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最強チーム国士舘高が大本命、追撃一番手は大成高・全国高等学校柔道選手権男子団体展望

(2015年3月17日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版3月18日掲載記事より転載・編集しています。
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最強チーム国士舘高が大本命、追撃一番手は大成高
全国高等学校柔道選手権男子団体展望
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優勝候補筆頭は国士舘高

春の柔道シーズン到来。柔道ファンが待ち望む全高等学校柔道選手権大会(3月20日~21日・日本武道館)がいよいよ今週末に迫った。高校「全国三冠」の最初の大会となる今大会、ファンがもっとも熱い視線を注ぐ男子団体戦の様相を簡単に展望してみたいと思う。

■有力校

ここ数年、事前評として「史上稀に見る大混戦」というフレーズが定番となっていたこの大会だが、今年は久々に大本命のチームがある。東京都第1代表の国士舘高だ。

全日本カデ超級王者の本格派山田伊織(2年)、仕事の確かさでは山田以上で今大会では個人戦無差別東京代表を務める竹村昂大(2年)のエース格2人に加え、将来の国際級として注目を浴びる100kg級の大物・飯田健太郎に本格派重量選手の磯村亮太の1年生コンビと、インターハイ制覇メンバーから実に4名が残った布陣は重厚かつ強力。いずれも他のチームであればスーパーエースとして通用するレベルの選手を、それも4枚揃えた布陣はまさしく大本命の評価がふさわしい。

残る1枠にも、取り味のある担ぎ技に手堅い寝技を盛ったいかにも国士舘らしい選手に育ってきた個人戦90kg級東京都代表田嶋剛希、184cm110kgの偉丈夫河田闘志(1年)、正統派ながら仕事が出来るタイプの米山魁人(2年)と誰が出ても遜色ないレベルのバイプレイヤー、しかもいずれも違うタイプの選手を手駒に持つ堅陣ぶり。もし国士舘が「その気」で布陣すれば中堅戦までに全ての試合が終わってしまうのではないか、あるいは「国士舘vs他チーム連合軍」でも国士舘が勝つ可能性がかなり高いのではないかと思わせるだけの最高到達点の高さと厚みがある。岩渕公一監督は、自軍の戦力が高ければ高いほど、万が一最悪の状況に陥っても勝ちのルートを確保するという手堅い作戦を好む将。この点最終的なスコアは常識的な範疇に収まるのではないかと観測されるが、純戦力だけで考えれば史上に残る大勝すら期待される大型チームだ。

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追撃一番手は大成高。水田杯は「飛車角落ち」のまま他を圧して優勝した。

後を追う一番手、かつ唯一国士舘に対抗し得るのではという評があるのは第2シードの大成高(愛知)。こちらも金鷲旗とインターハイで3位に入賞したチームのレギュラーから古賀颯人、並木泰雅、神鳥剛、前濱忠大と4枚が残った強力布陣だ。重量級をズラリと揃えた国士舘とは異なりこちらは古賀が73kg級のオールラウンダー、並木が100kg超級、神鳥が90kg級の本格派、前濱が81kg級の担ぎ技ファイターと凹凸のある面白いメンバー。5枚目も友田皓太、清水佑希のサイズのある2人に加えて73kg級で技のキレ味抜群の渡邊神威と質の異なる選択肢を手駒に抱えており、その布陣の厚さは迫力十分。

それぞれ特徴も「取り方」の質も違うが、チーム全員に共通するのはその攻撃力の高さ。無理やり取りに行く圧力ファイトも凌ぎながら一発を狙うカウンター戦も出来る、一言で言って地力の高いチーム。新チームになってから国士舘との同時大会出場がなく、まだその力関係がマップされていない、もっと端的に言えば国士舘に踏みつぶされた経験のない「まっさら」な状態で戦えるのも大きなアドバンテージだ。

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松尾杯を制した日体荏原高。全国中学大会優勝経験者を四人揃えた強力布陣

