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優勝候補筆頭は「獣人柔道」西潟健太、連覇狙う王子谷剛志と七戸龍が後を追う・全日本柔道選手権展望

(2015年4月26日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版4月26日掲載記事より転載・編集しています。
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優勝候補筆頭は「獣人柔道」西潟健太、連覇狙う王子谷剛志と七戸龍が後を追う
全日本柔道選手権展望
■ 有力選手
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今年も日本武道館に42人の精鋭が集う

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もっか絶好調、初戴冠を狙う西潟健太

体重無差別で柔道日本一を争う平成27年度全日本柔道選手権大会は今年も4月29日に聖地・日本武道館で開催される。

優勝候補筆頭は、昨年度3位で今月初旬に行われた全日本選抜体重別を圧勝で制した西潟健太(旭化成)。左右遜色なく仕掛ける浮落(ハンドル投げ)が現在の最大の武器で、九州地区予選、選抜体重別ともっか手の付けられない強さを発揮して勝ちに勝ちまくっている。193cm、130kgの体格で相手の首を固定、左右の払腰のフェイントから繰り出す逆方向への浮落で無理やり相手を固定して畳に叩きつけるその戦いぶりは、これまでの日本人になかったパワースタイルの極北というべきもの。「獣人柔道」とでも形容すべき、誰にも真似の出来ない世界を一人で切り開いている。
あまりに大きくなった体格と変質した柔道、そして豪快過ぎる技に高校、大学時代との違いを強調する評も目立つが、西潟は「獣人柔道」を志向して実業個人を初制覇した3年前にこの世に生誕した別の生き物と捉えるべきで、それまでとの連続性を媒介にしては今の西潟は評しきれない。それほど今の西潟は強く、異質だ。

今大会の西潟は、キャリア上最大の分岐点にあり、得られる成果はオールオアナッシングだ。優勝すれば世界選手権代表に選ばれる可能性が非常に高く、リオ五輪挑戦への道が一気に開ける。その後「獣人柔道」が一流派として名を為すほどの研鑽進化も十分に想像出来る「上がり目」のシナリオだ。逆にここで優勝を逃すと、「勝つべきときに勝ち切れなかった」これまでの幾多の選手同様、限られた一時期に閃光を放った一人として国内の一強豪というスケールにそのキャリアが限定される道が引かれかねない。27歳という年齢からしても、ここで勝つことだけが唯一己を五輪に導く道だ。実力は十分、あとは魔物が棲む全日本選手権獲得に必要な「何か」が己の身に備わっているかどうかだ。

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連覇を狙う王子谷剛志

追う勢力は2連覇を狙う王子谷剛志(旭化成)と七戸龍(九州電力)、続いて原沢久喜(日本中央競馬会)。

王子谷は抜群のパワーと最大の得意技である大外刈を駆使して昨年度一気に頂点を極めたが、今回どうにも手が付けられない西潟打倒の一番手に挙げられる理由の第一はその作戦遂行能力の高さだ。昨年原沢、上川大樹を立て続けに投げた大外刈も、ともに「狙い通り」に嵌めたものであったと聞く。選抜体重別における西潟の圧倒的な出来を見る限り、現在の西潟が敗れる要素としては自身がセルフコントロールを誤るか、作戦遂行能力高くパワーで西潟に抗し得る選手がその柔道を見切って、「嵌める」しかない。この条件に王子谷はピッタリと嵌る。

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世界選手権銀メダリストの七戸龍

七戸は昨年世界選手権で決勝まで勝ち残って絶対王者リネール相手に大善戦を演じ、今年度の欧州シリーズ最重要大会であるグランプリ・デュッセルドルフでも優勝。海外の目からするとまごうかたなき日本のエースだが、連敗中の西潟にかつて苦手としていた上川など国内の敵が数多い。対西潟戦に関して言えば純粋に柔道の相性を考えると苦しいところで、第一人者としての自覚と執念がどこまでそのポテンシャルを引っ張り上げるか、対戦相性を超えるだけの力を引き出せるかに賭けるしかないというところ。具体的にいかなる戦い方で臨むのか、「対リネール」とターゲットがハッキリする中で七戸の「狙った相手に対する対応力」を測る意味でも、直接対決は見逃せない。

原沢は東京予選では素晴らしい柔道を見せて優勝したが選抜体重別ではライバル王子谷に支釣込足「有効」で惜敗。選抜体重別と全日本選手権のいずれにも優勝することが世界選手権代表選出の条件と見られていたなかで、どこまで天皇杯奪取にモチベーションを上げられるかどうかが最大の課題。失うものがなくなった状態で発揮する思い切りの良さが原沢の持ち味を引き出すことに期待したい。

■ 組み合わせ
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原沢久喜はAブロックに配置された

【Aブロック】

上側の山に熊代祐輔(ALSOK)、高橋和彦(新日鐵住金)、垣田恭平(旭化成)、下側の山には増渕樹(旭化成)と原沢久喜が配された。

ベスト8進出は高橋と原沢と見るが、双方中途に好カードが目白押し。高橋は初戦(2回戦)で、担ぎ技が利いて大物食いが得意なタイプの垣田恭平(旭化成)とマッチアップ。さらに3回戦では熊代との試合が組まれている。高橋は29歳となったが柔道の幅と深みは全盛期より明らかに増しており、この面倒な2人を相手にどんな試合を見せてくれるか非常に楽しみ。

