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グランプリ・アスタナ男子各階級レポート

(2014年10月19日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版10月19日掲載記事より転載・編集しています。
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男子各階級レポート
グランプリ・アスタナ
■ 60kg級
-絶好調スメトフが全試合一本勝ちでハイレベル階級を制す、石川裕紀はモンゴル勢に連敗で5位-

【入賞者】 エントリー11名
1.SMETOV, Yeldos(KAZ)
2.DASHDAVAA, Amartuvshin(MGL)
3.GANBOLD, Kherlen(MGL)
3.TELMANOV, Askhat(KAZ)
5.ISHIKAWA, Hironori(JPN)
5.KULIKOV, Dmitriy(RUS)
7.IBRAYEV, Rustam(KAZ)
7.INOYATOV, Bakhrom(UZB)

世界選手権の出場を回避して賭けた9月のアジア大会で日本代表の志々目徹、そして世界王者になったばかりのガンバット・ボルドバータル(モンゴル)を降して優勝を飾ったイェルドス・スメトフ(カザフスタン)が圧勝優勝。2回戦はデニス・ビリシェンコ(ウクライナ)を左背負投「一本」(1:16)、準々決勝はバクラム・イノヤトフ(ウズベキスタン)を出足払と一本背負投の合技(4:38)で下し、準決勝はデミトリー・クリコフ(ロシア)から縦四方固「有効」、両袖の右袖釣込腰「有効」、右小内刈「技有」、横四方固「技有」と一方的にポイントを挙げ合技(4:32)で勝ちぬけて決勝進出。唯一最大の勝負どころとなった13年リオ世界選手権銀メダリストのダシュダバー・アマーツブシン(モンゴル)との決勝では拮抗から後半に加速、3分29秒に「一本」級の裏投(「一本」宣告後に取り消し)を放った後の3分58秒に再び裏投で今度は「技有」獲得。ダシュダバーの巴投で縺れた展開から一旦抑え込まれかけたが、逆にて抑え返し崩上四方固に固めて「技有」獲得で一本勝ち決定(4:53)。全試合「一本」という圧倒的な内容で見事優勝を決めた。

スメトフはアジア大会で世界選手権金メダリストのガンバット、今大会では銀メダリストのダシュダバーを倒して現在まさしく絶好調。2010年世界ジュニア55kg級王者、2011年世界ジュニア60kg級3位のこの選手はこれまでなかなかブレイクし切れなかったが、手合せした高藤直寿らの「強い」という評価ゆえ全日本強化陣のマーク選手リストに載り続けていたという経緯のある強者。22歳の今夏についにブレイクを迎えた感あり、地元で迎える来年のアスタナ世界選手権では間違いなく優勝候補の一角と考えておくべきだろう。少なくとも今、60kg級でもっとも輝いている選手であることは間違いない。

現在全日本実業個人4連覇中、アジア大会で志々目徹が脱落した感のある国内の60kg級戦線で高藤の「次」の席を狙う戦いの渦中にある石川裕紀(了徳寺学園職)は無念の5位。ソフィアン・ミルス(フランス)、アスカット・テルマノフ(カザフスタン)と世界選手権参加クラスの強豪2人を一蹴したところまでは完璧だったが、ダシュダバーと、ガンボルド・ケーレンとモンゴル勢2人に連敗を喫してしまった。

後述する通り、石川の柔道自体は素晴らしかった。釣り手が良く動き、足技も出、順方向の大技に逆方向の担ぎという奇襲技、勝負どころと見ればいきなり釣り手で背中を叩いての抱き付き大内刈とやるべきことは全てやった。そしてその上での敗戦というところがなんとも切ない。抱き付きの大内刈はパワーで踏ん張られて投げ切れず、ビハインドを受けて追撃戦を行ったダシュダバー戦の後半では山場を作り掛ける度相手の圧殺に捕まって攻防を止められ、流れを変えられてしまった。

