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中村美里が西田優香、橋本優貴を連破し3年ぶり5度目の優勝・全日本選抜柔道体重別選手権52kg級レポート

(2015年4月27日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版4月27日掲載記事より転載・編集しています。
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中村美里が西田優香、橋本優貴を連破し3年ぶり5度目の優勝
全日本選抜柔道体重別選手権52kg級レポート
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橋本が得意の寝技で主導権を確保、引込返で内尾真子を攻める

欧州シリーズ2大会で、橋本優貴(コマツ)、西田優香(了徳寺学園職)、そして中村美里(三井住友海上)の3人がマー・インナン(中国)に立て続けに食われ、結果欧州国際大会における階級内序列の変化はほとんどなし。今大会の第1シードはグランドスラム東京を制した橋本優貴となり、もと世界選手権覇者で海外勢に強いとされる中村美里と西田優香の2人が準決勝で食い合いを演じるという過酷な配置のトーナメントとなった。

橋本は組み合わせの良さを生かし大過なく決勝に進出。1回戦は垣田恵理と対戦し、1分32秒に相手の変則組み手による「指導1」を奪取。2分32秒には双方に消極の「指導」が与えられて「指導1」対「指導2」の反則累積差で勝利決定。内尾真子との準決勝は25秒に得た極端な防御姿勢による「指導1」を最後まで守り切って、この試合も反則累積による優勢勝ちで決勝に勝ち上がることとなった。

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準決勝、中村美里が西田優香から腕挫十字固で一本勝ち

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一方逆側のブロックでは予想通り準決勝で中村と西田が激突。中村は1回戦で五味奈津美(JR東日本女子柔道部)を「指導1」の優勢で破り、西田は黒木美晴(環太平洋大4年)を「指導2」対「指導1」の反則累積差で退けての準決勝進出。

この試合は中村の一本勝ちで決着。試合は開始早々に西田が左小内刈で大きく相手を
崩し、以後も左背負投に小内刈と積極的に攻め続けたが展開に差をつけるには至らず、度々寝勝負で優位を作っていた中村が残り40秒を過ぎたところで西田の背後から腕挫十字固を試みる。めくり返された西田は脚を絡ませて耐え、中村は弓なりに体を反らして決めに掛かる。中村は西田が「参った」しないと見ると相手の腕を自身の体側にずらして畳側に押し込み、極めを一段深める。通常なら少々無理のある角度だったが脚を絡ませていた形ゆえ固定が利き、完全に肘が極まってしまう。さすがに耐えきれなくなった西田が「参った」を表明して試合終了。中村は冷静沈着、極め直しは状況に対応した技術的な好判断であったが、周囲には「そこまで極めるか」という怖さのほうが印象づけられる、凄み漂う一本勝ちであった。
中村、ライバル西田を下して決勝進出決定。

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中村は正対して橋本の攻めから脱出

決勝は橋本が右、中村が左組みのケンカ四つ。

最初のシークエンスは中村が左小外刈、左大外刈から左内股、さらに左背負投と技を繋いで攻勢のまま「待て」。この攻撃を受けた橋本が中村の動きを封ずるべく両襟で圧を掛けると中村膝を屈して潰れ、寝技がアイデンティティの橋本ここぞとばかりに後ろについて腕挫十字固を試みる。迫力十分の攻撃だが中村正対して逃れ「待て」。経過時間は44秒。

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中村の膝車に橋本大きく体勢を崩す

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橋本は引込返で攻めるが取り切れず

手が良く動く中村、間断なく組み手の優位を作り出すべく運動。抗せんとした橋本が釣り手を上から入れて来たところに合わせて膝車を放つと橋本つんのめって転び、中村はすかさず寝技を選択、「腹包み」で攻める。橋本がカメの形のまま耐えきって「待て」。経過時間は1分20秒。

続く展開は中村がまず右一本背負投、自ら戻ると左内股を放ち、「サリハニ状態」に近い形で膠着となる。中村がここからバランスを崩すと橋本が引込返に打って出て、回った中村が伏せたところで「待て」。経過時間は1分54秒。

橋本が右小外刈、中村は大外刈に小外刈、内股で攻め返す。パワーで中村の技を封じてしまいたい橋本は釣り手で奥襟、次いで背中を得るが中村は左体落を2連発してこの組み手を脱出。さらに橋本が組もうと手を伸ばしたところをそのまま迎え撃って左大外刈。崩れた橋本は寝技を選択して良く攻めるが、これに「待て」が宣されたところで橋本に消極的との咎で「指導1」が宣告される。経過時間2分53秒、残り時間は1分7秒。ついにスコアに差が生まれる。

