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グランプリ・ザグレブ男子各階級レポート

(2015年5月8日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版5月8日掲載記事より転載・編集しています。
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男子各階級レポート
グランプリ・ザグレブ
■ 60kg級・優勝はダフチャン、ガンボルド・ケーレンは3位に踏みとどまる
【入賞者】 エントリー33名
1.DAVTYAN, Hovhannes(ARM)
2.ENGLMAIER, Tobias(GER)
3.GANBOLD, Kherlen(MGL)
3.GARRIGOS, Francisco(ESP)
5.CARVALHO, Nuno(POR)
5.PELIM, Phelipe(BRA)
7.KABA, Ahmet Sahin(TUR)
7.KULIKOV, Dmitriy(RUS)

優勝は第4シードのベテラン、ホヴァネス・ダフチャン(アルメニア)。相手の欠場で3回戦から登場し、ヤニスラフ・ゲルチェフ(ブルガリア)を右小外掛「技有」による優勢、準々決勝ではデミトリー・クリコフ(ロシア)を縦四方固「一本」(4:59)、そして最大の山場となった準決勝では第1シードのガンボルド・ケーレンを左内股「技有」による優勢で下して決勝進出。決勝では長身を生かしてトビアス・エングルマイエル(ドイツ)の背中を持って優位を作り続け、左大外刈「技有」から縦四方固に抑え込んで合技「一本」(2:39)。全ての試合で投技を決める素晴らしい出来で優勝を決めた。

母国モンゴルの代表争いに割って入るべく優勝が必須と思われたガンボルドはミッション達成ならず。2月のグランプリ・デュッセルドルフで第一人者のガンバット・ボルドバータルを破ったフランシスコ・ガリーゴスに準々決勝で勝利するなどあと一歩というところだったが、準決勝はダフチャンの技を捌き切れなかった。3位決定戦を勝ってなんとか表彰台に踏みとどまったが、代表2人に抗するのは少々厳しい情勢だ。

2014年世界ジュニア王者のガリーゴスは上四方固、左背負投と一本勝ち連発で順当に勝ち上がったが前述の通り準々決勝でガンボルドに隅落「有効」で敗退。しかし敗者復活戦ではデミトリー・クリコフを腕緘「一本」(2:18)、3位決定戦ではヌノ・カルヴァーリョ(スペイン)から左小内巻込と袖釣込腰で2つの「有効」を奪うなど他試合は圧勝。今大会で対戦した主役級選手はガンボルドだけで強敵は少なかったが確実にその勝ちぶりは良くなってきており、やはり以後も注目しておきたい選手。

【3位決定戦】

フランシスコ・ガリーゴス(スペイン)○優勢[技有・袖釣込腰]△ヌノ・カルヴァーリョ(ポルトガル)
ガンボルド・ケーレン(モンゴル)○優勢[指導3]△フェリペ・ペリム(ブラジル)

【決勝】

ホヴァネス・ダフチャン(アルメニア)○合技[大外刈・崩袈裟固](2:39)△トビアス・エングルマイエル(ドイツ)

■ 66kg級・ザンタライアが圧勝V、「1コケ」のガルスチャンと明暗分ける
【入賞者】 エントリー39名
1.ZANTARAIA, Georgii(UKR)
2.SEIDL, Sebastian(GER)
3.POLLACK, Golan(ISR)
3.SANDAL, Sinan(TUR)
5.BURNS, Nathon(GBR)
5.SHMAILOV, Baruch(ISR)
7.GHAZARYAN, Arsen(ARM)
7.TATARASHVILI, Tornike(GEO)

もと60kg級世界王者、66kg級でも13年、14年と世界選手権で2大会連続銅メダルを獲得しているゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)が圧勝V。2回戦はラスラズロ・ショーク(ルーマニア)を片手絞「一本」(2:18)、3回戦はジュニア・デゲン(オランダ)を「指導4」の反則で下し、準々決勝はトルニケ・タタラシビリ(グルジア)を左内股と横四方固の合技「一本」(4:20)、そして今大会最大の山場と思われた準決勝は第4シードのゴラン・ポラック(イスラエル)を左への「やぐら投げ」で叩き付けて見事な一本勝ち(2:31)。決勝はセバスティアン・ザイドル(ドイツ)をこれぞザンタライアという身体能力を見せつける小外掛で放り投げて「技有」、そのまま横四方固に抑え込み合技「一本」(1:37)で悠々優勝を決めた。

