PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

黄金世代で初優勝狙う大成と連覇目指す埼玉栄が二強、大駒嶺井擁す桐蔭学園が後を追う・全国高等学校柔道選手権女子団体戦展望

(2015年3月19日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版3月19日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード
黄金世代で初優勝狙う大成と連覇目指す埼玉栄が二強、大駒嶺井擁す桐蔭学園が後を追う
全国高等学校柔道選手権女子団体戦展望
eJudo Photo
中学三冠世代が最上級生となり、いよいよ頂点獲りに挑む大成高

■有力校

Aシードは大成高(愛知)、埼玉栄高(埼玉)、桐蔭学園高(神奈川)、敬愛高(福岡)の4校、Bシード評価を受けたのは淑徳高(東京)、紀央館高(和歌山)、長崎明誠高(長崎)、東大阪大敬愛高(大阪)の4校。ほぼ実力を正当に反映したピックアップであり、これにBシードの当落線上にあったと思われる富士学苑高(山梨)、創志学園高(岡山)らを入れれば上位進出候補の勢力図は完成すると言って良いかと思われる。

優勝争いのメインキャストは大成、埼玉栄、桐蔭学園の3チーム。

インターハイ準優勝の大成は中学三冠を達成した黄金世代がいよいよ最上級生になって臨む「最後の1年」最初の全国大会。1年生時から頂点を伺う力があると評されながら未だ高校カテゴリの全国制覇には手が届いておらず、選手のモチベーションは相当高いと思われる。52kg級枠にインターハイ王者黒木七都美、63kg級枠に昨季の高校選手権王者で爆発力のある鍋倉那美、無差別枠には重量級相手に我慢の効く担ぎ技ファイター鈴木伊織と安定感のある粂田晴乃という2つのカードを持っており、3ポジション通じて隙のない布陣。順行運転で盤面シュミレーションを試みるのであれば、優勝候補筆頭はこのチームと評すべきだ。

弱点を探すとすれば、代表戦になった場合の保有カードの質。重量級の2枚はどちらかというと「抑え」の札であり、代表戦は1ポジション軽量に遡って鍋倉の出動が確実。しかし鍋倉は昨年勝負どころで泥試合につきあってしまう場面を幾度か、そして金鷲旗大会では圧力ファイトを凌ぎ切れない場面を見せてしまっており、他校に、重量選手が鍋倉の「光」を消し得るという見立てを与えてしまっている。基本的には本戦3試合で勝負を決めてしまわねばならないチームであり、63kg級枠が「相手が止めに来る」、無差別枠が「こちらが止めに行く」というポジションとして規定されることを考えれば、勝負どころでカギを握るのは52kg級枠の黒木の出来だ。個人戦に出場せず団体戦のみに集中できるこの黒木が着実に1点を挙げることが出来るかどうかに、優勝の行方は掛かる。

eJudo Photo
若潮杯を制した埼玉栄高。今大会は連覇を狙う。

対抗馬一番手は昨年高校選手権と金鷲旗の二冠を制した埼玉栄。昨年の優勝メンバーから52kg枠の常見海琴と無差別枠の冨田若春という2枚がそのまま残った強力メンバー。63kg級枠にも泉雅子に工藤七海と計算の立つ選手を保有しており、総合力の高さでは大成に引けを取らない。こちらは冨田という重量級のエースカードを保有するゆえ、縺れた場合でも代表戦を「王手」として扱える強みもある。
この事情から帰納すれば、52kg級枠でしっかり取って、まず負けのシナリオをなくしてしまうことが肝要。インターハイ48kg級2位で全日本カデ王者である常見の攻撃力は抜群だが、昨年勝負どころで決まりまくった「逆の大腰」という飛び道具が周囲に知れ渡る中で、順方向の真っ向勝負で勝ち抜くだけの地力を練れているかどうかが勝敗のポイント。前で取り、中で我慢して、後ろで決めるという必勝パターンの遂行は、常見の出来にまずかかる。
また、流れを捕まえることの巧みな「勝負強さ」もこのチームの特徴。大会が縺れれば縺れるほど自軍有利に流れを導く、「本松マジック」が今回も見られるのか。本松好正監督が振るタクトに選手が上手く乗って行けるかどうか、序盤戦を楽しみに見守りたい。

