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新ルールでもスタイル変えず、キムジェブンが2連覇果たす・アジア大会81kg級レポート

(2014年9月23日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月23日掲載記事より転載・編集しています。
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新ルールでもスタイル変えず、キムジェブンが2連覇果たす
アジア大会81kg級レポート
【成績上位者】エントリー18名
1.KIM, Jae-Bum(KOR)
2.ELIAS, Nacif(LIB)
3.NAGASHIMA, Keita(JPN)
3.NYAMSUREN, Dagvasuren(MGL)
5.IMAMOV, Yakhyo(UZB)
5.KALKAMANULY, Aziz(KAZ)
7.GHASEMI NEJAD, Amir(IRI)
7.PAK, Hong Wi(PRK)

2010年、2011年世界選手権王者にして2012年ロンドン五輪王者のキム・ジェブン(韓国)が2010年広州大会に続く連覇を達成。

一本勝ち2つを経て迎えた準決勝の長島啓太戦は「始め」の声が掛かるなり明らかに「指導」を狙いに掛かる、良くも悪くもキムらしい勝負に徹した柔道を披露。片手の「出し投げ」にこれも片手の背負投を連発して「指導1」を先行するが、中途でスタミナ切れをお越し、自らの偽装攻撃で3分14秒に「指導1」を食ってスコアはタイ。試合は延長戦に突入するが、キムは泥沼の試合こそ自分のフィールドとばかりにここで一段ギアを上げて長島を場外に押し出し、左右にずれて場内に戻ろうとする相手の出口を体で塞ぎ続けて主審の「待て」を引き出す。ここで長島に場外の「指導2」が与えられてキムの勝利が決まった。

決勝では、世界選手権のレペチャージ戦で永瀬貴規を相手に粘り続けて強さを見せつけた(永瀬が「指導3」で勝利)レバノンの怪人ナシフ・エリアスとマッチアップ。ケンカ四つのナシフの無造作に距離を詰めて釣り手で背中を叩く強気の組み手とパワーの前にどちらかというと一貫して劣勢だったが、巴投、「草刈り」、袖釣込腰に片手の背負投と展開奪取に徹して「指導2」をリード。残り52秒で偽装攻撃の「指導」を受けたがそのまま「指導2」対「指導1」で逃げ切って優勝を決めた。

優勝が決まるとキムは畳を叩いて絶叫、両手を突き上げ、客席を煽って全身で喜びを表現。傍目にはオリンピック王者が無名の選手を相手に手数攻撃に徹し、それも「指導」1つ差まで追い掛けられながらの逃げ切りという少々情けない試合振りにそのオーバーアクションは果たして釣り合うのかといささか違和感を感じるところではあるが、相手と会話せず一方的に試合を進める柔道同様この「空気の読めなさ」がこの人の強さの源泉。

定番となったオーバーパフォーマンスに客席も「キムジェブン!」コールで十分応え、63kg級決勝に引き続いての自国の勝利に酔いしれていた。

「投げ合う」「持ち合う」新ルールの精神に完全に背を向けて、持てる全てのパワーとスタミナを優位確保に注ぎ込む自身のスタイルに徹したキムの勝利はある意味見事であった。が、キム、そしてモンゴル勢が頻発している「押し出して場外の反則を狙う」行為に対して今回の審判団がいささか寛容に過ぎることへの危惧はこの時点で表明しておきたい。場外の指導を厳格に取るというジャッジの基準は、「下がっているのか、相手が押し出しを狙っているだけなのか」と、「場内に戻ろうとしないのか、相手が場内に戻ることをブロックしているだけなのか」をしっかり見極めて、必要あらば押し出している側に「指導」を与えることとセットで成立するものである。第1日にあまりにも多く「押し出し」行為をスルーし続け、100%に近い確率で場外の「指導」を宣告し続けた結果、もはや「押し出せば勝てる」とばかりに割り切った相撲戦術が横行するというトレンドが発生し始めている。留意しておきたい。

キムは序盤戦から息を切らす場面が多く、決勝での消耗ぶりを見ても陥落の日は遠くないという印象であったが、考えてみればこの人は昨年のグランプリ済州でも初戦から息を切らし、膝に手を当てながら最後まで走り抜けて優勝を飾っていた。もし続けるのであれば、来年以降も厄介な選手として上位戦線に踏み留まることになりそうだ。

敗れた長島の方は、3位決定戦ではプレッシャーから解放されたかのようにノビノビした試合を披露。第1シードのヤキョー・イマモフ(ウズベキスタン)を鮮やか過ぎる内股「一本」に斬って落として銅メダルを確保した。