ザンタライアは全試合一本勝ちの圧勝で、66kg級転向以来2度目のワールドツア―制覇(2013年グランプリ・サムスン以来)。対戦相手は「勝って当然」の選手ばかりで苦戦の可能性があるのはポラックくらいであったが、それにしても見事な出来であった。66kg級転向から3年目、リオ五輪を来年に控えていよいよ戦い方が定まって来たという印象だ。

対照的に、66kg級に階級を上げてこれが初のワールドツアー(グランプリ以上)参加となるロンドン五輪60kg級金メダリストのアルセン・ガルスチャン(ロシア)は惨敗。初戦でケンカ四つのジュニア・デゲン(オランダ)を相手に何も出来ないまま攻めまくられ大内刈「有効」で敗れた。デゲンはワールドツアーの最高成績が7位1回という若手で、いかに不慣れとはいえこの結果と内容はいただけない。階級変更の本気度が疑われる、あまりの出来の悪さであった。


【3位決定戦】

シナン・サンダル(トルコ)○優勢[技有・一本背負投]△バーンス・ネイソン(イングランド)
ゴラン・ポラック(イスラエル)○優勢[有効・肩車]△バルチ・シマイロフ(イスラエル)

【決勝】

ゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)○合技[小外掛・横四方固](1:37)△セバスティアン・ザイドル(ドイツ)

■ 73kg級・シャフダトゥアシビリついにツアー初優勝、好調ツァガンバータルを破る
【入賞者】 エントリー46名
1.SHAVDATUASHVILI, Lasha(GEO)
2.KHASHBAATAR, Tsagaanbaatar(MGL)
3.DUPRAT, Pierre(FRA)
3.MUKI, Sagi(ISR)
5.CHOUCHI, Sami(BEL)
5.ELMONT, Dex(NED)
7.DREBOT, Serhiy(UKR)
7.KHOMULA, Artem(UKR)

シード選手は順にデックス・エルモント(オランダ)、セージ・ムキ(イスラエル)、ヴィクター・スクボトフ(UAE)、ロク・ドラクシック(スロベニア)。いずれもワールドツアーではおなじみの上位常連メンバーだが、この4人はいずれも決勝に進めず。

ファイナリストとなったのはハッシュバータル・ツァガンバータル(モンゴル)とラシャ・シャフダトゥアシビリ(ジョージア)のもと66kg級世界王者2人。

ツァガンバータルは2回戦でネボウサ・ガルダセヴィッチ(モンテネグロ)を左内股と横四方固の合技(2:04)で破り、3回戦はトミー・マシアス(スウェーデン)に「有効」をリードされたが支釣込足「技有」に裏投「一本」(2:50)と立て続けに奪って逆転勝利。準々決勝は前戦でドラクシックを食ったサミュ・シュシ(ベルギー)から右襟を握った左背負投で2つの「技有」を得て快勝(1:41)、準決勝はエルモントを「指導3」対「指導2」で凌いで決勝進出決定。

一方のシャフダトゥアシビリは1回戦でイグリ・ラモササイ(アルバニア)を支釣込足「一本」(1:56)、2回戦はサム・ファンヴェステンド(オランダ)を小外掛「一本」(1:36)、勝負どころの3回戦はケンカ四つのスクボトフの後に回り込んで右小外掛「有効」を奪って優勢勝ち。準々決勝はダークホースのアルテム・コムーラ(ウクライナ)に格の違いを見せつけあっという間の右大外刈「一本」(1:24)、準決勝は前戦でムキを裏投「一本」で破っているピエール・デュプラ(フランス)を右大内刈「一本」(3:05)で下して決勝進出を決めた。

