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グランプリ・デュッセルドルフ第2日女子レポート(63kg級、70kg級)

(2015年3月14日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版3月14日掲載記事より転載・編集しています。
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第2日女子レポート(63kg級、70kg級)
グランプリ・デュッセルドルフ
■ 63kg級・シュレシンジャー復活優勝、田代未来はまさかの一撃食って3位に留まる
【入賞者】 エントリー37名
1.SCHLESINGER, Alice(GBR)
2.TSEDEVSUREN, Munkhzaya(MGL)
3.TASHIRO, Miku(JPN)
3.TRAJDOS, Martyna(GER)
5.KRSSAKOVA, Magdalena(AUT)
5.SILVA, Mariana(BRA)
7.BAZYNSKI, Nadja(GER)
7.HERRMANN, Vivian(GER)

階級最大の話題はなんといってもかつてのイスラエルのエース、2009年ロッテルダム世界選手権銅メダリストのアリス・シュレシンジャーの参戦。2012年のロンドン五輪では翌年世界選手権を制することになるヤーデン・ゲルビを押しのけて母国の代表を務めたこの選手はイギリスに国籍を変更して2週前のヨーロッパオープン・ソフィアでは2位入賞(津金恵に敗退)。これが国際大会復帰2戦目。

シュレシンジャーは3回戦で第1シードのティナ・トレステニャク(スロベニア)を「有効」を取り合った末の指導累積差で下し、見事ベスト4進出を果たす。

第3シードのアンロール・ベラル(フランス)が初戦でスウェーデン選手に指導累積差で敗れる波乱はあったものの、ベスト4にはシュレシンジャーのほか、地元のエース格マルティナ・トラジドス(ドイツ)と田代未来と実力者が勝ち上がり、ほぼトーナメントの進行は順調。

しかし準決勝で田代が敗退するというアップセットが起こる。3回戦で第2シードのエドウィッジ・グウェン(イタリア)を食ったダークホース選手ツェデフスレン・ムンクザヤ(モンゴル)を相手に有利に試合を進めていたが仕留めきれず、終盤釣腰から引込返の連続技を食って一本負け。

もう一つの準決勝はシュレシンジャーが地元の強豪マルティナ・トラジドス(ドイツ)を腕挫十字固「一本」で破って決勝進出。

シュレシンジャーの勢いは落ちず、決勝ではツェデフスレン・ムンクザヤを鮮やかな左内股「一本」で下し、優勝決定。見事復帰後初のワールドツアー制覇を成し遂げた。

デビューの早かったシュレシンジャーはまだ26歳。体の強さは相変わらずで、トレステニャクとトラジドスを連続撃破したこの日の出来を見る限りでは、現在の63kg級2強であるゲルビとクラリス・アグベニュー(フランス)を追う第2グループのメインキャストを張る力は十分あると見る。以後も注目して見守りたい選手。

2014年チェリャビンスク世界選手権銅メダリストの田代は、表彰台を争うレベルにあるトレステニャクとトラジドスといういわば「同格」のライバルが参加した大会で一歩抜け出すチャンスだったが、残念ながらミッション失敗。しっかり銅メダルは確保したものの、準決勝の一発は「ミス」という評価は避けがたいはず。世界選手権とグランドスラム東京をいずれもケアレスミスをきっかけに落としている田代にとっては、その評価上非常に痛い一敗だった。選抜体重別で捲土重来を期す。

【成績上位者】

優 勝:アリス・シュレシンジャー(イギリス)
準優勝:ツェデフスレン・ムンクザヤ(モンゴル)
第三位:田代未来、マルチナ・トラジドス(ドイツ)

【準決勝】

アリス・シュレシンジャー(イギリス)○腕挫十字固(3:42)△マルチナ・トラジドス(ドイツ)
ツェデフスレン・ムンクザヤ(モンゴル)○引込返(3:00)△田代未来

【3位決定戦】

田代未来○優勢[技有・小外掛]△マリアナ・シウバ(ブラジル)
マルチナ・トラジドス(ドイツ)○優勢[技有・小内刈]△マグダレナ・クルサコワ(オーストリア)

【決勝】

アリス・シュレシンジャー(イギリス)○内股(1:03)△ツェデフスレン・ムンクザヤ(モンゴル)

【日本選手勝ち上がり】

田代未来(コマツ)
成績:3位

[2回戦]
田代未来○横四方固(0:39)△レイラニ・アキヤマ(アメリカ)

左相四つ。左小外刈で「有効」、間を置かずに横四方固で「一本」。

[3回戦]
田代未来○優勢[指導3]△パク・ジウン(韓国)

左相四つ。頭を下げ、両袖を作りながら展開を先送りしてチャンスを伺うパクに対し、小外刈、大内刈、支釣込足と技を仕掛け続ける。相手の掛け潰れもしっかり寝技の攻撃で拾い上げ、決定的な場面はないが隙も僅少。「指導3」対「指導1」で勝利。

