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グランプリ・デュッセルドルフ最終日・各階級ひとこと展望

(2015年2月21日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版2月21日掲載記事より転載・編集しています。
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各階級ひとこと展望
グランプリ・デュッセルドルフ最終日
■ 90kg級・第1シードはリパルテリアニ、序盤は混戦のプールCに注目
エントリー46名
日本選手:吉田優也(旭化成)、西山大希(新日鐵住金)

【概況・有力選手】

チェリャビンスク世界選手権の金・銀・銅のメダリストが顔を揃えた豪華陣容で行われる見込みであった90kg級だが、王者イリアス・イリアディス(ギリシャ)のみが出場回避。しかしそれでも例年の「パリ+デュッセルドルフ」を超えるレベルのスターたちが集まった。

チェリャビンスク世界選手権銀メダリストの若手世代の星クリスチャン・トート(ハンガリー)、銅メダリストのヴァーラム・リパリテルアニ(グルジア)の目玉2人に、2010年と2011年の世界選手権銀メダリスト西山大希、アジア大会王者の吉田優也、急速に力を伸ばしてアジアカテゴリの雄から世界への飛躍を狙うグランドスラム東京王者ガク・ドンハン(韓国)、13年世界ジュニア王者のベカ・グビニアシビリ(グルジア)など、トーナメントは多士済済。ただし、中堅の強豪の姿が薄く、これら目玉となる選手とワールドツアー参加常連の他選手と力に少々差がある印象。混戦模様のプールC以外はそのままシード選手が勝ち上がりそうな状況だ。

日本からは前述の通り西山大希と吉田優也がエントリー。

ようやく復帰のレールに乗った感ありの西山はいよいよ勝負の年、誰もが認める投げの強さ、激戦の90kg級にあって2大会連続ファイナリストの栄に輝いた地力の高さを再び発揮できるか。海外勢の西山に対する警戒感は非常に高く、これもうまく利用して試合を有利に進めたいところ。

吉田は選抜体重別優勝、アジア大会も制してついに世界大会挑戦の権利を得ながら、またもや負傷でグランドスラム東京に出場出来ない不運。今回の欧州遠征に参加できなければせっかく掴んだその権利を放棄せねばならないピンチだったが、どうやら出場にこぎつけた。おそらく万全ではないのではないかと推察するが、なんとか「権利」を留保できる成績を獲得して、選抜体重別で勝負できる状況を作っておきたい。


【組み合わせ(シード選手・有力選手)】 

[プールA]
Aシード選手:ヴァーラム・リパルテルアニ(グルジア)
Bシード選手:吉田優也

シードされた両者の対決必須の山。吉田は2回戦から登場し、3回戦でフランスの代表格ルドウィック・ゴベルと対戦、これに勝ってリパルテリアニ戦を迎えることになる。
リパルテリアニは度々東海大を訪れており、吉田としては対策十分のはず。リパルテリアニの懐の深さに技の多彩な吉田が何を以て立ち向かうか。楽しみな一番。

[プールB]
Aシード選手:ガク・ドンハン(韓国)
Bシード選手:ベカ・グビニアシビリ(グルジア)

ここもガクとグビニアシビリ以外に勝ち上がり候補が見えてこない。ガッチリ組み合うことを好むグビニアシビリが、「持つなり担ぐ」組み際の泥試合も不利な体勢からの一発狙いも出来る試合巧者ガクにどう立ち向かうか。順行運転なら「指導」差でガク、互いがリスクを負って勝負に出る展開が作れればグビニアシビリが勝ち上がる可能性も出てくる。

[プールC]
Aシード選手:クリスチャン・トート(ハンガリー)
Bシード選手:イディー・アレクサンドル(ルランス)
有力選手:西山大希、ナシフ・エリアス(レバノン)、セリオ・ディアス(ポルトガル)

トートの準々決勝勝ち上がりはほぼ確実。直下にマルク・オーデンタール(ドイツ)とクータグ・ツォトゲレル(モンゴル)というツアー常連組がいるが、トートが14年下半期に見せた爆発力からそのまま補助線を引けばアップセットの可能性は僅少。

その準々決勝の対戦相手を争う下側の山が大混戦。西山は初戦でセリオ・ディアス、2戦目でナシフ・エリアスと対戦する。ディアスは世界選手権でベイカー茉秋を真っ向からの大外刈で投げつけ、さらに次戦のイリアディス戦でも大健闘を見せたポルトガル期待の若手だが、以後5大会、6大会と試合に出続けた下半期シーズンはひとつも良い試合がなく、1コケ、2コケを繰り返している評価の難しい選手。その最高到達点の高さを万が一にも引き出すことなきよう、まず主導権を取ってしっかり戦いたい。エリアスはもとブラジル籍の巨漢で、中年体型に似合わぬスタミナをベースに執拗に奥襟からの大技で攻めてくる、相手に一発の恐怖をまきちらしてペースを掴むタイプ。西山の技の切れ味で、早めに勝負をつけてしまいたい。

