れた。

【準決勝】

コリン・オーツ(イングランド)○優勢[有効・隅返]△スゴイ・ウリアルテ(スペイン)
ニジャット・シカリザダ(アゼルバイジャン)○合技[内股透・横四方固](1:52)△アンドラッツ・ジェレブ(スロベニア)

【3位決定戦】

ロイック・コーバル(フランス)○合技[袖釣込腰・小外掛](3:39)△アンドラッツ・ジェレブ(スロベニア)

スゴイ・ウリアルテ(スペイン)○横四方固(2:43)△ヒダヤト・ヘイダロフ(アゼルバイジャン)

【決勝】

ニジャット・シカリザダ(アゼルバイジャン)○払腰(4:19)△コリン・オーツ(イングランド)

■ 73kg級・第1シードのオルジョフが好パフォーマンスで優勝、34歳のウングバリはまたもや表彰台確保で4度目の五輪出場に着々地固め
【入賞者】 エントリー40名
1.ORUJOV, Rustam(AZE)
2.SAINJARGAL, Nyam-Ochir(MGL)
3.OZDOEV, Zelimkhan(RUS)
3.UNGVARI, Miklos(HUN)
5.DREBOT, Serhiy(UKR)
5.WANDTKE, Igor(GER)
7.KHASHBAATAR, Tsagaanbaatar(MGL)
7.TATALASHVILI, Nugzari(GEO)

第1シードがルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)、第2シードにサインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)、第3シードにヌグザリ・タタラシビリ(グルジア)、第4シードにハッシュバータル・ツァガンバータル(モンゴル)といずれも強豪が配され、オルジョフの山には前週のザグレブ大会で優勝したばかりのロンドン五輪66kg級王者ラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)、ツァガンバータルの山にはミコロス・ウングバリ(ハンガリー)、サインジャルガルの山にはバン・ギーマン(韓国)が入るという中々に見どころの多いトーナメント。

優勝したのはオルジョフ。2回戦は初戦でキム・ジョジン(韓国)に一本勝ちしているアキル・ジャコヴァ(コソボ)から大内返「有効」、横落「有効」と奪った末に横四方固で一本勝ち(5:00)、3回戦はケンカ四つのフローラン・ウラニ(フランス)が腰を抱えて来たところを谷落「一本」に捉え、準々決勝はゼリムハン・オズドエフ(ロシア)を左一本背負投「技有」、左小外刈「一本」(2:37)と立て続けに投げつけ、準決勝ではウングバリを左大腰「技有」から横四方固に繋いで秒殺「一本」(0:35)。見事全試合一本勝ちで決勝に進出。

決勝はサインジャルガルとマッチアップ。相変わらず一発狙いでいま一つ攻めが遅いサインジャルガルに対して高い身長を生かしていなして、崩してと自在に試合を展開。「指導2」対「指導3」の僅差ながら危ない場面なく、手堅く勝利して優勝を決めた。オルジョフはグランプリトビリシ、グランプリサムスンに続いて今季3度目のワールドツアー制覇。

地元勢の優勝に大ベテランの表彰台入りとこの階級は66kg級と状況が相似。3位には34歳のウングバリが入賞を果たした。準々決勝ではツァガンバータルに「指導2」をリードされながら組み際に一本背負投のフェイントを入れた左小内刈で一本勝ち、3位決定戦ではサーヒィ・ドレボット(ウクライナ)を巴投「有効」、隅返に体を被せて「技有」、さらに焦った相手の内股を釣り手側にめくり返して「技有」とベテランらしい試合を展開してこれも一本勝ちを収めており、堂々たる内容での表彰台確保。これでランキングも12位にまで上昇し、4回目となる五輪出場がいよいよ視野に入ってきた。

サインジャルガルは久々決勝まで進んだが、対戦相手に恵まれた感もありまだまだ本調子とは呼べず。脇を差してジックリ一発を狙うが警戒した相手にいなされ、不発のまま「指導」を食らうという昨今の負けパターンにも打開の兆しなし。もはやサインジャルガルの戦い方と近接戦闘から繰り出す投げの恐ろしさは対戦相手に知れ渡っており、まともに勝負させてくれる選手はほとんどいない。その中でどう勝ち抜いて行くのかは以後この人の戦いを見守る上での最大注目ポイント。