と、一強国士舘に対抗する大成という構図を明確にした上で、これを追う勢力としては日体荏原高(東京)、東海大相模高(神奈川)、天理高(奈良)、神戸国際大附高(兵庫)を挙げておきたい。

日体荏原は東京都第二代表。小野中時代に全国中学大会制覇を成し遂げた長井達也(2年)、東部雄大(2年)、松井海斗(2年)、藤原崇太郎(1年)の4枚が丸々主力メンバーとして持ち上がり、これに仕事の出来る長井晃志(1年)を加えた大型チーム。巨漢怪力の長井に足技が巧みな東部、技の切れ味が売りの松井に、全国中学大会連覇者で勝負強さ抜群の藤原と個々の力と実績でいえば十分国士舘に対抗しうる陣容であるが、小久保純史監督自ら「予選ではバラバラだった」と認める通り、その力がこれまで「点」でしか発揮できていない部分が泣きどころ。ここまで勝負どころでチームを助けて来たのは実は五番手扱いの仕事師長井晃志であった。チームのまとまり、ベンチの戦術立案能力に遂行能力、個々の対戦の「戦線」の中での位置づけと意識づけ、対戦相性を踏まえた具体的な作戦のありようといった、純競技力とは異なる部分での積み上げの有無が成績を左右することになりそうだ。

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四つ角シードを確保した東海大相模高

東海大相模は10月の朱雀杯、12月の松前旗と安定した力を見せてビッグタイトルを2つ獲得、これをテコに今大会では順当に四つ角シード確保。斬り込み隊長の島田陸を負傷で欠くものの、試合の上手い重量選手辻湧斗(1年)と攻撃力の高い杢康次郎という安定した2枚に加え、河内優斗、中尾旭、早川佑斗とサイズのある選手を揃えてその戦力は高い。高橋洋樹監督の「相模らしい、どこからでも点の取れるチームに仕上がって来た」との言葉にも自信があふれる。12月の若潮杯決勝では線の細さを突かれる形で国士舘に0-4という屈辱的なスコアで敗れたが、今大会で雪辱を期す。

天理は近畿大会の覇者。エース並里樹を中心に重量級選手をズラリと並べた大型チームだ。12月の若潮杯ではここ数年の冬季の育成志向を反映して細かい勝負よりは「一本」を狙うという良い意味で粗削りなスタイルのままにベスト4進出。登録に1年生が3名入っている若さはあるが、その後1月に近畿大会を制していること、ここ数年春、夏と選手の骨が一段太くなるような「仕上げ」の上手さを見せていることに鑑み、若潮杯の結果に一段上乗せしてその戦力を見積っておくべきだろう。

シード入りは逃したが、昨年インターハイ3位でセンセーションを巻き起こした神戸国際大附はこのグループの中でも屈指の力があると見積っておきたい。高校柔道界には、一頃業界を席巻した歩留まりの良い試合戦術中心の戦い方から、地力の高さと「業」への回帰というトレンドがはっきり見て取れるが、長澤伸明監督はこの「投技復古運動」の旗手。全国デビュー2年目だが、その技の錬成力の高さは名将居並ぶ高校柔道界でも「オンリーワン」とでもいうべき光を放つ。
その長澤監督の現時点での最高傑作が今年度のエースにしてインターハイ3位の原動力となった石山潤平(2年)。恵まれた体格から放つ大外刈の一撃は力関係を一発で覆すだけの威力がある。副将格には昨年レギュラーの新井滉燿(2年)が座り、田上英也(2年)の急成長を織り込むと、おそらく勝負どころは新井を前、後ろに石山を置く二段構えの布陣を組む可能性が高い。近畿大会決勝では天理に敗れたが、このチームも日進月歩の成長力の高さが売り。トーナメントの行方自体を揺らす存在として、当日は大いに期待したい。

