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高校2年生阿部一二三が史上最年少優勝、アジア大会代表高上智史は3位・講道館杯全日本柔道体重別選手権66kg級レポート

(2014年11月14日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版11月14日掲載記事より転載・編集しています。
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高校2年生阿部一二三が史上最年少優勝、アジア大会代表高上智史は3位
講道館杯全日本柔道体重別選手権66kg級レポート
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2回戦、阿部一二三が佐藤鉄馬から右大腰で「技有」を奪う

今季の高校選手権、インターハイ、全日本ジュニア王者である高校2年生阿部一二三(神港学園神港高2年)がどこまで勝ち上がるかがファンと関係者の注目の的。阿部はその熱い視線を浴びながら見事決勝進出を果たす。

2回戦は佐藤鉄馬(日本エースサポート)を相手に「指導1」奪取後の4分11秒に右大腰で「技有」、そのまま上四方固に抑え込んで合技の一本勝ち(4:31)。

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3回戦、阿部は福岡政章の右背負投を振り返して豪快な「一本」

最大の難所と目された3回戦の2013年世界選手権銅メダリスト福岡政章(ALSOK)との試合はまず13秒に「指導1」を先行、さらに脇、奥、両袖と形を変えながら攻め続け、1分30秒過ぎには得意の両袖大外刈であわやポイントという場面を作り上げて攻勢。そして1分41秒、焦れた福岡が右背負投に打って出るとその戻りを思い切り振り返して浮落「一本」を奪取、会場の度肝を抜く。

続く準々決勝は昨年の世界ジュニア代表竪山将(鹿屋体育大3年)を相手に「指導2」対「指導1」と小差の優勢勝ちであったが、準決勝は「指導2」対「指導1」でリードした残り1秒、吉田惟人(神奈川県警)の捨身技を待ち構えて左小外刈を合わせ「技有」を獲得して勝利決定。決勝への勝ち上がりを決めた。

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準々決勝、高上智史が小倉武蔵から逆転の背負投「一本」

逆側の山では準々決勝で小倉武蔵(了徳寺学園職)に隅返「有効」を失いながらも背負投「一本」(4:33)で逆転勝ちするなど順調に勝ち上がって来た第1シードの高上智史(旭化成)が準決勝で陥落。ダークホース西山祐貴(日体大2年)とのGS延長戦でダイレクト反則負けを食ってトーナメント本戦から弾きだされる意外な展開となった。

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準決勝、西山祐貴が高上の技を捌き耐える

その西山は2回戦で中川直治(國學院大2年)を袖釣込腰「有効」で下すと、3回戦では前戦で宮崎廉(日本通運)を鮮やかな背負投「一本」で下した実業王者八巻祐(松前柔道クラブ)を袖釣込腰「技有」で退ける。準々決勝は優勝候補の一角橋口祐葵(明治大2年)を「取り組まない」反則の「指導」1つで凌ぎ、前述の通り準決勝では高上智史の反則負けにより決勝の畳まで到達することとなった。

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決勝開始早々、阿部は「やぐら」を試みる

決勝は阿部、西山ともに右組みの相四つ。

西山は釣り手で片襟を差す一手目で阿部のパワーに対抗を試みるが阿部は切っては奥、切っては脇と釣り手を叩き入れながら接近戦を挑み、20秒過ぎに正面から腹を付けて得意の「やぐら投げ」を試み、西山が畳に降りるとその勢いのままほとんど糊しろなしに右大外刈を狙う。阿部、最初の一合から攻勢。

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阿部が右大外刈で「技有」奪取

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阿部、続くシークエンスは引き手で袖を確保するとこれをあくまで離さず右小内刈、右大内刈と攻め込んで59秒西山に「指導1」。西山は組み手の一手目を厳しく管理しながら機を伺うが、形のリセットの早い阿部の前に得点に繋がる形がなかなか作れない。

2分35秒、引き手を確保した阿部は釣り手を叩き入れつつ、一瞬大内刈のフェイントを入れて、思い切り脚を伸ばして右大外刈。捕まえた感触を得ると釣り手を巻込み、長い気合の声とともに相手を転がし決定的な「技有」奪取。

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阿部は攻めながらクロージング、優勢勝ちで最年少優勝決定

3分22秒には阿部の「脇差し」を忌避して離れた西山に対し2つ目の「指導」が宣告され、阿部の優位はさらに加速。3分59秒、阿部は両袖から引き手を脇下に持ち替え、釣り手で襟を掴みながら右大内刈、たたらを踏んだ西山を場外まで押し込んで転がし「有効」も追加。残り時間はリスクを冒さずに落ち着いて時計の針を進め、そのまま「技有」優勢で優勝を勝ち取った。

刺客になるはずだった森下純平(了徳寺学園職)、六郷雄平(了徳寺学園職)、高上智史らが相次いで敗退、丸山城志郎(天理大3年)は負傷欠場と、確かに追い風は吹いていた。激し過ぎる接近戦志向と、間合いを取りながら攻める形が極端に少ない攻守のバランスの悪さという弱点も垣間見える。世界ジュニア決勝終盤戦で見せたメンタルの揺れも不安材料だ。

