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貪欲さと手堅さ、高い完成度見せた海老沼匡が4度目の優勝飾る・全日本選抜柔道体重別選手権66kg級レポート

(2015年5月12日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版5月12日掲載記事より転載・編集しています。
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貪欲さと手堅さ、高い完成度見せた海老沼匡が4度目の優勝飾る
全日本選抜柔道体重別選手権66kg級レポート
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1回戦、竪山将が高上智史に先んじて攻撃「指導」2つを得る

グランドスラム東京で一敗地にまみれた第一人者海老沼匡(パーク24)の復権なるか、欧州シリーズ最重要大会のグランプリ・デュセルドルフを制して「権利」を得た高市賢悟(東海大4年)が今大会を勝ち抜いて再度の世界選手権出場に望みを繋ぐか、昨年アジア大会代表を務めた高上智史(旭化成)の再浮上はあるのか、そして高校2年生でグランドスラム東京を制した超新星・阿部一二三(神港学園神港高3年)が再度の大爆発なるか、とまことにテーマの多い注目階級。

その中から高上智史が一回戦で脱落。もと世界ジュニア王者の竪山将(鹿屋体育大4年)を相手に左背負投と左小内刈の先手攻撃を許し、元気のないまま2分56秒、4分3秒と2つの「指導」を失って優勢負け。一頃の雲を払うような覇気溢れる連続攻撃は見られず、下降ベクトルに抗う意外性のある技もアイデアもなし。あたかも負けを受け入れたかのような「順行運転」の末の敗戦だった。

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1回戦、海老沼匡が吉田惟人を袖釣込腰「一本」に仕留める

第1シードの海老沼は吉田惟人(神奈川県警)を相手に13秒背負投「有効」、1分40秒と2分58秒には「指導」奪取、そして3分34秒袖釣込腰「一本」と立て続けにポイントを奪って快勝、上々の滑り出し。

高市は西山祐貴(日体大3年)を相手に右の低い背負投を中心に攻めて1分59秒と3分54秒に「指導」を奪って順当に優勢勝ち。爆発力は見せられなかったが、西山の大物食い資質を万が一にも発揮させない、隙のない戦いぶり。

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阿部一二三と橋口祐葵の準決勝

そして阿部はもと世界ジュニア王者の橋口祐葵(明治大3年)と対戦。阿部という一般メディアにも大きく扱われるスターの出現によってホープの座を譲り渡した感のある橋口だが、この試合は激しく抵抗。1分15秒に「指導」を受けたものの、以降のペースは橋口が握り、釣り手で奥襟を叩いて右腰車、右一本背負投と大技を連発。阿部も持前の大技一発で形勢逆転を狙いたいところだが橋口の高い釣り手が良く効き、首を殺されてしまい動けず。しかし3分52秒、阿部が両袖の右袖釣込腰を放って反撃すると直後橋口にやや性急な「指導2」。そのまま試合は終了となり、阿部の「指導2」による優勢勝ちが決まった。

激戦を演じた橋口はがっくり肩を落とす。展開は拮抗、むしろ橋口優勢の時間が長く感じられた試合であったが、阿部が作ったシークエンスごとの「山場」の高低差、スポット的な優位が大きく結果を左右したという非常に微妙な一番であった。

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準決勝、海老沼が竪山から左一本背負投「有効」

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海老沼は左小内刈で「有効」を追加

準決勝第一試合は若武者・竪山が海老沼に挑戦。竪山果敢に右一本背負投などで攻めるが、海老沼は2分5秒に左一本背負投一閃、「有効」を奪ってあっさり先制。さらに直後の2分28秒には左小内巻込で「有効」を追加して快調に試合を展開。以後も左一本背負投、右袖釣込腰と止まることなく攻めて試合を進め、4分5秒に「指導1」を追加してフィニッシュ。この試合も快勝で順当に決勝へと勝ち進むこととなった。

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高市賢悟が阿部一二三を後袈裟固に抑え込み、阿部激しく抵抗するが「一本」

準決勝第二試合は高市と阿部による注目対決。右相四つのこの試合は高市が奥襟を叩いて阿部の頭を下げさせる強気のスタート、阿部は前に出つつジリジリ頭をこじり上げて応戦。高市は座り込みの右背負投に右小内刈、阿部は右大内刈に右大腰と攻め合ったが、意外にも試合は早々に決着。高市の右一本背負投を潰して背に着いた阿部が、相手の右側に身を置いたまま、自身の手を相手の体を越えて左脇下に差し込むという痛恨のミス。これを見逃す高市ではなく、定石通りにその腕を抱き込むと阿部の体を左に巻き込んで後袈裟固。阿部は場外に向かってエビ、さらに激しく上体を上下に揺らして抵抗するが、最初の形があまりにも悪く逃れること叶わず1分30秒主審は「一本」を宣告。高市、得意の寝技で若武者阿部を退け決勝進出を決めた。

敗れた阿部、「絞めに入れそうだと判断した」という直接敗因となった場面はともかく、この日はいったいに元気がなかった。大雑把に言って、さすがの大物も世界屈指の強さを誇る日本の66kg級を「狙われる」立場で獲るには至らなかったと総括すべき大会であったように思われる。アスタナ世界選手権代表の座とともに来年に控えるリオ五輪出場の可能性はこの時点でほぼなくなったが、阿部はまだ高校3年生。心技体存分に成長して、狙いを定めるべきは東京五輪。この敗退を受けてどのような戦いを見せてくれるのか、次戦を楽しみに待ちたい。

