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グランプリ・デュッセルドルフ最終日男子レポート(90kg級、100kg級、100kg超級)

(2015年3月19日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版3月19日掲載記事より転載・編集しています。
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最終日男子レポート(90kg級、100kg級、100kg超級)
グランプリ・デュッセルドルフ
■ 90kg級・リパルテリアニ順当に優勝、西山大希はダークホースのザンキシエフに一本負けも表彰台を確保
【入賞者】 エントリー48名
1.LIPARTELIANI, Varlam(GEO)
2.ZANKISHIEV, Kazbek(RUS)
3.GVINIASHVILI, Beka(GEO)
3.NISHIYAMA, Daiki(JPN)
5.GWAK, Dong Han(KOR)
5.KUKOLJ, Aleksandar(SRB)
7.NYMAN, Marcus(SWE)
7.SHERAZADISHVILI, Nikoloz(ESP)

優勝は第1シードのヴァーラム・リパルテリアニ(グルジア)。2回戦はトーマス・カプラ(アメリカ)を右内股「有効」から横四方固「一本」(1:06)、3回戦はイスラム・ボズバエフ(カザフスタン)から「指導」3つを奪った末に肩固「一本」(3:28)、準々決勝はマーカス・ナイマン(スウェーデン)を内股と後袈裟固の合技「一本」(3:26)で下し、3試合連続の一本勝ち。
準決勝は前戦でグランドスラム東京王者ガク・ドンハン(韓国)に「指導」3つを奪われながら逆転の隅返「一本」で勝利してきた後輩ベカ・グビニアシビリ(グルジア)を「指導3」対「指導2」で下し決勝進出を決める。迎えた決勝では準決勝で西山大希を袖釣込腰一発「一本」に仕留めるなど全試合一本勝ちで勝ち上がって来た大ダークホースのカズベク・ザンキシエフ(ロシア)と対戦、まず「指導」2つのリードを得ると、相手の横三角から始まった寝技の展開で体を入れ替え、所謂裏固の形で抑え込んであっさり一本勝ち(3:23)。5戦して4つの一本勝ちという素晴らしい成績で優勝を決めた。

大本命リパルテリアニの優勝は順当な結果だが、トーナメントは全体として荒れ気味。その演出者は何と言っても銀メダルのザンキシエフ(ロシア)。勝ち上がりは1回戦でミハイル・マーチタン(UAE)を右背負投(0:29)、2回戦でギヨーム・エルモント(オランダ)を巴投から繋いだ腕挫十字固(3:17)、3回戦はミエウェネ・フェキル(アルジェリア)を右背負投(3:21)、準々決勝はニコロス・シェラザディシビリ(スペイン)を引込返と横四方固の合技(4:51)、そして準決勝は西山大希を右袖釣込腰(1:44)と決勝まで実に5連続一本勝ちという素晴らしいもの。あるいはリパルテリアニを食ってしまうのではないかとすら思われる勢いであった。

ザンキシエフは22歳、2011年に世界ジュニア選手権で優勝するもなぜかその後国際大会に起用されることはなく、昨年11月の欧州U-23選手権で表舞台に復帰かなうといきなり優勝、そし今大会がIJF主催大会初出場という情報の少ない選手。さすがロシアがデュッセルドルフ大会という大舞台に抜擢しただけのことはある、出色の出来であった。今後大いに警戒しておくべき選手だろう。

日本の西山は順調に勝ち上がっていたが、準決勝でザンキシエフに思わぬ黒星。3位決定戦の相手はグランドスラム東京決勝で敗れている曲者選手ガク・ドンハンとなかなか厳しい巡り合わせであったが、今回は西山らしさが出た。大外刈の恐怖をまき散らしておき、一転打点の高い袖釣込腰で鮮やかに投げつけ「技有」獲得。キッチリお返しして表彰台を確保した。

吉田優也は負傷明けゆえのコンディションの悪さか、持ち前の元気を発揮できず。3回戦でマーカス・ナイマンに奪われた「指導」1つを取り返せず、予選ラウンド敗退に終わった。