自身のスタイルはどうあれ密着の接近戦でパワー勝ち出来ないと厳しい、少なくとも挑まれたときに勝てないと厳しいという現在の軽量級の事情が改めて示される試合であった。オールラウンドな攻撃性という石川のパーソナリティで国際大会を戦うには、これだけの引き出しを以てしてもまだ足りない。高いレベルの選手が揃ったトーナメントではあったが、石川にとっては5位という順位だけでは説明しきれない、厳しい内容の大会であった。


【3位決定戦】

ガンボルド・ケーレン(モンゴル)○優勢[有効・内股]△石川裕紀
アスカット・テルマノフ(カザフスタン)○裏投(2:06)△ディミトリ・クリコフ(ロシア)

【決勝】

イェルドス・スメトフ(カザフスタン)○合技[裏投・崩上四方固]△ダシュダバー・アマーツブシン(モンゴル)

【日本人選手勝ちあがり】

石川裕紀(了徳寺学園職)

[1回戦]
石川裕紀○袖車絞(0:59)△ソフィアン・ミルス(フランス)

左相四つ。相手が背中を抱えた左体落、石川潰して首を抱えて下からめくり返す。ミルス足を絡んで耐えるが石川は足を与えたまま袖車絞に捉えて「一本」

[準々決勝]
石川裕紀○大外刈(2:48)△アスカット・テルマノフ(カザフスタン)

左相四つ。石川、釣り手で上から背中を抱えに行く強気の一手目を続けて優位を確保。1分40秒に突如組み立てを変えて引き手から持ちながらの左大外刈。直後テルマノフに「指導1」。
2分13秒、釣り手の肘を振り立てながらの左大外刈が決まり「技有」奪取。戦闘意欲の削げたテルマノフに2分44秒2つ目の「指導」。
直後の組み際、石川が右大外刈から右一本背負投に繋ぐ。しっかり決め切り「一本」。

[準決勝]
石川裕紀△優勢[有効・大内刈]○ダシュダバー・アマーツブシン(モンゴル)

石川が左、ダシュダバ右組みのケンカ四つ。
序盤に大内刈で「有効」失陥、以後は釣り手が良く動き左内股に左大内刈で幾度も展開を獲り掛けるが、都度ダシュダバが脇を差しての力勝負を挑み、ここに勝てない石川は組み潰されて攻防を切られなかなか山場が作れない。ダシュダバは反則累積を計算しつつ掛け潰れて石川の追撃をかわし、残り28秒、残り13秒と2つの偽装攻撃による「指導」を受けるもゴール。ダシュダバの優勢勝ち決定。

[3位決定戦]
石川裕紀△優勢[有効・内股]○ガンボルド・ケーレン(モンゴル)

石川左、ガンボルド右組みのケンカ四つ。ガンボルドは脇を差しての小外刈を連発して1分50秒までに石川に2つの「指導」が累積。石川は一本背負投に腕を抱えた右大外刈に「巴十字」で追撃するが、なかなか山場を作るに至らない。
残り57秒、石川が前に出たところをガンボルド釣り手側にふわりと呼び込みながら右内股。呼び戻しに近い理合のこの技に石川振り回されて「有効」失陥。石川はモンゴル勢に連敗で無念の5位。

■ 66kg級
-橋口祐葵見事優勝、宮崎廉は不運な判定でトーナメント脱落もムカノフ倒して3位獲得-

【入賞者】 エントリー23名
1.HASHIGUCHI, Yuuki(JPN)
2.SMAGULOV, Zhansay(KAZ)
3.MIYAZAKI, Ren(JPN)
3.SEIDL, Sebastian(GER)
5.MUKANOV, Azamat(KAZ)
5.SHERSHAN, Dzmitry(BLR)
7.ZAGRODNIK, Pawel(POL)
7.ZHUMAKANOV, Yeldos(KAZ)

優勝は日本の橋口祐葵。終始落ち着いた戦いぶりで、唯一最大の山場と目されたリオ世界選手権銀メダリストアザマト・ムカノフ(カザフフスタン)との一番は相手のクロス組み手を冷静に小外刈で崩すと、焦ったムカノフが立ち上がり際に掬投を仕掛けてしまいダイレクト反則負け(足取り)で勝負あり。決勝は地元カザフスタンのズハンサイ・スマグロフをから開始54秒、組み際の左背負投で「技有」奪取。これで集中の切れた相手を今度は右への袖釣込腰に捉えて「技有」獲得、1分43秒合技の一本勝ちで優勝を決めた。

