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第37回全国高等学校柔道選手権大会・男子団体戦マッチレポート③三回戦

(2015年3月25日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版3月25日掲載記事より転載・編集しています。
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男子団体戦マッチレポート③三回戦
第37回全国高等学校柔道選手権大会
■ 三回戦
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国士舘の田嶋剛希が比叡山・今村日向から袖釣込腰「技有」

ベスト16が出揃った。

準々決勝進出を争う8試合のうち、特に注目しておきたい対決は4つ。優勝候補のAシード校に対して上位進出の力が十分ある強豪が噛みつくという構図のBブロックの東海大相模-新田、Cブロックの大成-埼玉栄戦。そしてBシード校と、シードの当落線上にあった実力派チームが入賞を賭けて争うAブロックの作陽-神戸国際大附戦とCブロックの修徳-白鴎大足利戦だ。

【Aブロック】

国士舘高(東京)◯五人残し△比叡山高(滋賀)
(先)田嶋剛希◯優勢[技有]△大村優太(先)
(先)田嶋剛希◯縦四方固(2:40)△北川仁基(次)
(先)田嶋剛希◯合技(1:10)△今村日向(中)
(先)田嶋剛希◯合技(1:26)△後藤英仁(副)
(先)田嶋剛希◯内股(0:05)△八木佐太治(大)
(次)竹村昂大
(中)磯村亮太
(副)山田伊織
(大)飯田健太郎

国士舘は前日に個人戦90kg級を制した田嶋剛希を先鋒に起用。招待試合シリーズおよび東京予選の出来の良さ、そしてこれらの大会時に垣間見せた岩渕監督が寄せる信頼の高さを考えると田嶋は勝負どころに残す決戦兵力の一と考えてまず間違いなく、それも勝負全体の流れを左右する重要ポジションに投入することが濃厚。前日に5試合をこなしている田嶋の疲労とチームの戦力の分厚さを考えれば「本番」まで田嶋を1試合も出さずに温存しておくことすら考えられたが、敢えて早い段階での起用となった。

田嶋は期待に応えてあっという間に5人を抜き去る。左右手順を変えながら組み、攻め、そして抑え、と骨惜しみなく攻撃アクションを繰り出し続けるその内容から疲労、あるいは全国優勝を果たしたことによる慢心は伺えず。上位対戦に向けて田嶋は完調と観察しておくべきかと思われる充実の5試合だった。優勝候補国士舘、隙を見せずに準々決勝進出決定。

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作陽・久野壱虎(左)と神戸国際大附・新井滉燿による中堅対

神戸国際大附高(兵庫)◯一人残し△作陽高(岡山)
(先)倉見潤△優勢[僅差]◯星野太駆(先)
(次)田上英也◯優勢[僅差]△星野太駆(先)
(次)田上英也×引分×安田夢飛(次)
(中)新井滉燿×引分×久野壱虎(中)
(副)瀧川駿△優勢[技有]◯田村淑真(副)
(大)石山潤平◯優勢[僅差]△田村淑真(副)
(大)石山潤平◯内股(2:32)△岩﨑恒紀(大)

作陽の作戦は明らかに神戸国際大附を「格上」と規定した持久戦。前半をなんとか粘り、相手のエース石山潤平と自軍の大将岩﨑恒紀による「個」の対決の結果がそのまま「集団」の勝利に繋がる状況を作り出した上で、サイズのある岩﨑の一発に賭けようというもの。総合力の高さをテコに長い防衛ラインを敷いて勝負どころを一試合に絞り、そこに飛び道具を仕掛ける。いかにも作陽らしい練れた策だ。

次鋒に田上、そして中堅に巨漢のポイントゲッター新井滉燿と火力十分の陣地を二つ構える神戸国際大附にこの作戦を完遂するのはいかな作陽といえども難しいかと思われたが、作陽の選手たちはもはや伝統となりつつある作戦遂行力の高さを存分に発揮。一勝一敗のタイスコアで中堅対決まで勝負を持ち込むと、弱点と思われた中堅久野壱虎が「久野が最も力を発揮できるのは新井タイプ」(作陽・川野一道監督)との読み通り見事新井と引き分ける大殊勲。この大山場を越えた作陽は田村淑真が神戸国際の防御壁が薄くなった副将ポジションに確実に刃を入れ大内刈「技有」で優勢勝ち。ここまでは、出来過ぎと言えるくらいに完璧な作陽ペース。