グビニアシビリは3位決定戦を勝利して表彰台を確保。
世界選手権で銀メダルを獲得した若手世代の旗手クリスチャン・トート(ハンガリー)は3回戦でアレクサンダー・クロク(セルビア)に「指導3」の優勢で敗れ予選ラウンド敗退に終わっている。

【成績上位者】

優 勝:ヴァーラム・リパルテリアニ(グルジア)
準優勝:カズベク・ザンキシエフ(ロシア)
第三位:ベカ・グヴィニアシビリ(グルジア)、西山大希

【準決勝】

ヴァーラム・リパルテリアニ(グルジア)○優勢[指導3]△ベカ・グヴィニアシビリ(グルジア)
カズベク・ザンキシエフ(ロシア)○袖釣込腰(1:44)△西山大希

【三位決定戦】

西山大希○優勢[技有・袖釣込腰]△ガク・ドンハン(韓国)
ベカ・グヴィニアシビリ(グルジア)○優勢[有効・隅落]△アレキサンダー・クロク(セルビア)


【決勝】

ヴァーラム・リパルテリアニ(グルジア)○後袈裟固(3:23)△カズベク・ザンキシエフ(ロシア)

【日本選手勝ち上がり】

吉田優也(旭化成)
成績:3回戦敗退

[2回戦]
吉田優也○反則[指導4](4:08)△クリストフ・ランバート(ドイツ)

吉田は右、ランバートは左組みのケンカ四つ。懐の深い相手に左体落で展開を切られることが続いてやや苦戦するも、右内股と右体落で攻め続け「指導4」で勝利。

[3回戦]
吉田優也△優勢[指導1]○マーカス・ナイマン(スイス)

右相四つ。体格差明らか。ナイマンは上背と手足の長さを利してプレッシャーを与え、吉田に消極の「指導1」。吉田は元気なく、このビハインドを取り戻せないまま試合終了。


西山大希(新日鐵住金)
成績:3位

[1回戦]
西山大希○横四方固(4:14)△セリオ・ディアス(ポルトガル)

左相四つ。ディアスは背負投、座り込みの大内刈に巴投と仕掛け続ける。明らかに投げではなく手数を稼ぐための技だが、西山に「指導1」。
取り返しにいく西山に対し、相手は完全に守勢。しかしここに落とし穴があり、西山やや強引な左大外刈を抱き返されてしまい「有効」失陥。
西山怒気を発して左大内刈、左大外刈、左内股で激しく攻めるがなかなか決め切れない。
残り57秒、西山引き手一本で相手の袖を押し込み、相手を半身にして送り出しながら片手の送足払「技有」。そのまま横四方固に抑え込むとディアスが「参った」。

[2回戦]
西山大希○優勢[技有・支釣込足]△アレクサンドル・イディー(フランス)

左相四つ。支釣込足から判断良く押し込み「技有」奪取。

[3回戦]
西山大希○優勢[指導1]△ナシフ・エリアス(レバノン)

左相四つ。技を仕掛けるとエリアスはいち早く潰れてしまい、西山はしっかりした形で投げに行くことが出来ない。しかし「指導」ひとつをリードした西山、守る相手の組み手をきちんとずらし、支釣込足で崩し、優位を保ったまま順行運転。破綻なく試合終了

[4回戦]
西山大希○優勢[技有・袖釣込腰]△アレキサンダー・クロク(セルビア)

左相四つ。右袖釣込腰で「技有」。左内股で「有効」を失うがリードを保ったままタイムアップ。

[準決勝]
西山大希△袖釣込腰(1:44)○カズベク・ザンキシエフ(ロシア)

ケンカ四つ。豪快な右袖釣込腰「一本」で西山意外な敗退。無印のザンキシエフはここまで全試合一本勝ち。

[3位決定戦]
西山大希○優勢[技有・袖釣込腰]△ガク・ドンハン(韓国)

左相四つ。序盤片襟の左背負投で攻勢点を稼がれ1分22秒「指導」1つを失うが、左大外刈、左大内刈と取り味十分の技を繋げて中盤の主導権は西山が握る。
2分6秒、右袖釣込腰が鮮やかに決まり主審は「一本」を宣告。これは「技有」に訂正となったが、西山はガクの追撃を「指導」2つまでで抑えてタイムアップ。

