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混戦制したのは芳田司、グランドスラム進出の「残り1枠」に滑り込む・講道館杯全日本柔道体重別選手権57kg級レポート

(2014年12月24日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版12月24日掲載記事より転載・編集しています。
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混戦制したのは芳田司、グランドスラム進出の「残り1枠」に滑り込む
講道館杯全日本柔道体重別選手権57kg級レポート
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準々決勝、芳田司は強敵出口クリスタに「指導」累積差で勝利

世界選手権で代表を務めた宇高菜絵(コマツ)と松本薫(フォーリーフジャパン)の両世界王者に、アジア大会金メダリストの山本杏(国士舘大2年)の3人は今大会の出場免除。つまりグランドスラム東京進出の4枠のうち3枠は既に埋まっており、この講道館杯出場者に与えられる枠は僅かに「1」。優勝する以外に国際大会への進出、つまりはリオ五輪の挑戦権が得ることが出来ないというまことに厳しいサバイバルレース。

その厳しい戦いを縫って決勝に進出したのは芳田司(コマツ)と石川慈(コマツ)の2名。

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準決勝、芳田が左大外刈。小野彰子が体を斜め前に倒して回避するとその方向に体を向け直して刈り込み「有効」。

昨年のインターハイ王者である芳田は1回戦で山河茉莉(環太平洋大2年)に「指導3」対「指導1」で勝利し、2回戦では強敵西尾直子(帝京高3年)を「指導1」優勢で下す。最大の勝負どころと目された第1シード選手出口クリスタ(山梨学院大)との準々決勝も「指導2」対「指導1」の優勢勝ちで切り抜け、準決勝は小野彰子(龍谷大4年)から2つの「指導」を奪った末の残り55秒に大外刈で「有効」を獲得して優勢勝ち。一本勝ちゼロながら、4戦で8個の「指導」を獲得してしぶとく決勝まで勝ち上がって来た。

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決勝の畳に臨む石川慈

一方の石川は全日本実業個人2連覇中、今大会は第2シード配置の優勝候補。2回戦で久堀恭見(金沢学院大4年)を上四方固(2:00)、準々決勝は武井嘉恵(つくばユナイテッド)に支釣込足で「有効」をリードされたが肩固に捉えて逆転勝利(2:11)、準決勝は玉置桃(三井住友海上)を肩固(3:05)と全試合を固技「一本」で勝ち抜き、貫禄十分の内容での決勝進出。

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決勝、芳田は左内股を仕掛けて展開で先を行く

決勝は芳田が左、石川が右組みのケンカ四つ。

石川は引込返に横巴投と寝技への誘導を狙った技を繰り出し続けるが、このあたりは心得た芳田しっかり捌き続けて乗らず。

1分40秒過ぎにに芳田が思い切った左内股、腰に乗ってしまった石川は大きく崩れる。ポイントは回避したが主審は展開に差がついたと判断し、石川に「指導1」を宣告。経過時間は1分47秒、残り時間は2分13秒。

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石川は「指導」ビハインドにも関わらずあくまで寝技に拘り時間を消費

普通に考えればまずはこの1つの「指導」差を追いついておきたいはずの石川だが、それでも得意の寝技に拘り続けて巴投を連発、残り1分半を過ぎてもはや失敗の許されない時間帯となっても露骨に引き込みを企図して巴投に潰れ、そのまま芳田を寝技に誘う。芳田は石川の脚を潰して上体にアプローチ、片手で帯を確保して半ば抑え込みの体勢を作り上げ、石川が絡んだ足を抜く過程のさ中に両者の動きが止まって「待て」。主審は当然ながら攻防の端緒にさかのぼり、石川が巴投に掛け潰れた行為に対して偽装攻撃の「指導2」を宣告する。

残り時間は1分13秒。芳田は右一本背負投に左内股と技を繰り出してペースを変えずに快走、一方の石川は担ぎ技を潰しては寝技に引き込むが取りきれず、残り40秒を過ぎたシークエンスでは方針を変えて両襟で圧を掛けての「指導」狙いと戦い方の的を絞れない。一貫したプランの見えないまま、相手の攻撃に対処するのみで時間を消費してしまう。

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双方一瞬密着、芳田の左内股を石川は突き潰してしまい逆転のチャンスは潰える

残り20秒で石川が放った支釣込足は芳田が押し込み返して無力化、残り12秒で石川が放った巴投も芳田は落下しながら伏せてノーポイント。

芳田、あとはリスクを冒さず試合を締めるのみだが、残り4秒で相手に密着してしまう危ない場面。ここで芳田は思い切った左内股に打って出る。

あとは体をつけての一発に掛けるしかない石川としては願ってもない大チャンスだが、石川は芳田を抱きとめると投げを狙わずに相手を突き落すという回避行動に出てあっさりチャンス消滅。そのままタイムアップのブザーが鳴り響き、この試合は「指導2」による優勢で芳田がモノにすることとなった。

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優勝の芳田司

決勝は石川の自滅の感あり。芳田としては為すべきことを淡々と積み上げた順行運転の4分間だが、節目節目で石川が選択を誤り、その都度芳田が勝利に至る確率を上げ続けてゴールにたどり着いたという様相の一番だった。