ここで一人差ビハインドの神戸国際大附は大将に座るエース石山潤平が登場。畳に残った田村は石山の力を減殺すべく失点を「指導3」までに抑えてフルタイム粘り切る。

迎えた最終戦、石山と岩﨑の大将対決は双方右組みの相四つ。岩﨑がじわりと組み勝ち、双方リスクを冒し過ぎることなく慎重な戦いぶりのまま、息詰まる、しかし静かな戦いが中盤まで続く。

迎えた1分38秒、釣り手で奥襟を確保した岩﨑が右大内刈、さらに右体落に繋いで石山を捻り倒す。石山尻から畳に落ちて主審は「有効」を宣告。会場に湧き起る歓声と悲鳴、作陽はミッション完遂まであといよいよ一歩。

しかし直後に副審のアピールで合議が持たれ、結果この「有効」は取り消し。石山の着地はポイントに値しない「尻もち」と判断された模様。

再開後、双方横変形で釣り手を落とし合ったところから岩﨑が支釣込足。石山やや体勢を崩す。

この支釣込足で石山が崩れかけたこと、そして先ほどのポイント奪取(と取り消し)が伏線となって試合は決着を見ることとなる。先ほどの技に手応えを得た岩﨑が再び支釣込足、石山が崩れかけると岩﨑は勝負どころはこことばかりに一気に押し込む。

これが岩﨑の命取りとなった。徹底警戒に晒されて今大会は不調の石山だが、互いに投げ合える距離に入ればやはりその強さは比類なし。石山はもたれ掛って来た相手の上体を呼び込むと身を翻して豪快な右内股、見事決まって文句のつけようのない鮮やかな「一本」。

石山の一発の強さを十分知る岩﨑、序盤の戦いぶりであればこのリスクは絶対に採らなかったはず。一度は「有効」を得たこと、そして支釣込足が効いたことをテコに勝負をつけんと体重を掛けて相手の間合いに踏み込んだわけだが、それは石山最大の持ち味である投げ一発の強さを呼び込むこととなってしまった。

神戸国際大附はポリシーである投げ一撃の強さに助けられ、シード校作陽を倒して見事ベスト8進出。戦況の不利を「技」で打開する、いかにもこのチームらしい勝ち振りであった。

敗れた作陽も「色々分析は出来るが、(岩崎は)攻めに出たんだから仕方がない」との川野監督のコメントが語る通り、チームワークと作戦遂行力の高さ、そして何より勝負どころで腹を括る「博打」が出来るチームであることを証明した大健闘。夏が楽しみになる試合ぶりであった。

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早川佑斗と伊藤好信がマッチアップ、この試合で試合の流れは新田に大きく傾く

新田高(愛媛)◯二人残し△東海大学付属相模高(神奈川)
(先)米澤航春△反則負け(2:50)◯原伸之介(先)
(次)信岡弘太◯横四方固(0:59)△原伸之介(先)
(次)信岡弘太×引分×河内優斗(次)
(中)原田幹大△優勢[技有]◯早川佑斗(中)
(副)伊藤好信◯優勢[有効]△早川佑斗(中)
(副)伊藤好信◯出足払(2:39)△杢康次郎(副)
(副)伊藤好信◯優勢[技有]△辻湧斗(大)
(大)立川新


大会最大の衝撃。四つ角シード校東海大相模が上位進出の最難関とされていた新田戦を乗り越えられず、三回戦で早くも姿を消した。
この大一番に向けて気合十分の新田はポイントゲッター3枚のうち、立川を残したまま信岡と伊藤の2人だけで勝負をつけるという圧勝。先鋒戦のビハインドを受けた信岡弘太が原伸之介を横四方固であっという間に抜き返し、さらに河内優斗をしっかり止めるという大仕事。続いて畳に上がった原田幹大は早川佑斗に敗れたが、ここで登場した副将伊藤祐信が早川を「有効」で抜き返し、さらにこの試合最大の勝負どころと思われた杢康次郎戦に出足払で一本勝ちするという素晴らしい強さを披露。

