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勝負力の高さ衰えず、松本薫が競り合い制して優勝飾る・全日本選抜柔道体重別選手権57kg級レポート

(2015年5月12日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版5月12日掲載記事より転載・編集しています。
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勝負力の高さ衰えず、松本薫が競り合い制して優勝飾る
全日本選抜柔道体重別選手権57kg級レポート
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1回戦、松本薫が渡部優花に横四方固で一本勝ち

2012年ロンドン五輪王者松本薫(ベネシード)、2014年チェリャビンスク世界選手権の覇者宇高菜絵(コマツ)、そして2014年のアジア大会を制した山本杏(国士舘大3年)とワールドクラスの名前がズラリと並んだ激戦階級。

第1シードの松本は順当に決勝進出。1回戦は渡部優花(環太平洋大4年)を横四方固「一本」(1:54)で下し、準決勝は難敵玉置桃(三井住友海上)を相手に1分39秒に奪った「積極的攻撃に欠ける」咎の「指導」ひとつをテコに4分間を戦い切って勝ち抜け決定。

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準決勝、山本杏が宇高菜絵を攻める

逆側の山の準決勝では宇高と山本が激突。宇高は1回戦の出口クリスタ(山梨学院大2年)戦を「指導2」の優勢で勝ち抜け、山本は石川慈(コマツ)を相手に「指導1」を奪い合って迎えたGS延長戦13秒に背負投「有効」を奪って勝利して迎える大一番。

宇高が右、山本は左組みのケンカ四つ。宇高には50秒に片襟の「指導」、山本には2分13秒に偽装攻撃の「指導」が与えられてタイスコアで迎えた2分40秒、山本が鋭く左小内刈を入れて「有効」奪取。ビハインドを負った宇高は得意の右大外刈を軸に激しく追うが中途で組み手争いに嵌り、3分10秒宇高に「取り組まない」判断の「指導2」、続いて疲労した山本に偽装攻撃による「指導2」が宣せられて試合は決着。山本が「有効」優勢で勝利して決勝に名乗りを挙げることとなった。

敗れた宇高は昨年の世界選手権制覇でキャリアの頂点に駆け上ったが、負傷の影響もあって以降はグランドスラム東京7位にグランプリ・デュッセルドルフ初戦敗退と失速。連覇を狙う世界選手権出場に向け最後のチャンスとなったこの選抜体重別も落としてしまい、試合後は「進退も考えなければならない」と真摯にコメント。リオ五輪挑戦は微妙な状況となった。

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決勝、山本杏が右一本背負投。「一本」すら想起されたが大きく浮いた松本は膝から落ちてポイントを回避。

決勝は松本が右、山本が左組みのケンカ四つ。山本開始早々から左小内刈に左体落と鋭い技を連発してやる気十分、抗した松本の右内股も自身の左背負投に吸収して攻勢継続。反撃したい松本は引き手を争いながら右袖釣込腰を狙うが状況嵌らず効なし、続いて放った1分25秒の左一本背負投は山本が打点の高い右一本背負投に切り返す。この技に松本の体が大きく浮いて場内ポイントの予感に沸くが、松本辛くも腹這いに落ちて「待て」。山本は一貫して優位。

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残り1秒、松本が右小内刈でようやく反撃

最終盤の3分24秒、山本が松本の右小内刈を捌きながら強烈な出足払一撃。松本たまらず横転するがこれもギリギリで体を捻りポイントは回避。残り1秒、松本が片襟の右小内刈を引っ掛けて山本を転がしてようやく反撃に出たところで本戦4分が終了。山本優位のまま試合はGS延長戦へと縺れ込む。

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延長に入って突如ペースを上げた松本が右払巻込で山本を崩し、直後「指導」で試合は決着

しかし延長に入ると様相一変、明らかにギアを一段上げて松本が前進。まず左一本背負投、さらに前技フェイントを入れた右小外刈で山本を転がし、続く展開で奥襟をガッチリ得ると山本はたまらず座り込みの左背負投で攻防を切る。ここに至って松本がスタミナで勝ち始め、力関係が変化した印象。

山本本戦とは打って変わって攻防を切るための技が増え、前進を止めない松本は時計の針が進むごとに展開を得る印象。松本が左一本背負投、次いで右払巻込を放った直後のGS1分49秒、ついに山本に「指導」が宣告されて熱戦に幕。松本がGS延長戦「指導1」の僅差でこの試合を勝ち抜いて優勝を決めた。

準決勝、決勝ともに内容は「指導1」の辛勝。決勝はもし旗判定あれば本戦で敗退が決まっていたであろう不利を力づくで逆転しての勝利。相変わらず技術的な特徴づけが難しい松本の柔道であるが、その「強さ」自体がアイデンティとでも評するべき勝負力の高さを発揮しての優勝であった。
一発一発の技の重さと全方位性、組み手の上手さに寝技の強さ。それぞれの最高到達点の高さはその項を売りに「食っている」専門職の選手には及ばないが、いずれも高い位置で揃えた上で、そしてこれだけは誰にも負けない地力の高さと「勝負力」でこれらのファクターを統御する。意外性という尖った部分でラベルを貼ることが可能だった時代は過ぎ去り、現在の松本の柔道は総合力の高さ、そして以前からの売りであった勝負強さを橋頭堡に総括する「しかない」ステージに入ったと言える。

攻略しにくいと言えばこれほど攻略しにくい型の選手もいないわけだが、来年にリオ五輪を控える中で、技術的に尖った特徴のない、困った時に「これさえ決まれば」という寄る辺のない松本の柔道には不安もまた感じる。本能を前面に押し出してロンドン五輪を獲った松本も既に27歳。ひたひたと迫る海外勢に対して地力の優位を保ったまま五輪を戦い抜くことが出来るのか、若さをテコにした「意外性」という要素をひとつ削ぎ落した状態で勝ち抜けるのか、松本を松本たらしめる言語化しにくい「勝負力」は年齢を重ねても発揮し続けられるのか、その到達点は来年に至っても海外勢を寄せ付けないところまで高くあれるのか。昨年の世界選手権でその無敵ぶりにヒビを入れてしまい、ライバル達に与える恐怖感が一段下がった感もある松本。アスタナ世界選手権は五輪に向けて、シビアにその出来と現在位置が問われる大会だ。

敗れた山本は、しかし鋭い動きに閃くような足技と久々持ち味を発揮した1日。世界選手権は団体戦要員としての派遣が決まり、再び今後に展望が開けて来た。

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優勝の松本薫

【入賞者】

優 勝:松本薫(ベネシード)
準優勝:山本杏(国士舘大3年)

松本薫選手のコメント
「ギリギリ(笑)。決勝は昨年の1回戦負けが頭に残っていて消極的になっていましたが、GSになってからこれじゃダメだと頭を切り替えました。日本人選手は皆強いので、今日は本当に疲れました。いまある試合を勝っていかないと五輪はないので、足元、現実をしっかり見つめてやっていきたい。これからも応援よろしくお願いします」

【一回戦】

松本薫(ベネシード)○横四方固(1:54)△渡部優花(環太平洋大4年)
玉置桃(三井住友海上)○優勢[指導1]△芳田司(コマツ)
宇高菜絵(コマツ)○優勢[指導2]△出口クリスタ(山梨学院大2年)
山本杏(国士舘大3年)○GS有効・背負投(GS0:13)△石川慈(コマツ)

【準決勝】

松本薫○優勢[指導1]△玉置桃
山本杏○優勢[有効・小内刈]△宇高菜絵

【決勝】

松本薫○優勢[指導1]△山本杏

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