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稲森奈見は銀メダル、キムユンキョン狩る大仕事果たすも大型選手マーを攻め切れず・ アジア大会78kg超級レポート

(2014年9月26日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月26日掲載記事より転載・編集しています。
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稲森奈見は銀メダル、キムユンキョン狩る大仕事果たすも大型選手マーを攻め切れず
アジア大会78kg超級レポート
【成績上位者】エントリー10名
1.MA, Sisi(CHN)
2.INAMORI, Nami(JPN)
3.KIM, Eunkyeong(KOR)
3.SATJADET, Thonthan(THA)
5.ODKHUU, Javzmaa(MGL)
5.SARBASHOVA, Nagira(KGZ)
7.KAUR, Rajwinder(IND)
7.RAIFOVA, Zarina(KAZ)

優勝は昨年から国際大会のキャリアをスタートさせたばかりの26歳、中国のマー・シーシ。183cm、150kgという巨体を利して2回戦ではナギラ・サーバショワ(キルギスタン)、準決勝ではオドクー・ジャブズマー(モンゴル)を連続の「一本」で降して決勝進出。

決勝では前戦で優勝候補筆頭のキム・ユンキョン(韓国)を降した稲森奈見を相手に圧殺圧力でペースを掴み、40秒に稲森が下がりながら放った支釣込足を押し込み返して「有効」奪取。以後は圧力を一段増して膠着を作り出し、「指導」2つを追加してフィニッシュ。見事アジア大会初優勝を決めた。

稲森は準決勝でキムを相手に「指導2」対「指導1」でビハインドを負った2分20秒、会心の右内股を決めて一本勝ち。優勝候補筆頭のキムを、それも素晴らしい一撃で屠り去って観衆の度肝を抜いて見せたが、勝利濃厚と目された決勝では消極的試合に終始して敗退。右相四つのマーに「有効」を先行されると体が固まってしまい、短い射程の現状維持に徹するという今大会の女子に蔓延する病に罹患。2分過ぎには両襟を持ち、かつ相手の釣り手をしっかり落とす良い組み手を作り上げながら攻めを逡巡し続ける間に双方の「指導」でこのシークエンスを切られてしまい、最終盤にも相手の釣り手を奥襟からズラして落としてほぼ一方的な組み手を作り出すことに成功するが、最後まで勝負に出ることなく敗退を受け入れてしまった。

この稲森の「行かない」状況は残念過ぎた。ひとつ疑問なのは、稲森は自身の「飛び級」による抜擢の理由をどう捉えてこの決勝に臨み、どう噛み砕いた上でビハインドでの現状維持という選択を為したのかということだ。

外側から見る限り、競技力の高さと実績という穏当な基準だけで選考するのであれば、世界選手権で代表を務めた山部佳苗と田知本愛の下から稲森に至るまで、代表に選ばれても良いクラスタの選手は複数以上存在する。ここで稲森が抜擢された理由は若さという耳障りの良い要素だけではなく、具体的な理由があったはずだ。筆者はその因を、昨年の世界ジュニアで見せたパフォーマンスの思い切りの良さにあったと考える。

技はあっても行けない、武器を持っていても振るうことが出来ないことが続く女子超級の一軍選手の中にあって、ジュニアカテゴリの大会とはいえ世界の強豪を相手にイチかバチかの大技(裏投)を繰り出して「一本」の山を築いた稲森のパフォーマンスは出色であった。日本代表が超級の一軍に求め、そして未だ得られないものがそこにはあった。稲森が代表に抜擢されたのは単なる順送り人事や若手の期待枠を設けたという消極的な理由でなく、現状の稲森が一軍選手たちにはないものを持っているから、それが代表に必要だと評価されたゆえではないのだろうか。前述の通り、それは仕掛ける勇気に他ならない。