この副将対決の結果を以て試合の趨勢は完全確定。続く第7試合も伊藤が辻を「技有」優勢で抜いて試合終了、なんと二人残しという大差でこの試合は新田がモノにすることとなった。

Aシード校の三回戦陥落という大事件に場内はしばしのざわめき。しかしこの結果は決して大番狂わせではない。大会前から各校の指揮官の間では「新田は強い」「ベスト4に残る力がある」「(東海大相模との)三回戦はどちらが勝ってもおかしくない」との声が多く挙がっており、このアップセットも会場が揺れるような大インパクトというよりは、想定内の「ありうべき事態」として受け止められたという印象。新田が結果を以てその強さを証明したという一番だった。

敗れた東海大相模。星取り自体は2勝4敗だがこの試合で攻略すべきであったエース格の信岡と伊藤に対しての成績に限定すると、その数字は実に0勝3敗1分け。これでは勝ちの計算が立とうはずがない。後衛の抑えに置いたエース格の杢と辻も立て続けに抜かれてしまうという、まさしく完敗であった。

東海大相模・高橋洋樹監督は「戦う準備が出来ていない。俺がやってやるという気迫が出ていないし、これでは到底優勝を狙うチームではない。技術的に良いものを持っているチームなのに、開き直らせることが出来ずその良さを引き出せなかったのは自分の責任」と沈鬱なコメント。「落ちるところまで落ちたので、インターハイに向けては『これだけやったんだから』と自信が湧いてくるような量の稽古をやります」と語って武道館を後にした。

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埼玉栄の次鋒焼谷風太が大成・渡辺神威から払巻込「有効」

大牟田高(福岡)◯三人残し△前橋育英高(群馬)
(先)坂本崇輔×引分×深澤優斗(先)
(次)立野宏輔×引分×片倉弘貴(次)
(中)西田将樹◯抱分(1:54)△綿貫友祐(中)
(中)西田将樹◯小外刈(1:59)△岩本活(副)
(中)西田将樹◯優勢[有効]△吉川拓海(大)
(副)西山瑠星
(大)浜野大生

シード校大牟田が前橋育英高を粉砕。副将西山瑠星、大将浜野大生を出動させることなく、前衛2枚の引き分けを受けた大型選手西田将樹の三人抜きで勝負あり。三人残しの大差で悠々準々決勝進出を決めた。

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埼玉栄の次鋒焼谷風太が大成・渡辺神威から払巻込「有効」

大成高(愛知)◯一人残し△埼玉栄高(埼玉)
(先)渡辺神威◯優勢[僅差]△高橋拓巳(先)
(先)渡辺神威△優勢[有効]◯焼谷風太(次)
(次)古賀颯人◯内股(1:57)△焼谷風太(次)
(次)古賀颯人△優勢[僅差]◯今入晃也(中)
(中)友田皓太◯優勢[技有]△今入晃也(中)
(中)友田皓太△支釣込足(1:07)◯長濱快飛(副)
(副)並木泰雅◯大内返(0:22)△長濱快飛(副)
(副)並木泰雅△優勢[僅差]◯蓜島剛(大)
(大)神鳥剛◯優勢[僅差]△蓜島剛(大)

三回戦屈指の注目カードは抜いて抜かれての大激戦。埼玉栄は12月の水田杯での大敗(選手を落とした大成に0-5)が嘘のように「上から目線」の強気を発揮、優勝候補大成に食らいついた。

大成は先鋒に起用した渡辺神威が高橋拓巳を指導「優勢」で抜くが、続いて畳に上がった埼玉栄の焼谷風太が左払巻込に渡辺を捕まえ「技有」獲得、あっという間に試合をタイスコアに戻す。

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大成・古賀颯人が焼谷風太から内股「一本」

大成はこの日初出場となる古賀颯人が有無を言わさぬ右内股「一本」で焼谷を畳から引きずりおろすが、サイズのある今入晃也には「指導」を立て続けに奪われて僅差の優勢負け。ここまで試合は2勝2敗、乱戦の流れがどうやら確定。