このところ上昇気配だったツァガンバータルは前述の通りウングバリに敗退。そこまでの勝ち上がりもアリアクセイ・ラマンシク(ベラルーシ)に横落「有効」、マルセロ・コンティーニ(イタリア)に袖釣込腰「有効」と決して冴えたものではなく、敗者復活戦ではゼリムハン・オズドエフ(ロシア)に内股「技有」で敗退。7位に沈んだ。

台風の目はロシアの24歳、オズドエフ。3回戦では2週連続優勝を狙ったシャフダトゥアシビリを左小外刈「一本」(4:49)で破り、敗者復活戦では前述の通りツァガンバータルに勝利、3位決定戦でもイゴール・ヴァンドケー(ドイツ)の右小内刈を左出足払に切り返して鮮やかな一本勝ち(2:10)。見事3位に入賞を果たした。

第3シードのタタラシビリは準々決勝でヴァンドケーから左大外刈「有効」をリードしながら右一本背負投「一本」を食って逆転負け。敗者復活戦でもドレボットに隅返「技有」で敗れて良いところがなかった。
バン・ギーマンは初戦でアゼルバイジャンの無名選手エルビン・アマドリを相手に奥襟を叩いたところを腕を半ば極められながらの支釣込足に切り返され「有効」失陥、そのまま取り返せずに敗退した。

【準決勝】

ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)○合技[大腰・横四方固](0:35)△ミコロス・ウングバリ(ハンガリー)
サインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)○優勢[指導2]△イゴール・ヴァンドケー(ドイツ)

【3位決定戦】

ゼリムハン・オズドエフ(ロシア)○出足払(2:10)△イゴール・ヴァンドケー(ドイツ)
ミコロス・ウングバリ(ハンガリー)○合技[浮落・内股返](3:03)△サーヒィ・ドレボット(ウクライナ)

【決勝】

ルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)○優勢[指導3]△サインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)

■ 81kg級・混戦階級を21歳カルモルゼフが制す、丸山剛毅は3位に終わる
【入賞者】 エントリー42名
1.KHALMURZAEV, Khasan(RUS)
2.MARGIANI, Ushangi(GEO)
3.MARUYAMA, Goki(JPN)
3.RESSEL, Dominic(GER)
5.BODIRLAU, Cristian(ROU)
5.WIECZERZAK, Alexander(GER)
7.BLACH, Lukasz(POL)
7.NYAMSUREN, Dagvasuren(MGL)

42名とエントリー選手の数は多かったが、第1シードがトラヴィス・スティーブンス(アメリカ)、第2シードがウサンジ・マーギアニ(ジョージア)の中堅選手2人ということでわかる通り、本命なき混戦トーナメント。

優勝したのは昨年のグランプリ・ブタペストなどここまでワールドツアーで2度の優勝歴があるロシア期待の21歳、カサン・カルモルゼフ(ロシア)。2回戦でハエイドリアン・ナシメント・ロレンゾ(スペイン)を左内股で豪快に回し「技有」を獲得して優勢勝ち、3回戦はザンカト・ザカリヤエフ(カザフスタン)を相手に隅落「技有」を失うが序盤に挙げていた左内股「有効」が効き、左内股「技有」を獲得して再逆転勝利。準々決勝はアレクサンデル・ヴィークツェルツァク(ドイツ)に序盤内股透で「有効」を奪われるが、打点の高い右一本背負投で「有効」、さらに「指導2」と奪取して逆転勝ち。準決勝はクリスチャン・ボディラウ(ルーマニア)から右一本背負投「有効」による優勢勝ちで勝利して決勝進出決定。決勝は対戦相手のマーギアニが畳に現れず、不戦勝でキャリア3度目のワールドツアー制覇を決めた。