橋口はシニア国際大会初優勝。ワールドクラスの強豪が集まったとは言い難い陣容のトーナメントではあったが、しっかり勝って見せたのはさすが。橋口は右組みだが、敢えて釣り手を落とされた形の逆(左)組で敢えて組み、しかも左の背負投で投げつける場面を度々見せるなど技術的な幅の広がりも垣間見えた充実の大会だった。

宮崎廉はズミトリ・シェールスハン(ベラルーシ)との準々決勝で不運な判定で「有効」を失いトーナメント本戦からは脱落したが、3位決定戦でムカノフとの壮絶な投げ合いを2つの「技有」で勝ちぬけて3位確保。こちらもエリオ・ヴェルデ(イタリア)、パウエル・ザグロドニック(ポーランド)とツアー常連者に連勝してしっかり力を見せた大会だった。

【3位決定戦】

宮崎廉○GS有効・背負投(GS0:52)△アザマト・ムカノフ
セバスティアン・ザイドル(ドイツ)○GS技有・大内刈(GS0:33)△ズミトリ・シェールスハン(ベラルーシ)

【決勝】

橋口祐葵○合技(1:43)△ズハンサイ・スマグロフ(カザフスタン)


【日本人選手勝ちあがり】

橋口祐葵(明治大2年)

[1回戦]
橋口祐葵○優勢[技有・大内刈]△ナウリズベク・マイラシェフ(カザフスタン)

橋口右、マイラシェフ左組みのケンカ四つ。組み手争いの膠着が続き、両者に「指導2」。2分58秒に橋口が右大内刈、尻餅ついた相手を押し倒し「技有」。

[2回戦]
橋口祐葵○背負投(2:46)△バットセトセグ・バットゲレル(モンゴル)

右相四つ。うるさい組み手にてこずるが右大外刈で上手く攻め2つの「指導」を得る。
右袖釣込腰のモーションから左背負投に繋いで「一本」。

[準々決勝]
橋口祐葵○優勢[指導2]△セバスティアン・ザイドル(ドイツ)

ケンカ四つ。右組。組み手優位で落ち着いた試合運び。右内股で攻め、4分7秒の時点で「指導」2つをリード。逆転を狙って押し込んでくる相手を足技でしのぎ、そのまま時間。

[準決勝]
橋口祐葵○反則(3:12)△アザマト・ムカノフ(カザフスタン)
※足取りによる

右相四つ。橋口が左組みの形からの右袖釣込腰で大きく崩し「指導1」確保。
直後、ムカノフが肩越しに釣り手を入れてくるが橋口は落ち着いて右小外刈を入れて大きく崩す。崩れたムカノフ立ち上がり際に橋口の脚を持って掬投を打ってしまい、ダイレクト反則負け。

[決勝]
橋口祐葵○合技(1:43)△ズハンサイ・スマグロフ(カザフスタン)

橋口、スマグロフともに右組みの相四つ。スマグロフ序盤に右内股を2連発するが橋口問題なく捌き、54秒にこの日再三決めている組み際の左背負投に飛び込み「技有」。スマグロフ明らかに意気消沈、橋口は1分43秒に右袖釣込腰で2つ目の「技有」を奪って試合を決める。

宮崎廉(日本通運)
成績:3位

[1回戦]
宮崎廉○合技[背負投・背負投](3:31)△ガボル・ハーギヨ(ハンガリー)

宮崎が左、ガボは右組みのケンカ四つ。
長身の相手に頭を下げられやや苦戦。双方偽装攻撃の「指導1」ずつを失った後の2分42秒右背負投「技有」で先制。3分31秒には左背負投で股中に潜り込み、またいで腕挫十字固を狙った相手をそのまま回し「一本」で決着。

[2回戦]
宮崎廉○優勢[指導2]△エリオ・ヴェルデ(イタリア)

