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松本薫復活優勝、強者揃ったハイレベルトーナメント勝ち抜く・グランドスラム東京57kg級レポート

(2015年1月4日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版1月4日掲載記事より転載・編集しています。
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松本薫復活優勝、強者揃ったハイレベルトーナメント勝ち抜く
グランドスラム東京57kg級レポート
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松本薫-フィルツモザーという強豪対決が早くも2回戦で実現

ロンドン五輪金メダリストの松本薫と今夏の世界選手権を制したばかりの宇高菜絵、13年世界選手権覇者のラファエラ・シウバと現役世界王者が3人参戦。さらにテルマ・モンテイロ(ポルトガル)、コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)にサブリナ・フィルツモザー(オーストリア)ら世界大会上位常連のベテラン勢、13年ワールドマスターズ王者ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)がエントリーし、アジア大会王者山本杏も参戦。当初エントリーが噂されていたオトーヌ・パヴィア(フランス)の姿はなかったが、世界選手権に近い陣容と言って差し支えない極めて豪華なトーナメントとなった。

その中を決勝まで勝ち上がったのは第1シード配置のモンテイロと、松本。

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準々決勝、モンテイロは山本杏から「技有」を奪って逆転

モンテイロは2回戦から登場し、チャ・ユミ(韓国)を相手に支釣込足「有効」、大外刈「有効」、腕十字固「一本」(1:49)と連取して快勝。3回戦はステファニー・トレンブレイ(カナダ)を「指導2」優勢で下し、準々決勝は山本杏に小内刈「有効」を先取されたが2分19秒に小内刈「技有」で逆転、「指導3」まで追いすがられたものの逃げ切って優勢勝ち。準決勝はラファエラ・シウバを「取り組まない」咎による2つの「指導」奪取による優勢で下して勝利。因縁の相手松本との決勝に辿り着くこととなった。

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準々決勝、松本がカプリオリウから小外刈「技有」

一方の松本はノーシードからスタート、失意の予選ラウンド敗退に終わった世界選手権以来これが初めての試合。1回戦はシンシア・ラミン(バハマ)を小外掛と横四方固の合技で僅か44秒で一蹴「一本」、勝負どころの2回戦はフィルツモザーを「掛け倒す小内刈」の「有効」ポイントで破り、3回戦はアリウスカ・オヘダ(キューバ)を僅か48秒の縦四方固「一本」。ロンドン五輪決勝などこれが実に7度目の対戦となるコリナ・カプリオリウ(ルーマニア)との準々決勝は1分50秒の小外刈「技有」、残り44秒での横四方固「技有」による合技で快勝。準決勝は3回戦でドルジスレン・スミヤ(モンゴル)を大内刈「有効」で下す殊勲を演じた講道館杯王者芳田司を開始12秒に奪った場外「指導」ポイント1つを以て退け、ロンドン五輪前年の2011年に優勝して以来のグランドスラム東京決勝進出。

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モンテイロは右大内刈から内股巻込に連絡して展開を切る

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モンテイロが釣り手を上から入れるが松本は左へ抱き替えて強気に応戦

決勝はモンテイロ、松本ともに右組みの相四つ。
松本、おなじみの「アサシンポーズ」で相手を睨みつけながら前へ。モンテイロはジリジリ下がり、松本への警戒明らか。

松本、ローキック宜しく低い体勢の足技で相手を小突きながら前進。モンテイロは組み際の右大内刈から内股巻込に連絡して自ら伏せ、松本は素早く背中について寝技を展開、19秒「待て」。

続く展開、モンテイロ組み際に釣り手で肩を押しながらの右大外刈に入り込むことに成功。しかし投げるには至らず、崩れた松本すかさず立ち上がって攻防継続。モンテイロは組み合うと不利とみたか、組み際を狙い続ける構成。

モンテイロ思い切って釣り手で背中を叩くが松本は首を制しながら左に抱き替えて投げを狙い、危ないと見たモンテイロ自ら畳に伏せ降りてブレイク、「待て」。経過時間は47秒。

