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田知本遥が執念見せて初優勝もぎ取る・講道館杯全日本柔道体重別選手権70kg級レポート

(2014年11月22日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版11月22日掲載記事より転載・編集しています。
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田知本遥が執念見せて初優勝もぎ取る
講道館杯全日本柔道体重別選手権70kg級レポート
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1回戦、長内香月が大野陽子を攻める

1回戦で組まれた大野陽子(コマツ)と長内香月(山梨学院大2年)による注目対決は長内がGS延長戦の払巻込「有効」で勝利。
同じく1回戦で学生王者佐俣優依(帝京大1年)が上野巴恵(自衛隊体育学校)に挑戦した一番は佐俣が払腰「有効」で勝利。ここまで数年間浮き沈みあれど常に世界大会代表候補として名前が挙がり続けていた上野だがこれで来季の世界選手権出場、リオ五輪への道はほぼ断たれ、そのキャリアは大きな分岐点を迎えることとなった。

決勝に進んだのは第1シードの新井千鶴(三井住友海上)と第2シード配置の田知本遥(ALSOK)。

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第1シードの新井千鶴

9月のアジア大会で日本代表を務めたばかりの新井は徹底マークを跳ね除けての決勝進出。2回戦は小島佑香(JR東日本)を小外刈「技有」の優勢、準々決勝は前戦でジュニア王者杉山歌嶺(修徳高2年)を「指導1」優勢で下した福嶋千夏(環太平洋大1年)を「指導1」優勢で退け、安松春香(ALSOK)に「指導1」をリードされたまま終盤を迎える苦しい試合となった準決勝は残り31秒の左一本背負投「有効」で逆転勝利。しっかり決勝まで辿り着いた。

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2回戦、田知本遥が谷内美希から隅返で「技有」を奪う

一方の田知本は2回戦で、前戦で前田奈恵子(JR東日本)を「指導2」で破った谷内美希(金沢学院大2年)を隅返と縦四方固の合技「一本」(1:40)で下し、準々決勝では濱砂香澄(環太平洋大4年)を「指導1」の優勢で破る。準決勝はここまで佐俣優依(帝京大1年)を内股「有効」、ジュニア王者池絵梨菜(東大阪大敬愛高3年)を大内刈「有効」で下して来た宇野友紀子(環太平洋大2年)を2分5秒に奪った小外掛「技有」で退け決勝進出決定。

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決勝、田知本の大外返で新井が大きく体勢を崩す

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新井が場内から内股、大内刈と繋いで「一本」級の投げを決めるが「待て」宣告後でノーポイント

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本戦終了直前、新井が大外刈から座り込みの大外落に繋ぎ、田知本は身を捻って堪える

昨年確立仕かけた国内第一人者の地位の再獲得を目指す新井、これ以上低迷を続けるわけにはいかない田知本、ともに譲れない大一番となった決勝は両者ともに左組みの相四つ。

田知本組み際に鋭い左大内刈を放ってやる気十分。互いにガップリ組み合ったところから新井が引き出しの左小内刈、さらに左大外刈へと繋ぐが田知本退かずに大外返で正面から返しに掛かり、新井が大きく崩れる。田知本は横三角を試みて新井の頭をロック、十分な体勢を作り上げたかに思われたが崩上四方固に移行しようとする際に拘束を緩めてしまい、新井は伏せて逃れる。続いて田知本が動きを止めずに腕挫十字固を狙ったところで「待て」。経過時間は1分10秒、序盤戦は田知本が攻勢。

続く展開、互いに左小内刈で探り合う慎重な攻防から新井が抜けだし、下がりながらの支釣込足をきっかけに思い切った左内股。田知本がたたらを踏んで堪えるとケンケンの大内刈に捉え直して場外まで激しく追う。主審は「待て」を発声、その宣告直後に耐えきれなくなった田知本が思い切り背中から落ちる。経過時間は2分0秒。

場内から開始されたこの一撃が決まるまで双方の動きは止まっておらず、形は完全な「一本」。このところのIJFワールドツアーを観察する限りであればたとえ「待て」の後でも「一本」宣告に修正されることほぼ間違いなしの決定的な攻防であったが、ここは修正の様子なく試合は継続。新井にとっては惜し過ぎるインシデント。

命拾いした田知本は直後前技の掛け潰れに偽装攻撃スレスレの巴投と、積年の弱点であったメンタルの揺れを露骨に見せるが、新井は自分に流れが傾きかけたこの時間帯で攻め切れず。田知本の両袖を一本背負投崩れの大外刈でリセットする場面も見せるが、大枠動的膠着を続けたまま残り50秒まで時計の針を進めてしまう。

ここからは両者勝負を決せんと組み合ったまま取り味のある技を繰り出す激しい攻防。新井の左内股巻込は田知本が載せられながらも股中でしっかり捌き、田知本の支釣込足から大内刈、出足払と繋いだ連続攻撃は新井が頭を下げられながらも耐えきる。

最終盤、新井が左払腰に左大外落と思い切った技を繋ぎ、田知本がまたもや返しを試みる。しかし新井あくまで技を継続して根負けした田知本が伏せ、新井が抑え込みに近い形で被ったところで終了ブザー。試合はGS延長戦に縺れ込むこととなる。