続くグループは、新田高(愛媛)、修徳高(東京)、白鴎大足利高(栃木)、作陽高(岡山)。

新田は中央の招待試合に出ていないゆえ真っ向から推す声が意外に少ないようだが、伊藤好信(2年)、立川新(2年)ら攻撃力と仕事の確かさを兼ね備えた選手を並べた非常にしぶといチーム。稽古の厳しさは全国屈指で、このチームとの対戦の有無もシード校にとっては非常に重要な要素。

連覇に挑む修徳は東京都第三代表。昨年レギュラーを務めたド根性ファイター佐藤竜(2年)を中心に、今年もこのチーム歴代の特色である団結力の高さで上位を狙う。昨年に比べるとチームは小粒だが、上位対戦でも全員が食らいつく戦いが出来、ここぞの場面で怖じない一撃を繰り出す勝負マインドの錬り様はAシード校にとっても脅威。修徳は負傷者を出しており、代わって入る選手がこの団結力、修徳らしい全員柔道の輪に入って活躍できるか、その特徴を引っ張り上げるような試合が出来るかどうかが上位進出の鍵を握る。

白鴎大足利には当代随一の抜き役・太田彪雅(2年)という絶対のエースの存在がある。今季太田は招待試合シリーズを通じてまだ苦戦したことすらなく、松尾杯では日体荏原のエース格である東部雄大をあっという間の小外刈「一本」に仕留めるなどその強さはやはり出色。今代の強豪選手数あれど、誰が相手でも抜く、何枚でも抜くという「妖しさ」を発している選手は今のところこの太田のみ。太田の存在をテコに周辺戦力が粘り抜けば上位進出の可能性は十分。

例年骨太のチームを鍛え上げてくる作陽は、川野一道監督曰く「まだまだ」。例年夏にフォーカスして力を伸ばしてくるチームであること、登録の6人に一年生が3人入る若いチームであることを考えるとこの言葉もうなずけなくはないが、12月の松尾杯では気風の良い試合を見せて3位入賞、例年にない仕上がりの早さを見せている。育成メソッドの中に勝負力の練磨を色濃く載せているチームでもあり、純戦力評価以上に「やる」可能性の高いチームでもある。

他、蓜島剛ら1年生世代に強者を揃えた埼玉栄高(埼玉)、崇徳高(広島)も上位に挑戦する力を持っている。

■組み合わせ

【1回戦~準々決勝】

[Aブロック]

Aシード高:国士舘高(東京)
Bシード高:作陽高(岡山)
有力高:神戸国際大附(兵庫)、四日市中央工高(三重)

上側の山は国士舘のベスト8入りが確実。初戦は東海大四高(北海道)-津幡高(石川)の勝者、2戦目は青森北高(青森)、鎮西高(熊本)、比叡山高(志賀)のマッチレースの勝者との対戦となる。岩渕公一監督が勝利の条件として語る「4枚(山田、竹村、飯田、磯村)以外に、計算以上の働きをする選手が出てくるかどうか」はまずこの2戦で測られるはず。滑り出しに注目。

下側の山は本大会一、二を争う「死の山」。神戸国際大附が初戦でここ数年良いチームを作り続けている東海大甲府高(山梨)、さらに2回戦では3月の三春大会で2位入賞を果たしたばかりの好チーム四日市中央工高(三重)と対戦し、3回戦で作陽と激突するという大激戦ブロックだ。

3回戦のカードは作陽-神戸国際大附となることが濃厚。波乱の全くない純戦力勝負であれば、神戸国際が一人残し、場合によっては二人残しで勝つことすら可能な力関係でないかと見るが、作陽はとにかく試合の上手いチーム。サイズがあって際に強い岩崎恒紀(2年)の一発で勝負できる状況を作るべく、前半を粘ってくることは必至だ。事前予想での勝者は神戸国際大附属としておくべきだが、作陽にもチャンスあり。勝ち負け以上に、ファンにとっては楽しめる試合となること請け合いの好カードだ。