次に待ち受けるシード選手イディーは西山の力を持ってすればむしろ問題なし。
準々決勝のトート。西山は昨年6月のグランプリ・ブダペスト決勝でこの選手に大外刈「技有」で勝利しているが、以後のトートの出世ぶりを考えるとこの実績は忘れて、挑む立場で戦うべき。正念場だ。

[プールD]
Aシード選手:ノエル・ファンテンド(オランダ)
Bシード選手:ギョーム・エルモント(オランダ)

ファンテンドと大ベテラン・エルモントの山。アップセットの可能性は少ないがシード選手の両者とも現状絶対の力があるわけではないため、鉄板とまでは言い難い印象。いずれここを勝ちあがった選手が準決勝を突破するのは難しいと思われる。

■ 100kg級・羽賀龍之介は最激戦区に配置、アルメンテロス、グロルと連戦
エントリー41名
日本選手:羽賀龍之介(旭化成)、高木海帆(日本中央競馬会)

【概況・有力選手】

第1シードはシリル・マレ(フランス)だが、柔道が比較的わかりやすく爆発力に欠ける面があり、ズラリと並んだ強豪たちのインパクトにやや名前負けの感あり。

打ち揃った強豪たちの名前を挙げていくと、2009年ロッテルダム世界選手権王者のマキシム・ラコフ(カザフスタン)、ラコフに勝ってアジア大会を制したばかりの北京五輪王者ツブシンバヤル・ナイダン(モンゴル)、リオ世界選手権王者エルハン・ママドフ(アゼルンバイジャン)、チェリャビンスク世界選手権銀メダリストのホセ・アルメンテロス(キューバ)、同じく銅メダリストのイワン・レマレンコ(UAE)と「悪ガキ」カールリヒャード・フレイ(ドイツ)の2人、フレイの先輩格でドイツのエースであるディミトリ・ピータース、世界屈指の「シルバーコレクター」ヘンク・グロル(オランダ)、100kg超級から転向しいかにも韓国人らしい泥臭い柔道で相手を完封しつづけるチョ・グハン(韓国)など。個性派の役者たちが揃った。

特に注目したいのはアルメンテロス。「馬並み」とでも表現したくなる足腰の強さで世界選手権では背負投「一本」を連発し決勝まで進出。同じくダークホースのレマレンコとともにトーナメントを荒らし捲った注目株だ。以後はワールドツアーに全く参加しておらず、あの奔馬のような強さが1日だけの突然変異だったのか、それとも以後強豪としてシーンに絡み続けるのか、今回は試金石となる大会。

凋落続く日本からは、前週のヨーロッパオープン・ローマで羽賀龍之介が全試合内股「一本」という素晴らしい内容で見事優勝、ようやく一筋の光明が見えたところ。羽賀が今大会どこまで行けるのか、まことに楽しみ。

【組み合わせ(シード選手・有力選手)】 

[プールA]
Aシード選手:シリル・マレ(フランス)
Bシード選手:ラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)

高木海帆がマレの直下に配された。初戦でオランダの新顔マイケル・コレルに勝利すれば早くも2回戦で対戦することとなる。講道館杯で優勝しながら以後国際大会で振るわぬ高木、きっかけを掴むことが出来るか。

[プールB]
Aシード選手:エルマー・ガシモフ(アゼエルバイジャン)
Bシード選手:マキシム・ラコフ(カザフスタン)
有力選手:ツブシンバヤル・ナイダン(モンゴル)

プールCと並ぶ非常な激戦区。ナイダンがガシモフの直下に配され初戦(2回戦)で激突。勝てば準々決勝でラコフが待ち構える。

このブロックからはラコフの勝ち上がりを押したい。相手がパワーファイターのガシモフであれば力に加えて足技の効くラコフにとっては比較的やり易く、ナイダンはアジア大会でラコフに勝利しているが、審判傾向を読んでの「押し出し」に拘るばかりで常に主導権は投げを狙い続けるラコフにあった。ナイダンのあまりの押し出し一辺倒ぶりに、翌日からは場外際の攻防における「押し出し」の反則をしっかり取ることが審判会議で確認されたほどで、まともなジャッジであればナイダンのこの手は封じられるはずだ。

