PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

高木海帆が決勝で羽賀龍之介下す・講道館杯全日本柔道体重別選手権大会100kg級レポート

(2015年1月16日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版1月16日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード
高木海帆が決勝で羽賀龍之介下す
講道館杯全日本柔道体重別選手権大会100kg級レポート
eJudo Photo
準々決勝、羽賀龍之介が小林大輔から鮮やかな内股「一本」

世界選手権に代表を送らず、そしてアジア大会では選抜体重別優勝者の熊代佑輔が初戦敗退という苦しい状況にある100kg級。
しかしこの講道館杯は国際大会におけるそうした苦境が信じられないほど新人、ベテランに中堅クラスと非常に面白い存在が揃った。その中で決勝に勝ち残ったのは羽賀龍之介(旭化成)と高木海帆(日本中央競馬会)、ともに育成上の中心と目される社会人選手2人。

第1シードに配された羽賀は初戦で勝負師タイプの担ぎ技ファイター吉永慎也(新日鐵住金)、3回戦では長身を生かして国際大会でも活躍を続ける下和田翔平(京葉ガス)、準々決勝ではワールドクラスの内股の切れ味を持つ業師・小林大輔(ALSOK)とタイプの違う強豪と次々マッチアップする非常に厳しい組み合わせ。しかしもっとも面倒と思われた吉永を送襟絞「一本」(1:23)で下すと、下和田との3回戦は「指導2」対「指導1」の優勢で手堅く競り勝つ。さらに最大の山場と目された小林大輔との準々決勝は、ケンカ四つの相手と前傾姿勢で止めあった拮抗状態から一瞬で抜け出し鮮やかな左内股「一本」(4:24)で勝ち抜け。そしてジュニア世代期待のホープ・ウルフアロン(東海大1年)との準決勝は左相四つのウルフを支釣込足で蹴たぐると、バランスを崩した相手をあっという間に送襟絞に捉えて一本勝ち(3:08)。4戦して3つの一本勝ちという好成績で見事、大学2年時の2011年に連覇を達成して以来の講道館杯決勝の畳へとたどり着いた。

eJudo Photo
高木海帆は後藤隆太郎、小野卓志、増渕樹と強豪を立て続けに下しての決勝進出

一方の高木は2回戦で進藤一馬(福岡大3年)を内股返「有効」で破り、3回戦では世界ジュニア王者の後藤隆太郎(慶應義塾大2年)から内股「有効」、内股透「技有」と連取して勝利。勝負どころとなった準々決勝は小野卓志(了徳寺学園職)を内股「一本」(3:33)で破り、準決勝は第2シードの前年度王者・増渕樹(旭化成)を「指導2」対「指導3」の反則累積差で下して決勝進出決定。

eJudo Photo
決勝、高木は引き手で羽賀の指を握ったまま右内股を決める

eJudo Photo

決勝は羽賀が左、高木が右組みのケンカ四つ。
羽賀が釣り手を上から叩くと、高木は下から背中に入れて対抗、片手の右体落で羽賀を崩す。羽賀は片手の左内股、高木は左襟を両手で握った右体落と攻め合うがいずれも引き手が足りず、2分58秒双方に再び「取り組まない」判断の「指導」が宣告される。

以後も引き手争いが続くが、3分を過ぎたところでこの動的膠着から高木が抜け出す。相手と指先を絡ませる引き手の攻防から、そのまま羽賀の指を握って右内股。低くケンケンで追い、力で押し込んで決定的な「技有」ポイントを獲得する。高木そのまま腕緘を狙い、「待て」が掛かった時には残り時間は1分30秒。

eJudo Photo
羽賀は猛攻も残り時間少なく追い切れず

もはや攻めるしかない羽賀、両襟を握って思い切り良く左内股。この試合羽賀が初めて放った取り味のある技に高木一瞬宙に浮くが、バランス良く降り立って隅落に切り返し「待て」。経過時間は3分57秒。

羽賀は両襟の左内股、さらに大内刈、小内刈と繋いで高木を畳に転がし伏せさせる。これを受けて主審は高木に「指導3」を宣告、経過時間は3分35秒、残り時間は25秒。

しかし羽賀、あと一歩の攻めを詰むことが出来ずにそのままタイムアップ。高木が内股「技有」を以て優勢勝ちを果たし、講道館杯初優勝を決めるに至った。

eJudo Photo
優勝の高木海帆

ともにロンドン五輪代表の穴井隆将のフォロワーと位置付けられながら負傷で成長仕切れず、日本の花形階級だった100kg級低迷の遠因を作ることとなってしまった2人。今度こそはの捲土重来を期しての決勝だったわけだが、この試合は、勝利への飢餓感、切迫感で高木が羽賀の上を行ったと評しておきたい。ともになかなか引き手を得られない中で羽賀、高木双方が内股を繰り出すという攻防であったが、羽賀の内股は投げに行くというよりは崩しに行って展開を掴む、つまりは掛けること自体が目的のルーティンワークの感が否めなかった。比するに高木は形が作れなくても、指を握ってでも理合を満たして投げてしまおうという直線的、かつ本質的な行動を採った。ジュニア期から抜群の投げの切れ味を見せる一方で襟と袖を二本確保しないとなかなか得意の内股が出ないという「綺麗さ」が指摘され続けて来た羽賀に対し、パワー自慢の高木がこちらは形にこだわらずに投げに出、そして成果を得たという恰好だ。若くして世界選手権代表を経験しながらその後試合にすら出ることの出来なかった高木の懊悩の深さ、キャリアに対する切迫感が生んだ融通無碍の一撃であったと評したい。