2009年ロッテルダム世界選手権66kg級王者のツァガンバータル、2012年ロンドン五輪66kg級金メダリストのシャフダトゥアシビリと、ともに階級変更前に世界を制した経験を持つ両雄による決勝は、脇を差して前進するツァガンバータルをシャフダトゥアシビリが奥襟を持っての右大内刈に「やぐら投げ」で真っ向から迎え撃つという目の離せない展開。3分12秒、シャフダトゥアシビリは脇を差してきたツァガンバータルの左腕を右釣り手で外側からロック、引き手をかち上げながらケンケンの右大内刈で投げ切り「技有」奪取。後のなくなったツァガンバータルはもはや左腕で脇を差しっぱなしで逆転の一発を狙うが、残り38秒で打った右大外刈を待ち構えたシャフダトゥアシビリは右脚を高く揚げながら裏投で放り投げ「技有」獲得。合技「一本」でシャフダトゥアシビリが優勝を決めた。

73kg級転向後1年間ほとんど成績が残せず、昨夏あたりからなんとか表彰台に顔を出すようになっていたシャフダトゥアシビリはこれでついにワールドツアー(グランプリ以上)初優勝。隅返一発で無印から五輪を制した直後は「二度とない」と評され、73kg級転向後も常に厳しい評価にさらされてきた選手だが、来年に控えるリオ五輪に向けて確実に力を付けて来たという印象だ。なんのかんので相手が警戒する隅返の残像を使うことで試合を組み立てていた2014年シーズンとは戦い方も全く変わり、いかにもジョージア(旧グルジア)らしいトータルファイターへと変貌を遂げて来ている。今後が非常に楽しみだ。

ツァガンバータルは久々のタイトル奪取を逃したが、この日のパフォーマンスは素晴らしかった。シャフダトゥアシビリを相手に演じた撃ち合いは全盛期を思わせるもので、この決勝は今大会随一の好試合と評すべき面白い一番であった。ここ2年程好調を作り上げては大会に皆勤するうちに疲労し、結果的にパフォーマンスを落とすというサイクルを繰り返している印象だが、今年はどのようなスケジュールでピークを作り上げるのか。以後も継続して注目したい選手。


【3位決定戦】

ピエール・ドュプラ(フランス)○腕挫十字固(0:44)△サミ・シュシ(ベルギー)
セージ・ムキ(イスラエル)○腕挫十字固(4:12)△デックス・エルモント(オランダ)


【決勝】

ラシャ・シャフダトゥーァシビリ(ジョージア)○合技[大内刈・裏投](4:33)△ハッシュバータル・ツァガンバータル(モンゴル)

■ 81kg級・大荒れ階級はハンガリー勢同士の決勝に終着
【入賞者】 エントリー52名
1.KRIZSAN, Szabolcs(HUN)
2.CSOKNYAI, Laszlo(HUN)
3.DE WIT, Frank(NED)
3.KHALMURZAEV, Khasan(RUS)
5.CIANO, Antonio(ITA)
5.REKHVIASHVILI, Zebeda(GEO)
7.BOTTIEAU, Joachim(BEL)
7.MARESCH, Sven(GER)

中堅層の人材厚い81kg級。常に安定して成績を残す第1シード選手アントワーヌ・ヴァロアフォルティエ(カナダ)はともかくとして、第2シードのトラヴィス・スティーブンス(アメリカ)、第3シードのスヴェン・マレシュ(ドイツ)、第4シードのヨアキム・ボットー(ドイツ)らの力は必ずしも絶対ではない。そんな81kg級の混戦状態を示すがごとく、Aシード選手4人から準決勝に残った選手は皆無。第1シードのフォルティエは初戦でもとブラジル籍の怪人ナシフ・エリアス(レバノン)に「指導2」で敗退し、第2シードのスティーブンスもこれまた初戦で13年世界カデ3位で今年からシニアの国際大会に参加している新人フランク・デビド(オランダ)に「指導3」の優勢で敗退。

混戦を縫って決勝に進んだのはラズロ・チョクナイとサボールチュ・クリザンのハンガリー勢2人。

27歳のチョクナイは1回戦でエンセンコ・セティック(セルビア)を大外刈「有効」、2回戦はオトコンバータル・ウーガンバータル(モンゴル)に「指導」3つを失いながらも小内巻込「技有」を奪って優勢勝ち、3回戦はエイドリアン・ナシメントロレンゾ(スペイン)から裏投「有効」による優勢、そして勝負どころの準々決勝はシード選手のボットーからGS延長戦の末に右外巻込「有効」(GS0:26)を奪って勝ち残り、準決勝はアントニオ・チャノ(イタリア)をGS延長戦「指導2」(GS1:34)で退けて決勝進出。