[プールC]
Aシード選手:カールリヒャード・フレイ(ドイツ)
Bシード選手:ヘンク・グロル(オランダ)
有力選手:ホセ・アルメンテロス(キューバ)、羽賀龍之介

最激戦区、羽賀にとっては試練の山。
上側にフレイとアルメンテロスの2回戦が組まれ、羽賀は3回戦で両者の勝者と対戦する。
フレイは強者だが技の精妙さや組み立ての上手さなど尖ったストロングポイントがあるわけではなく、奥襟を叩いて思い切り大外刈、内股を仕掛けて力が勝っていれば投げるという、いわば「普通の重量級選手」。反則を織り交ぜたり相手を殴ったり(14年グランドスラム・パリで反則負け)というダーティファイトを厭わないという面倒さはあるが、羽賀にとってはやりにくいタイプではないはず。面倒なのはアルメンテロスで、世界選手権で見せたようなバイタリティをそのまま発揮されると、ちょっと現状の羽賀では打つ手が無いという印象。しっかり組んで前に崩し、動きを制限して戦いたい。

勝ち抜けば準々決勝はグロル戦。羽賀は昨年のグランプリ・ブダペストで悠々決勝まで勝ち上がりながら、グロルの谷落一発で叩き付けられた苦い記憶がある。逆に言えば、成長を見せつけることが可能な大チャンス。健闘に期待したい。

[プールD]
Aシード選手:エルハン・ママドフ(アゼルバイジャン)
Bシード選手:ディミトリ・ピータース(ドイツ)
有力選手:チョ・グハン(韓国)、イワン・レマレンコ(UAE)、ルシアーノ・コヘア(ブラジル)

こちらも、もと世界選手権王者のコヘアをアウトサイダーとして扱わねばならないという激戦区。

比較的わかりやすい柔道をする選手が多い中で、典型的な曲者タイプであるチョ・グハンが勝ち上がる可能性が高いと見る。レマレンコが世界選手権で見せたような圧倒的な出来を発揮すれば全員投げつけて勝ち上がると見て良いが、この人は以後の試合を見る限り、いまのところ、あの日は「特別」だったと考えておくべき。ピータースとチョが戦う2回戦、その勝者とレマレンコが戦う3回戦に注目。

■ 100kg超級・七戸龍中心に粒の揃ったトーナメント、王子谷剛志は最激戦区に配置
エントリー36名
日本選手:七戸龍(九州電力)、王子谷剛志(東海大4年)

【概況・有力選手】

テディ・リネール(フランス)と、ラファエル・シウバ(ブラジル)の姿がないが、逆に言えば出ていないのはこの2人だけ、と評して差し支えない(残る役者はサイドフくらいではないだろうか)、シーンの主役級がズラリと並んだトーナメント。どのブロックにも核になる選手と対抗馬、ダークホースという具合に役者がきちんと揃った。

【組み合わせ(シード選手・有力選手)】 

[プールA]
Aシード選手:アダム・オクルアシビリ(グルジア)
Bシード選手:バルナ・ボル(ハンガリー)、ウォルター・サントス(ブラジル)

普通に考えればオクルアシビリが勝ち上がり候補筆頭だが、2014年を低調のまま終えたこの人のパフォーマンスは試合を追うごとに輝きを失うばかり。
28歳のベテランながらここ1年間ジリジリ存在感を増しているボルの勝ち上がりの可能性も皆無ではない。対戦は準々決勝。

[プールB]
Aシード選手:七戸龍
Bシード選手:レヴァニ・マティアシビリ(グルジア)
有力選手:バトトルガ・テムーレン(モンゴル)、オール・サッソン(イスラエル)

テムーレンとサッソンはマティアシビリの山に配され、七戸が準々決勝でその勝者を待ち構えるという配置。七戸がそれまでに戦う2戦の相手は世界選手権出場クラスの選手ではなく、しっかり力を蓄えておきたいところ。マティアシビリは伸び盛りの21歳、左右の効く厄介な選手だが前週のヨーロッパオープン・ローマ決勝では原沢久喜が早い技出しで完封して勝利しており、七戸がしっかり力を出せばまずまず問題はないかと思われる。

[プールC]
Aシード選手:ファイセル・ヤバラー(チュニジア)
Bシード選手:王子谷剛志
有力選手:キム・スンミン(韓国)、ウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)

最大の激戦区。第2シード選手ファイセル・ヤバラーに、ベテランのキム・スンミン、全日本選手権王者の王子谷剛志、世界ジュニア選手権王者のウルジバヤル・デューレンバヤル(モンゴル)といずれも世界選手権の表彰台に手が届くレベルの、それも本格派の強者がギッシリ揃った。

