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第37回全国高等学校柔道選手権大会・男子団体戦マッチレポート④準々決勝

(2015年3月27日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版3月27日掲載記事より転載・編集しています。
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男子団体戦マッチレポート④準々決勝
第37回全国高等学校柔道選手権大会
■ 準々決勝
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国士舘・磯村亮太と神戸国際大附・田上英也による先鋒対決

国士舘高(東京) - 神戸国際大附高(兵庫)
(先)磯村亮太 - 田上英也(先)
(次)河田闘志 - 倉見潤(次)
(中)竹村昂大 - 新井滉燿(中)
(副)飯田健太郎 - 石山潤平(副)
(大)山田伊織 - 瀧川駿(大)

巨大戦力の国士舘に立ち向かう神戸国際大附は先鋒に田上英也、中堅に新井滉燿と攻撃カード2枚を前衛に出し、本丸である石山潤平を副将に配した。勝つのであれば石山までで試合を試合を終わらせねば、と敢えて後に「置き大将」を1枚余らせた前重心の布陣。一の矢の田上、二の矢の新井、そして決戦兵力である石山の三段攻撃で国士舘の堅陣を抜き切らなければ勝利ありえず、という帰り道なしの攻撃型オーダーだ。

一方の国士舘のオーダー順は前から順に磯村亮太、河田闘志、竹村昂大、飯田健太郎、山田伊織というもの。二回戦のオーダーと比較すると、後衛3枚を1ブロックと考えてその中で順番をマイナーチェンジし、前衛2枚の抜き役は田嶋剛希まで入れたローテーション制を組むという意図が見えてくる。抜き役2枚を配した前衛、決戦兵力3枚で堅陣を組む後衛という2ブロックを組み、それぞれのブロック内で順番を入れ替えながら戦うという今大会の大戦略が透けて見える布陣。

先鋒戦の磯村-田上の試合は引き分け。負傷明けの磯村は今一つ波に乗り切れず、1年生ながら上から目線の波状攻撃で勝ちまくった昨夏の迫力を取り戻すには至らないという印象。

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一人を抜いた河田闘志(右)は新井滉燿を引き分けで止める

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竹村昂大が石山潤平を完封、反則ポイント累積差で勝利

国士舘は続いて登場した次鋒河田闘志が倉見潤を開始17秒の右内股「一本」で退け、さらに右相四つという力の差が出やすい対戦ながら、巨漢新井滉燿を相手にしっかり引き分け。岩渕公一監督からは調子上がりきらぬまま畳を降りた隣席の磯村に「河田も、やったぞ」との檄が一声飛ぶ。

続いての対戦は国士舘の中堅竹村昂大と神戸国際大附・石山潤平というカード。
ここに至って国士舘の後衛ブロック内での「順番入れ替え」が存分にその効を発揮する。ともに抜群の攻撃力を持つ国士舘の後衛3枚のうち、もっとも試合が巧く防御壁が固いのは間違いなく竹村。一発はあるが未だ線の細さを併せ持つ飯田、一発を狙うがゆえに撃ち合いに応じる可能性がある天才肌の山田は、攻め合いの中で一撃を呉れたい石山にはむしろ戦い易い相手。石山にとっては相手の一撃の攻撃力の高さはさほど問題ではなく、撃ち合いに応じる攻撃タイプであるかどうか、互いの間合いの中での斬り合いが出来るタイプであるかどうかが自身の力を発揮するための最大のポイント。失うもののない国士舘戦という状況、調子が上がりきらず普段以上に技一発の強さというストロングポイントに頼るしかないコンディションがそのパーソナリティをいや増している。

そんな中、相手の光を消しながら試合が出来る竹村が尖兵として送り込まれるのは、神戸国際大附にとってもっとも苦しい戦術選択。果たして竹村は石山を「指導」累積差による優勢で手堅く下し、大駒石山は一人も抜けないままに畳から降りることとなる。続いて竹村は大将の瀧川駿を相手に、絡ませておいた足を抜いての横四方固、続いて上四方固と繋いでリスクなく勝利。三人残しという大差で国士舘が勝利決定、準決勝進出を決めた。