■ 100kg級・羽賀龍之介が得意の内股で「一本」連発、2週連続の優勝なる
【入賞者】 エントリー41名
1.HAGA, Ryunosuke(JPN)
2.DARWISH, Ramadan(EGY)
3.GROL, Henk(NED)
3.MARET, Cyrille(FRA)
5.CHO, Guham(KOR)
5.NAIDAN, Tuvshinbayar(MGL)
7.CORREA, Luciano(BRA)
7.RAKOV, Maxim(KAZ)

5試合全てを内股「一本」で決めて優勝した前週のヨーロッパオープン・ローマに続いて、日本の羽賀龍之介が大爆発。6戦して5つの一本勝ち、うち内股の一本勝ちが4つという素晴らしい成績で走り抜け、見事2週連続の優勝を決めた。

しかも今回の相手は強敵揃い。3回戦以降はいずれも世界選手権で表彰台を争うクラスの選手とマッチアップ、いずれも「一本」で退けている。順に追うと、まず1回戦でホゥイ・カイ(中国)を左内股「一本」(2:09)、2回戦はトマ・ニキフォロフ(ベルギー)に「指導2」の辛勝だったが、3回戦は地元のエースでチェリャビンスク世界選手権銅メダリストのカールリヒャード・フレイ(ドイツ)を終盤の鮮やかな連続攻撃で追い詰めこれも左内股「一本」(4:48)、そして準々決勝では昨年6月に一本負けを喫している階級きっての強豪ヘンク・グロル(オランダ)を左内股「一本」(1:50)に屠り去る。

準決勝は難剣遣いの担ぎ技ファイター、チョ・グハン(韓国)と対戦。刀を交えるだけでリズムを崩されかねない極めて面倒な選手だが、ここまで内股を決めまくっていれば流れはおのずとこちらに寄ってくる。左内股のモーションから変化した左小内刈で真裏に転がして「技有」、そのまま崩上四方固に抑え込んで合技「一本」(4:40)の快勝でこの試合を乗り切ることに成功。

決勝は2009年世界選手権銅メダリストのラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)とマッチアップ。左相四つの組み合いに応じ続けると怪力のダーウィッシュがこれを嫌気し、結果的に流れは羽賀へ。1分45秒に左内股モーションから左小内刈に触り、続いて左大内刈に切り返して鮮やかな「有効」獲得、最後は横三角から崩上四方固に繋いで「一本」。素晴らしい内容で優勝を決めた。

ついに100kg級に救世主現る、と言っても過言ではない。誰もが、眠れる獅子の羽賀がついに目覚めたと評するであろう圧勝劇であった。

しかし、試合内容を見る限り、「ついに羽賀のスイッチが入った」というような、盤面の黒い石が全て白くめくり返されるような劇的なブレイクスルーが起こったという印象ではない。それが逆に頼もしいのだが、柔道の内容を見る限りあくまでこの2週の11連勝は普段の羽賀の柔道の延長線上にあり、そこに人が変わったような異常性、例えば怖いものなしに刀を振るうような蛮勇や、普段であればやらないような特殊な組み立て、まだ相手に知られていない飛び道具の投入というような明白な方向転換があったわけではない。ホンの少しの積極性と技の切れ味の上積みが、試合の流れを羽賀に引き寄せ、いままでギリギリで決まらなかった技が決まる状況が出来上がって来たということではないだろうか。

「脱皮した」というよりは、待ったなしの世界選手権挑戦を控え、羽賀が自分の持てるキャパシティの中で順調に調子を上げて来ていると評すべきではないだろうか。単に勢いに乗って勝った、あるいは突然変異が起こったというわけではなく、未だ伸びしろを残す「出来の良さ」と評すべきかすかな上積みでこれだけの成績を残したことは、まことに喜ばしい。この2週の連続タイトル奪取でランキングも急上昇、他選手が国際大会でほとんどまったく勝てない現状に鑑みれば、現時点で世界選手権代表の座をほぼ手中にしたと見て良いだろう。収穫多き2週間であった。