注目度の高かったプールAは大荒れ。第1シードのスティーブンスは初戦でレアンドロ・ギヘイロ(ブラジル)に「指導3」で敗退、これでようやく復活基調に乗るかと思われたギヘイロはしかし次戦で5位入賞のクリスチャン・ボディラウ(ルーマニア)に「指導2」優勢であっさり敗退。Bシードに入ったナシフ・エリアス(レバノン)も初戦でルーカス・ブラフ(ポーランド)に「指導2」で敗れた。

日本の丸山剛毅は3位。先行されては豪快な左内股で投げつけて逆転という丸山らしい戦い方で2戦に勝利したが、準々決勝のウサンジ・マーギアニ(ジョージア)戦は「技有」を取り合ったところで相手に腰を寄せられると、自身の腰を浮かせたまま上から小外掛に絡みついてしまう痛恨のミス。絡みついたまま持ち上げられて両足が畳から離れてしまった丸山をマーギアニが右内股に捉えて「技有」、合技「一本」で丸山の敗退が決まった。

丸山は敗者復活戦と3位決定戦を勝って当然のように表彰台には登ったが、参加したメンバーのレベルと丸山の実力を考えれば優勝に絡むことは十分可能だったはず。少々残念な大会だった。外野から見る分には、誰でも吹っ飛ばすことが可能な内股という大砲一発を持った丸山の、意外なまでの慎重さが気に掛かった。丸山の内股は「仕掛ければ飛ぶ」と言って良いだけの威力があると思うのだが、組み手にこだわる丸山は意外なまでに「行かない」。率直に言って自己評価が少々低いようにすら感じられた。予選ラウンド2戦でのビハインド体験により精神的なリズムを失ったのか、それとも組んでみたところで相手のパワーが自身の予想を超えており、「上から目線」の組み立てを失ったのか。いずれにせよ、実力を十分発揮したとは言い難い大会であった。

準決勝以降の結果と日本選手の勝ち上がり詳細は下記。

【準決勝】

カサン・カルモルゼフ(ロシア)○腕挫十字固(2:19)△ルーカス・ブラフ(ポーランド)
ウサンジ・マーギアニ(ジョージア)○優勢[技有・大腰]△ドミニク・レッセル(ドイツ)

【3位決定戦】

ドミニク・レッセル(ドイツ)○反則[指導4](3:26)△アレクサンデル・ヴィークツェルツァク(ドイツ)
丸山剛毅(日本)○優勢[技有・内股]△クリスチャン・ボディラウ(ルーマニア)

【決勝】

カサン・カルモルゼフ(ロシア)○棄権△ウサンジ・マーギアニ(ジョージア)

【日本選手勝ち上がり】

日本代表選手:丸山剛毅(パーク24)
成績:3位

[1回戦]
丸山剛毅○内股(2:57)△コンスタンティンス・オフチニコフス(ラトビア)

ケンカ四つ。「技有」ビハインドを左内股「一本」で逆転。

[2回戦]
丸山剛毅○合技[内股・内股](4:59)△ロビン・パチェック(スウェーデン)

ケンカ四つ。序盤に追い込みの左内股「技有」。終盤若干守りに入り「指導3」まで受けるが、終了間際に場外際で左内股を決めて2つ目の「技有」

[準々決勝]
丸山剛毅△合技[小外掛・内股](3:40)○ウサンジ・マーギアニ(ジョージア)

1分15秒に右小外掛で振り回され「技有」を失うが、直後の左内股「技有」で取り返す。「指導2」対「指導2」で迎えた3分40秒、相手に腰を寄せられると中途半端に小外掛を試みる痛恨のミス。右内股で切り返されて「技有」失陥、本戦トーナメントから脱落。

[敗者復活戦]
丸山剛毅○送襟絞(0:39)△ニャムスレン・ダグバスレン(モンゴル)

丸山左、ニャムスレン右組みのケンカ四つ。潰れた相手を「腰絞め」に捉えて一本勝ち。

[3位決定戦]
丸山剛毅○優勢[技有・内股]△クリスチャン・ボディラウ(ルーマニア)