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竹村は上四方固「一本」で二人抜き達成、国士舘は三人残しで勝利を決める

国士舘高(東京)◯三人残し△神戸国際大附高(兵庫)
(先)磯村亮太×引分×田上英也(先)
(次)河田闘志◯内股(0:17)△倉見潤(次)
(次)河田闘志×引分×新井滉燿(中)
(中)竹村昂大◯優勢[僅差]△石山潤平(副)
(中)竹村昂大◯上四方固(1:40)△瀧川駿(大)
(副)飯田健太郎
(大)山田伊織

戦力の分厚さに戦略の確かさ、と国士舘がその強さをまざまざと見せつけた試合。
神戸国際大附は大会通じた石山の不調が響いたが、それ以上に周辺戦力の底上げが夏に向けての大きな課題として残った。どこから点を取られるかわからない、と他校にその戦線全体を怖れさせることで流れを掴んだ前代チームのような骨の太さを獲得することが出来るか、以後に大いに期待したい。

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新田・伊藤好信が小内刈で大きく崩すが、西山瑠星あくまでポイントを許さず

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立川新(左)と浜野大生の大将同士による対決

大牟田高(福岡)◯代表戦△新田高(愛媛)
(先)坂本崇輔×引分×信岡弘太(先)
(次)立野宏輔△優勢[技有]◯米澤航春(次)
(中)西山瑠星◯背負投(2:42)△米澤航春(次)
(中)西山瑠星◯優勢[有効]△原田幹大(中)
(中)西山瑠星△反則(2:28)◯伊藤好信(副)
(副)西田将樹×引分×伊藤好信(副)
(大)浜野大生×引分×立川新(大)
(代)浜野大生◯小外刈(1:49)△伊藤好信(副)

前戦で東海大相模を下した新田に競り勝ち、Bシード校大牟田がベスト4入り決定。
新田は信岡弘太を先鋒に送り込み、伊藤好信と立川新を最後衛に配する分散配置。前戦で強豪東海大相模を相手に3戦している伊藤、前日に決勝の13分間の激戦を含む5戦を戦っている立川を後に下げ、信岡を中心とした前3人で出来得る限り大牟田の戦力を削ぐという作戦。

一方の大牟田は今大会一貫して採る副将西田将樹、大将浜野大生という大黒柱二人の後衛配置を動かさず。前段の抜き役として期待される大型選手西山瑠星をも中堅に置き、後ろ3枚を手厚くした布陣。

そして新田は抜き役を担うべき先鋒・信岡弘太が坂本崇輔を突破出来ずに引き分け、試合の流れは大牟田へ。新田は次鋒米澤航春が一人を抜いて先制するが、ここから大牟田の中堅西山瑠星が米澤を背負投「一本」、原田幹大を「有効」による優勢でそれぞれ下して二人抜き。一人差ビハインドで出動した新田の副将伊藤好信は西山を「指導4」の反則で下して抜き返すが、副将対決では西田将樹とフルタイム戦った末に引き分け。ポイントゲッター同士がマッチアップした大将対決も浜野大生と立川新が投げの上に投げを重ね合う大激戦の末に引き分け、勝負の行方は代表者1名による決定戦へと委ねられる。

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代表戦、浜野は小外刈で「有効」先行

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浜野再度の小外刈が鮮やかに決まり「一本」

代表戦は浜野が左、伊藤が右組みのケンカ四つ。
56秒、浜野が二段の小外刈を入れて「有効」先行。伊藤は左一本背負投、背中を叩いての小内刈で対抗しつつ機会を伺う。

1分49秒、浜野が相手を動かしながら再び二段の足技。十分警戒していたはずの伊藤だが一段目を送足払の理合で入れる浜野のセンス溢れる攻撃に大きく崩れ、二の矢の小外刈をまともに食って宙を舞う。これは文句なしの「一本」。