宮崎が左、ベルデ右組みのケンカ四つ。
釣り手で背中を叩いてくる相手に手を焼くが中盤、終盤と担ぎ技で山場を作り「指導」2つを得て勝利。

[準々決勝]
宮崎廉△GS有効・引込返(GS0:39)○ズミトリ・シェールスハン(ベラルーシ)

左相四つ。シーェルスハンが奥襟を叩き、宮崎が袖釣込腰で対抗。
終盤、シーェルスハンが明らかに息切れ。GS延長戦30秒過ぎに宮崎が一本背負投の形に腕を抱えた右大外刈で大きく崩す。宮崎これで感触を掴み、直後の組み際に同じ技で転がす。しかしゆったり落ちたシャーサンが倒れた後に引込返を放ち、判定はシャーサンの「有効」。宮崎不運にもトーナメント脱落。

[敗者復活戦]
宮崎廉○大内刈(0:12)△Zパウエル・ザグロドニック(ポーランド)

ケンカ四つ。組むなり左大内刈からケンケンの内股に連絡、押し込んで「一本」。

[3位決定戦]
宮崎廉○GS合技(GS0:52)△アザマト・ムカノフ

ケンカ四つ。開始25秒にムカノフが出足払で「技有」。しかし宮崎落ち着いて試合を進め2分37秒に深々と左背負投に潜り込み「技有」。そのまま横四方固に抑え込むがムカノフ逃れて「待て」。
残り22秒でムカノフが隅返、主審「有効」を宣するが取り消し。
GS延長戦52秒、ムカノフが奥襟を叩くと宮崎強引に背負投、「技有」獲得で勝利決定。

■ 73kg級
-デュプラ優勝、モンゴル勢2人は不完全燃焼でともに3位-

【入賞者】 エントリー23名
1.DUPRAT, Pierre(FRA)
2.MUKI, Sagi(ISR)
3.KHASHBAATAR, Tsagaanbaatar(MGL)
3.SAINJARGAL, Nyam-Ochir(MGL)
5.NISHIYAMA, Yuki(JPN)
5.SHOKA, Vadzim(BLR)
7.SHAVDATUASHVILI, Lasha(GEO)
7.VOELK, Christopher(GER)


優勝はピエール・デュプラ(フランス)。2回戦はルスラン・ツカニベクウル(キルギスタン)を腕挫十字固「一本」(1:50)、準々決勝はバドジム・ショーカ(ベラルーシ)をGS延長戦「指導1」で破り、準決勝は第2シードのハッシュバータル・ツァガンバータル(モンゴル)を相手に「指導」を先行し、追いすがって飛びついて来た相手を左内股に捉えて豪快な一本勝ち(2:02)。決勝は前戦でサインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)を大腰「一本」で下して来た第1シード選手セージ・ムキ(イスラエル)を「指導2」対「指導1」の優勢で下して優勝を決めた。デュプラは2013年2月のグランプリ・デュッセルドルフ以来となるキャリア2度目のIJF主催大会優勝。

2位のムキは準々決勝で66kg級ロンドン五輪王者ラシャ・シャフダトゥアシビリ(グルジア)にGS延長戦腰車「有効」、準決勝ではサインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)を谷落「技有」、右内股「有効」、左大腰「一本」と立て続けに投げつけて快勝。ツアー皆勤でランキングを上げて来たこの選手だが、急速に力をつけて来た印象。世界選手権で上位を張る力を備えつつあると評して良いかと思われる。

サインジャルガルとツァガンバータルのモンゴル勢2人は前述の通りともに準決勝で敗れたもののキッチリ3位は確保。2人揃って準決勝ではこれでもかという勢いで思い切り投げられており、それまでの試合の組み立ての悪さに鑑みても決してトップコンディションではなかったという印象。

西山雄希は本戦でサインジャルガル、3位決定戦でツァガンバータルとモンゴル勢に連敗で5位。8分48秒に及んだサインジャルガル戦は不運な判定に泣いた感もあったが、60kg級の石川同様組み手も上手く、足技も良く出てと柔道の内容自体は非常に良かった。そして柔道が良かった分、為すべきことを為した上での敗戦というこの結果には逆に閉塞感が漂う。西山の長所である技の切れ味と、「形」に拘る融通の利かなさは良くも悪くも表裏一体。潜在能力の高さ明らかな西山がこの先何を上積みすればいいのか、強化方針にこれまでの延長線上ではない質的な変化、何らかのブレイクスルーが欲しいところだ。