[4回戦]
田代未来○優勢[技有・小外掛]△マグダレナ・クルサコワ(オーストリア)

ケンカ四つ。絡みつくような左小外掛で「技有」。以後も立って、寝てと攻め続け「指導」2つを積んで危なげなく勝利。

[準決勝]
田代未来△引込返(3:00)○ツェデフスレン・ムンクザヤ(モンゴル)

左相四つ。田代がしつこく「脚三角」で攻めた直後の1分15秒、田代に消極的との咎でやや厳しい「指導1」。
田代組み立てを変え、先に釣り手を掴み、引き手で袋を握って攻め合いに誘う。左大内刈、左大外刈と攻めると2分7秒ツェデフスレンに「指導」。
ツェデフスレンは田代に追いこまれて苦しいところだが、巻込技に潰れ続けて展開を先送り。投げる可能性のない技だが田代は僅かながら体勢を崩してしまい、ツェデフスレンへの偽装攻撃の「指導」宣告は為されず。

3分、ツェデフスレンが釣腰から身を翻して引込返。田代思い切り食ってしまい「一本」。大枠田代優位の試合であったが、ツェデフスレンの粘り勝ち。

[3位決定戦]
田代未来○優勢[技有・小外掛]△マリアナ・シウバ(ブラジル)

ケンカ四つ。絡みつくような左小外掛で相手の背中側に回り込みながら投げ「技有」。直後、釣り手で脇下を持って前進してくる相手をねじ込むような左内股で投げるもノーポイント。その後も立って、寝てと終始優勢に試合を進め勝利決定。

■ 70kg級・新井千鶴が優勝、山場の3回戦はズパンシックを真っ向勝負の「一本」
【入賞者】 エントリー32名
1.ARAI, Chizuru(JPN)
2.DIEDRICH, Szaundra(GER)
3.VAN DIJKE, Sanne(NED)
3.ZUPANCIC, Kelita(CAN)
5.MARZOK, Iljana(GER)
5.VARGAS KOCH, Laura(GER)
7.BAKACAK, Sukran(TUR)
7.POSVITE, Fanny Estelle(FRA)

ベスト4には地元のドイツ勢から3人が残った。プールAから順に第1シードの優勝候補ラウラ・ファルカスコッホ(ドイツ)、スザンドラ・ディードリッヒ(ドイツ)、新井千鶴、イリアナ・マルツォク(ドイツ)。

準決勝第1試合でドイツのエースであるファルカスコッホが敗れるという大番狂わせ。ディードリッヒの右内股をファルカスコッホが背中を掴んで応じると、ディードリッヒはあくまで技を止めず内股、大内刈と数度切り替えて作用足を抜かず。数合のやりとりあり、ファルカスコッホがひときわ拘束を強めて裏投を放った、その踏ん張った足にディードリッヒの大内刈が絡みつく。ファルカスコッホは体を反らせたまま背中から畳に落ちて「一本」、0分11秒。
この攻防でおそらくは膝を痛めたファルカスコッホを、後輩のディードリッヒは組んだ手を離さず抱えるようにして引き起こす。足を引きずって退場したファルカスコッホは3位決定戦を棄権せざるを得ず、5位という意外な結果で地元のデュッセルドルフ大会を終えることとなった。

第2試合は新井とマルツォクの対戦。ここまで3試合を全て「一本」、準々決勝では強敵ケリタ・ズパンシック(カナダ)を大内刈「有効」、大外返「一本」で下している新井は好調、位押しに押して中途半端な技を掛けさせ、横四方固「一本」でこの試合も余裕の勝ち抜け。見事決勝進出を決めた。

決勝は新井が左、ディードリッヒが右組みのケンカ四つ。新井はディードリッヒに釣り手を下から突かせたままの危うい組み手を続けてしまい、1分1秒には「場外」の指導も受けるが、2分過ぎにテンポを変えて組み際の左出足払。「有効」を獲得して停滞から抜け出す。

新井、残り30秒には左内股から左小内刈に繋ぐ得意の形で「一本」級の投げを決めるが、これは「待て」の後でノーポイント。そのまま「有効」による優勢で優勝を決めた。

新井は全試合一本勝ちで優勝したヨーロッパオープン・ソフィアに続く国際大会連続制覇。この日はファルカスコッホ、ズパンシックと揃ったハイレベル大会を見事に制したという体で、国内のライバル達にひとつ実績上で大きな差をつけた一日となった。