しかし高校2年生が講道館杯を制する、それも強豪揃う66kg級で優勝するという異次元の事態、その「投げっぷり」の良さ、そしてパワー溢れる試合ぶりにはやはり括目せざるを得ない。何より凄いのは、この優勝はリオ五輪に挑戦するにはここで勝つしかないという切実な状況下にある阿部が「狙って」成し遂げたものであるということ。ここまで高校生の優勝は鈴木桂治(98年・国士舘高3年)、高松正裕(99年・桐蔭学園高3年)、石井慧(2004年・国士舘高3年)と3人いるが、おそらくここまで具体的に優勝を狙って、そして手にした選手は初めて。超弩級の素材だと誰もが認めざるを得ないだろう。世界ジュニア決勝で「技有」を獲りながら逆転負けを喫した経験をこの日の初戦に生かす(「一本」宣告にも相手を離さず抑え込み続け、直後の「技有」訂正に対応してそのまま合技の一本勝ち)など、経験を次に生かす学習能力の高さも兼ね備えている模様。

報道陣に阿部のグランドスラム東京での活躍見込み、そして世界選手権王者海老沼匡との距離について問われた井上康生男子日本代表監督は「やってみるまで全くわからない。(海老沼と戦ったとして)、どんな試合になるかも想像がつかない」とコメント。奥、背中、そして脇を差しての密着と日本人らしからぬ柔道で国内の序列をひっくり返して来たその戦歴とスタイル、短期間で大きく伸びる可能性も、また逆に年齢相応の脆さも孕む高校2年生という若さを考えればこの感想は正直なところであろう。

世界選手権メダリストの巧者福岡を屠ったパワー、そして同世代カテゴリでグルジア勢に喫した連敗(世界カデ、世界ジュニア)を考え合わせると、活躍のカギは相手の力の絶対値の高さよりも柔道の質的な相性か。グランドスラム東京では、シニア国際大会初出場の阿部はおそらくノーシード扱いで、いきなり強豪とマッチアップする可能性が高い。グルジア、モンゴルのようなスタイル的な「カブリ」のない相手であれば相当の強豪でも倒してしまう可能性は十分。面白い試合が期待できそうだ。

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森下純平が前野将吾に小内刈を試みる

講道館杯に話を戻させて頂くと、3位決定戦で竪山将を退けた高上智史と、同じく3位決定戦で橋口祐葵を腕挫十字固「一本」で下した吉田惟人の2人が表彰台を確保。

東京世界選手権王者森下純平(了徳寺学園職)は初戦(2回戦)で前野将吾(旭化成)に「指導3」対「指導2」で敗れ入賞に絡めず。もちろんグランドスラム東京の代表からも漏れ、この時点でリオ五輪の代表レース参加の可能性はほとんど潰えた。

グランプリ・アスタナで優勝したばかりの橋口祐葵(明治大2年)は前述の通り本戦で西山祐貴、3位決定戦で吉田惟人に敗れて5位に終わり、勿論グランドスラム東京代表にはたどり着けず。1年間国際大会代表を務め上げて来た宮崎廉も初戦で八巻祐に敗れ、その地位を確保し続けることは出来なかった。

入賞者と準々決勝以降の結果、優勝者のコメントは下記。

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優勝の阿部一二三。男子では史上最年少優勝

【入賞者】
優 勝:阿部一二三(神港学園神港高2年)
準優勝:西山祐貴(日体大2年)
第三位:吉田惟人(神奈川県警)、高上智史(旭化成)

阿部一二三選手のコメント
「初めから勢い良く、高校生らしく思い切り行こうと思っていました。自分の柔道が通用するとわかったので良かった。まだまだ日本のトップには敵わないと思いますが、戦えるように頑張りたい。世界を目標に置いて、これからも頑張ります」

【準々決勝】

高上智史(旭化成)○背負投(4:33)△小倉武蔵(了徳寺学園職)
西山祐貴(日体大2年)○優勢[指導1]△橋口祐葵(明治大2年)
阿部一二三(神港学園神港高2年)○優勢[指導2]△竪山将(鹿屋体育大3年)
吉田惟人(神奈川県警)○合技[浮落・背負投]△青木勇介(パーク24)

【敗者復活戦】

吉田惟人(神奈川県警)○腕挫十字固(4:24)△橋口祐葵(明治大2年)
竪山将(鹿屋体育大3年)○背負投(1:30)△青木勇介(パーク24)

【準決勝】

西山祐貴(日体大2年)○GS反則(GS1:50)△高上智史(旭化成)
※ダイレクト反則負け

阿部一二三(神港学園神港高2年)○優勢[技有・小外刈]△吉田惟人(神奈川県警)

【3位決定戦】

高上智史(旭化成)○優勢[技有・背負投]△竪山将(鹿屋体育大3年)
吉田惟人(神奈川県警)○腕挫十字固(4:24)△橋口祐葵(明治大2年)

【決勝】

阿部一二三(神港学園神港高2年)○優勢[技有・大外刈]△西山祐貴(日体大2年)

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