王子谷は3回戦でウルジバヤルと、準々決勝でヤバラーとキムの勝者と対戦する。
ウルジバヤルはアジア大会決勝で対戦し、勝利したものの肩を負傷することとなった因縁の相手。王子谷であれば真っ向勝負で叩き伏せるだけの力があるはずで、力関係をはっきり示すような良い勝ち方を期待したい。

ヤバラーとキム、実績からいけばキムの方が上だが、本格派ヤバラーの力と技、キムの加齢による迫力の減退に鑑みて勝ち上がりはヤバラーと考えたい。

王子谷対ヤバラー。ヤバラーは全日本選手権2位で絶頂期にあった石井竜太を正面からの右大外刈で叩き落とし、膝に重症を負わせた経緯がある怪力選手。パワーだけでなく非常に筋の良い「業」を持った選手で、この選手に対して真っ向からの投技勝負を挑むのか、組み手で制しての戦術性の高い試合を挑むのか、なにより王子谷の出方が興味深い。ここには王子谷の現在位置、そして自分をどこまで「買っているのか」が端的に示されるはず。その意味では勝敗以上にその作戦立案のほどに注目したい。

[プールD]
Aシード選手:ロイ・メイヤー(オランダ)
Bシード選手:マリウス・パスケビシャス(ラトビア)
有力選手:ユーリ・クラコベツキ(キルギスタン)

ステージの似通った3人によるマッチレース。勝ち上がりは混沌としているが、プールCの充実ぶりを考えると準決勝以降を勝ち抜くことは難しいかと思われる。

■ 78kg級・ハリソンとヴェレンセクがトーナメントの中心

エントリー28名
日本選手:佐藤瑠香(コマツ)、緒方亜香里(了徳寺学園職)

※緒方は大会直前に棄権を表明

【概況・有力選手】

世界大会優勝経験者が形成するトップグループからの参戦はロンドン五輪王者のケイラ・ハリソン(アメリカ)のみ。第3シードに入ったハリソンと第2シードのアナマリ・ヴェレンセク(スロバニア)がトーナメントの中心となる。
この2人を「ワールドツアーでは結果を残すがなかなか世界大会で成績が残らない」ステージにあるルイーズ・マルツァーン(ドイツ)、アビゲイル・ヨー(ハンガリ)らが追うというのがトーナメント大枠の様相。決勝は高い確率でハリソン対ヴェレンセクとなるだろう。

若手で期待されるのはマデリーン・マロンガ(フランス)。
日本勢はトップグループと伍した実績のある緒方亜香里を送り込む予定であったが、田知本遥と同様に市販の風邪薬を服用するというミスを犯してドーピング違反の怖れから棄権、現在は処分を待つ身。結局佐藤瑠香1枚で欧州シリーズのハイライトである本大会を戦うこととなった。

ここ数年の実績からして現在の佐藤は世界選手権の表彰台争いのアウトサイダーだが、12月のグランドスラム東京(2位)に続いて力を示せばトップグループと伍するルートが見えてくる。意地を見せて欲しいところ。

【組み合わせ(シード選手・有力選手)】 

[プールA]
Aシード選手:ルイーズ・マルツァーン(ドイツ)
Bシード選手:マデリーン・マロンガ(フランス)
有力選手:佐藤瑠香

佐藤が第1シード選手マルツァーンの直下に配された。初戦を勝てば2回戦で挑戦することになる。前述の通りワールドツアーでは常に上位に入賞するがどうしても世界のトップグループに入れないマルツァーンは、現在位置を測る上ではこの上ない相手。佐藤はこの選手に対してジュニア世代から数えて過去3勝。直近の対戦である2013年グランドスラム東京でも勝利している。なんとか勝利をモノにして上位進出を狙いたい。

勝ち抜いた場合、準々決勝で待ち受けるのは次代の大物マロンガ。この選手には前週のヨーロッパオープン・ソフィアでジュニア世代の髙山莉加(三井住友海上火災)が袈裟固「一本」で勝利しており、佐藤としては負けられない相手。このマロンガに勝利して、準決勝でハリソンと手を合わせるところまでが、強化陣が設定する今回の佐藤の合格ラインとなるのではないだろうか。

[プールB]
Aシード選手:ケイラ・ハリソン(アメリカ)
Bシード選手:ナタリー・ポウエル(イギリス)
有力選手:ケルスティン・ティエレ(ドイツ)

ポウエルはツアー皆勤者ゆえ一定の実績は残っているが、トップグループの選手に勝利したことは皆無のはず。事前予測としてはハリソンの勝ち上がり以考えられない。

[プールC]
Aシード選手:アナマリ・ヴェレンセク(スロベニア)
Bシード選手:アッスンタ・ガレオーニ(イタリア)