一撃の巧さと強さに、手堅い寝技も盛って新井は順調。国際柔道界においても世界選手権の優勝候補に挙げられて然るべき、階級きっての強豪選手としてマップされていることは間違いない。
ただし、決勝で見せた釣り手の管理の危うさには一抹の不安が残る。非常に粗い図式化だが、70kg級の上位選手と新井の対戦構図は大枠「パワーの海外選手に、投技のテクニックで対抗する新井」と規定出来るはず。その中で線が細い(と周囲に思われている)新井が、釣り手を上から持って肘が伸びた(=相手が釣り手を下から持って曲げ伸ばしが効く)リスクのある状態を長く続けたのはいただけない。それだけ新井に地力がついた、自信があると観察することも出来るが、問題は強豪たちが「新井にはパワーで対抗するしかない」と思いこんでいること自体にあるはずで、その中で相手にとって「思い切り仕掛ければいけそう」な組み手を、自身が技を仕掛けないままに長く続けることは決して上策とは思えない。アジア大会決勝で喫したまさかの一撃の教訓はこういったリスク管理、状況の積み上げにこそ生かされるべきだ。強さと、課題を2つながらに示した大会として総括しておくべきだろう。

日本の代表もう一人、グランドスラム東京準優勝者の田知本遥は試合に出場することすら叶わず。78kg級代表の緒方亜香里が持ち込んだ市販の風邪薬を服用し、ドーピング違反の怖れから大会を辞退することとなった。強化資格剥奪ではとの噂も流れたありえない事件であったが、結局実質おとがめなしの「警告」で事態は収拾され選抜体重別への出場権は留保。ただし、いかにかばおうとも自己責任によって大会出場をフイにした重大なミスという事実は変わらないはずで、評価は間違いなくマイナス。選出条件である「直近の国際大会での実績」もゼロとなり、世界選手権代表挑戦は非常に厳しいものとなった。

【成績上位者】

優 勝:新井千鶴
準優勝:スザンドラ・ディードリッヒ(ドイツ)
第三位:サンネ・ファンダイク(オランダ)、ケリタ・ズパンシック(カナダ)

【準決勝】

スザンドラ・ディードリッヒ(ドイツ)○大内刈(0:11)△ラウラ・ファルガス・コッホ(ドイツ)
新井千鶴○横四方固(3:38)△イリヤナ・マルツォク(ドイツ)

【3位決定戦】

サンネ・ファンダイク(オランダ)○小外刈((1:24)△イリヤナ・マルツォク(ドイツ)
ケリタ・ズパンシック(カナダ)○不戦△ラウラ・ファルガス・コッホ(ドイツ)

【決勝】

新井千鶴○優勢[有効・出足払]△スザンドラ・ディードリッヒ(ドイツ)

【日本選手勝ち上がり】

新井千鶴(三井住友海上火災)
成績:優勝

[1回戦]
新井千鶴○片手絞(1:38)△レア・プエシェル(ドイツ)

左相四つ。横変形の形でお互いに大外刈を狙う。左大外刈で掛け潰れた相手を所謂腰絞で絞め上げ「一本」。

[2回戦]
新井千鶴○内股(1:18)△アンゼラ・マロザワ(ベラルーシ)

左相四つ。相手は右組みにスイッチして腕を突っ張り距離を取ろうと試みる。新井は動ぜず、左のケンケン内股で追い込んで投げ切って「一本」

[3回戦]
新井千鶴○大外返(2:10)△ケリタ・ズパンシック(カナダ)

左相四つ。ズパンシックは両襟で組み止めようとするが、新井は掻い潜って組み手で優位確保。相手に2回切らせ、もう切れなくなったズパンシックは組み合いに応ぜざるを得ない。新井、手の詰まったズパンシックをケンケンの左大内刈で場外まで追い「有効」獲得。
後のなくなったズパンシックは一発逆転を狙って左大外刈の大技、新井は釣り手を片襟に入れて大外返で応じる。これが完璧に決まって「一本」。山場の試合を文句なしの試合運びで突破。

[準決勝]
新井千鶴○横四方固(3:38)△イリヤナ・マルツォク(ドイツ)

左相四つ。マルツォクは右構えを交えながら粘るが新井ジックリ左大内刈に左内股で攻めを続ける。根負けしたマルツォクが偽装攻撃を犯し「指導1」。
直後、ともかく掛けようと不十分な体勢で仕掛けたマルツォクの左大内刈を潰した新井、すかさずローリングして寝技に持ち込む。縦四方固の形から足を抜き、相手の右に降りて横四方固。疲労困憊のマルツォク「参った」。

[決勝]
新井千鶴○優勢[有効・出足払]△スザンドラ・ディードリッヒ(ドイツ)

ケンカ四つ。新井は思い切り左内股を放つがディードリッヒはまたいで防ぐ。
攻撃志向の新井、釣り手を上から持って間合いを詰める。肘が伸びがちで少々危うい組み手。1分1秒、新井に場外の「指導1」。続く展開も腰の差し合いに一進一退で応じてしまい少々試合は膠着気配。
2分9秒、新井がテンポを変えて抜け出す。組み際に鋭い出足払、引きずり込むようにディードリッヒを畳に落として「有効」。
新井は釣り手の形を変えずリスクのある近い間合いでの攻防を選択。残り30秒には左大内刈、左内股と繋いだところから得意の左小内刈に繋いで「一本」相当の一撃を決めるが、これは「待て」の直後と判断されてポイントなし。そのままタイムアップで新井の優勝決定。

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