eJudo Photo
大駒嶺井美穂を擁する桐蔭学園高

総合力の高さで戦うこの2チームに対して、大駒ワントップの砲力を前面に打ち出す形で優勝を狙うのが桐蔭学園高(神奈川)。三人制という盤面の進行が計算しやすいレギュレーションの中にあって、なんと言っても嶺井美穂という砲の常識を超えた強力さがこのチームの高評価の因。この63kg級講道館杯王者のエース嶺井を、桐蔭学園は敢えて無差別枠で起用。本来であればハンデがあるはずのポジションだが、嶺井は重量選手に対しても大外刈中心の「上から目線」で一本を狙える力がある。12月の水田杯で世代最大の大駒である埼玉栄・冨田若春を真っ向からの右大外刈で転がして勝利しているという事実は他校にとって実に重い。今年は前衛の2枚も十分計算が立つだけの骨の太さを獲得しており、嶺井1枚を押し立てて決勝まで進んだ昨年の実績を考え合わせれば四つ角シードピックアップは正当。
レギュレーション上、「三冠」のうちもっとも手が届きやすいのは間違いなくこの高校選手権であり、選手のモチベーションも相当高いのではないだろうか。

主催者のピックアップの上手さもあり、トーナメントはほぼシード校がそのまま上位に勝ち上がる形で進み、結果的に上記の三校が優勝を争うと考えて良いのではないかと思われる。

■組み合わせ

【1回戦~準々決勝】

[Aブロック]

Aシード校:大成高(愛知)
Bシード校:淑徳高(東京)
有力校:土浦日大高(茨城)

大成の直下に土浦日大、淑徳の直下には松商学園高(長野)と高川学園高(山口)が配された。

土浦日大は超級枠に70kg級の強者畠石香花を擁するが、大成の超級枠の堅さと前2枚の力関係に鑑みればアップセットは至難の技。淑徳も63kg枠の西願寺里保の手堅さと無差別枠の浜未悠という大駒の存在をテコに、問題なくベスト8まで進むと見て良いはず。

準々決勝は大成-淑徳のシード校対決が順当。鍋倉に西願寺、浜に鈴木という双方にとって奥歯がきしむような厳しい後衛の顔合わせを考えれば、勝負のポイントは先鋒戦と帰納される。大成にとっては先鋒戦の勝利が必須、淑徳としては前衛2戦を我慢して大将浜1枚の出来で勝負というところ。乗り越えるべきハードルの数の比較と鍋倉の爆発力を根拠に、ここは大成の勝利を推しておきたい。

[Bブロック]

Aシード校:桐蔭学園高(神奈川)
Bシード校:紀央館高(和歌山)

両シード校による準々決勝の対決が濃厚。
紀央館は昨年3位入賞を果たした際のメンバーである阪部りり子(52kg枠)、山本七海(63kg枠)、松田なみき(無差別枠)という陣容がそのまま残った、しぶとさが売りの好チーム。とはいえ嶺井という大会きっての大物を大将に置く桐蔭学園に勝利するには前衛2戦で2点を挙げてしまう以外に道はなく、売りの「しぶとさ」だけでは活路は開けない。血相を変えて得点を狙いに来る阪部と山本を桐蔭学園がどう凌ぐか、はたまた紀央館があくまでミッションを遂行するか。前半2戦が見もの。

[Cブロック]

Aシード校:埼玉栄高(埼玉)
Bシード校:長崎明誠高(長崎)
有力校:創志学園高(岡山)、新田高(愛媛)、夙川学園高(兵庫)、藤枝順心高(静岡)

埼玉栄のベスト4勝ち上がりはほぼ確実と思われる。初戦では無差別枠に奥本華月を擁する新田高(愛媛)という好チームと対戦するが、前衛2枚の戦力差と冨田の存在を考えれば不覚を取る可能性は僅少。冨田に勝負を流さず着実に前で勝負を決めることが出来るかどうか、この日の埼玉栄の出来を占う重要な一番。

下側の山は、52kg級の福添みのり、78kg級で坂口今日香と2人のインターハイ入賞者(ともに3位)の存在をテコに長崎明誠がシード校入り。しかしここに創志学園、夙川学院、藤枝順心と面白い役者が3チーム配され、あまりシードの恩恵を受けたとは言い難い激戦区となってしまった。

長崎明誠から見た対戦順は、初戦が夙川学院-藤枝順心の勝者で、3回戦が創志学園。初戦はしぶとさが売りで全日本強化選手を3名抱える夙川学院、インターハイ57kg級王者の谷川美穂ともと44kg級世界カデ王者の鈴木茉莉を擁する藤枝順心、いずれも強敵。