大成の中堅友田皓太は畳に残った今入からポイントを挙げられないまま、終盤戦まで試合を持ち込まれる。全戦通じた勝負どころと思われたこの時間帯にしかし友田は踏ん張り、残り34秒で支釣込足「技有」を獲得して優勢勝ち。それでも埼玉栄は殴り合いを収束させることなく、副将長濱快飛が右大外刈で友田を追い詰め、1分7秒に肩越しに釣り手を入れると支釣込足で相手を畳に叩きおろし文句なしの「一本」。試合はこれで星取り3勝3敗のタイスコア、副将同士が対決する第7試合以降にその行方は委ねられる。

大成はここから並木泰雅と神鳥剛のエース級2枚を並べて置き、埼玉栄は大将に個人戦無差別3位の1年生エース蓜島剛という大会屈指の抜き役を据える。大将同士の力関係は肉薄、どちらに試合が転がってもおかしくないレベルであり、であればいずれかがフレッシュな状態で畳に上がれるかどうかにその試合の行方は掛かる。つまりは、自軍が複数枚で相手の大将に対峙することが出来るかどうか、もっと遡れば、ちまりは副将同士の対決で勝利を得たほうが最終的な勝ち名乗りを得る可能性が非常に高いと言えるはずだ。

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副将対決、大成・並木泰雅が長濱快飛を大内返「一本」に仕留める

というわけで注目の副将対決は並木、長濱ともに右組みの相四つ。畳に残った長濱はがっぷり持って右大外刈を仕掛け、強豪並木に対してやる気十分。
一合のやりとりあって、引き手で襟を掴んだ長濱再び両襟で右大内刈。しかし呼び込んだ並木鮮やかな体捌きでこれを大内返に捉え「一本」、22秒。大成、一人差をリードして埼玉栄の大将蓜島を畳に引きずり出す。

続く試合は並木、蓜島ともに右組みの相四つ。並木は慎重に引き手から襟を掴むが、同じく慎重ながらサイズのある蓜島は圧の掛け合いから半歩抜け出し、支釣込足の形で右足を蹴る崩し技でリスクなく並木を大きく崩す。崩れた並木に体を浴びせて押し込もうとした直後の55秒、並木に「指導1」。

並木奮起して釣り手を叩き入れながらの右大外刈を試みるが、蓜島は釣り手で片襟を掴む強い形の大外返で迎え撃つ。取り味十分、一瞬ポイント奪取が想起されたのこの技は最終的に並木の体が抜けてしまって決まるには至らなかったが、以後並木の攻撃は明らかに減速。大成・石田輝也監督からは「攻めろ!」と強烈な檄が飛ぶ。

その並木同様に慎重に試合を進める蓜島だったが、終盤に山場を作りに掛かって両襟の右内股に支釣込足、右大外刈と連続攻撃。これを受けて残り14秒で並木に痛恨の「指導2」が与えられる。
結果この試合は蓜島の反則累積差による優勢勝ちに終着。蓜島が畳に残り、大成・神鳥剛を迎え入れての大将対決に勝負が持ち込まれることとなる。

大将同士による最終戦は神鳥が左、蓜島が右組みのケンカ四つ。蓜島開始早々に思い切った右内股、神鳥は揺るがず受け止めるものの出だしの一撃という重要陣地をまず蓜島が取ったという印象。

しかし、蓜島は直後ステップを切っての右内股に右払腰と立て続けに放つと、この連続攻撃の直後から明らかに疲労。釣り手をずらしながら着実に一歩、また一歩と前進を続ける神鳥の圧力をまともに受けるようになり苦しい体勢が続く。

「待て」の度に苦しい表情を見せる蓜島に対し、神鳥は釣り手一本で突進継続。しかも蓜島の「瞬間芸」で思わぬ一発を食うリスクを十分考え、残酷な程に大技を仕掛けず圧力に徹するクレバーな試合振り。1分52秒ついに蓜島に場外の「指導」が宣告されるに至る。

病める巨象と化した蓜島だが、この「指導」に奮起して一瞬復活。右内股、右大外刈、さらに右内股と迫力ある技を繰り出して逆転を狙うが、神鳥は一撃目を腹を出しながらうつぶせの形で凌ぐと、以後もしっかり捌き、捌いては前に出ることの連続。最後の力を振り絞った蓜島にはもはやこれを残すことは出来ず、残り4秒で決勝点となる2つ目の場外「指導」。そのまま試合は終了し、この試合は神鳥の反則累積差による優勢勝ちで決着。スコア一人残しを以て、大成が準々決勝への進出を決めた。