【3位決定戦】

ハッシュバータル・ツァガンバータル○優勢[有効・肩車]△西山雄希
サインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)○合技[大外落・背負投]△バドジム・ショーカ(ベラルーシ)

【決勝】

ピエール・デュプラ(フランス)○優勢[指導2]△セージ・ムキ(イスラエル)

【日本人選手勝ちあがり】

西山雄希(了徳寺学園職)
成績:5位

[1回戦]
西山雄希○内股(2:35)△ムハマドラジズ・カユモフ(ウズベキスタン)

西山左、カユモフ左組みのケンカ四つ。組み手を嫌った相手に1分34秒「指導」。勢いを得た西山左小内刈から左一本背負投に繋いで1分58秒「有効」。引き手を切ろうと後退する相手を追って2分20秒左大外刈「有効」。最後は左内股「一本」に仕留める。圧勝。

[2回戦]
西山雄希○優勢[有効・内股]△サーヒィ・ドレボット

ケンカ四つ。2分16秒、組むなり足を大きく振り上げての左内股。「一本」が想起される勢いであったが決めが甘く「有効」。以後も組み手で優位に立ち、ドレボットが奥襟を叩くと足技でいなして攻めさせない。反則ポイントも「指導3」まで積み重ねて勝利。

[準々決勝]
西山雄希△GS指導2(GS3:48)○サインジャルガル・ニャムオチル(モンゴル)

ケンカ四つ。本戦は二つしっかり持つことでサインジャルガルのパワーを封殺、足技で崩し続けて組み立てる落ち着いた試合運び。西山に引き手を与えることを嫌ったサインジャルガルに2分1秒「指導」。しかし最終盤の4分44秒にサインジャルガルの大内刈でもろとも畳を割った場面で場外の「指導」を受けてタイスコアとなってしまい、試合はGS延長戦へ。GS3分45秒、サインジャルガルの左内股の戻り際に西山が右小外掛を放った場面の直後に主審が試合を止める。あるいは西山のポイントかと思われたが、主審判断は西山への消極「指導」。2つの指導いずれもやや理不尽、サインジャルガルの名前勝ちの感あり。


[敗者復活戦]
西山雄希○優勢[技有・内股]△ラシャ・シャフダトゥアシビリ(グルジア)

ロンドン五輪66kg級王者シャフダトゥアシビリとマッチアップ。
ケンカ四つ。1分55秒、襟を隠したシャフダトゥアシビリに「指導」。2分12秒、左支釣込足で相手を前に崩し、頭を下げて退く相手を左内股で追い掛け「技有」。終盤「指導」を失うも大過なくゴール。

[3位決定戦]
西山雄希△優勢[有効・肩車]○ハッシュバータル・ツァガンバータル(モンゴル)

ケンカ四つ。「指導1」を取り合って迎えた2分20秒、ツァガンバータルが肩車で「有効」。以後は動的膠着、終盤ツァガンバータルはスコアを睨みながらクロージングを図り、4分13秒と4分57秒に「指導」を受けるが「有効」優勢でツァガンバータルに軍配。西山はモンゴル勢に連敗で5位。

■ 81kg級
-ロシアの新鋭対決をクベトソフが制す、復帰戦のギヘイロは2回戦敗退-

【入賞者】 エントリー27名
1.KHUBETSOV, Alan(RUS)
2.KHALMURZAEV, Khasan(RUS)
3.KALKAMANULY, Aziz(KAZ)
3.MUENNICH, Benjamin(GER)
5.MRVALJEVIC, Srdjan(MNE)
5.PACEK, Robin(SWE)
7.KRIZSAN, Szabolcs(HUN)
7.KUBIENIEC, Jakub(POL)