大牟田、歓喜のベスト4進出決定。新田は東海大相模を破る殊勲を演じながらベスト8で涙を呑むこととなった。

全てが大牟田ペースで進んだ試合。前でリードし、得点役同士のマッチアップを引き分けで止め、そして相性が嵌る代表戦一発勝負で相手を沈め、とこれしかないという勝ち方だった。強豪を押しのけ九州枠でシード校入り、しかもシードの当落線上にあった強豪たちが全て他ブロックに配されてともともと運気の向いていた大会であったが、その序盤戦で蓄えた力を存分に発揮し、この試合は狭い一本道のシナリオをしっかり渡りきった。大会全体を通じた勝負どころ全てを一点に集約させたような代表戦を見事勝ち切った浜野の強さも、大いに称えられるべきであろう。

新田は先鋒信岡の引き分けが痛かったが、それ以上に全体として東海大相模戦で力を使い果たした感あり。あと一歩でポイントという場面は頻発したが、決め切るだけの肉体的、精神的な緊張が体にもはや残っていないという印象だった。前述の通り立川は前日立って畳を降りたのが不思議なほどの激戦をこなしたばかりであり、伊藤は直前に東海大相模のポイントゲッター3枚を立て続けに抜いたばかり。しかもこの試合ではサイズのある西山、西田と連戦し、西田とはフルタイム戦っている。いかにタフな伊藤でも肉体的、精神的な糸が切れても不思議ではない。大牟田とは対照的に厳しい組み合わせ配置から有無を言わせぬ力を以て這い上がった新田であったが、惜しくも大魚を逸した形となった。

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大成・友田皓太が白鴎大足利・薄井裕太に払腰で一本勝ち

大成高(愛知)◯一人残し△白鴎大足利高(栃木)
(先)渡辺神威×引分×長島立弥(先)
(次)友田皓太◯払腰(2:37)△薄井裕太(次)
(次)友田皓太×引分×菊池優充(中)
(中)古賀颯人◯優勢[有効]△佐俣楓(副)
(中)古賀颯人△小外刈(2:40)◯太田彪雅(大)
(副)並木泰雅×引分×太田彪雅(大)
(大)神鳥剛

総合力では大成が大きく勝る。唯一最大のアップセット要素は白鴎大足利の大将に座る個人無差別王者・太田彪雅の存在。
大成のテーマは何枚を残して太田に対峙出来るか、一方の白鴎大足利は相手の戦力を少しでも多く減殺した上で太田に回すことが戦略上の大方針。大成は古賀颯人、並木泰雅、神鳥剛の「三本の矢」を後衛に並べて万が一にも抜かれまいとの堅陣を組み、白鴎大足利は当然のように大将に置かれた太田がこの巨大戦力を一気に貫かんと腕を撫す。

大成は先鋒の渡辺神威が長島立弥に引き分けたものの、次鋒友田皓太が薄井裕太から背負投「有効」、さらに払腰「一本」を奪って1勝1分け、さらに中堅古賀颯人が「有効」優勢で副将格の佐俣楓を抜き、二人差リードを持って大将の太田彪雅を引きずり出すことに成功。太田の前に残ったのは古賀、並木、神鳥という強力三枚。

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太田彪雅の前進圧力に古賀颯人は徐々に後退、場外際に詰まり始める

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並木泰雅は圧力と足技で徹底的に太田の体力を削る

古賀、太田ともに右組みの相四つ。体格差に怖じない古賀は、機を見て奥襟を叩く攻撃的な守備で流れを作り、背負投を試みて太田を崩しに掛かる。まず太田に「指導1」、続いて1分53秒、古賀に場外の「指導1が与えられる。
ここから太田、これまでと手順を変えて釣り手から先に持って露骨に圧力を掛け始める。前進圧力が効き始めて古賀はジリジリ後退。そして残り20秒、下がりきれなくなった古賀が場外際で止まったところに太田の小外刈一閃。体の固まった古賀はこれを残せず宙を舞い「一本」、2分40秒。太田、「三本の矢」の一角を崩してまず一人抜き達成。

続いて畳に上がったのは並木泰雅。ここを抜かれるとどちらに勝負が転がってもおかしくない一発勝負の大将対決に試合を持ち込まれてしまうという気の抜けない状況だが、回りの良く見える並木は右相四つの太田に横変形でしっかり圧力を掛け、さらに支釣込足で蹴り崩す手堅い試合を志向。24秒、極端な防御姿勢の咎で太田に「指導1」。