左相四つ。39秒左内股「有効」、2分27秒左内股「有効」と連取。攻めっぱなしのまま「指導3」を得て迎えた4分23秒には左大内刈から内股に繋いで「技有」追加。そのまま試合終了。

■ 90kg級・ベイカー茉秋、隙を作らず「大人の柔道」で悠々優勝
【入賞者】 エントリー28名
1.BAKER, Mashu(JPN)
2.VAN T END, Noel(NED)
3.DVARBY, Joakim(SWE)
3.FACENTE, Walter(ITA)
5.HILDEBRAND, Aaron(GER)
5.KUKOLJ, Aleksandar(SRB)
7.ELMONT, Guillaume(NED)
7.JURECKA, Alexandr(CZE)

Bシードでスタートしたベイカー茉秋が悠々優勝。対決必至と目された同世代のライバルベカ・グヴィニアシビリ(ジョージア)が直前でエントリーを回避、第1シードがノエル・ファンテンド(オランダ)、第2シードが大ベテランのギョーム・エルモント(オランダ)という敵少なきトーナメントを全試合一本勝ち(1つの「指導4」勝ちを含む)で勝ち上がり決勝に進出。

決勝はこちらも2回戦でディルショド・チョリエフ(ウズベキスタン)を巴投「有効」に「指導4」まで積み上げて破るなどここまで全試合一本勝ちで勝ち上がって来たファンテンドと対戦。開始早々の11秒に片襟を差しながらの右大内刈で「有効」を奪うと、残り時間はこの日好調のファンテンドに万が一にも一発を食うことのないよう丁寧に試合を展開。組み手で主導権を握り、無理せず足技で崩してと良い意味で試合を「流して」時計の針を進め、双方に「指導」2つが累積したところで試合終了のブザーを聞く。危ない場面のないまま手堅く優勝を決めた。

決勝はベイカーの精神的成長を感じさせる試合だった。高校時代はパワフルな大技一発で勝ちに勝ちまくったベイカーだが、並み居る海外のパワーファイターに対しては、さすがにあの頃ほどのファンタジックな勝ち振りを発揮することは難しい。その中でこの日見せた通り、辛抱が必要な試合、万が一にも事故を起こしてはいけない試合を手堅く勝って来るというメンタリティを着実に身に着けていることは賞賛に値する。高校カテゴリで活躍した天才タイプがこういった壁にぶつかった場合、意外に簡単に出来不出来の激しい、俗にいう「ムラ気」のあるあきらめの早い選手に仕上がってしまう場合が多い。率直に言って、一頃のベイカーの中にはこの手のタイプに転がり落ちる因子も色濃く感じられたが、どうやらその心配は杞憂に終わりそうな気配。ベイカーがもともと軽量級出身で凌ぐ試合の経験値も豊富ということもあるだろうが、何よりここには所属の東海大による教育の成果を色濃く感じる。最終的にベイカーは大技一発で語られる選手ではなく、勝負どころを見極めて粘戦を勝ち抜くというかつてとはアイデンティティの違う選手としてビッグタイトルを手にするのではないか。そんな予感すら感じさせる、当たり前のように「我慢が利く」というベイカーのもう一つの非凡な資質を示した優勝劇だった。

【3位決定戦】

ワルター・ファチェンテ(イタリア)○合技[大外刈・横四方固](0:55)△アーロン・ヒルデブランド(ドイツ)

ヨアキム・ドファービ(スウェーデン)○巴投(4:51)△アレキサンダル・クコル(セルビア)VS


【決勝】

ベイカー茉秋(日本)○優勢[有効・大内刈]△ノエル・ファンテンド(オランダ)

【日本選手勝ち上がり】

日本代表選手:ベイカー茉秋(東海大3年)
成績:優勝

[1回戦]
ベイカー茉秋○反則[指導4](4:17)△アブデッラマネ・ベナマディ(アルジェリア)