一方、25歳のクリザンは2回戦のディオゴ・リマ(ポルトガル)戦から登場。片襟の右背負投で「有効」「技有」と連取すると相手が負傷で棄権、意外な形で初戦を勝ち上がる。3回戦はヴィタリー・デュドチュク(ウクライナ)を小内巻込と横四方固の合技(3:25)で勝利し、準々決勝のマレシュ戦は引き手で脇を差しての浮落で「技有」を奪って優勢勝ち。準決勝のカサン・カルモルゼフ戦は「技有」ビハインドの大ピンチだったが、自身の袖釣込腰に相手が思わず足を取り反則負け(4:27)。またもや意外な形で勝利を決めて決勝へと駒を進めることとなった。

決勝はチョクナイ、クリザンともに右相四つ。互いに相手を良く知るこの対決は決定的な場面ないまま、「指導3」対「指導2」でクリザンが勝利。クリザンが13年9月のグランプリ・リエカ以来2度目のワールドツアー制覇を成し遂げることとなった。

クリザンはもっか2大会連続で世界選手権に出場しており、チョクナイも4度の世界選手権出場歴があるがともに全て予選ラウンド敗退。ワールドツアーは皆勤だが今年もこれまで目立った結果は出ておらず、2人揃って意外な躍進劇となった。運に恵まれた面も多分にあり、評価は次大会以降に持越しといったところ。同国の若手エースで昨年世界選手権で銀メダルを獲得した90kg級のクリスチャン・トートに続いて、ワールドツアーの上位に居座る存在になれるかどうか、注視しておきたい。

ほか、トーナメントで目立った選手は、3位入賞のカサン・カルモルゼフ(ロシア)。まだ21歳だが3位決定戦ではゼバダ・レクビアシビリ(ジョージア)を相手に左内股に隅返と攻めまくって「指導2」で勝利。面白さを感じさせた。

今年から戦線復帰しているレアンドロ・ギヘイロ(ブラジル)は初戦敗退。無名のイヴァルロ・イワノフ(スウェーデン)に右背負投「技有」で敗れ、全くインパクトを残せなかった。

【3位決定戦】

カサン・カルモルゼフ(ロシア)○優勢[指導2]△ゼバダ・レクビアシビリ(ジョージア)
フランク・デビド(オランダ)○優勢[指導2]△アントニオ・チャノ(イタリア)


【決勝】
サボールチュ・クリザン(ハンガリー)○優勢[指導2]△ラスゾロ・チョクナイ(ハンガリー)

■ 90kg級・トートが順当に優勝、大ベテランのエルモントが3位入賞果た
【入賞者】 エントリー32名
1.TOTH, Krisztian(HUN)
2.HILDEBRAND, Aaron(GER)
3.DVARBY, Joakim(SWE)
3.ELMONT, Guillaume(NED)
5.NYMAN, Marcus(SWE)
5.SHERAZADISHVILI, Nikoloz(ESP)
7.GERASIMENKO, Dmitri(SRB)
7.LKHAGVASUREN, Otgonbaatar(MGL)

チェリャビンスク世界選手権で銀メダルを獲得した21歳のクリスチャン・トートが第1シード配置、順当に優勝を果たした。

勝ち上がりは1回戦でアレキサンダー・ユレッカ(チェコ)を「指導4」(3:41)、2回戦はミハイル・マーチタン(UAE)を肩固(2:56)、準々決勝はマーカス・ナイマン(スウェーデン)を「指導2」優勢、準決勝はニコロス・シェラザディシビリ(スペイン)を裏投「一本」(3:15)、そして決勝は大ダークホースの25歳アーロン・ヒルデブランド(ドイツ)を左への「やぐら投げ」による「技有」優勢というもの。名のある選手との対戦はなく、強者を敢えて挙げるなら2010年欧州選手権優勝で一瞬だけ光を放ったナイマンくらい。当初エントリーが予定されていたライバルのベカ・グビニアシビリ(ジョージア)が出場を回避したこともあり、優勝はまさしく順当。自身の出来も抜群というわけではなかったが、もはやこのくらいのメンバーなら勝利は当たり前とでも言わんばかり、上位常連としてしっかり定着したという印象を残した大会だった。