羽賀以外に目立った選手は2位入賞のダーウィッシュ。準々決勝で第1シードのシリル・マレ(フランス)から「技有」、隅落「有効」と立て続けに奪って勝利、準決勝ではナイダン・ツブシンバヤル(モンゴル)を左内股「技有」、左大外刈「一本」と2度投げつけて勝利するなど出色の出来だった。

マレは敗者復活戦で、本戦でナイダンに屈したマキシム・ラコフ(カザフスタン)から4つの「指導」を奪って勝利。3位決定戦もチョ・グハンを浮落「技有」で勝利して表彰台を確保した。

【成績上位者】

優 勝:羽賀龍之介
準優勝:ダーウィッシュ・ラマダン(エジプト)
第三位:ヘンク・グロル(オランダ)、シリル・マレ(フランス)

【準決勝】

ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)○大外刈(4:56)△ナイダン・ツブシンバヤル(モンゴル)
羽賀龍之介○合技[小内刈・縦四方固](4:30)△チョ・グハン(韓国)

【三位決定戦】

シリル・マレ(フランス)○優勢[技有・浮落]△チョ・グハン(韓国)
ヘンク・グロル(オランダ)○優勢[有効・浮落]△ナイダン・ツブシンバヤル(モンゴル)

【決勝】

羽賀龍之介○崩上四方固(2:28)△ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)

【日本選手勝ち上がり】

羽賀龍之介(旭化成)
成績:優勝

[1回戦]
羽賀龍之介○内股(2:09)△ホゥイ・カイ(中国)

左相四つ。羽賀の動きに余裕あり。相手は切りまくって逃げるがなぜか羽賀に対して首抜きの「指導」。
以後もホゥイは片襟を差し続けて「指導」、「襟隠し」に外巻込の掛け潰れ、持っては切り離してまともに戦う姿勢なし。羽賀が持つと腕を突っ張って極端な守備姿勢になるなど、もはや勝ちを考えずに遮二無二時間を引きのばす作戦。
それでも羽賀慌てず、捕まえるなり斜めから回しこんで左内股「一本」。

[2回戦]
羽賀龍之介○優勢[指導2]△トマ・ニキフォロフ(ベルギー)

ケンカ四つ。42秒双方に「指導」。
羽賀が引き手を持ちに行くと相手は嫌う。相手に片手の「指導」。
羽賀、両手を持っては左内股、不十分な姿勢でも片手の左内股で崩し続ける。「指導2」対「指導1」で勝ち抜け。国際大会の連続内股「一本」は6試合で途絶える。


[3回戦]
羽賀龍之介○内股(4:48)△カールリヒャード・フレイ(ドイツ)

ケンカ四つ。フレイは片手の右内股に左一本背負投で手数を稼ぐが、羽賀は左内股に左小内刈で山場を作って一歩も譲らず。終盤、双方に片手の「指導」。
3分52秒、フレイが抱き付きの右小外掛。羽賀は尻餅で命拾い。
最終盤、羽賀が左小内刈、左小外刈、左小内刈、左内股と繋ぐ連続攻撃。鮮やかな内股「一本」で勝負を決める。

[4回戦]
羽賀龍之介○内股(1:50)△ヘンク・グロル(オランダ)

ケンカ四つ。ガッチリ止めあって小外刈の撃ち合い。
1分37秒、双方に「指導」。
直後、羽賀が左内股に飛び込み見事な「一本」。グロル突っ伏して動けず。

[準決勝]
羽賀龍之介○合技[小内刈・崩四方固](4:30)△チョ・グハン(韓国)

ケンカ四つ。羽賀組んで仕掛けてとジリジリと主導権を確保、下がるチョに対して両手、片手の左内股と大内刈で追いこむと、43秒チョに場外の「指導」が宣告される。
チョは引き手争いの駆け引きを挑み続けるが、羽賀はあくまで技志向。チョに左へのスライドを強いて引き出すと内股モーションの左小内刈、ほとんど引き出しの小内刈というべき鋭さでこの技が決まり「技有」。経過時間は2分29秒。