モンテイロまたもや組み際に右大内刈、「ヨイショー」と日本語で気合の声を上げながら前進するが松本を捉えるには至らず「待て」。経過時間は1分10秒。

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松本がモンテイロを横四方固に捉える

少々技を受け過ぎた印象の松本、ここから攻勢開始。釣り手で奥襟を確保しての右小外刈でモンテイロを膝から畳に落とし、続く展開では左一本背負投に体を捨てる。

モンテイロはいったん外側に逃れ、松本の背につくと左腕をまたぎながら送襟絞。しかし入りが浅く、松本は絞めさせたままその体を左から引き落とし、残った脚を乗り越えてモンテイロを左からの横四方固に捉える。首の抱えは浅かったが脇下に抱え込んだ右腕と自身のアゴで相手を制し続けて20秒を抑え切り主審は「一本」を宣告。

今回も全く敵わなかったモンテイロはそのまま大の字になってしばし動けず。松本、強敵集ったトーナメントをしっかり勝ち上がり、今シーズン3つ目のワールドツアータイトル獲得を決めて見せた。

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決勝、モンテイロを睨みつける松本

今大会における松本の勝利が以後の57kg級戦線に及ぼす影響はまことに大きい。

松本は代名詞となるような得意技や投げの切れ味があるタイプでなく、得意とされる寝技も投技からの移行の形を上手く生かすもので、それ自体がアイデンティティとなるような質のものではない。すっかり定着した評ではあるが、俗に「気持ち」や「気合い」と称される攻防の隅々まで染みた攻撃性が以後の展開を自身優位に転がし続け、結果それをテコに勝ち上がるというのが松本の必勝パターンである。年齢を重ねて攻防のディティールに多少の変化はあるものの、松本柔道の核は基本的に変わっていない。

そして、世界選手権2試合で見せた煮え切らない柔道はその結果以上に、この「核」が欠落していたことが大問題であった。必殺技を持たずそのスタイル自体が強さの源である松本が見せたそのコアを失ったかのようなローパフォーマンスは、つまりは世界選手権と五輪を制覇して功成り名成し遂げたチャンピオンがモチベーションを失い掛けているのではないか、そして技術よりは気持ちに強さの立脚点がある松本がその核を失えば凋落は意外に早いのではないのかという観測を生むこととなっていた。

そんなバックグランドを孕んで迎えたこのグランドスラム東京という大一番。というわけで勝ち負けはもちろんのこと、それ以上に松本の柔道の内容が世界の注目を浴びることとなっていたわけだが、結果はまずまず上々、攻防の隅々にまで染みた「気合い」は十分松本を松本たらしめるだけのものであった。北京-ロンドン期に見せたような異次元の発想ではなく手堅さを前面に押し出しての勝利というその内容にはいささかの物足りなさも感じるが、ここはむしろそういう破天荒さを懐に収めたままで勝ち切った余力を評価すべきだろう。フィルツモザー、カプリオリウ、モンテイロという現在もワールドツアー屈指の強者で有り続ける3人を立て続けに破るという勝ち上がりの良さも買っておくべき。モンテイロが初手から組み合うことを嫌って遠間からのジャブと組み際の技に頼り、ために展開を失った決勝はいかにも松本らしい勝ち方であった。

王者松本、どうやらリオ五輪に向けてやる気十分。この確認なったことこそがグランドスラム東京57kg級最大のトピックであった。

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敗者復活戦、山本杏が宇高菜絵を攻める

モンテイロと松本の勝ち上がり紹介で触れられなかった強者の結果、注目対決にも言及しておく。

今季の世界選手権王者宇高菜絵は下位選手との2戦は勝ちぬけたが準々決勝で13年世界選手権王者シウバ・ラファエラに「指導3」対「指導2」の反則累積差で敗退。敗者復活戦では山本杏に大枠組み勝ちながらこれも「指導2」対「指導3」で敗れて5位に終わった。山本戦の失点の内訳は「袖口を絞る」が2つ、決勝点となった3つめは「積極的戦意の欠如」。負傷癒えぬ中で7位と善戦したとも、かねてより課題の試合運びに難ありとも評価し得る難しい大会であった。