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GS延長戦、新井の支釣込足

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田知本が右袖釣込腰、この直後新井への「指導」宣告で試合終了

延長戦も激しい攻め合い。支釣込足、左払腰と先に取り味のある大技を仕掛けるのは新井だが田知本は細かい技と返し技、組み手の拮抗を混ぜ合わせて対抗し、新井はその有効打に見合うだけの試合展開の差を作り出すことが出来ない。

新井の攻撃が小康、互いが引き手を抱き込むような膠着が生まれたGS1分42秒、双方に「指導1」。

GS2分過ぎ、新井が低い体勢になって放った左小外刈を田知本が上手く捌き、崩れた新井の腕を確保。腕挫十字固への移行を晒しつつ頭を抱えてほぼ抑え込みの完成が見えるところまで手順を進めるが、絡まれた足を抜いた瞬間に反転を許すミス。GS2分44秒「待て」の宣告でこのシークエンスは終了。

以後も一進一退の攻防が続く。田知本の座り込みの大外落に新井が腰絞を狙い、新井が思い切った左大外刈を放てば耐えきった田知本が大内刈から左大外刈への連続技で対抗。GS3分54秒には新井が左外巻込、田知本が返しを狙うともう一段巻込み直して執念を見せる。

GS4分過ぎに引き手を絞った新井が小内刈。田知本が右袖釣込腰で応じて新井を伏せさせたところで主審が試合を止める。

ここで主審は新井に2つ目の「指導」を宣告。試合時間合計8分15秒、この時点で田知本の勝利が決まった。

これだけの好試合になんとも無情な介入、そして決着。観客目線で言えば「ここまで撃ち合っているんだから最後まで勝負をつけさせろ」とルールの不粋さを指摘したくなってしまうところだが、それはさておき。
直前2度の攻防で一手目を開始したのは新井であり、ここで田知本の攻撃的アドバンテージを認めるかどうかは非常に微妙なところ。確かに田知本は技を重ねてはいたが、本戦での主審自身の裁定基準に照らして考えれば、敢えて反則を宣告するだけの展開上の差がついていたのかという点に疑問を感じる。長時間試合を演出してしまったという自責に主審が耐えきれず決着を焦ったのでは、との観察は行き過ぎた邪推であろうか。現行ルールの精神から言えば「指導」を出して展開を加速させるべきは本戦であったのではないだろうか。野次馬的観衆視点からも、審判技術という「仕切り」の視点からも少々疑問の残る決勝だった。

とまれ、これまで低調の続いていた田知本としては復活の狼煙となる講道館杯初優勝達成。決勝は寝技の圧倒的優位を手順上十分わかっているはずの展開ポイントで逃がしてしまうミスが2回、勝ち上がりも全体的に好内容とは評しがたいものであったが、全試合通じてあくまで勝負を譲らぬ執念は見事であった。講道館杯王者として堂々乗り込むグランドスラム東京でどのような活躍を見せてくれるか非常に楽しみ。

敗れた新井は昨年のグランドスラム東京で優勝するという快挙を達成しながら選抜体重別で敗れて世界選手権代表を逸し、捲土重来を期したアジア大会でも決勝でメンタルコントロールを失って銀メダルに終わっている。実力ナンバーワンの評価を受けながら、突き抜けておくべき時期に勝ち切れなかったこの1年が以後のキャリアにどう影響を及ぼすか。グランドスラム東京は勝負の大会だ。

入賞者と準々決勝以降の結果、優勝者のコメントは下記。

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70kg級入賞者。左から新井、田知本、安松、長内

【入賞者】
優 勝:田知本遥(ALSOK)
準優勝:新井千鶴(三井住友海上)
第三位:安松春香(ALSOK)、長内香月(山梨学院大2年)


田知本遥選手のコメント
「内容はギリギリだったが結果を出せたことはうれしい。決勝は思い切って前に出ることしか考えていませんでした。ロンドン五輪の後苦労しましたが、私の柔道を大好きと言ってくださる方々がいて、励ましてもらってここまで来れました。これからも頑張ります」


【準々決勝】

新井千鶴(三井住友海上)○優勢[指導1]△福嶋千夏(環太平洋大1年)
安松春香(ALSOK)○優勢[有効・内股]△長内香月(山梨学院大2年)
田知本遥(ALSOK)○優勢[指導1]△濱砂香澄(環太平洋大4年)
宇野友紀子(環太平洋大2年)○GS有効・大内刈(GS3:28)△池絵梨菜(東大阪大敬愛高3年)

【敗者復活戦】

長内香月(山梨学院大2年)○優勢[有効・体落]△福嶋千夏(環太平洋大1年)
池絵梨菜(東大阪大敬愛高3年)○大内返(2:01)△濱砂香澄(環太平洋大4年)

【準決勝】

新井千鶴(三井住友海上)○優勢[有効・一本背負投]△安松春香(ALSOK)
田知本遥(ALSOK)○優勢[技有・小外掛]△宇野友紀子(環太平洋大2年)

【3位決定戦】

長内香月(山梨学院大2年)○優勢[指導1]△宇野友紀子(環太平洋大2年)
安松春香(ALSOK)○優勢[技有・大内刈]△池絵梨菜(東大阪大敬愛高3年)

【決勝】

田知本遥(ALSOK)○GS指導2△新井千鶴(三井住友海上)

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