決勝は第1シードのアラン・クベトソフと第3シードのカサン・カルモルゼフという、ともに21歳のロシア勢対決。クベトソフは2012年の欧州ジュニア選手権の王者、2009年に73kg級で世界カデ選手権を制したカルモルゼフは昨年ロシアジュニア選手権で優勝を飾っており、いずれもロシアの将来を担う期待の新鋭。

クベトソフは2回戦で今大会最大の注目選手レアンドロ・ギヘイロ(ブラジル)を隅落「有効」の優勢、準々決勝はヤコブ・クブエネツ(ポーランド)を浮技「技有」、準決勝ではスルジャン・ムルバルビッチ(モンテネグロ)を片襟の左背負投「有効」で破っての決勝進出。一方のカルモルゼフは2回戦でマックス・スチュワート(イングランド)を「指導3」、準々決勝でアジズ・カルカマヌリ(カザフスタン)を「指導4」(4:37)、準決勝でロビン・パチェック(スウェーデン)を内股「一本」(4:33)で破って決勝まで辿り着いた。

この試合は左相四つ、拮抗の中からクベトソフが優位に試合を進め、「指導2」対「指導1」でリードした3分20秒に右一本背負投で「有効」を獲得。以降は「取り組まない」「偽装攻撃」で2つの「指導」を失ったが危なげなく試合をまとめて優勝を決めた。クベトソフは5月のグランドスラム・バクー1位に続くキャリア2度目のIJF主催大会優勝、着々とキャリアを積み上げている。

銅メダルを獲得したロンドン五輪以来の国際大会出場で注目を浴びたギヘイロは前述の通り2回戦敗退。1回戦ではシャクゾド・ソビロフ(ウズベキスタン)を相手にフルタイム戦って「指導2」対「指導3」の辛勝。コンディションも全盛時にはまだ遠く、この試合では競った場面で不用意に組み手を切り離したり場外に出たりと、新ルールの対応にも問題を残す内容であった。本格復帰に向け、まずは試合をひとつこなしたことのみが収穫といったところ。

【3位決定戦】

アジズ・カルカマヌリ(カザフスタン)○優勢[有効・体落]△スルジャン・ムルバルビッチ(モンテネグロ)
ベンヤミン・ミュニヒ(ドイツ)○優勢[技有・背負投]△ロビン・パチェック(スウェーデン)

【決勝】

アラン・クベトソフ(ロシア)○優勢[有効・背負投]△カサン・カルモルゼフ(ロシア)

■ 90kg級
-21歳ウストピリオンがワールドツアー初優勝、ディアスは守備の脆ささらけ出し2回戦敗退-

【入賞者】 エントリー25名
1.USTOPIRIYON, Komronshoh(TJK)
2.AKHMETZHANOV, Asset(KAZ)
3.IDDIR, Alexandre(FRA)
3.NHABALI, Quedjau(UKR)
5.FACENTE, Walter(ITA)
5.KHALMURZAEV, Khusen(RUS)
7.GUCHAPSHEV, Samir(RUS)
7.JURAEV, Sherali(UZB)

第1シードのハテム・アブドエルアーヘル(エジプト)を2回戦で破ったアセット・アクメトザノフ(カザフスタン)と、コムロンショフ・ウストピリオン(タジキスタン)の2人が決勝進出。

アクメトザノフは初戦でガボル・ヴェール(ハンガリー)に小外掛(0:59)、アブドエルアーヘルに支釣込足(1:46)、準々決勝はクーシェン・カルモフゼフ(ロシア)に隅落(1:13)、準決勝はクエジョ・ナーバリ(ウクラニア)に小外刈と出足払の合技(4:39)と全試合一本勝ちでの決勝進出。ウストピリオンは2回戦でミラン・ランドル(スロバキア)を袖釣込腰「一本」(4:40)、準々決勝は前戦で第2シードのマルク・オーデンタール(ドイツ)を破ったサミール・グーチャプシェフ(ロシア)を「指導1」の優勢、準決勝はアレクサンドル・イディー(フランス)をこれも「指導1」で破っての優勢で勝利しての決勝進出。