両襟をガップリ確保し、そこから釣り手を落として相手の攻撃力を減殺。ここまで状況が揃い、そして自身の立場は失うもののない若いチャレンジャー。加えてスコアはビハインド、逆転に挑まずば負けが確定する、とここまでおぜん立てが揃って「行かない」のであれば、稲森は自身最大のセールスポイントを自ら放棄したのと同じだ。では稲森は居並ぶ重量級の選手たちの中にあって、自身が彼女らに勝るものは何と規定して、代表の栄を請けたのであろうか。稲森にとってはこれが代表としてのビッグイベント初挑戦、アジア2位は十分受け入れられる結果であったとしても、強化側から見ればこれは「また一人、そこそこ戦えるけれど攻めに出れない人材が増えた」と区分けされたとしても致し方のない内容だったのでないのだろうか。

幸い、翌日の団体戦の初戦では稲森とマーの再戦があり、ここでは稲森は前進攻撃に徹し「指導」累積差で勝利している。個人戦決勝のパフォーマンスは稲森のパーソナリティの本質を表すのではなく若さゆえの判断ミスであり、その反省を次回対戦に着実に生かした、と評するだけの材料が揃ったわけである。稲森は若く、そのパフォーマンスとパーソナリティは全国のファンがここ数年女子超級代表に抱き続けるフラストレーションを吹き飛ばすだけの潜在能力があると信じる。以後の奮起に期待したい。

そして、63kg級評、70kg評に続きみたび同じことを書くことになるが、強化サイドは、「行けない」状況への答えとして掲げていたはずの「自立」というキーワードを具体的な施策として昇華すべきである。五輪、アジア大会、世界選手権と一般社会に向けて柔道が得る貴重なプレゼンの機会に煮え切らない試合を繰り返すのであれば、これはもはや勝ち負けを超えたジャンルの危機だ。経験は個人ではなく、集団にフィードバックされなければならない。繰り返される事態は個人としては初めてのことでも集団としては幾度目かの経験であり、見つめる一般社会にとっては「またもや」の事態になる。柔道はいつも同じ誤りをしていると認識されてはならない。柔道選手は「行けない」人種であると思われてはならない。

【3位決定戦】

KIM, Eunkyeong(KOR)○横四方固(4:00)△SARBASHOVA, Nagira(KGZ)
SATJADET, Thonthan(THA)○不戦△ODKHUU, Javzmaa(MGL)

【決勝】

MA, Sisi(CHN)○優勢[有効・浮落]△稲森奈見

■日本選手勝ち上がり

稲森奈見(三井住友海上)
成績:優勝

【準々決勝】

稲森奈見○大外刈(1:27)△SATJADET Thonthan(THA)

右相四つ。ゆったり相手を動かして間合いを測り、1分2秒右払巻込「有効」。1分32秒には右払腰から右大外刈に繋いで「一本」。やや攻め手は遅いが、順調な滑り出し。

【準決勝】

稲森奈見○内股(2:20)△KIM Eunkyeong(KOR)

優勝候補筆頭のキム・ユンキョンと対峙。
ケンカ四つ。キムは左大内刈、さらに左出足払、右に構えを変えておいての左小内刈と技を出し続ける。51秒稲森に「指導1」、さらに両袖の膠着となった1分31秒には双方に「指導」が宣告される。

キムは稲森を前に連れ出しての左大内刈、さらに圧力を掛けての左内股に左大内刈と技を繋いでクロージングの構え。しかし稲森相手の圧力をずらすと、右内股。斜めからアプローチして角度のギャップを生み出し、相手の頭を下げる対大型選手用のこの技が見事に決まって「一本」。稲森見事アップセット達成。第1シードキムの敗退という受け入れ難い事態に観衆は静まり返る。

【決勝】

稲森奈見△優勢[有効・浮落]○MA Sisi(CHN)

身長183cm、体重は公称150kgという超大型選手のマーと対峙。
右相四つ。ガップリの持ち合いから一歩下がりながらの支釣込足を放つが、マーの前進に捕まってバランスを崩し40秒「有効」失陥。

稲森これでリズムが狂い、相手の釣り手をしっかり落としているにも関わらず投げに出れない現状維持を続けてしまう。2分6秒双方に「指導」。前に出れないまま相手の奥襟を受け入れた3分11秒には稲森に2つ目の「指導」。最後まで勝負に出れず、そのままタイムアップ。

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