並木は横変形の圧力と支釣込足の蹴り崩しというここまでの戦術を継続、前日の個人戦を含めてここまで大会通算10試合を戦って来た太田の体力を徹底的に削りに掛かる。1分20秒、支釣込足で崩れた太田は踏み止まって内股巻込に繋ぐが並木は崩れず。

並木、横変形で太田の動きを止めると上下のあおりを入れて支釣込足で蹴り崩す。太田耐えきれず畳に伏せ、直後の2分3秒太田に2つ目の「指導」宣告。

残り時間9秒、太田最後の力を振り絞って右大内刈を仕掛けケンケンで激しく追うが、状況を心得た並木は場外まで出てこれを回避。これを受けて残り5秒で並木に場外の「指導」が宣告されるが大勢には影響なし。この試合は引き分けに終わり、大成が一人残しで勝利して準決勝の畳へと進むこととなった。

嵌ったオーダ順、そして手堅い試合振り。大成、充実した戦力と油断のない戦略をテコに見事ベスト4進出決定。

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松井海斗と冨安一真の中堅対決

日体荏原高(東京)◯一人残し△天理高(奈良)
(先)長井晃志×引分×矢野真我(先)
(次)東部雄大×引分×田中慎太郎(次)
(中)松井海斗×引分×冨安一真(中)
(副)藤原崇太郎◯隅落(2:53)△並里樹(副)
(副)藤原崇太郎×引分×山崎壱盛(大)
(大)長井達也

準々決勝最大の注目カードは日体荏原が勝利。

先鋒戦から中堅戦までの3カードは両軍相譲らず3試合連続の引き分け。勝敗の行方は天理のエース並里樹と、前日の個人戦81kg級王者藤原崇太郎の副将同士がマッチアップする第4戦に集約されることとなる。

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副将同士の対決は藤原崇太郎が並里樹から隅落「一本」

藤原は体格差に怖じず左大内刈、左大外刈で攻め、膂力に勝る並里はこれを度々返しかかって試合は拮抗。並里が「指導」1つをリードしたまま試合は最終盤までもつれ込む。

ここで試合は大きく動く。藤原は迫力十分の左大内刈で流れを作り、さらに踏み込むと身を翻し、腕を反時計回りにハンドル操作して並里を大きく崩す。「足を当てない支釣込足」とも呼ぶべきこの一撃は高い位置で掴んだ釣り手の拘束が良く効き鮮やかな「一本」、2分53秒。藤原の値千金の一撃で日体荏原がついに先制。

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山崎壱盛が波状攻撃、しかし藤原崇太郎は腰の差しあいに応じ続けて引き分けを獲得

続く試合は畳に残った藤原に対し、天理の攻撃カードである大将山崎壱盛が激しく噛みつく。ケンカ四つの腰の入れ合いから体格に勝る山崎が強気に技を入れ続け、藤原は肘抜きの背負投で対抗するものの体力が切れて押され気味。「指導1」対「指導2」で山崎リードのまま試合は最終盤に持ち込まれる。山崎迫力十分の右内股で攻め続けるが、藤原気力を振り絞って自身の左体落で攻撃に変換し、腰を入れ替えてあくまで畳に立ち続ける。あと1つの「指導」が入れば山崎の勝利というギリギリの状況での攻防が続くが、藤原必死の粘りでなんとか「それまで」の声を聞くに至る。日体荏原、1勝4分けの一人残しで強豪天理に競り勝ち、準決勝進出決定。

抜群の攻撃力を誇りながら試合力に難があるとされる日体荏原、同じく粗削りだが技一撃の威力は抜群の天理。駒の質がかち合った印象で試合は拮抗したが、チーム全体の長所である攻撃力に加えて勝負力とクレバーさを兼ね備えた藤原という勝負駒一枚の保有が決定打となったという体の一番だった。

結果決まった準決勝のカードは、

国士舘高 - 大牟田高
大成高 - 日体荏原高

となった。

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版3月27日掲載記事より転載・編集しています。
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