決勝はウストピリオンがアクメトザノフを完封。1分13秒に片襟の右体落で「技有」獲得、以後も両襟、片襟と組み手の形を変えながら左小内刈の右小外刈とやりたい放題に攻め続け、3分27秒までに4つの「指導」を積み重ねて圧勝。キャリア初のIJF主催大会優勝を決めた。

ウストピリオンは21歳、アジア大会では吉田優也に「有効」優勢で敗れて5位に終わったが、若い世代の有力選手が大挙台頭中のこの階級にあって存在感を示した大会となった。

敗れたアクメトザノフは24歳だが全くの無名。決勝はウストピリオンと柔道が噛み合わず敗退したがそれまでの勝ち上がりは圧倒的であった。来年、地元で開催される世界選手権にを睨んで以後もツアーに派遣される続けることは確実と思われ、次戦以降もしっかり見ておきたい選手だ。

世界選手権でベイカー茉秋を思い切り投げつけ、王者イリアス・イリアディス(ギリシャ)と好試合を演じて注目された謎の巨人セリオ・ディアス(ポルトガル)は2回戦でシェラリ・ジュラエフ(ウスベキスタン)に体落で転がされてあっさり一本負け。ヨアキム・ドゥファービ(スウェーデン)に掛け潰れからの立ち上がり際を捕まえられてほとんど抵抗できずに横四方固で一本負けするなど2敗を喫した9月のグランプリ・ザグレブ、ルドウィック・ゴベル(フランス)に一本勝ちしながらイギリスの無名選手に敗れたヨーロッパオープン・リスボンと、その戦いぶりはあまりにも不安定で、率直に言って力が測りがたい選手。いまやベイカー戦の一本勝ちが信じられなくなってしまうほど脆い柔道であるが、もうしばらく観察を続けるしかないというところ。

【3位決定戦】

アレクサンドル・イディー(フランス)○優勢[技有・内股]△クーシェン・カルモルゼフ(ロシア)
クエジョ・ナーバリ(モンゴル)○合技[浮落・体落](4:57)△ワルター・ファチェンテ(イタリア)

【決勝】

コムロンショフ・ウストピリオン(タジキスタン)○反則[指導4](3:27)△アセット・アクメトザノフ(カザフスタン)

■ 100kg級
-トーナメントは順当に進行、ラコフがピータース破って優勝飾る-

【入賞者】 エントリー20名
1.RAKOV, Maxim(KAZ)
2.PETERS, Dimitri(GER)
3.CIRJENICS, Miklos(HUN)
3.DARWISH, Ramadan(EGY)
5.BITIEV, David(RUS)
5.PACEK, Martin(SWE)
7.BLOSHENKO, Artem(UKR)
7.RUSTAMOV, Erbol(UZB)

第1シードの配された地元の英雄マキシム・ラコフ(カザフスタン)が順当に優勝。勝ち上がりは2回戦で小川竜昂を右一本背負投「一本」(0:44)、準々決勝でダビド・ビタエフ(ロシア)を右一本背負投で「有効」「一本」(4:04)、準決勝でラマダン・ダーウィッシュ(エジプト)を内股返「有効」、決勝で第3シードのディミトリ・ピータース(ドイツ)を「指導3」の優勢というもの。世界選手権とアジア大会でナイダン・ツブシンバヤル(モンゴル)に連敗した中で迎えた大会であるが、来年の世界選手権開催を前にまずまずの内容であった。

第2シードのマーティン・パチェック(スウェーデン)は準々決勝でミクロス・シルジェニクス(ハンガリー)に抑え込まれて一本負けしたが、これは誤差の範囲内。今回のトーナメントで注目すべきはロッテルダム世界選手権3位のダーウィッシュ(エジプト)の復活。ここ数年元気がなく国際大会の出場自体も減っていたが今大会はしっかり3位に入賞してどうやら復調軌道。地力の高さは折り紙つきで、以後もしっかり見ておくべき選手と思われる。

日本の小川竜昂と高橋良介はいずれも予選ラウンド敗退。この階級の日本勢は厳しい戦いが続く。

【3位決定戦】

ミクロス・シルジェニックス(ハンガリー)○優勢[技有・裏投]△ダビド・ビタエフ(ロシア)
ダーウィッシュ・ラマダン(エジプト)○反則[指導4](4:53)△マーティン・パチェック(スウェーデン)