大成が存分にその力を見せ、そして1年生チームの埼玉栄がそのポテンシャルの高さを十分に示したという体の好試合であった。取って取られての試合展開ではあったが、常に先手を打ってリードを得た大成、取られては追いつくという追撃戦を強いられた埼玉栄という「カードを出す順番」の差が最終的に大きく効いた一番だった。

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修徳は福田宝の袖釣込腰「技有」で先制

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白鴎大足利の薄井裕太が久原力から袈裟固「一本」、試合は抜いて抜かれての乱戦となる

白鴎大足利高(栃木)◯一人残し△修徳高(東京)
(先)菊池優充△優勢[技有]◯福田宝(先)
(次)薄井裕太◯優勢[僅差]△福田宝(先)
(次)薄井裕太◯袈裟固(1:08)△久原力(次)
(次)薄井裕太△合技(1:33)◯増山香補(中)
(中)長島立弥△優勢[僅差]◯増山香補(中)
(副)佐俣楓◯優勢[有効]△増山香補(中)
(副)佐俣楓△反則(1:42)◯室和樹(副)
(大)太田彪雅◯合技(1:34)△室和樹(副)
(大)太田彪雅◯優勢[有効]△佐藤竜(大)

昨年大会の決勝カードである修徳-白鴎大足利の再戦がベスト16で実現。
大会最大の大駒である個人無差別王者太田彪雅の前に修徳が何枚を残すか、白鴎大足利がどれだけ相手の枚数を減殺しておくかというのがそれぞれ両校に課された大きなテーマ。

先鋒戦は修徳・福田宝を白鴎大足利・菊池優充がサイズの差で圧倒。組めばすかさず担ぎ技、という厄介な戦術を採る福田の幾度目かの背負投を読み切って真後ろに引き落とし「有効」を獲得。しかし福田は諦めず袖釣込腰「技有」で逆転に成功、初戦は修徳がモノにする。

しかしここから白鴎大足利の次鋒・薄井裕太が二人抜きの活躍を見せる。まず福田を「指導」3つを獲得しての反則累積差で破ると、続いて畳に上がった久原力には序盤攻め込まれたが前戦で見せた久原の裏への弱さを的確に突き、小外掛で「有効」獲得。そのままあくまで両手を離さず押し込み続け袈裟固「一本」でゴールすることに成功。

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太田彪雅が控える大将ポジションへの斬り込みを狙う修徳・増山香輔が長島立弥を攻め、2人抜き達成

修徳はここで畳に上がった中堅増山香補が前戦に引き続いての奮闘で劣勢を跳ね返す。まずは薄井を背負投「技有」から袈裟固に抑え込んで合技の一本勝ち、さらに続く中堅同士の対決で長島立弥を反則累積差による優勢で下し2人抜き。そして3戦目では太田到達への最終関門である副将佐俣楓戦に挑む。
この試合は終盤まで双方ノーポイントで引き分け濃厚だったが、あくまで勝利にこだわる増山は残り1秒で抱き付きの小外刈。しかしこれが裏目に出、腰の重い佐俣は増山の体をキャッチして切り返し「有効」を獲得。試合終了直前に起こったこの大インシデントの結果佐俣が優勢で勝利し、増山は畳から退くことになった。

続く試合、修徳は副将の大型1年生・室和樹が登場。序盤佐俣に払腰返「有効」を食うが、上背の高さを生かして圧力を掛け続けると佐俣はこれを捌けず、1分42秒佐俣に「指導4」が宣告されて室の逆転勝利が決定。修徳は抜きつ抜かれつの激戦の中、辛うじて一人差リードを確保して白鴎大足利の大将太田を畳に迎え入れる。

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太田彪雅が室和樹から支釣込足「有効」

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最終戦、太田が佐藤竜から体落「有効」を獲得して勝負あり

迎えた第8試合は太田彪雅が室を圧倒、室は開始1分に完全に極まったかに見えた太田の腕挫十字固を「待て」まで耐えきる粘りをみせたが、直後の1分21秒に太田が放った支釣込足に大きく崩れ「有効」失陥。押し込む際に半ば腕を極めていた太田は展開を切らずに横四方固に繋いでしっかり取りきり「一本」、1分34秒。勝敗の行方は修徳のエース佐藤竜と太田による最終戦にもつれ込むこととなった。

