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ルール運用の流れ見抜いて押し出し連発、ナイダン「一人モンゴル相撲」でラコフを撃破・アジア大会100kg級レポート

(2014年9月26日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月26日掲載記事より転載・編集しています。
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ルール運用の流れ見抜いて押し出し連発、ナイダン「一人モンゴル相撲」でラコフを撃破
アジア大会100kg級レポート
【成績上位者】エントリー15名
1.NAIDAN, Tuvshinbayar(MGL)
2.RAKOV, Maxim(KAZ)
3.CHO, Guham(KOR)
3.SAYIDOV, Ramziddin(UZB)
5.MAHJOUB, Javad(IRI)
5.SHAH, Hussain Shah(PAK)
7.TOKTOGONOV, Bolot(KGZ)
7.YALKAPOV, Nuraly(TKM)

役者揃った激戦を制したのは2008年北京五輪王者、2012年ロンドン五輪銀メダリストの30歳、ツブシンバヤル・ナイダン(モンゴル)。1回戦でダダフトン・クルボナリエフ(タジキスタン)、準々決勝でチョ・グハン(韓国)をいずれも「技有」優勢で下してベスト4入り。準決勝では第2シード選手で32歳の大ベテラン、ラムズディン・サイドフ(ウズベキスタン)に開始早々「技有」を奪われたが1分23秒「やぐら投げ」紛いの抱き上げから相手を振り回し落として「技有」を取り返す。互いに疲労したGS延長戦では押し出し圧力で相手を下げて優位を確保、30秒に片襟の右背負投を決めて一本勝ち。見事決勝進出を決めた。

決勝戦では第1シードのマキシム・ラコフ(カザフスタン)と対戦。連続一本勝ちで勝ち上がってきたこれまでのラコフの出来を見る限りではナイダンの勝ち目は薄いように思われたが、ナイダンは「押し出し」の前進圧力による反則狙いに勝機を見出す。1分22秒ラコフに「指導」、ラコフが鋭い右一本背負投でナイダンを崩した直後の2分24秒にナイダンに「指導」が宣せられて場が煮えてくると、ナイダンの「押し出し」傾向はさらに加速。3分7秒ラコフに場外の「指導」、さらにラコフを場外に押し出して「待て」を貰うと「押し出しの反則ではないか」とアピールするラコフを右の払腰で叩き落として黙らせ(「一本」級であった)、ここでラコフに場外の「指導3」が宣告される。

スクランブルを掛けるしかないラコフは右、あるいは左で背中越しに帯を掴んで左右に隅返を放つが、もはやクロージングに入っているナイダンは後ろ重心傾向で、距離が詰め切れないラコフの技はいずれも中途半端。最終盤、もはや形にこだわる時間のなくなったラコフが釣り手で左片襟を差すとナイダンが右背負投で切り離し、両袖を持つとこれも切り離して右背負投で展開を切ったところでタイムアップ。ナイダン、初のアジア大会制覇を決めた。

率直に言って見栄えの良い柔道ではなかった。が、前日のキム・ジェブンの勝利にも垣間見えた今大会での過剰な「場外」指導連発傾向、つまりは押し出しであろうが対象者が下がったことによる「待て」であろうがとにかく機械的に外に出された側の「指導」を採るという今大会の審判団の未成熟な判定傾向を見極め、そこを的確に突いたナイダンの戦略はさすがであった。もともとモンゴル勢はナイダンの「双手刈の連発」を以てIJFの「足取り禁止」を引き出し、ならばと打ち出した抱き付き小外掛と「足を取らない掬投」の投入を以て「いきなり双差しの禁止」を決意させたという経緯のある、自身の長所とルールのグレーゾーンを掛け算して戦うことに長けた集団である。ルールに合わせて正統派に変貌しつつあった、そして加齢によりかつての上から目線の柔道を挑むことが難しくなったナイダンが、業師ラコフと戦うために採ったこの戦術は、その文脈からするといかにもモンゴルらしいものであった。なにより「押し出し」は地力の高さあってこそ採れる戦術であることも忘れてはならない。翌日行われた団体戦と併せて、ラコフが繰り広げたパフォーマンスの良さは今大会の最強ファイターに推されたとしてもおかしくないものであったが、結果を得たのはまたしても超現実派ファイター、ツブシンバヤル・ナイダン。この日の勝敗に関しては、結果は正当なものだったと評したい。