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2回戦、カプリオリウがブーシェミンピナードから「技有」

第2シードに配された32歳のミリアム・ローパー(ドイツ)は2回戦でレティシア・ブロ(フランス)から3つの「指導」を奪いながら一本背負投「技有」で敗退。強者ひしめく57kg級にあってワールドツアー皆勤というドイツ勢らしい手段で高ランキングを確保してはいるが、またもやハイレベル大会になった途端に結果残せず。やはりトップグループとは実力差がある印象。

ジュニア世代の旗手でありワールドツアー常連として定着したキャサリン・ブーシェミンピナード(カナダ)は2回戦でカプリオリウに小外刈「有効」で敗退。

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3回戦、芳田司がワールドマスターズ王者ドルジスレン・スミヤから大内刈「有効」

特筆すべきは同じくジュニア世代である芳田司の3位入賞。2回戦で連珍玲(台湾)、3回戦でドルジスレン・スミヤ、3位決定戦では山本杏と強者を次々破ったその勝ち上がりは、派手さこそないがなかなかのものであった。今後の国際大会での、世界選手権表彰台クラスとのマッチアップが非常に楽しみだ。

入賞者と日本選手勝ち上がり詳細、準々決勝以降の結果は下記。

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57kg級入賞者。左からモンテイロ、松本、芳田、シウバ

【入賞者】
1.MATSUMOTO, Kaori(JPN)
2.MONTEIRO, Telma(POR)
3.SILVA, Rafaela(BRA)
3.YOSHIDA, Tsukasa(JPN)
5.CAPRIORIU, Corina(ROU)
5.YAMAMOTO, Anzu(JPN)
7.BLOT, Laetitia(FRA)
7.UDAKA, Nae(JPN)

【成績上位者】

優 勝:松本薫
準優勝:テルマ・モンテイロ(ポルトガル)
第三位:芳田司、ラファエラ・シウバ(ブラジル)

【日本選手成績】

松本薫(フォーリーフジャパン) 優勝
芳田司(コマツ) 3位
山本杏(国士舘大2年) 5位
宇高菜絵(コマツ) 7位

【日本選手勝ち上がり】(~3回戦)

[1回戦]

松本薫○合技[小外掛・横四方固](0:44)△シンシア・ラミン(バハマ)

[2回戦]

山本杏○優勢[技有・体落]△ロレダナ・オハイ(ルーマニア)
宇高菜絵○優勢[指導2]△ヨハンナ・ミューラー(ドイツ)
芳田司○優勢[有効・大内刈]△連珍玲(台湾)
松本薫○優勢[有効・小内刈]△サブリナ・フィルツモザー(オーストリア)

[3回戦]

山本杏○腕挫十字固(1:41)△ヨワナ・ロジェ(セルビア)
宇高菜絵○腕挫十字固(0:56)△イヴェリナ・イリエワ(ブルガリア)
芳田司○優勢[有効・大内刈]△ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)
松本薫○縦四方固(0:48)△アリウスカ・オヘダ(キューバ)

【準々決勝】

テルマ・モンテイロ(ポルトガル)○優勢[技有・小内刈]△山本杏
ラファエラ・シウバ(ブラジル)○優勢[指導3]△宇高菜絵
芳田司○横四方固(3:55)△レティシァ・ブロ(フランス)
松本薫○合技[小外掛・横四方固](3:16)△コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)

【敗者復活戦】

芳田司○優勢[指導3]△宇高菜絵
コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)○合技[大内刈・大外刈]△ラファエラ・シウバ

【準決勝】

テルマ・モンテイロ(ポルトガル)○優勢[指導2]△ラファエラ・シウバ(ブラジル)
松本薫○優勢[指導1]△芳田司

【3位決定戦】

芳田司○優勢[指導1]△山本杏
ラファエラ・シウバ(ブラジル)○優勢[技有・小外掛]△コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)

【決勝】

松本薫○横四方固(2:40)△テルマ・モンテイロ(ポルトガル)

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