この試合は太田、佐藤ともに右組みの相四つ。佐藤は片襟の背負投に小内刈、巴投と放ってヒットアンドアウェイの試合を志向するが、40秒を過ぎたところで太田が手順を変えて釣り手から持ち、初めて佐藤を捕まえることに成功。圧をまともに受けた佐藤は上体を屈して手のひらを畳についてしまう。佐藤は素早く手のひらを中心に回転して圧の無力化を図るが、直後の52秒主審は佐藤に「指導」を宣告。

以後は佐藤が組み際の背負投に巴投、その間を縫って太田が佐藤を捕まえ大技一発を狙うという展開。1分15秒、太田が思い切り右大外刈を放つが佐藤は引き手を切って回避。1分20秒、太田が佐藤を捕まえると佐藤は深く巴投に飛び込んで展開を切る。

徐々に太田の圧が効き始めてはいるものの佐藤も良く粘り、あるいは代表戦もあり得るかと思われた残り32秒、太田が右大外刈から体落に連絡して佐藤を捻り倒しついに「有効」獲得。以後は捨身技を狙う佐藤を太田がしっかり捌いてタイムアップ。太田の「有効」による優勢勝ちが決まり、白鴎大足利がベスト8へ名乗りをあげることとなった。

この試合、修徳は出来得れば我慢の効く中堅増山からを太田に当てて、十分相手が疲労した状態を作った上で佐藤を畳に送り込みたかったはず。左右の担ぎ技で粘りの効く増山、サイズがあって圧力のある室、そして懐に捨て身技の一撃を呑む粘り腰ファイター佐藤という質の違う三段構えを以て太田の力を削り取り、本戦で勝負をつけてしまう作戦ではなかったろうか。中堅戦終了時点でタイスコアであればこのシナリオは十分実現可能であったと思われるが、しかし白鴎大足利の薄井の奮戦によってこのプランは頓挫。増山は本来あるべき太田に対する粘りの札ではなく、前衛に対する攻撃カードとしての属性をより濃く担わざるざるを得なくなり、太田まであと1人と迫った佐俣戦の残り2秒で力尽きてしまった。

次鋒薄井の奮闘と大黒柱・太田の活躍により白鴎大足利はシード校修徳を一人残しで撃破。昨年決勝のリベンジも果たし、見事ベスト8進出決定。

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日体荏原・長井晃志が福井工大福井・大西希明を袖釣込腰「一本」に仕留める

日体荏原高(東京)◯三人残し△福井大福井高(福井)
(先)長井晃志◯袖釣込腰(1:15)△大西希明(先)
(先)長井晃志△優勢[技有]◯宮浦司(次)
(次)東部雄大◯優勢[僅差]△宮浦司(次)
(次)東部雄大×引分×牧野祐也(中)
(中)長井達也◯腕挫十字固(1:34)△中川清志郎(副)
(中)長井達也◯合技(1:43)△ダシドラム イシドルジ(大)
(副)藤原崇太郎
(大)松井海斗

先鋒戦は体格で勝る日体荏原の長井晃志がしっかり組んで前に出る良い出だし。1分15秒に袖釣込腰を仕掛けると福井工大福井・大西為す術なく宙を舞って「一本」。日体荏原があっという間に先制。

しかし福井工大福井は続いて畳に上がった次鋒の宮浦司が長井から送足払「技有」を獲得、そのまま逆転を許さず3分を終えて優勢勝ち。1人を抜き返して試合はタイスコアに戻る。
ここで登場した日体荏原のポイントゲッター東部雄大は疲れの見える宮浦を攻め続け「指導」2つを奪って優勢勝ち。続いて畳に上がる福井工大福井の中堅牧野祐也は前日の個人戦無差別で優勝候補石山潤平に一本勝ちを果たしている実力者でありこの試合は大きな山場と思われたが、東部は持ち前の試合の上手さを発揮して、牧野に力を出させないまましっかり引き分けに持ち込む。

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長井達也がダシドラム・イシドルジから左一本背負投で「技有」奪取