右相四つ。警戒に警戒を重ねる相手をなかなか攻め切れなかったが3分5秒に相手の右払腰を隅落で返して「有効」、さらに右背負投で相手を逆側から抜け落として「技有」奪取。最後は4つ目の「指導」を得て勝利決定。

[2回戦]
ベイカー茉秋○背負投(4:10)△クーシェン・カルモルゼフ(ロシア)

右相四つ。低い右背負投で強引に投げ切り「技有」奪取。カルモルゼフはベイカーの頭を下げさせようと圧力ファイトを試みるが、組み手で制し返して低い片襟の左背負投「一本」。

[準々決勝]
ベイカー茉秋○合技[小外刈・横四方固](1:09)△アレキサンダー・クコル(セルビア)

ケンカ四つ。場外際で仕掛けた右小外刈で追い込み切り「技有」、そのまま横四方固で一本勝ち。

[準決勝]
ベイカー茉秋○小外刈(1:39)△ワルター・ファチェンテ(イタリア)

ケンカ四つ。釣り手で上から背中を持ってくる相手に脇を差して対応。1分39秒、下から入れた釣り手で高い位置を確保する優位な形を作り上げ、右小外掛「一本」。


[決勝]
ベイカー茉秋○優勢[有効・大内刈]△ノエル・ファンテンド(オランダ)

開始早々の片襟の右大内刈で「有効」奪取。以後は組み手の主導権を握り、リスク少なく戦い切って優勢勝ち。

■ 100kg級・羽賀龍之介は包囲網突破出来ず5位、優勝はガシモフ破ったビスルタノフ
【入賞者】 エントリー29名
1.BISULTANOV, Adlan(RUS)
2.GASIMOV, Elmar(AZE)
3.DARWISH, Ramadan(EGY)
3.FONSECA, Jorge(POR)
5.HAGA, Ryunosuke(JPN)
5.MAMMADOV, Elkhan(AZE)
7.GROL, Henk(NED)
7.PALTCHIK, Peter(ISR)

欧州シリーズを全勝で終えた日本の羽賀龍之介の出来がトーナメント最大の焦点。
順当に2試合を一本勝ちした羽賀は準々決勝で第2シードのもと世界選手権銀メダリストのヘンク・グロル(オランダ)と対戦。昨年のグランプリ・ブダペストではグロルが谷落「一本」で勝利し、今年2月のグランプリ・デュッセルドルフでは羽賀が鮮やかな内股「一本」で勝利しているという因縁カードだ。この試合は羽賀の内股を警戒したグロルがベテランらしい粘戦で羽賀に釣り手を与えず双方に「指導」2つずつが累積。しかし3分51秒主審は羽賀にのみ不可解な「指導」を宣告する。IJF中継班の実況者が「suprise shido!」とわざわざ言及する微妙過ぎる反則だったが、羽賀は残り9秒でついにグロルを捕まえ左内股「技有」で逆転に成功。そのまま抑え込んで合技の一本勝ち。

準決勝では前戦で第3シードのエルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)に勝利しているアドラン・ビスルタノフ(ロシア)と対戦。明らかに羽賀の内股を警戒して組みたがらないビスルタノフにはあっという間に2つの「指導」が累積、全く問題ない試合に思われたが2分30秒に事態は暗転。羽賀が左内股で跳ね上げると、明らかにこのチャンスを狙っていたビスルタノフは身を持ち上げられたまま釣り手側に体を捨てて内股返「技有」獲得。

以後のビスルタノフはなりふり構わずこのポイントを守りに出る。「待て」の度にひざまずき、柔道衣をはだけ、果ては寝転がって露骨な遅延行為で流れを切る。しかし3分56秒、完璧に相手を捕まえた羽賀が左内股。「一本」かと思われたが、相手が回り過ぎたこの一撃に対する主審の判定は意外にも「有効」。ビスタノフの攻防拒否と遅延行為はいよいよ加速、しかし主審は遅延行為に気を取られたのか、一切「指導」を取らず。「指導」6つはあったのではと思われるこの展開に対して、主審は残り8秒で言い訳程度に宣告した「指導3」までで試合を締める。羽賀は意外な敗退、直前まで息も絶え絶えの様子だったビスルタノフは突如復活し観客席に指を突き立てて大喜び。