試合時間が4分に短縮されシナリオのミスが許されない現在の女子の試合にあって、ビハインドを負った場合に残り時間をどう戦うかはまさしく選手の成績を分ける生命線。この試合で言えば試合時間を2分30秒残した時点での「指導」1つをどう考え、どう追いつくか、残り1分強での「指導」2つをどう逆転するか、そしてもはやリスク覚悟の一発技以外に逆転の可能性がないところまで追いこまれてしまった終盤をどう戦うか。ワールドツアーの上位進出選手はどの選手もこのシナリオ分岐を頭に叩き込んでおり、スコア差ごと、シークエンスごとに戦い方を変えてくるのが当たり前になっている。そしてそのバリエーションを持たない選手は圧倒的な力がない限り上位に浸出することは覚束ない。然るにこの決勝の石川が見せた「追いかけ方」にはどのシナリオで逆転するのか、そのシナリオから帰納して現在の行動はどうあるべきか、というような行動方針がほとんどまったく見いだせなかった。ベテランらしからぬ準備不足であり、思考停止であり、世界の舞台で戦い続けるグランドスラム当確組の3人とはここでも大きな差があったと見る。実業個人を2連覇している実力者石川だが、この敗退は妥当な結果であったというしかない。

優勝した芳田。「指導」による優勢勝ちが4試合という勝ち上がりが示す通り内容は決して圧倒的ではなかったが、冒頭にも示した通り今大会はまず勝ってグランドスラム東京への出場権を得ることが最大の目的。19歳という若手でありながら長所であるしぶとさをそのままシニアに持ち込んで、ライバル多きジュニア世代から頭一つ抜け出した形だ。

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準決勝、石川慈が玉置桃を上四方固に捉える

というわけで、この講道館杯の参加者30名のうちで目に見える果実を手にしたのは芳田ただ1人のみ。

第1シードの出口は芳田戦の結果に意気消沈したか、敗者復活戦で工藤千佳(仙台大3年)に開始16秒に失った内股「有効」で食われて3位決定戦にすら進めず。山梨学院大入学以来の低調傾向に今大会も歯止めが掛からず、7位という予想外の成績で大会を終えた。

高校カテゴリの強者西尾直子(帝京高3年)は1回戦で池田千華(警視庁)に開始早々の小外掛「一本」で敗退、僅か8秒でトーナメントから脱落。

インターハイ決勝で西尾を破って衝撃のメジャーデビューを飾った谷川美歩(藤枝順心高2年)は1回戦で北岡京(龍谷大3年)に袈裟固「一本」(1:56)で勝利したが、2回戦で武井嘉恵に小外掛「有効」からの袈裟固「一本」で敗退。しかし開始12秒の小外掛で「技有」を奪って先制するなど非凡な攻撃力を再び見せた大会でもあった。

選抜体重別で松本薫を破った大友真貴子(コマツ)は1回戦で強敵安田梨乃(帝京大3年)を内股透「有効」で下したが、2回戦で渡部優花(環太平洋大3年)に横四方固「一本」(4:01)で敗退。

そして今大会の主役の一人と目されていた今季の世界ジュニア王者玉置桃(三井住友海上)は前述の通り準決勝で石川に敗退。続く工藤千佳との3位決定戦を袖釣込腰「有効」で勝利して表彰台は確保したものの、グランドスラム東京の出場権獲得にはあと一歩及ばなかった。

入賞者と優勝者コメント、準々決勝以降の結果は下記。

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57kg級入賞者。左から石川、芳田、玉置、渡部。

【入賞者】
優 勝:芳田司(コマツ)
準優勝:石川慈(コマツ)
第三位:玉置桃(三井住友海上)、渡部優花(環太平洋大3年)

芳田司選手のコメント
「3位までには入りたかったので、頑張った。(決勝の相手の石川は)いつも稽古をつけてもらったいるので、頑張りました。(代表については)やるしかないと思うので、これからも頑張ります」


【準々決勝】

芳田司(コマツ)○優勢[指導2]△出口クリスタ(山梨学院大1年)
小野彰子(龍谷大4年)○優勢[有効・小外刈]△工藤千佳(仙台大3年)
石川慈(コマツ)○肩固(2:11)△武井嘉恵(つくばユナイテッド)
玉置桃(三井住友海上)○優勢[指導1]△渡部優花(環太平洋大3年)

【敗者復活戦】

工藤千佳(仙台大3年)○優勢[有効・内股]△出口クリスタ(山梨学院大1年)
渡部優花(環太平洋大3年)○合技[](4:00)△武井嘉恵(つくばユナイテッド)

【準決勝】

芳田司(コマツ)○優勢[有効・大外刈]△小野彰子(龍谷大4年)
石川慈(コマツ)○上四方固(3:05)△玉置桃(三井住友海上)

【3位決定戦】

玉置桃(三井住友海上)○優勢[有効・袖釣込腰]△工藤千佳(仙台大3年)
渡部優花(環太平洋大3年)○大外刈(3:14)△小野彰子(龍谷大4年)

【決勝】

芳田司(コマツ)○優勢[指導2]△石川慈(コマツ)

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