3位には33歳の大ベテラン、05年カイロ世界選手権81kg級王者のギョーム・エルモント(オランダ)が入賞。出来は決して良くはなかったが、12月のグランドスラム東京、2月のグランプリ・デュセルドルフ、3月のグランプリ・サムスンと3大会連続で予選ラウンド敗退という中にあって久々光明の見えた1日だった。


【3位決定戦】

ギオム・エルモント(オランダ)○優勢[有効・背負投]△マーカス・ナイマン(スウェーデン)
ヨアキム・ドファービ(スウェーデン)○優勢[有効・肩車]△ニコロス・シェラザディシビリ(スペイン)

【決勝】
クリスティアン・トート(ハンガリー)○優勢[技有・内股]△アーロン・ヒルデブランド(ドイツ)

■ 100kg級・クルパレク優勝逸すも表彰台は確保、優勝はピータース
【入賞者】 エントリー35名
1.PETERS, Dimitri(GER)
2.KORREL, Michael(NED)
3.FONSECA, Jorge(POR)
3.KRPALEK, Lukas(CZE)
5.FREY, Karl-Richard(GER)
5.REMARENCO, Ivan(UAE)
7.CIRJENICS, Miklos(HUN)
7.WOJCIK, Jakub(POL)

チェリャビンスク世界選手権王者で、同大会優勝以降これが初めての国際大会となるルーカス・クルパレク(チェコ)が準々決勝で本戦トーナメントから脱落。

首級を挙げたのは昨年世界選手権で大暴れして3位入賞を果たしたイワン・レマレンコ(UAE)。この試合はケンカ四つのクルパレクの左内股を釣り手側に隅落で返して「有効」、さらに左内股を今度は裏投で思い切り返して「一本」を奪うという圧勝だった。

敗れたクルパレクは敗者復活戦でミクロス・シルジェニクス(ハンガリー)を左大内刈「一本」(1:54)、さらに3位決定戦ではワールドツアーの主役級カールリヒャード・フレイ(ドイツ)に隅返「有効」を奪われながらも、相手の右大外刈を呼び込んで小外掛一撃。ほとんど裏投というくらいに完全に持ち上げて宙を舞わせ貫禄の「一本」奪取(2:49)。結局敗れたレマレンコ戦以外の4試合全てを一本勝ちという強さを見せつけて3位入賞を確保した。

一方のレマレンコはクルパレク撃破後はまったく冴えず。準決勝はまだ21歳で国際大会の実績はヨーロッパオープン・ソフィア1位のみ、IJF主催大会は全て予選ラウンド敗退に終わっているマイケル・コレル(ドイツ)に小内刈で転がされ、そのまま横四方固に抑え込まれて敗退。3位決定戦もホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)の担ぎ技を捌けず袖釣込腰で「技有」「有効」と立て続けに失い全く良いところのないまま優勢負け。圧倒的な力を見せた世界選手権とそれが嘘のように結果の出ないワールドツアーというこの1年間の戦績を1大会に凝集したような不安定さを見せて、結局は5位に留まった。

優勝は第3シードのディミトリ・ピータース(ドイツ)。準決勝以外は全試合一本勝ちでの優勝だが、トピックとして切り取るべきはその準決勝。後輩カールリヒャード・フレイ(ドイツ)から払腰「有効」を奪って勝利を収めているのだ。躍進著しいフレイは長年ピータースに勝てなかったが、3月のグランプリ・サムスンでは小外掛「一本」で初勝利を果たす下剋上を演じたばかり。五輪に向けていよいよ序列の交代ありかと目されていた中で、ピータースが再びフレイを押し返した形となる、貴重な勝利となった。