準々決勝。勝ち上がりは国士舘になると予想しておくしかないが、国士館にとっては神戸国際大附も作陽もまことに嫌なチームのはず。神戸国際大附にはインターハイ準決勝で陥落寸前まで粘られ、作陽には一昨年のインターハイ準決勝で刺された苦い記憶もある。ここで勝負を後ろに送らず、前で勝負が出来る試合が出来るかどうかがこの日の国士舘の運命を決すると見る。神戸国際としては地力で国士舘を圧し、後半に置くであろう石山一枚の勝敗で試合が決まる状況を作るしかなく、チーム全体でそこまでの力を錬れているかどうかが焦点。作陽はあらゆる手立てを使って決定的な場面を後ろに回し、国士舘のリズムを狂わせたいところ。

[Bブロック]

Aシード高:東海大相模高(神奈川)
Bシード高:大牟田高(岡山)
有力高:新田高(愛媛)

東海大相模の山に新田が配された。対決は東海大相模、新田ともに1試合を戦った後の3回戦。東海大相模は攻撃力の高さとともに、ここ数年、優位が予想されるチームに対してもある程度「やれてしまう」、あるいは思わぬミスを犯してしまう線の細さも同居している。しぶとく、勝負どころを誤らない新田に対しては戦線全体で手堅く加点していくことが必要だが、地力も高い新田に対してこれが出来るかどうか。事前予測としては東海大相模を推しておくが、どう転がってもおかしくない一番。

大牟田は今大会もシードの恩恵を存分に受け、2回戦で予想される東海大仰星高(大阪)戦をクリアすればベスト8入りが見えてくるという好配置。ただし、ここで準々決勝進出を取り逃すようであれば、毎年確保してきた「九州枠」のシード権利を失いかねないピンチでもある。九州全体の意地と将来を掛けた戦いだ。

東海大相模-大牟田による準々決勝。技術力の高い東海大相模に対して大牟田が勝利するには圧倒的な地力の高さを見せることしかないが、そこまでの力が備わっているかとなると少々厳しそう。ここは戦力の厚みに鑑み、東海大相模がベスト4に勝ち上がると見ておくのが穏当だろう。

[Cブロック]

Aシード高:大成高(愛知)
Bシード高:修徳高(東京)
有力高:埼玉栄高(埼玉)、白鴎大足利高

大成には埼玉栄、修徳には白鴎大足利とそれぞれ3回戦に刺客が配された。

大成は2回戦でまず延岡学園-秋田工の勝者と対戦する。東北大会王者の秋田工はエースの清水拓実という関係者の評判が非常に高い大物カードを持つが、強敵延岡学園を倒して大成への挑戦なるかどうか。

大成-埼玉栄戦。埼玉栄は前述の蓜島剛のほか今入晃也に長濱快飛と攻撃型の1年生選手を揃えた、来年度優勝候補の一角とみなされる好チーム。が、水田杯での直接対決ではレギュラーを3枚落とした大成が5-0と圧勝している。才能の豊かさ、最高到達点の高さは明らかだが、まだ1年生中心ゆえか精神的に練れていない印象で、少なくとも同大会を観察する限りでは格上チームに食らいつくような下剋上ファイトが出来る気配はなかった。インターハイ序盤戦で見せたような良い意味での上から目線で殴り合いを挑むのか、食らいつく試合を演じるのか、楽しみに見守りたい。事前評での勝ち上がり候補は、大成。


修徳-白鴎大足利。勝敗の鍵を握る選手は白鴎大足利のエース太田彪雅に尽きる。修徳にとってはとにかく太田を誰が止めるのか、どの時点で止めるのか、どうやって止めるのが最大の焦点であり、逆に白鴎大足利にとってはおそらく大将に据えるであろう太田に、どれだけの仕事を残すのかが勝敗に直結する。

