PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

アスタナ世界選手権代表争いを展望する・全日本選抜柔道体重別選手権

(2015年4月3日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版4月3日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード
アスタナ世界選手権代表争いを展望する
全日本選抜柔道体重別選手権
アスタナ世界選手権(8月24日~30日、カザフスタン・アスタナ)の最終選考会である全日本選抜体重別選手権の開幕がいよいよあす4日に迫った。この大会の終了後に最重量級うを除いた男女それぞれ6階級の代表が決定され、全日本柔道選手権と皇后盃全日本女子柔道選手権を経て男子100kg超級と女子78kg超級、そして男女それぞれ2名ずつの「2枠目」の代表が選ばれる。

この時点での代表選出における現状の候補者と、階級それぞれの状況を簡単にまとめておきたい。

■ 男子
代表になり得る条件はカッチリ決まり込んでおり、最終予選である選抜体重別が代表選出に占める比重はかつてに比べるとかなり少ない。大会の勝ち上がり展望がそのまま代表の予想となるような面白みはもはやなく、「1枠目」の代表選手争いはほぼ決着していると思われる階級もかなりある。

悩ましい(そして面白い)のは2枠行使をどの階級にするか、そして誰にするかだ。「2枠」を行使する要件としては、甲乙つけがたい強者が複数名存在して双方に機会を与えねばならない場合と、五輪に向けて本命以外のバックアッパーを1人確保して競らせておくべき状況を取らざるを得ない場合、優先順位の高いものとしてこの2つが挙げられる。五輪を翌年に控えるという今季の特殊な状況に鑑みれば、例えば「国際経験のない若手に機会を与える」という余裕ある選択をする台所事情にはなく、これは選抜体重別で優勝、それも他を大きく引き離しての圧勝優勝を成し遂げた場合でもなければ採られる可能性は低いはずだ。

強化が切実に2枠を行使したいであろう階級は、おそらく73kg級、100kg超級、66kg級、90kg級の4階級。この中で、選抜と全日本選手権の「勝ちぶり」と公平性、そしてひょっとすると五輪を巡っての戦力の秘匿までを考えて、選抜が為されることになる。

【60kg級】

俎上にあるのは高藤直寿と志々目徹の2名。そして、昨年のように「試合結果がどう転んでも高藤」というような圧倒的な差がなくなってしまっている状況だ。高藤はいずれも不運な判定と状況ながら、昨年の世界選手権(3位)も、グランドスラム東京(世界選手権の素行不良により出場出来ず)も、今季の最重要大会であるグランプリ・デュセルフドルフ(3回戦敗退)も結局「勝っていない」状況である。一方の志々目はアジア大会のタイトル奪取失敗で一時は完全に権利を失ったかと思われていたが、グランドスラム東京2位にグランプリ・デュセルフドルフ優勝と、基準になる「講道館杯以降の国際大会の成績」では日本選手ナンバーワンの成績を得ている。これは全くの妄想だが、連覇への挑戦というテーマがなくなってしまった中で、徹底研究に晒されている五輪の本命・高藤を「一回隠す」という考えも、志々目には追い風になるのではないだろうか。選抜に優勝すれば志々目選出の可能性も十分、志々目以外が勝てば高藤となる可能性が高く、そして他階級の抱える事情の切迫性の高さからいずれが代表になってもこの階級への2枠行使の可能性は薄いと考える。

【66kg級】

率直に言って世の中の期待は「王者・海老沼と若武者・阿部のダブル出場」にあると言ってしまって良いだろう。だがこの階級には昨年世界選手権5位でグランプリ・デュセルドルフに優勝している高市賢悟という実力・実績ともに伴った権利者の存在があり、阿部にとっては非常に厳しい状況だ。
候補者3人の実績をまとめると、海老沼匡が世界選手権優勝(3連覇)にグランドスラム東京5位、阿部がグランドスラム東京優勝とグランプリデュセルドルフ予選ラウンド敗退、高市が世界選手権5位・グランドスラム東京3位・グランプリデュセルドルフ優勝。阿部が選ばれる可能性があるとしたら優勝を成し遂げた時のみ。そしてその際は確実にこの階級に2枠が行使され、高い確率で海老沼が選出されることになるだろう。候補者の3人以外にも橋口祐葵、高上智史、竪山将と面白い選手が目白押しのこの階級は、勝ち上がりの過程でどんなアクシデントが起こってもおかしくない。その勝敗、代表争いの行方ともに目の離せず、かつ他階級への影響も甚大。必見階級だ。

【73kg級】

大野将平、中矢力、秋本啓之と3人の世界王者を抱える最強階級。コアファンの間では「いっそ国籍変更してでもこの3人全員を五輪で見たい」との声が挙がるほど、日本に人材が集中した階級だ。