リードを得た中村は自身の優位を確定すべく攻勢に出る。前技フェイントの左小外刈、さらに足を絡みつける左小外刈を2連発。続いて両袖を確保して橋本の釣り手を封じると、左大外刈に足を伸ばす。橋本サイドからは「(奥襟を)叩け!」と激しい激が飛ぶが、橋本なかなか自分の形で組むことが出来ない。

橋本は残り39秒で背中、残り13秒で奥襟を得ることに成功するが、いずれも具体的な攻撃に繋げることが出来ず。最後は橋本が両襟の体落を放ったところで終了ブザーが鳴り響いて熱戦に幕。中村が「指導1」の小差でこの試合を勝ち抜き、2012年以来の選抜体重別制覇を成し遂げた。

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「指導1」の小差で勝者は中村となった

この試合自体は、いずれが勝ってもおかしくない小差。立ち技で変化をつけた中村、寝技で優位を得た橋本という構図であったが、投技には「指導」があり、寝技の攻撃は取り切らない限り優位の評価ポイントがない、その差が勝負を分けたという格好の拮抗した一番であった。橋本は健闘であったが、3戦通じて得た攻撃ポイントがゼロ、勝利した2試合がいずれも相手の反則によるもので、得意の寝勝負でも「一本」に繋げられず。これでは圧倒的な評価を得ることは難しいはずで、不完全燃焼の感ありだった。

世界選手権代表には中村美里が選出された。成績的には橋本も劣らないものを持っており、欧州国際大会の対マー・インナン戦の内容(橋本は「有効」失陥、中村は「指導1」失陥)と選抜体重別の直接対決の結果が客観的な根拠とされた模様だが、いずれも圧倒的な差とは考え難い。やはり昨年の世界選手権での橋本の2敗が、絶対王者となりつつあるマイリンダ・ケルメンディ(コソボ)を攻略する可能性を感じさせる内容でなかったことが大きかったと観察する。パワーファイターである橋本がナタリア・クズティナ(ロシア)に力負けし、寝技ファイターである橋本が寝技をほとんどやらないヤネト・ベルモイ(キューバ)に抑え込まれたというあの大会の結果は大きい。橋本としてはグランドスラム東京に勝ち、欧州シリーズで優勝し、選抜体重別で明確な勝利を得るという「満点」が要求されるハンデ戦であったのではないだろうか。

中村は決して抜群の出来ではなかったが、潜在能力と実績、そして復調のさなかにあるというベクトル、「伸びしろ」を買われたという印象が強い。ケルメンディとの直接対決がまだなく、力関係がマップされていないこともその期待値を上げることとなっているのではないだろうか。強化陣の期待に応えるべく、世界選手権までのさらなる上積みに期待したい。ケルメンディとの直接対決なれば、その試合は来年の五輪の様相までを規定してしまう、「ロンドン-リオ期」最大の大一番になるであろう。

西田は失意の敗退。11月の講道館杯時にはまさしく絶頂と言える状態だったが、同月のグランプリ青島におけるアンドレア・キトゥの反則技による負傷が運命を変えてしまった。以降その中でもなんとか成績を残して勝負どころを先に送りつつ復活を期したが、この選抜ではついに陥落。キャリアの正念場が訪れたという印象だ。

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優勝の中村美里

【入賞者】

優 勝:中村美里(三井住友海上)
準優勝:橋本優貴(コマツ)

中村美里選手のコメント
「何が何でも優勝したくてここまでやって来ました。勝てて良かったです。今回はとにかくなにより勝ちたかった。内容は良くなかったですが、勝てて良かったということに尽きます。まだまだ強くなれると思っていますし、世界選手権ではさらに成長した自分を出して、優勝を目指します。」

【一回戦】

橋本優貴(コマツ)○優勢[指導2]△垣田恵利(兵庫県警)
内尾真子(筑波大2年)○GS技有・袖釣込腰(GS0:42)△志々目愛(帝京大4年)
中村美里(三井住友海上)○優勢[指導1]△五味奈津美(JR東日本女子柔道部)
西田優香(了徳寺学園職)○優勢[指導2]△黒木美晴(環太平洋大4年)

【準決勝】

橋本優貴○優勢[指導1]△内尾真子
中村美里○腕挫十字固(3:32)△西田優香

【決勝】

中村美里○優勢[指導1]△橋本優貴

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