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決勝、最初の攻防で高市が肩固を決め掛けるが「待て」

昨年の世界選手権代表2人による決勝は海老沼が左、高市が右組みのケンカ四つ。昨年は高市が合技「一本」でアップセットを演じたカード。
開始早々に高市が巴投、被ってきた海老沼を得意の寝技に引きずり込む。高市背について釣り手で高く襟を握ったままめくり、肩固に捉えかけるが海老沼なんとか伏せて「待て」。

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海老沼が左内股から左腰車と大技を繋いで「有効」

海老沼が左内股に一本背負投崩れの左内巻込、高市がいずれもこらえながらチャンスを伺うという展開の中、1分45秒に海老沼が組みつきながらの左内股。高市体を浮かせながらもなんとか耐えるが海老沼は左腰車に繋ぐ強気の連続技で投げ切り「有効」奪取。海老沼は素早く横四方固に移行してこれで試合終了かと思われたが高市4秒で跳ね返して「解けた」の声を聞く。

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高市は腹を包んで縦四方固に抑え込むが、首が拘束できず海老沼反転して「待て」

奮起した高市の前進に海老沼が畳を割り2分50秒海老沼に「指導1」。海老沼は展開を押し戻そうと右袖釣込腰、さらにケンケンの左内股から左大腰とポイント奪取の場面と相似の組み立てで攻める。しかし高市は両者が頭をついて倒れ込むこの技の潰れ際に素早く反応、海老沼の腹を包む形で縦四方固に食いつく。昨年大会での高市が勝利した場面を想起させる決定的な状況だったが、海老沼必死に逃れ7秒で「解けた」が宣告される。

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最終盤、海老沼は左背負投で「技有」を積み上げる

残り25秒、ほとんどワンシークエンス丸々続いた引き手争いを引き取って海老沼に「取り組まない」判断の「指導2」が宣告されるが、熱戦いまだ収束せず。残り10秒、海老沼が高市の高い釣り手をあおりで突破するなり左背負投、これが見事に決まって「技有」。そのまま腕挫十字固に極め掛けたところで終了ブザーが鳴り響き、ようやく試合終了。現役世界王者の海老沼が4度目の選抜体重別制覇を決めた。

決勝は「投げ」をアイデンティティとする海老沼の真骨頂。同方向の大技を二つ繋いで「有効」を得た1分45秒の腰車も見事であったが、最終盤の「技有」奪取はさすがであった。既に勝利をほぼ決定づけている状況で、それも昨年敗れている高市という危険な相手に対してあくまで投げに行く貪欲さは尋常ではない。まさしく海老沼がここまで勝ち抜いてきた所以、王者のメンタリティと呼ぶべきだろう。投げを狙い続けることはリードしている立場としてはもっとも忌避すべき乱戦を呼び込む可能性もまた高いリスクのある行動のはずだが、その乱戦気配が収束仕掛けた一瞬を見逃さない潮目の見極めも勝負師・海老沼ならでは。3度世界を制してなおモチベーションを失わない、尽きぬ海老沼の燃料の埋蔵量の豊富さと質の高さを凝集したような決勝だった。

世界選手権を3度制し、世界大会に5年連続出場を続ける中で常にコンディションを保つのは容易ではない。その意味では、勝負どころにしっかり照準を合わせるピーキングの上手さを見せたとも評すことが可能。つまりはグランドスラム東京の敗戦をアクシデントの域に押し込める、価値ある勝利であったとも言える。

世界選手権代表には即日海老沼が決定、全日本選手権の後に行われた強化委員会では高市が「2枠目」代表としてアスタナ世界選手権に派遣されることも決まった。日本のお家芸となりつつある軽中量級、両者の卦健闘に期待したい。

入賞者と海老沼、阿部のコメント、全試合の結果は下記。

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優勝の海老沼匡

【入賞者】
優 勝:海老沼匡(パーク24)
準優勝:高市賢悟(東海大4年)

海老沼匡選手のコメント
「高市選手は強いです。挑戦者として思い切り戦いました。僕が勝つことによって喜んでくれる人、自分のために力を注いでくれる人がいるので、期待に応えようと一戦一戦必死に頑張りました。夢はオリンピックで金メダルを獲ることなので、これからもがんばります」

阿部一二三選手のコメント
「悔しいです。一回戦は自分の良いペースに持ち込めたけど、2回戦は組み手も持てず、不用意に寝技に入ってしまった。絞めに入れそうなチャンスで腕を突っ込んでしまってめくられてしまいました。寝技には気を付けていたのに、まだまだ自分が弱かった。リオまではまだ時間があるので、あきらめず一からやっていきたいです」

【一回戦】

海老沼匡(パーク24)○袖釣込腰(3:36)△吉田惟人(神奈川県警)
竪山将(鹿屋体育大4年)○優勢[指導2]△高上智史(旭化成)
高市賢悟(東海大4年)○優勢[指導2]△西山祐貴(日体大3年)
阿部一二三(神港学園神港高3年)○優勢[指導2]△橋口祐葵(明治大3年)

【準決勝】

海老沼匡○優勢[有効・背負投]△竪山将
高市賢悟○後袈裟固(1:30)△阿部一二三


【決勝】

海老沼匡○優勢[技有・背負投]△高市賢悟

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