羽賀は、内股を仕掛けながら投げ切れないというアクションを繰り返し、そしてそのたびに自ら勢いを失うというここ二年程のパターンから抜け出し切れなかった感あり。仕掛けさえすれば相手がすっ飛んで行った高校時代のイメージに囚われているがゆえ、例え良い攻めをしていても「投げ切れない」というだけでその都度メンタルに傷を負ってしまうというのはいささか穿ち過ぎた見方であろうか。僭越ながら、そして陳腐な指摘かもしれないが、やはり崩しが足りないと感じる。鮮やかに投げ切った小林戦は互いが前傾してもたれ掛りあっていたゆえ半ば崩しが完了している状態であり、その拮抗から抜け出すだけで内股がその威力を発揮し得た。成功した小林戦ではなく、相手が背筋を伸ばしながら股中で羽賀の追い込みを捌き切る、国内国外問わずに頻出するあの絵をこそ真摯に捉えるべきだ。「投げ切る力が足りない」と取るのか(ここ1年の羽賀を見る限りこちらにフォーカスして鍛え直しているという印象があるが)、「崩しが足りない」と考えるのか、それとも内股の一撃にこだわらずにスタイルチェンジを図るのか、今後の羽賀の進化に期待したい。

eJudo Photo
2回戦、増渕が渡辺大樹を攻める

eJudo Photo
3回戦、小野卓志が川田修平から小内刈で一本勝ち

昨年王者の増渕樹は2回戦で昨年のインターハイ王者渡辺大樹(山梨学院大1年)を小内刈(4:45)、宮﨑賢司(神奈川県警)を一本背負投と横四方固の合技(2:39)、浅沼拓海(国士舘大4年)を小外掛(2:30)と一本勝ちを連発、相変わらずの強さを見せつけたが前述の通り準決勝で高木に敗退。3位決定戦では小林大輔を小外掛「技有」で破り、キッチリ表彰台は確保した。

今大会に復権を賭けた13年世界選手権代表の小野卓志(了徳寺学園)は2回戦で寺島克興(京葉ガス)に大外刈「有効」優勢、3回戦では今季のインターハイ王者川田修平(大成高3年)を出足払「有効」、小内刈「一本」(4:03)と一蹴、さすがの強さを見せたが準々決勝で高木に内股「一本」で敗退。迎えた浅沼拓海との敗者復活戦では2分40秒に足取りの反則を犯し痛恨のダイレクト反則負け。表彰台に上がることは出来なかった。

eJudo Photo
1回戦、ウルフアロンが藤原浩司から大外刈「有効」

世界ジュニア王者の後藤隆太郎は前述の通り3回戦で高木に敗れたが、同じジュニア世代のウルフアロンは3位を確保。1回戦で藤原浩司(長崎県警)を大外刈「有効」、2回戦では飯田健伍(山梨学院大3年)から大内刈「技有」、内股「有効」と連取しての優勢、3回戦は今季の学生王者制野孝二郎(日本大3年)を隅返「技有」と強敵を連続撃破し、準々決勝では前戦で高橋良介(警視庁)を破った羽沢頼誠(パーク24)に支釣込足と横四方固の合技(2:59)で一本勝ち。準決勝で羽賀に敗れて迎えた3位決定戦でも浅沼拓海を「指導2」の優勢で破り見事表彰台に上がるに至った。

昨年3位入賞の乙津瑞希(東芝プラントシステム)は2回戦で小林大輔に出足払「技有」で敗戦。同じく昨年3位の齋藤俊(新日鐵住金)は初戦で浅沼に「指導3」対「指導2」で敗れた。

グランドスラム東京代表には決勝を争った高木と羽賀のほか、ウルフアロンと後藤隆太郎のジュニア世代2人が選ばれた。後藤は入賞に絡めなかったが世界ジュニア優勝の実績を評価された形で、首脳陣の100kg級強化に対する危機感と覚悟の表れた選考であった。

入賞者と優勝者コメント、準々決勝以降の結果は下記。

eJudo Photo
100kg級入賞者。左から羽賀、高木、増渕、ウルフ。

【入賞者】
優 勝:高木海帆(日本中央競馬会)
準優勝:羽賀龍之介(旭化成)
第三位:増渕樹(旭化成)、ウルフアロン(東海大1年)

高木海帆選手のコメント
「優勝出来てうれしいです。右膝をケガしてから、良い材料があまり見つからず稽古も試合も探り探りの日が続きましたが、今日は目の前のことに集中できました。手術しなければ良かったと思ったこともありましたが、苦しい日々を頑張ってきて精神的に成長できたかなと思います。100kg級は日本で結果を残すのが最低ライン、勝てて次に繋がりました。余裕がない状態なので、ひとつひとつこれからもがんばります」


【準々決勝】

羽賀龍之介(旭化成)○内股(3:24)△小林大輔(ALSOK)
ウルフアロン(東海大1年)○合技[](2:59)△羽沢頼誠(パーク24)
増渕樹(旭化成)○小外掛(2:30)△浅沼拓海(国士舘大4年)
高木海帆(日本中央競馬会)○内股(3:33)△小野卓志(了徳寺学園職)

【敗者復活戦】

小林大輔(ALSOK)○大内刈(3:53)△羽沢頼誠(パーク24)
浅沼拓海(国士舘大4年)○反則(2:40)△小野卓志(了徳寺学園職)

【準決勝】

羽賀龍之介(旭化成)○送襟絞(3:08)△ウルフアロン(東海大1年)
高木海帆(日本中央競馬会)○優勢[指導3]△増渕樹(旭化成)

【3位決定戦】

増渕樹(旭化成)○優勢[技有・小外刈]△小林大輔(ALSOK)
ウルフアロン(東海大1年)○優勢[指導2]△浅沼拓海(国士舘大4年)

【決勝】

高木海帆(日本中央競馬会)○優勢[技有・内股]△羽賀龍之介(旭化成)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版1月16日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.