13年リオ世界選手権と直近の国際大会である2月のグランプリ・デュッセルドルフの凄まじい勝ち振りを見る限り、おそらくほとんどの関係者が「最強選手は大野」という評を本音として抱えているのではないだろうか。しかし、実績という点で言えば中矢は直近の世界選手権の覇者であり、秋本はアジア大会と日本選手が4人参加したグランドスラム東京を制して「国際大会の成績は100%」(井上康生監督)という文句のない状況を作り上げている。

もはやこの階級のみは直接対決で雌雄を決する以外に道はないだろう。代表選考という観点から照射して「選抜をやる意味がある」数少ない階級のひとつ。そして、誰が頂点に立っても余程のことがない限り2枠行使が確実な階級でもある。

【81kg級】

国際大会で複数回顕著な実績を残しているのは永瀬のみで、これまでの戦歴から世界のトップと伍することが出来るのもまた永瀬のみと評されて然るべき。ほぼ永瀬の選出は確実だ。

2枠が行使される可能性があるとしたら丸山剛毅が圧勝で優勝した場合のみではないだろうか。丸山はヨーロッパオープン・ローマを5戦4一本勝ちという素晴らしい成績で優勝しており、しかもアントワーヌ・ヴァロアフォルティエ(カナダ)とスヴェン・マレシュ(ドイツ)という表彰台に絡むレベルの2人に勝利している。圧勝Vなれば「海外選手に適性がある」という論は十分説得力を持ち、かつ永瀬と競らせるバックアッパーが不在で「複数のハイランカーを確保する」という強化方針の持続が苦しくなっているこの階級の現状に鑑みればこの階級が2枠行使の俎上に上がってもおかしくない。

【90kg級】

第1シードに入った昨年の世界選手権代表ベイカー茉秋、グランドスラム東京2位でグランプリ・デュッセルドルフでも3位に入賞した西山大希、アジア大会王者の吉田優也が代表争いの権利を持っている。吉田に関してはアジア大会優勝の後は負傷でグランドスラム東京を欠場、さらにグランプ・デュッセルドルフで早期敗退と実績的な説得力にやや乏しく、今大会の優勝以外に選出の目はあり得ない。というよりこの階級も候補者3人の中から優勝者が出ればそのまま勝者を代表にするしかないのではないだろうか。もし2枠の可能性があるとすれば、「ベイカー+、西山or吉田」と見るが、強化陣の「使いたい」欲望の高さはともかく、他階級の事情に鑑みれば優先順位は高くないと踏んでおくのが良さそうだ。

【100kg級】

国際大会での実績に差がありすぎる。選抜体重別の結果がどうあろうと、欧州国際大会で2週連続優勝を飾った羽賀龍之介以外に世界選手権代表はありえない。
もし五輪前に羽賀が大きな怪我を負うような事態があったら、と考えた場合にまったくバックアッパーがいないという現状はリスクが高すぎるが、他選手いずれも国際大会で入賞どころか予選ラウンドで勝ち星を挙げるのが精いっぱいという現状を考えれば到底貴重な世界選手権枠を消費する状況にはないだろう。バックアッパーの育成は国際大会連続投入という策で乗り切り、羽賀龍之介一択ということで見ておいて良いのではないだろうか。

【100kg超級】

全日本選手権までを見ないとなんとも言えないが、現時点では、よほどのことがない限り、高い確率で昨年世界選手権銀メダリスト七戸龍という大本命の選出が為されるであろうとコメントしておくしかない。王子谷剛志に原沢久喜を加えて人材的には「2枠」行使すべき魅力の溢れた階級。たとえば絶好調の西潟健太が選抜、全日本を連勝した場合俎上に上がる可能性は皆無ではなく、七戸以外はまだ見えて来ていない階級とも言える。

■ 女子
複数の世界王者を抱える階級が48kg級、52kg級、57kg級と3階級あり、しかも52kg級は世界王者2名がトーナメントの本命である第1シードに挙げられていないという大混戦。有力選手が本気で臨む世界選手権で競らせて五輪への適性を弾きだすしかない78kg超級も出来得れば複数投入を為したいところであり、「2枠」行使の行方は混沌としている。

【48kg級】

昨年の世界選手権覇者近藤亜美はグランドスラム東京で浅見八瑠奈に勝って優勝を飾ったが、グランプリ・デュッセルドルフでは初戦敗退。もと世界選手権覇者浅見八瑠奈はグランドスラム東京2位でグランプリ・デュッセルドルフ3位。ともに水準以上の実績ではあるが、その成績は「選抜がどうあれ代表選出確実」というような完璧なものではない。優勝した方がそのまま代表選出と考えておいて良いのではないだろうか。2枠目選出の可能性は低くはないが、52kg級、57kg級、そして78kg超級の状況と引き比べてということになりそうだ。