終盤、相手の左内巻込をさばき、抜けた相手を横三角でめくり返すとガッチリ崩上四方固。合技「一本」の完勝。

[決勝]
羽賀龍之介○崩上四方固(2:28)△ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)

左相四つ。開始するなり羽賀、組み手争いの中から一瞬で抜け出し左内股。組み手と連動して一呼吸で仕掛ける技にダーウィッシュ一瞬反応が遅れるが、載せが深すぎて崩れる。しかし羽賀相手に先んじて立ち上がり、やる気十分。

引き手で襟を確保したダーウィッシュは度々釣り手を奥に入れて圧を掛けようとするが、羽賀は柔道衣をずらし、釣り手の突っ張り合いにも応じて一歩も引かず。巴投で一旦展開を切って「待て」。

1分45秒、羽賀は身を翻して左内股のフェイントを入れると小内刈に触るなり足を切り返し左大内刈。見事決まって「有効」。そこから横三角を試みると、ダーウィッシュ膂力を生かして粘りに粘って足を絡みつけるが、羽賀あくまで取りきり崩上四方固「一本」。2週連続の優勝なる。

高木海帆(日本中央競馬会)
成績:1回戦敗退

[1回戦]
高木海帆△優勢[有効・後袈裟固]○マイケル・コレル(オランダ)

右相四つ。寝技の攻防でミス、後袈裟固で「有効」を奪われる。その後も詰め切れず、反撃は相手の偽装攻撃による「指導1」に留まる。

■ 100kg超級・七戸龍が決勝の日本人対決を制す
【入賞者】 エントリー36名
1.SHICHINOHE, Ryu(JPN)
2.OJITANI, Takeshi(JPN)
3.HEINLE, Sven(GER)
3.SASSON, Or(ISR)
5.BREITBARTH, Andre(GER)
5.GORDIIENKO, Oleksandr(UKR)
7.MEYER, Roy(NED)
7.OKRUASHVILI, Adam(GEO)

チェリャビンスク世界選手権銀メダリストの七戸龍が安定した戦いぶりを発揮して優勝。全試合一本勝ちで決勝まで進むと、決勝は王子谷剛志を手堅く「指導2」対「指導3」で凌いで勝利決定。中途の対戦相手に表彰台を争うレベルの強敵はおらず、やるべきことをやってしっかり結果を得たという体の大会。

王子谷は決勝には進出したものの、中途でポイント、あるいは「指導」をリードされる場面もあり、一発投げつけて逆転する地力の高さを見せつけたとともに、試合運びに一抹の不安定さを見せた大会でもあった。

両者とも海外選手には全勝したわけで、前週のヨーロッパ・オープンローマで優勝している原沢久喜と3人揃ってその「評点」は同じと言えば同じ。3人の位置関係は留保されたまま、世界選手権代表争いは選抜体重別、そして全日本選手権へと持ち込まれることとなる。

と日本人視点から考えればトーナメントの進行は順調であったように見えるが、全体で見れば荒れた大会であった。

第1シードのアダム・オクリアシビリ(グルジア)は準々決勝でスヴェン・ハインル(ドイツ)、敗者復活戦ではオール・サッソン(イスラエル)に連続一本負け。不振に陥った2014年度の流れを断ち切ることが出来なかった。

第2シードのファイセル・ヤバラー(エジプト)とキム・スンミン(韓国)による2回戦はキムの払巻込と袈裟固による合技一本勝ち。これは想定内に飲み込める範囲だが、キムは次戦でオレクサンドル・ゴルディエンコ(ウクライナ)に隅落「技有」で敗れ予選ラウンド敗退。売り出し中のロイ・メイヤー(オランダ)は準々決勝でアンドレ・ブライドバルト(ドイツ)、敗者復活戦ではゴルディエンコに敗れて7位。前週原沢と決勝を争ったレヴァニ・マティアシビリ(グルジア)も3回戦でサッソンに負けと、実力を発揮出来ないまま畳を去っている。

【成績上位者】

優 勝:七戸龍
準優勝:王子谷剛志
第三位:スヴェン・ハインル(ドイツ)、オール・サッソン(イスラエル)