はっきり一強が抜け出したブロック。勝ち上がりはヴェレンセクとみて間違いない。

[プールD]
Aシード選手:アビゲイル・ヨー(ハンガリー)
Bシード選手:ヴィクトリア・タークス(ウクライナ)
有力選手:ジェンマ・ギボンス(イギリス)

ヨーが勝ち上がり候補の一番手だがタークスも地力があり、アップセットの可能性は皆無ではない。ここは勝ち上がりが揺れてもおかしくないブロック。

■ 78kg超級・トーナメントを引っ張るのは東アジア勢、注目は山部とユースン
エントリー25名
日本選手:山部佳苗(ミキハウス)、朝比奈沙羅(渋谷教育学園渋谷高3年)


【概況・有力選手】

ワールドランキング3位とはいえ、第1シードがトップグループにほとんど勝てないフランジスカ・コニッツ(ドイツ)ということで思わずトーナメントのレベルを低く見積ってしまいたくなるが、日本勢2人に躍進著しい13年ワールドマスターズ王者ユー・スン(中国)らも絡み、個性派の実力者が揃ったなかなか興味深いトーナメント。

ユーは中国勢には珍しく技も切れるタイプで、14年秋の戦線復帰後一段体も大きくなった印象。ヨーロッパオープン・オーバーヴァルトでは田知本愛が得意の払腰「一本」でこの選手を下して優勝しており、技の切れなら田知本以上の山部、グランドスラム東京で稲森奈見とともに重量級世代交代の狼煙を挙げたばかりの朝比奈としてもここは譲るわけにはいかないところ。コニッツとヤスミン・クルブスという地元ドイツが誇る2枚の壁が揃って参加する大会ではあるが、トーナメントを引っ張るのは上記3人の東アジア勢だ。

【組み合わせ(シード選手・有力選手)】 

[プールA]
Aシード選手:フランジスカ・コニッツ(ドイツ)
Bシード選手:イリナ・キンザルスカ(ウクライナ)
有力選手:ルーシー・ルエット カニング(フランス)

78kg超級の選手はトップの数名を除いてはどの選手もメンタル、フィジカルともに不安定で、定期的にポカをする傾向がある。その中にあってコニッツとキンザルスカは比較的戦い方が安定している選手。ルエットには一瞬の最高到達点の高さがあるが、地元の大声援を受ける中ということもありここはコニッツの勝ち上がりを推しておきたい。

[プールB]
Aシード選手:山部佳苗
Bシード選手:ヤスミン・クルブス(ドイツ)

山部はキム・ジヨン(韓国)とロチェレ・ヌネス(ブラジル)の勝者と戦った後、準々決勝でクルブスと対戦する。世界選手権の評で書かせて頂いた通り、クルブスは典型的な圧殺ファイターであり、トップグループにとっては、しっかり仕掛けさえすれば飛ぶこの選手に対して取りに行く覚悟があるかという「度胸試し」の対象という位置づけ。山部は昨年の世界選手権でこの相手に下を向いたまま技を仕掛けず「指導1」で敗れているが、翌日行われた団体戦では体落「一本」で勝利している。どちらの目が出るか、今季に掛ける山部のモチベーションを測るという意味で注目の試合。

[プールC]
Aシード選手:ユー・スン(中国)
Bシード選手:グルサ・コジャトルク(トルコ)
有力選手:カロリン・ヴァイス(ドイツ)、グルザン・イッサノワ(カザフスタン)

なかなかの面子が揃ったが、ユーの力が1枚抜けているはず。勝ち上がりはユーを推しておきたい。

[プールD]
Aシード選手:ニヘル・シェイキロウホウ(チュニジア)
Bシード選手:スヴィトラナ・イアロムカ(ウクライナ)
有力選手:朝比奈沙羅、イ・インジュ(韓国)

シード選手は「アフリカの浮技女王」ことニヘル・シェイキロウホウ。大陸選手権で勝ちまくり、2014年シーズンからはIJF大会にも積極参戦。相手の重心を捕まえての浮技という唯一無二の武器が、自重を生かして戦うが足腰の安定感はいま一つというこの階級の中堅選手の特性に嵌り、昨年前半にワールドツアーの一線で大活躍することとなった異色の存在だ。

準々決勝は朝比奈とシェイキロウホウの対戦と読む。地力は朝比奈が上だが、とにかく戦ったことのないタイプのはず。どんな「際」も全て浮技に変換するこの選手をどう処理するか。なかなかに興味深い一番。

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