【52kg級】

11月のグランプリ青島で理不尽な負傷をするまではキャリア最高とも言える絶好調にあった西田優香と、復活基調にある中村美里。2人の世界選手権王者が存在する52kg級だが、昨年の世界選手権で映えない試合を見せてもはや「選外」かと思われた橋本優貴がグランドスラム東京の直接対決で2人を破って優勝と盛り返し、そして冬季欧州国際大会では3人が揃ってマー・インナン(中国)に敗れたため同大会で作り上げられた橋本の優位は留保。結果この選抜体重別では橋本が第1シードとなり、両世界王者は逆側の山の準決勝で対決することとなった。つまりは2枠が行使されるとしても「中村+西田」というカップリングはほぼ絶望的で、橋本が決勝に進んだ時点で、代表は橋本もしくは「橋本+1」の2枠行使に限定されてしまうこととなる。このプレッシャーが掛かる状況で3者がどのような戦いを見せるか、そのメンタルタフネスに注目。

【57kg級】

グランドスラム東京優勝、ヨーロッパオープンオーバーヴァルト優勝と一人淡々と結果を残し続けてきた松本薫が代表選出の最右翼。昨年の世界選手権王者宇高菜絵が以後実績を残せていないこともあり、圧倒的な出来で大会を制するダークホースの出現でもないかぎり、いや、仮にその事態があったとしても松本が選出される可能性が限りなく高い。そして現状、2枠目行使の現実性は高くないと見ておくべきだろう。

【63kg級】

非常に悩ましい階級。世界選手権銅メダリストでグランプリ・デュッセルドルフでも3位に入賞している田代未来が候補者最右翼。逆転出来る可能性があるのはヨーロッパオープン・ソフィアを素晴らしい内容で制し、同大会で翌週のデュッセルドルフで優勝することになるアリス・シュレシンジャー(イスラエル)にも勝利している津金恵。もし圧倒的な出来で大会を制すれば選出の可能性は十分ありうるのではないだろうか。他選手が優勝した場合には、田代と津金の出来、そして両者との直接対決の有無が焦点となる。クラリス・アグベニュー(フランス)とヤーデン・ゲルビ(イスラエル)の2強以外の表彰台クラスの序列が再構築されている時期でもあり若手を複数投入したい意欲はもちろんあるだろうが、軽量2階級のハイレベルかつ熾烈な争いを考えれば、2枠に関してはなかなか実行に移すのは難しいのではないかと見る。

【70kg】

ヨーロッパオープン・ソフィアと最高峰大会グランプリ・デュッセルドルフの2大会で優勝を飾った新井千鶴が既に代表権に片手を掛けている。苦手にしている世界選手権銀メダリストのヌンイラ華蓮とのライバル対決が初の世界選手権進出への最後の関門だ。逆にグランドスラム東京5位、ヨーロッパオープン・オーバーヴァルト3位と今季振るわなかったヌンイラにとっては一発逆転の最後のチャンス。
グランドスラム東京2位の田知本遥は市販薬摂取の結果デュセルドルフ大会を欠場。今季の欧州国際大会の実績はゼロで、優勝したとしても尋常な勝ち振りでは逆転が難しい状況。準決勝にはヌンイラ戦が待ち受けており、意外とキャスティングボードを握るのはこの人かもしれない。

【78kg級】

グランドスラム東京2位、グランプリ・デュッセルドルフ3位とただ一人水準以上の成績をマークした佐藤瑠香が代表選出の最右翼。佐藤とともに2枠で共闘した経験のある緒方亜香里は70kg級の田知本を巻き込んだ市販薬騒動で国際大会出場をフイにしており、選出には準決勝で佐藤を倒して優勝するところまでが最低限の条件。梅木真美もヨーロッパオープン・オーバーヴァルトで優勝しており「権利者」の一人。誰もがおそらく合格点を貰えていない現在の状況下であれば、選抜優勝で逆転選出という可能性も皆無ではない。

【78kg超級】

昨年2枠を行使した重点育成階級。田知本愛、山部佳苗を軸に、大きく離れて稲森奈見と朝比奈沙羅までが選出に可能性を残す。
どの選手にも決定打となる実績がないゆえ、そして世界の頂点にあと一歩で手が届きそうな階級であるがゆえに、2枠行使の可能性は今回も十分。皇后盃までをしっかり注視したい。

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版4月3日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.