続く試合は日体荏原が中堅の長井達也、福井工大福井は副将の中川清志郎という顔合わせ。軽量選手を取る手立てに長けた長井はしっかり組んで相手に柔道をさせないまま試合を優位に進め、中盤に相手が仕掛けた背負投を捌くやその釣り手をまたいで腕挫十字固。やや乱暴な技の選択であったが中川抗えずこれは「一本」。長井はさほどの体力の消耗ないまま、福井工大福井の大将ダシドラム・イシドルジを畳に迎え入れることとなる。

イシドルジは身長185cm、体重110kgの堂々たる体格。パワーでは引けを取らない長井だがまともに組み合っては不利と見たか、普段あまり見せない逆(左)の一本背負投で股中に潜り込む。不意を突かれたイシドルジ大きく崩れ「技有」。さらに長井は前に出るしかなくなったイシドルジの突進を良く見極め、払腰を返して「技有」獲得、合技の一本勝ちで勝負を決める。

日体荏原が4勝1敗1分け、三人を残して勝利決定。体格、体力ともに十分備わった福井工大福井は相当の難敵であったはずだが、パーフェクトゲームと評して良い一方的な試合だった。日体荏原は2戦を戦って藤原崇太郎以外のレギュラー4人が全て畳に立ち、かつこの試合では強豪校を相手にしながらも宿亜である試合の「乱れ」を引き起こすことなく勝利と万全の形。

初戦は試合に入りきれていない印象があったが、この試合でどうやら足元が定まった感あり。日体荏原は理想的な展開で態勢を整え、天理が待ち受けるであろう準々決勝へと駒を進める。

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天理・山崎壱盛が木更津総合・仲佐怜優から内股「技有」

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木更津総合・和田樹希也が冨安一真を背負投でめくって「有効」

天理高(奈良)◯一人残し△木更津総合高(千葉)
(先)山崎壱盛◯優勢[技有]△仲佐怜優(先)
(先)山崎壱盛◯優勢[有効]△楠竜童(次)
(先)山崎壱盛△優勢[僅差]◯和田樹希也(中)
(次)冨安一真△優勢[有効]◯和田樹希也(中)
(中)田中慎太郎◯内股(1:20)△和田樹希也(中)
(中)田中慎太郎△払腰(0:33)◯中村拓夢(副)
(副)並里樹◯大外刈(1:00)△中村拓夢(副)
(副)並里樹×引分×山下魁輝(大)
(大)矢野真我

この日明らかに波に乗っている木更津総合の快進撃を、天理が力を以てストップ。ただし試合は抜きつ抜かれつの大激戦であった。

強豪天理は先鋒山崎壱盛がともに「優勢」であっという間に2人を抜き去るが、木更津総合は下を向かない。中堅に投入されたエース和田樹希也が山崎を反則累積差の優勢で抜き返し、続いて畳に上がった巨漢冨安一真をも「有効」優勢で退け2人抜き達成。ここに至ってスコアはタイとなる。

天理は中堅の田中慎太郎が疲労した和田を鮮やかな内股「一本」で畳から引きずりおろしどうやら試合のゴールが見えるところまで駒を進めるが、それでも木更津総合はまだあきらめない。副将中村拓夢の払腰一発で田中を抜き返し、6戦を終えたところでスコアはまたもやタイ。

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最終戦、並里樹(左)が山下魁輝と引き分けて天理の勝利が決定

天理はここで副将のエース並里樹が出動、中村を大外刈「一本」で退けると、続いて畳に上がったポイントゲッター山下魁輝を引き分けで止めて試合終了。シード校天理、4勝3敗1分けの一人残しを以て準々決勝進出決定。

木更津総合はベスト8入賞を目前に敗退。さすがに天理の分厚い戦力を抜くのは難しかったようだが、和田と山下の攻撃力を駆っての、そして県内のライバル東海大浦安高の前々代メンバーを彷彿とさせるような大舞台に怖じぬ図太さを発揮してのベスト16勝ち上がりは大健闘であった。観客席と一体となっての日本武道館第8試合場の盛り上がりは、今大会序盤戦における大会の華であったと評したい。

結果決まった準々決勝4試合のカードは。

国士舘高 - 神戸国際大附高
新田高 - 大牟田高
大成高 - 白鴎大足利高
日体荏原高 - 天理高

となった。

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版3月25日掲載記事より転載・編集しています。
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