創心学園は63kg級の三浦裕香里を中心に良く鍛えこまれた好チーム。インサイドワークの部分に上積みあれば、ベスト8入りの可能性は十分。

というわけで、この下側ブロックは大激戦。埼玉栄のベスト4入りは動かないと見るが、準々決勝の対戦相手がどこになるかは混沌とした情勢だ。

[Dブロック]

Aシード校:敬愛高(福岡)
Bシード校:東大阪大敬愛高(大阪)
有力校:富士学苑高(山梨)

上記3校によるマッチレースと見るべきで、勝ち上がりの行方は混沌。敬愛は無差別枠に梅津志悠か児玉ひかる、東大阪大敬愛は無差別枠に斉藤芽生、富士学苑は63kg枠に舟久保遥香とそれぞれ強豪を擁するがいずれのチームも戦力構成の凹凸が少々大きい印象。個の活躍が勝敗を揺らす可能性も十分だが、その様相は予測しがたい。仮に、もっとも平均値の高い敬愛をベスト4候補に推しておくがどこが勝ってもおかしくないブロックだ。

【準決勝~決勝】

大成 - 桐蔭学園
埼玉栄 - 敬愛

Dブロックの様相は読み難いが、仮に、対戦カードを上記と考えて稿を進めたい。

第1試合は、大成の前衛2枚がしっかり得点して桐蔭学園の大将嶺井美穂の登場する前に試合を決めてしまえるかどうか、ここに勝敗の行方は集約される。
力関係を単純に考えれば大成のミッション達成の可能性は高いと言えるが、遂行すべきシナリオが「連勝」という狭い道しかないこと、後ろに嶺井戦を控えるプレッシャー、地力の上がっている桐蔭学園の2枚が徹底研究をテコに「凌ぐ」ことを志向するであろうこと、試合時間が3分と短く凌ぐ側に有利に働くこと、等々を考えるとこれはなかなか容易ではない。嶺井にとっても鈴木伊織から得点を挙げることは至難の技で、両陣営にとって渡る橋の幅の非常に狭い、難しい試合であるとは言える。

嶺井と鍋倉が代表戦で戦った場合。競技成績は嶺井が上でインターハイ個人戦の対決でも嶺井が「技有」優勢で勝利しているが、このライバル2人の対戦は毎回非常に縺れる傾向にあり、両チームにいずれにとっても出来ればこれは避けたいシナリオ。

大成の前2枚の砲力を買う形で、ここは仮に大成の勝利を推しておきたい。

第2試合は埼玉栄の勝利濃厚。敬愛、東大阪大敬愛いずれと戦った場合でも無差別枠に勝負を預けることは埼玉栄にとって適策ではなく、前2枚でリードを得ておくことが肝要。そして常見海琴を先鋒に置く埼玉栄にとってこのシナリオは決してハードルが高すぎるわけではない。決勝進出校には、埼玉栄を推す。

大成と埼玉栄の決勝。

対戦予想は先鋒戦(52kg枠)が黒木vs常見、中堅戦(63kg級枠)が鍋倉vs泉(工藤)、大将戦(無差別枠)が鈴木(粂田)vs冨田。

大成としては中堅戦で取り、大将戦は防衛戦と位置付けて戦うことで凌ぎ切って本戦3試合で勝負を決してしまいたい。一方の埼玉栄としては前2戦をタイスコア、最悪でも優勢による1ポイントロストで凌ぎ切って、大将戦に勝負を持ち込みたいというところ。

両者にとって食べたいシナリオがはっきりしている中で、どれだけの作戦遂行力が備わっているかに優勝の行方が掛かる。

もう一つ、先鋒枠の両者いずれかが計算を超えた活躍を見せることが出来れば試合の大勢はその時点で決すると言って良い。ここに、今大会は個人戦に出場せず団体戦に専念する黒木と、前日の個人戦で優勝を狙いにいく常見という立場の違いがどう影響するか。常見の本来の階級が48kg級であるとういう階級差はあるものの、柔道が比較的丁寧な黒木に対し、強引な組み手と左右の一発技を操る常見という対戦構図の相性だけで考えれば、これは常見に分があっていいはずだ。ただし、常見のようなファイトスタイルの原資はバイタリティの高さであるべきで、個人戦を獲った安堵感あるいは連戦の疲労でそれが擦り減っているようであれば、団体戦一点集中の黒木を退けることは一気に難しくなる。

いずれ、両者にとって明らかな「勝利のシナリオ」に対する作戦遂行力の高さが勝負を分けるという見立ては大枠間違いない。これを可能ならしめる腹の括りよう、勝利への渇望感が勝者を決める。熱戦に期待したい。

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版3月19日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.