修徳の立場に立てば、太田を止める仕事が出来る選手はエースの佐藤竜の他にはいない。が、佐藤はチーム最大の抜き役でもあり、かつ太田を止めるにしてもそのサイズと柔道の質からして、太田がフレッシュな状態であると厳しいはずだ。白鴎大足利の周辺戦力をどう見積もり、どう抜くのか、佐藤にどの仕事をさせるのか。ベンチワークが占める要素が非常に大きい一番だ。

中盤までである程度勝負の目途をつけておきたい白鴎大足利は前代から団体戦出場を経験させた佐俣楓(2年)と長島立弥(1年)の仕上がり、大物感のある河村貴文(2年)と薄井裕太(1年)の成長ぶりにその戦いが掛かる。修徳が佐藤を置く位置には、この白鴎大足利の周辺戦力に対する大森淳司監督の「見積もり」がそのまま反映されるはずで、このあたりに注目して勝負を見守りたい。総合力は修徳、個の力は白鴎大足利、抜き試合レギュレーションは白鴎大足利を大きく利するが、この勝負はどうなるか全くわからない。

準々決勝は、大成の勝ち上がりが濃厚。サイズのある選手で重厚な戦線を組むことも、古賀と前濱という質の異なるアクセントで楔を入れることも出来る大成を攻略するのは修徳、白鴎大足利いずれであっても至難の技。白鴎大足利が上がってくる場合、太田は確実に複数枚抜きを課されるのではないかと思われるが、大成の選手は誰を相手にしても相当に消耗が激しいはずで、その道のりは険しい。インターハイでは肉体的にも精神的にも疲弊が見られた太田だが、それをパーソナリティとして捉えるか、それともその後休養期間を経て精神的なリソースの充填十分と見るか。いずれ、ここは総合力で見て大成のベスト4入りを推しておきたい。


[Dブロック]

Aシード高:日体荏原高(東京)
Bシード高:天理高(奈良)
有力高:崇徳高(広島)、福井工大福井高(福井)

日体荏原と天理によるベスト8での対決が濃厚。

日体荏原は2回戦で崇徳、3回戦で福井工大福井と歯ごたえのある相手と続けて対戦する。特に崇徳は、今代は小粒ながらも作戦遂行能力の高さというここ数年続くチームの特色はしっかり受け継がれており、名将加美富章監督がひとつ面白い勝負を仕掛けてくることは確実。日体荏原が、直前インタビューで小久保純史監督が掲げた「試合の仕方」「まとまり」といった課題をしっかりクリアできるのか。それとも地力の高さ自体で粉砕を狙うのか。注目して見守りたい。

天理は3回戦で小杉高(富山)という山場はありこれがひとつ今大会の出来を占う一番であるが、ベスト8入りはまずまず確実。

日体荏原と天理の準々決勝だが、これも様相読み難い一番。天理は骨が太く、かつチーム一丸となった「線」で戦えるチーム。世評は日体荏原が上だが、際で粗さを見せると、常に一発狙ってくる天理に思わぬ一撃を食う可能性もある。日体荏原としては東部、藤原という力だけでなく技術で勝負できる選手2人に、手堅い試合運びに意外性の一発を隠し持つ長井晃志で着実に試合を作っていきたい。天理としては、どの試合も序盤から圧を掛け、それぞれの試合の位置づけが甘いところがある日体荏原の出だしを挫いて状況を作っていきたいところ。

勝ち上がり候補は仮に日体荏原としておくが、天理が勝ち上がる可能性も十分。

【準決勝~決勝】

以上から、仮に準決勝のカードは

国士館 - 東海大相模
大成 - 日体荏原

として稿を薦めたい。

第1試合は若潮杯の結果から延長線を引き、事前評としては国士舘の勝利を推すしかない。
おそらく国士舘は前に磯村と飯田、そして後衛に竹村と山田を配する上位対戦用の手堅い布陣を組むはず。東海大相模としては先に点を取って試合をかき回したいところだが、アクシデントを1つ、2つではなく3つ、4つと連鎖させていかないと勝利を得るところまでは辿り着かない。事前評としては国士舘勝利が穏当だが、東海大相模が連鎖爆発を狙う、その導火線として誰を前衛に起用するかに注目したい。