ただし。81kg級評で書いた通り押し出し圧殺による「指導」連続奪取はこの競技のあるべき姿ではなく、IJFの「新ルール」が目指す精神でもない。「場外」反則の厳格適用は「押し出し」行為の見極めと、「場内に戻らないのか、戻る行為を妨害されているのか」の見極めとセットで行われることによって有効足り得るもので、これは単にアジア大会仕様で編成された今大会の審判団がIJF主催大会のそれに対してレベルが低いというだけの話である。さすがにまずいと思ったのか、おそらくはこの日の競技終了後に審判団のミーティングが行われ、翌日の団体戦の競技では今大会の日程中ほとんどまったく見ることがなかった「押し出し」の指導宣告の場面がようやく現れたということは付記しておきたい。キム・ジェブンやツブシンバヤル・ナイダンの行った柔道は否定されたのだ。視聴した選手、指導者の方々にはくれぐれも誤解なきようお願いしたい。

日本の熊代佑輔は初戦でチョ・グハンに敗退。世界選手権への代表派遣見送りという屈辱を舐めた100kg級の代表としてどれだけの意地を見せてくれるのか、曲者のチョを相手にどんな戦いを繰り広げてくれるのかと大いに期待されていたが、「指導2」負けという結果以上にその内容はファンの失望を誘うに十分なものであった。ケンカ四つのチョを相手に開始早々に引き手で袖、釣り手は高い位置で襟を確保するという完璧な組み手を作り上げながら攻めに出れない。そして逡巡を続けた挙句打った手は、左の正方向への技ではなく、自ら引き手を切り離して右一本背負投フェイントの右小内刈という奇襲。王道の左技の残像があればこそ効くこの技は当然ながらあっさり潰され「待て」。メンタルのエンスト、過緊張、相手への過剰警戒、力関係における自身の下位規定と、この技が発した肉体的記号に熊代を利するものなど一つもなし。チョをして、熊代を舐めさせるに十分なこの行動でもはや勝敗の行方は見えたと言って良かった。以後の4分半、過去の力関係に関係なく思い切りの良い技を打ちこむ熊代の良さが発揮される場面は皆無に近く、組み手を制して先手の担ぎ技を仕掛けるチョが主導権を取りつづける順行運転のまま「指導2」優勢で試合は終了。引き手で袖、釣り手で高い位置を持たねば仕掛けられないという技術構成のナイーブさ(この試合からはそう評されても仕方がないだろう)と、何より心の弱さを見せつけたという体で熊代はあっさりトーナメント脱落決定。参加者の1/3以上が世界に名の売れた強豪という100kg級の密度の高さは過酷ではあったが、そんな事情など考えるにも及ばないアウトサイダーぶり、以後に希望の持ちにくい「1コケ」劇であった。

【3位決定戦】

CHO, Guham(KOR)○体落(4:48)△MAHJOUB, Javad(IRI)
SAYIDOV, Ramziddin(UZB)○縦四方固(1:34)△SHAH, Hussain Shah(PAK)

【決勝】

NAIDAN, Tuvshinbayar(MGL)○優勢[指導3]△RAKOV, Maxim(KAZ)

■日本選手勝ち上がり

熊代佑輔(ALSOK)
成績:1回戦敗退

【1回戦】

熊代佑輔△優勢[指導2]○CHO, Guham (KOR)

熊代が左、チョグハンが右組みのケンカ四つ。25秒過ぎから熊代引き手を確保してほぼ完ぺきな組み手を作り上げるが、熊代は王道の左技ではなく自ら引き手を切り離して右一本背負投フェイントの右小内刈という奇襲に打って出る消極的選択。

以後チョグハンが右背負投、左一本背負投と泥臭く技を積んで1分27秒熊代に「指導1」。熊代は2分37秒に放った右の大腰以外は有効打なく、片手の左内股、右一本背負投と消極的な技選択に終始、チョが左一本背負投を3連発した4分11秒には2つ目の「指導」失陥。中途で横分か内巻込を狙うかのような体を反らせての入りを2度見せるがいずれもあっさり潰されてしまう。最後は隅返で潰れたところで終了ブザー。見せ場なく「指導2」で敗退。

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