ピータースの勝ち上がりを紹介しておくと、2回戦でアレクサンドル・ムシュカラドゼ(ジョージア)を隅落と横四方固の合技「一本」(3:49)、3回戦はドミニコ・ディグイダ(イタリア)を腕挫十字固「一本」(1:38)、準々決勝はヤクブ・ウォジチック(ポーランド)を右大外巻込「一本」(1:20)、準決勝は前述の通りフレイを優勢で下し、決勝はマイケル・コレルをあっという間の腕挫十字固「一本」(0:45)。見ての通りフレイ以外は勝って当然という格下との対戦であったが、素晴らしい出来の大会ではあった。


【3位決定戦】

ルーカス・クルパレク(チェコ)○小外掛(2:49)△カール リヒャード・フレイ(ドイツ)
ホルヘ・フォンセカ(ポルトガル)○優勢[技有・袖釣込腰]△イワン・レマレンコ(アラブ首長国連邦)

【決勝】
ディミトリ・ピータース(ドイツ)○腕挫十字固(0:45)△マイケル・コレル(オランダ)VS

■ 100kg超級・イアキフ・カモーが若手の第一人者の座を強奪、世界ジュニア王者デューレンバヤル破り一気に優勝-
【入賞者】 エントリー21名
1.KHAMMO, Iakiv(UKR)
2.SIMIONESCU, Vladut(ROU)
3.CERAJ, Matjaz(SLO)
3.MEYER, Roy(NED)
5.BOR, Barna(HUN)
5.VOLKOV, Andrey(RUS)
7.ALLERSTORFER, Daniel(AUT)
7.BREITBARTH, Andre(GER)

優勝を果たしたのは2014年世界ジュニア選手権3位の新鋭イアキフ・カモー(ウクライナ)。初戦(2回戦)で同大会の王者ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)からまず左一本背負投「有効」、さらに鮮やかな左大外刈「一本」(2:03)を奪って勝利すると一気に波に乗り、準々決勝では第4シード選手のアンドレ・ブライドバルト(ドイツ)から隅返「有効」、裏投「技有」と連取して優勢勝ち。マティヤツ・セラジ(スロベニア)との準決勝はもはやこちらが格上とばかりに右の大内刈「有効」から横四方固「一本」(3:28)に抑え込んで危なげなく勝利。ダークホースのヴラダト・シミオネスク(ルーマニア)とマッチアッした決勝は裏投「技有」、支釣込足「技有」と立て続けに奪ってまたもや一本勝ち(4:05)。見事シニア国際大会初優勝を果たした。

カモーは世界ジュニア終了後の2014年秋からワールドツアーに参加。グランプリ済州(11月)、グランドスラム東京(12月)、グランプリ・トビリシ(3月)はいずれも予選ラウンド敗退で、グランプリ・サムスン(5位)で初めて入賞を果たしたばかり。これらの成績からの延長線上では考えられない、一気の躍進を果たした大会となった。

粗さはあるが体の強さを生かした大技一発が特徴といういわば典型的な超級選手ではあるが、この選手の面白いところは左右が利くこと。相手に応じて左右どちらが本職かわからないほどの深い角度で組んで、ケンカ四つの立ち位置から大技を仕掛けてくる。技術も力もまだ一線級には届かないと見るが、このまま力を増せば面白い存在になるかもしれない。しばらく注視しておくべき、危険な因子を持っている選手。

第1シードのロイ・メイヤー(オランダ)、第2シードのダニエル・ナテア(ルーマニア)、第3シードのバルナ・ボール(ハンガリー)ら優勝候補と目された中堅の強豪たちはいずれも冴えず。メイヤーが3位決定戦でロシアの世界選手権団体要員アンドレイ・ボルコフを下して3位を得るにとどまった。いずれも七戸龍やラファエル・シウバ(ブラジル)らの「2番手グループ」を追うには内容、結果とも物足りない大会だった。

【3位決定戦】

ロイ・メイヤー(オランダ)○優勢[指導3]△アンドレイ・ヴォルコフ(ロシア)
マティヤツ・セラジ(スロベニア)○外巻込△バルナ・ボル(ハンガリー)

【決勝】

イアキフ・カモー(ウクライナ)○合技[裏投・小外刈](4:05)△ヴラダト・シミオネスク(ルーマニア)

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