失意の羽賀はラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)とマッチアップした3位決定戦も肩車「有効」による優勢で落とし、5位でフィニッシュ。残念な結果に終わった。

全ての対戦相手が羽賀を「格上」と規定して試合に入ってきたという難しさはあった。準々決勝、準決勝と判定に泣かされもした。不運な判定の後に迎えた3位決定戦が、懐が深く羽賀と取り口が合わない長身選手のダーウィッシュであったというめぐり合わせの悪さもあった。

しかし、世界選手権を前に高ポイントを奪取すべくこの大会に送り込まれた羽賀の使命とバックグランドを考えれば、5位というこの結果はやはりいただけない。全ての選手が羽賀の内股を防がんと、「釣り手を与えない」ことを大方針に戦って来る中、明らかに予想しえたこの方針1つに対して明確な突破口が見いだせなかったという、運不運に左右されないネガティブファクターも見逃してはならない。審判の判定まで含めた大枠で「欧州シリーズで勝ちまくった羽賀が、その結果敷かれた包囲網を突破仕切れなかった」と総括されて然るべき大会だった。

優勝を飾ったのはビスルタノフ。決勝ではここまで全試合一本勝ちで勝ち上がって来た第1シードのエルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)を「指導2」対「指導1」で凌いでワールドツアー3度目の優勝を飾った。ママドフ、羽賀、ガシモフと優勝候補3人を立て続けに破るという華々しい戦果を伴っての優勝だった。

3位にはダーウィッシュと、ホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)が入賞。フォンセカはママドフとの3位決定戦では袖釣込腰と背負投の担ぎ技、そして同じタイミングで担ぎながら仕掛ける大外落で攻めまくるというパワフルな柔道を披露し「指導1」の優勢勝ち、準決勝でもママドフを相手に一時は「技有」をリードする場面を作っており、この日は明らかに好調。柔道の作りはシンプルだが燃料尽きぬエンジンのふかしっぷりと鉈を振るうような左右への担ぎ技で、非常な存在感を発揮していた。

【準決勝】

アドラン・ビスルタノフ(ロシア)○優勢[技有・内股返]△羽賀龍之介(日本)
エルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)○袖釣込腰(4:48)△ホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)

【3位決定戦】

ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)○優勢[有効・肩車]△羽賀龍之介(日本)

ホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)○優勢[指導1]△エルカン・ママドフ(アゼルバイジャン)

【決勝】

アドラン・ビスルタノフ(ロシア)○優勢[有効・浮落]△エルマー・ガシモフ(アゼルバイジャン)

【日本選手勝ち上がり】

羽賀龍之介(旭化成)
成績:5位

[1回戦]
羽賀龍之介○崩上四方固(2:01)△ベンジャミン・フレッチャー(イングランド)

羽賀が左、フレッチャーが右組みのケンカ四つ。41秒羽賀が左内股で「技有」獲得。1分50秒、左内股で相手が四つん這いに倒れたところに食いつき、横三角で頭をロックしたまま所謂三角固に移行すると、「抑え込み」宣告の直後相手が「参った」。

[2回戦]
羽賀龍之介○内股(2:26)△ラファエル・ブザカリニ(ブラジル)

ケンカ四つ。組み手争いから抜け出して左内股「一本」

[3回戦]
羽賀龍之介○合技[内股・後袈裟固]△ヘンク・グロル(オランダ)

昨年一本負けし、2月のグランプリ・デュッセルドルフでは内股「一本」で下している世界選手権銀メダリストのグロルとマッチアップ。双方「指導2」で迎えた3分51秒羽賀にのみ不可解な「指導3」宣告。しかし残り8秒に大きく手を持ち替えながらついにグロルを捕まえ左内股「技有」獲得、そのまま抑え込んで合技の一本勝ち。