下側の山は増渕が2回戦で重量級の好選手神谷快(筑波大)の挑戦を受け、3回戦で原沢とマッチアップ。原沢はアップセットを許す型の選手ではなく、増渕も一発がある本格派の重量選手には意外な装甲のもろさを見せる型。ということで原沢の勝ち上がりを推すが、増渕の一発はやはり魅力。面白い試合が期待できそうだ。

準々決勝は高橋-原沢。東京選手権決勝(原沢が内股で一本勝ち)の結果と高橋の2、3回戦が難敵であることによるスタミナの減殺を考え、ベスト4進出者には原沢を推したい。

【Bブロック】

天皇杯を争うスケールの選手は上側の山に配された王子谷剛志のみ。2回戦は岩田勝博(兵庫県警)、3回戦は井上貴裕(ALSOK)と対戦する。井上は体格があり柔道も手堅いがその分試合ぶりもオーソドックスで大物食いを起こす型ではない。波乱の可能性は少ないはず。

王子谷のベスト4への勝ち上がりは堅いと見るが、下側の山からのベスト8進出者が悩ましい。下和田翔平(京葉ガス)、上田轄麻(明治大)、これに田中大貴(新日鐵住金)が絡む混戦だ。王子谷への挑戦権を争うこの3人の勝ち上がりはみどころの一つ。

【Cブロック】

上側の山に西潟が配され、下側の山は石井竜太を軸に好選手が集まったブロック。

西潟は2回戦で野村幸汰(三光不動産)と西村久毅(敦賀高教)と戦い、3回戦ではウルフアロン(東海大)との対戦が濃厚。近い間合いでの体捌きが良いウルフが西潟の膂力にどう立ち向かうかは見もの。

下側の山は高橋良介(警視庁)と小野卓志(了徳寺学園職)に、青山正次郎(福岡県警)と長尾翔太(兵庫県警)、2回戦で2つ面白いカードが組まれた。特に身長186cm体重175kgの青山に、大会屈指の曲者タイプ長尾が挑む後者は非常に全日本選手権らしい好組み合わせ。両者とも相当なやりがいを感じているのではないだろうか。石井は青山-長尾の勝者とまず戦い、次いで小野-高橋の勝者と準々決勝進出を争う。

準々決勝の顔合わせは西潟-石井と見る。巨人同士のガチンコ勝負という、これまた非常に全日本選手権らしい胸躍る一番。身長193cm体重135kgと体格十分で良くも悪くも一発の強さに賭けてくるタイプの石井は、西潟にとっては実はもっとも嫌な型の敵かもしれない。東京予選を見る限りでは石井はいまだ負傷からの復帰の途上にあって全開とはいかない印象だが、どこまでその力を戻しているか。今季の出来から、事前予測の段階での勝ち上がりは西潟としておきたい。

【Dブロック】

上側の山の3回戦に百瀬優と上川大樹(京葉ガス)という大一番が組まれ、下側の山には七戸龍が置かれた。
このブロックの不確定要素は、負傷で選抜体重別を欠場した上川が現在どのような状態にあるかだ。上川が左膝内側副靱帯を損傷をしたのは公式リリースによると3月26日、診断は「全治3週間」というものであった。嵌ると手の付けられない技の切れ味を発揮する上川であるが、ただでさえメンタルコンディションによる好不調の波が激しいこの選手がそれほどの重症を負ってどこまでの覚悟を持って畳に上がれるか。少なくとも足首負傷を押して出場した昨年のグランプリ・ブタペストではほとんど技を仕掛けないままに敗れているという実績はあり、怪我に強いタイプかとなると疑問符がつく。上川完調であればベスト4まで勝ち残る可能性すらあるが、治癒にかかる時間とその後の稽古を考える限りベストパフォーマンスを期待するのは少々無理がある。

七戸は3回戦でしぶとさが身上の穴井亮平(東海大熊本星翔高教)と戦い、準々決勝は上川-百瀬の勝者と対戦予定。この山からは七戸が勝ち上がると見る。

【準決勝-決勝】

準決勝カードは原沢-王子谷、西潟-七戸となる確率が高いはず。いずれの試合もこれまでの対戦相性が比較的ハッキリしており、戦績に従えば決勝は王子谷-西潟と読んでおくべき。

冒頭書いた通り、西潟の敵はまず己の中にあり。初めて優勝候補に挙げられ、そしてまだこの最高峰タイトルを獲った経験のない道の世界を歩む中でどこまで平常通りの力を発揮できるか。
そしてこれも冒頭書いた通り、王子谷の作戦遂行能力の高さが立ちふさがる。王子谷は、その「作戦」を相手の封殺や反則奪取のみならず自身の投げを終着点として組み立てる良さがあり、投げて勝つというその試合振りの良さが結果としてその戦術性の高さを覆い隠してきた感あり。今回はどのような策と、「投げ」を以て西潟に立ち向かうか、実現なれば非常に楽しみな対戦だ。

天皇杯の行方と合わせて、最後にひとこと、アスタナ世界選手権代表選考の行方も予想しておきたい。100kg超級には高い確率で「2枠」が採用されると見る。

西潟は優勝した場合のみ世界選手権代表選出。もしこのシナリオが成った場合、決勝の相手が王子谷であれば代表は西潟と王子谷の2人。王子谷が中途で敗れているようであれば、国際大会の実績でアドバンテージがある七戸が選出されるのではないだろうか。西潟優勝ならずば、代表は王子谷と七戸の2人となることが濃厚なはずだ。

いよいよ大会は明後日に迫った。今年も熱戦に期待したい。

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