第2試合は戦線全体に渡る試合の管理能力の高さを根拠に、大成を推す。
日体荏原の陣容はスケール感十分だが、今季ここぞという勝負どころでまだ100点満点の試合をしたことがない。一方の大成の前代レギュラー4人は金鷲旗とインターハイで地力の高さ、勝負の執念、ここぞで取りに行く精神的な骨太さと図太さを証明した実績があり、であれば事前評としては大成を推しておくべきかと思われる。

日体荏原には対戦相性を見極めて、過たずその位置で得点するクレバーさ、勝負どころであれば無理をしてでも取りに行く強引さが必要。具体的には、重量選手に対して長井達也が力関係で勝っていると感じた時にこれを踏みつぶしに掛かる勝負が出来るかどうか、古賀と前濱というサイズに劣る2人が消耗戦を仕掛けてきた場合に、つきあわずにここで得点を挙げにいけるかどうか。順行運転で試合をする限りは小差で大成、腹をくくる場面と我慢する場面を見極めて戦う戦術眼と作戦遂行能力が伴えば日体荏原にチャンスありと見る。

というわけで、この稿では決勝を

国士館 - 大成

と仮定したい。

純戦力勝負では国士舘が上。どのチームもそうだが、大成としては後ろで勝負する、すなわち個の戦いがイコールチームの勝敗の帰趨を決するというギリギリの切所まで勝負を縺れさせることを考えているはずだ。前を我慢して、後ろに勝負を持ち込む。どうしても届かなかった初優勝に掛ける大成の思いの強さが問われる、我慢の試合だ。

ここで一つ重要な要素になるのが大成の選手起用とポジショニング。石田輝也監督は古賀、並木、神鳥を「三本の矢」として軸に据えるが、重量級揃いの上位対戦、ひとつも落とせない試合で軽量の古賀をどう使うかは最大の課題となるのではないだろうか。古賀はチーム内での序列ではエース格に座るものの、重量級を揃える、かつ詰め将棋的な技術教育がしっかりしている国士舘の選手はどちらかというと軽中量級の技巧派を取りに行くのは得手。まして基本的に柔道の綺麗な古賀は、相性的に一歩間違えば「嵌り」になる可能性もまた孕む。純戦力的にも、またチームの士気を考えても古賀は欠かせない選手であるはずだが、ここ数年国士舘の選手が苦労するのは大きい相手の地力を持て余すケースであり、ここにフォーカスすると古賀の起用は諸刃の剣。古賀にどんなミッションを与え、どこに置くか。ここは非常に楽しみなところ。

国士館としては、後ろに置くであろう竹村と山田という堅陣2枚の強力さと「順当であれば勝てる」その戦力の巨大さが逆に不確定要素。後衛に控えるエース2枚を信じて手堅く戦うあまり「後ろに回す」事態が続けばそれは嵌りの余震。たとえタイスコアであっても順行運転と感じられないほどの戦力の巨大さが「シナリオ通りに行かない」という焦りと場の荒れを作り出す事態に成り得るし、後衛の強さはイージーに「後ろへ回す」選択に選手の気持ちを流しかねない。巨大戦力であればこそ、己が獲って勝つという決意が大戦略として前衛に染みているか、そして他チームと異なりコンプレックスなく立ち向かってくる大成に対してその作戦が遂行できるだけの心の強さが備わっているかどうか。ここに優勝の行方は掛かる。

久々、「一強」をめぐって選手、指揮官の思惑揺れ動くという趣の大会。当日の激戦を楽しみに待ちたい。

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