[準決勝]
羽賀龍之介△優勢[技有・内股返]○アドラン・ビスルタノフ(ロシア)

ケンカ四つ。羽賀を怖がり組み合わない相手に32秒、1分34秒と立て続けに「指導」。しかし2分30秒に入った左内股で相手を持ち上げたところをめくり返され「技有」失陥。「待て」の度に横たわり、柔道衣を直し、跪きと遅延行為を繰り返す相手を3分56秒に捕まえ左内股一閃「一本」かと思われたが回り過ぎて「有効」。以後もビスルタノフはあらゆる手を使って試合を送らせ、審判は「指導」を出さずに黙視。残り9秒で申し訳程度に「指導3」が宣告されるが、逆転には届かず試合終了。


[3位決定戦]
羽賀龍之介△優勢[有効・肩車]○ダルウィッシュ(エジプト)

左相四つ。開始早々にダーウィッシュが肩車。羽賀が潰しダーウィッシュは羽賀の手前で膝を屈するがドロップの力が強く回ってしまい「有効」。以後、羽賀は度々左内股を仕掛けるが懐の深いダーウィッシュが凌ぎ切り、残り5秒の「指導3」までで試合終了。

■ 100kg超級・ボールがメイヤーとの中堅選手対決を制す
【入賞者】 エントリー17名
1.BOR, Barna(HUN)
2.MEYER, Roy(NED)
3.MATIASHVILI, Levani(GEO)
3.VOLKOV, Andrey(RUS)
5.GORDIIENKO, Oleksandr(UKR)
5.KAMBIEV, Aslan(RUS)
7.MASHARIPOV, Elyor(UZB)
7.NATEA, Daniel(ROU)

第1シードのアダム・オクルアシビリと第2シードのレヴァニ・マテアシビリ、2人のジョージア勢がトーナメントを引っ張るかと思われたがともに決勝には進めず。昨年来の不調からいまだ抜けきれぬオクルアシビリは初戦でアスラン・カンビエフ(ロシア)に崩袈裟固「一本」(2:13)で敗れ、マティアシビリは準々決勝でこれもロシアのアンドレイ・ヴォルコフに「指導3」を奪われた末に内股返「有効」、袈裟固「一本」と立て続けに失って本戦トーナメントから脱落。

前週のザグレブ大会で優勝を果たした新鋭イアキフ・カモー(ウクライナ)も2回戦でマティアシビリに小外掛「有効」で敗れる中、決勝に進んだのはバルナ・ボール(ハンガリー)とロイ・メイヤー(オランダ)の2人。ザグレブ大会で優勝候補に挙げられながらともに敗れた両雄の対決は「指導」2つずつを取り合って延長戦に縺れ込む。そしてGS30秒、メイヤーが探りで入れた右大内刈にボールはいち早く反応して一段スピードを上げた左小外刈。これが鋭く決まり「有効」。このポイントでボールの優勝が決まった。

世界ジュニア王者のウルジバヤル・デューレンバヤルはメイヤーの直下に配され、左大内刈「一本」(0:33)で叩き落とされあえなく初戦敗退。復活ロードを歩むイスラム・エルシャハビ(エジプト)も2回戦でオレクサンドル・ゴルディエンコ(ウクライナ)に内股返「有効」、内股「一本」と2度投げられて初戦敗退に終わっている。

【準決勝】

バルナ・ボール(ハンガリー)○袈裟固(2:35)△アスラン・カンビエフ(ロシア)
ロイ・メイヤー(オランダ)○優勢[有効・背負投]△アンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)

【3位決定戦】

アンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)○横四方固(0:31)△オレクサンドル・ゴルディエンコ(ウクライナ)
レヴァニ・マティアシビリ(ジョージア)○合技[支釣込足・崩上四方固]△アスラン・カンビエフ(ロシア)

【決勝】

バルナ・ボール(ハンガリー)○GS有効・小外刈(GS0:30)△ロイ・メイヤー(オランダ)

※ eJudoメルマガ版5月19日掲載記事より転載・編集しています。

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