【準決勝】

七戸龍○大内刈(4:03)△スヴェン・ハインル(ドイツ)
王子谷剛志○隅落(2:12)△アンドレ・ブライドバルト(ドイツ)

【三位決定戦】

オール・サッソン(イスラエル)○優勢[技有・背負投]△アダム・オクルアシビリ(グルジア)
スヴェン・ハインル(ドイツ)○優勢[技有・小内巻込]△オレクサンドル・ゴルディエンコ(ウクライナ)

【決勝】

七戸龍○優勢[指導3]△王子谷剛志

【日本選手勝ち上がり】

七戸龍(九州電力)
成績:優勝

[2回戦]
七戸龍○大外刈(2:15)△ジャンセバスチャン・ボンヴォワサン(フランス)

七戸が右、ボンヴォワサンが左組みのケンカ四つ。右大内刈で追い込み「技有」。そのまま袈裟固に入るも逃げられ「有効」。2分15秒、右大外刈で「一本」。

[3回戦]
七戸龍○腕挫十字固(3:08)△フェイヤズ・ヤズツェ(トルコ)

右相四つ。組み合わずに逃げ続けるヤズツェに「指導」3つまで累積。3分8秒、掛けつぶれた相手を跨ぎ腕挫十字固「一本」。

[4回戦]
七戸龍○大内刈(1:07)△オール・サッソン(イスラエル)

右相四つ。「取り組まない」咎でサッソンに「指導」。直後、相手を右大内刈で叩き落とし「技有」。そのまま抑え込むと「一本」への訂正宣告があり試合終了。

[準決勝]
七戸龍○合技[内股・大外刈](4:03)△スヴェン・ハインル(ドイツ)

ケンカ四つ。組み合おうとしない相手に「指導」。右内股で「技有」、「有効」と立て続けに奪い、4分3秒には両襟の右大外刈で「技有」奪取。合技の一本勝ちで試合終了。

[決勝]
七戸龍○優勢[指導3]△王子谷剛志

右相四つ。序盤、七戸が遠間の大外刈で攻めて1分1秒王子谷に「指導1」。
七戸が引き手を制して内股を2連発、攻勢継続。1分59秒七戸に場外の「指導1」。
七戸、圧力を掛け2分21秒王子谷に2つ目の「指導」。
七戸は回し込みの右内股で攻める。3分半を攻めたところで王子谷ようやくこの試合最初の大外刈。3分37秒双方に場外の「指導」。終盤王子谷攻め返すが時既に遅く「指導2」対「指導3」で試合終了、七戸の優勝決定。

王子谷剛志(東海大4年)
成績:2位

[2回戦]
王子谷剛志○横四方固(4:52)△ロベルト・ジマーマン(ドイツ)

王子谷が右、ジマーマンは左組みのケンカ四つ。
ケンカ四つ。右組。「指導2」対「指導3」でリードの終盤、相手の左内股を透かして「有効」。そのまま崩上四方固「有効」。一度取り逃がすも横四方固に入り直し「一本」。

[3回戦]
王子谷剛志○大外刈(2:00)△モハメッド・アミン・タイェブ(アルジェリア)

右相四つ。引き手で脇を突いて距離を取ってくる相手に「指導」1つを失うも、まず刈り足を引っ掛け、捻り倒すような右大外刈で「一本」。

[4回戦]
王子谷剛志○袖釣込腰(4:59)△オレクサンドル・ゴルディエンコ(ウクライナ)

右相四つ。両者「指導2」を失ったのタイスコアから隅落で「有効」を奪われるも、右内股「有効」で追いつく。残り1秒、ここまで取り置いた左袖釣込腰で「一本」。


[準決勝]
王子谷剛志○隅落(2:12)△アンドレ・ブライドバルト(ドイツ)

右相四つ。組み合いが極端な防御姿勢とみなされ「指導」を先行されるも、直後に逆転。釣り手で奥襟を掴み、相手の右肩を下げながらの投げ落とす。隅落「一本」。

[決勝]
王子谷剛志△優勢[指導3]○七戸龍

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