【決勝】

マキシム・ラコフ(カザフスタン)○優勢[指導3]△ディミトリ・ピータース(ドイツ)

【日本人選手勝ちあがり】

小川竜昂(国士舘大3年)
成績:2回戦敗退

[1回戦]
小川竜昂○優勢[指導3]△ディーノ・ファイファー(ドイツ)

小川が左、ファイファーは右組みのケンカ四つ。組み手を落とすことに腐心して勝負に出ないファイファーに2分13秒「指導」。以後も消極姿勢(3:20)、ブロッキング(4:42)と反則累積。「指導」3つの優勢で小川勝ちぬけ。


[2回戦]
小川竜昂△一本背負投(0:44)○マキシム・ラコフ(カザフスタン)

左相四つ。釣り手方向に押し込まれ、右一本背負投に潜り込まれて「一本」。第1シードのラコフに完敗。


高橋良介(警視庁)
成績:1回戦敗退

[1回戦]
高橋良介△釣込腰(3:56)○ヴィクトル・デムヤネンコ(カザフスタン)

高橋左、デムヤネンコ右組みのケンカ四つ。組み合おうとしないデムヤネンコに31秒「指導」。1分22秒高橋は相手が奥襟を叩きに来たところに左内股でを合わせて「有効」奪取。ここまでは順調だったが以後はがっぷり組まれてまともに圧を受け、場外へ押し込まれ続けて3分6秒の時点で「指導3」まで失う。3分56秒、勢いを得たデムヤネンコが高橋を場外際に押し込み右釣込腰で「一本」。

■ 100kg超級
-ボルがワールドツア初優勝、オクルアシビリは不調から抜け出せず-

【入賞者】 エントリー20名
1.BOR, Barna(HUN)
2.KRAKOVETSKII, Iurii(KGZ)
3.ALLERSTORFER, Daniel(AUT)
3.BREITBARTH, Andre(GER)
5.BOSTANOV, Soslan(RUS)
5.SASSON, Or(ISR)
7.BALTAEV, Boltoboy(UZB)
7.EL SHEHABY, Islam(EGY)

第1シードはアダム・オクルアシビリ(グルジア)だったが、初戦(2回戦)でオール・サッソン(イスラエル)と「技有」を取り合った末に迎えたGS延長戦1分20秒、左一本背負投で「技有」を失いあっさり敗退。今季一貫して元気のないオクルアシビリだが、シーズン後半のこの時期に至っても不調から抜け出せず、むしろその低迷は試合を重ねる度に深まるばかり。

優勝を飾ったのはバルナ・ボル(ハンガリー)。2回戦でフェイヤズ・ヤズチェ(トルコ)を小内刈「技有」、準々決勝は強敵イスラム・エルシャハビ(エジプト)を出足払「一本」(0:46)、準決勝はオクルアシビリを破って意気上がるサッソンをこれも出足払「一本」(1:00)に沈め、決勝では前戦で第2シードのアンドレ・ブライドバルト(ドイツ)を送足払「一本」(3:59)で破っているユーリ・クラコベツキ(キルギスタン)と対戦。ケンカ四つのクラコベツキに対し出足払で間合いを作り、残り36秒で相手の突進に合わせて左払腰、見事決め切って「一本」を獲得。見事キャリア初のワールドツアー優勝を決めた。

ボルは全試合一貫して釣り手が良く動き、足技を利かせた良い組み立ての柔道。足技で攻め合ったクラコベツキとの決勝は、「組み合う」新ルール下での足技の流行、海外選手の「業」への志向を改めて感じさせるものであった。

【3位決定戦】

アンドレ・ブライドバルト(ドイツ)○袈裟固(4:42)△ソスラン・ボスタノフ(ロシア)
ダニエル・アレストルフェル(オーストリア)○不戦△オ-ル・サッソン(イスラエル)

【決勝】

バルナ・ボル(ハンガリー)○払腰(4:24)△ユーリ・クラコベツキ(キルギスタン)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版10月19日掲載記事より転載・編集しています。
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