キム戦に関しては、「場外」を狙われた最終盤の振る舞いを批判する(キムの反則狙いを理解して戦えという論調で)声が多いようだが、むしろ考えておくべきは「指導1」を奪取して追いついた直後の3分14秒から4分過ぎまでのシークエンスで長島が採った行動ではないだろうか。主導権を奪回しつつあり、かつキムに「指導」が与えられるという追い風を受けて長島がここで採用した作戦は、ケンカ四つの引き手争いにおいて「自ら袖を求めて露骨に手を出しては一旦引っ込める」という、相手の「取りくまない」反則を求める、非常に日本の実業団的なアクションの連続だった。このようなデリケートな「指導」狙いの戦術を、地元韓国選手相手の試合で審判が評価してくれるのかという観点でもこれは非常に微妙であるし、なにより、相手のスタミナが切れかけているこの時間帯、自身に主導権が移り掛けているこの機こそ投げに出ることでキムを追い詰めに掛かるべきではなかっただろうか。

もちろん「指導」は来なかった。
GS延長戦の「押し出し」行為に抗えなかったこと自体は、パワー差に鑑みてある程度仕方がなかったのではないかと評したい。ただし、その状況が生まれたことに関しては大いに考えるべきところがある。「体力王」と呼ばれてこれまで幾多の泥沼試合を勝利してきた経験値のあるキム(北京五輪では3戦連続の延長フルタイムを戦いきって銀メダルを獲得したと記憶している)が希望を持って戦うであろう終盤戦、あるいは延長戦まで勝負を持ち込むのは明らかに得策ではない。そんな中、中盤戦、それも流れを明らかに掴みかけていたあの時間帯こそ嵩にかかって勝負を掛けるタイミングだったのではないだろうか。死にかけていたキムが終盤息を吹き返し、そして「あと1個取れば終わりだ」とばかりに全力前進に舵を切ったGS延長戦と「指導」奪取成功はこの背景の中にあった。3位決定戦のあまりにも鮮やかな長島の技を見て「勿体ない」とため息をついた関係者も多いのではないだろうか。あそこで投げに出て、せめてあと1つの「指導」を得さえしていれば。惜しい試合であった。

【3位決定戦】

長島啓太○内股(1:01)△IMAMOV, Yakhyo(UZB)
NYAMSUREN, Dagvasuren(MGL)○優勢[有効・一本背負投]△KALKAMANULY, Aziz(KAZ)

【決勝】

KIM, Jae-Bum(KOR)○優勢[指導2]△ELIAS, Nacif(LIB)

■日本選手勝ち上がり

長島啓太(日本中央競馬会)
成績:3位

【2回戦】

長島啓太○崩上四方固(1:45)△XAYASAN, Chittakon (LAO)

ケンカ四つ。秋本同様、長島も過緊張ゆえかガチガチ。ラオスの無名選手の、攻めを演出するためだけの片手技を許して59秒「指導2」まで失う。
直後釣り手を奥襟に入れると相手は潰れ、長島は腕挫十字固を狙う形を経て横四方固。これもなんと
逃げられ掛かるが、崩上四方固に固め直して「一本」。実力差のある相手にバタバタの内容で、少々先行き不安な滑り出し。

【準々決勝】

長島啓太○優勢[技有・隅落]△NYAMSUREN, Dagvasuren (MGL)

長島左、ニャムスレンが右組みのケンカ四つ。長島両襟を掴んで左小外刈に左内股、左体落とやや散発傾向ながら技を繋ぐが、ニャムスレンも袖釣込腰に浮腰、「韓国背負い」でうまく展開を切って試合は動的膠着。しかし意外にも残り1分37秒の時点で長島にのみ「指導1」が宣告される。
直後長島は左大内刈を2連発して追撃開始。投げに掛かった長島に精神的な圧を受けたニャムスレンは肘抜きの背負投から右内股に打って出るが長島待ち構えてめくり返し、隅落「技有」4分8秒。そのままタイムアップ。
攻めに出たことでニャムスレンにリスクを犯さざるを得ない状況を強いたのが直接の勝因だが、この試合もバタバタの展開。

【準決勝】

長島啓太△GS指導2(GS0:26)○KIM, Jae-Bum (KOR)

長島左、ロンドン五輪王者のキム・ジェブンが右組みのケンカ四つ。キムは片手の右背負投に釣り手一本で背中を握り込んでの「出し投げ」を繰り返し明らかに「指導」狙いの柔道。早い段階で息が切れるが、出し投げから横巴と繋いだ直後の1分57秒、長島に「指導1」。
長島が両襟を持つと嫌ったキムが引き手を切り離すこと数度、しかしキムはすぐに自身の技に繋いで反則宣告の暇を主審に与えず。
この時間帯、徐々に流れは長嶋。3分16秒、長島が二本持つとキムは右体落に潰れ、偽装攻撃の「指導1」。
長島あと1つの「指導」で追いつくところだが、ここで引き手争いに応じてしまい、30秒近くに渡り「引き手を求めて出しては相手に引込めさせ、自分も一旦戻す」という「取り組まない」指導狙いの組み手戦術を採る。「指導」宣告はなく、キムがやや息を吹き返して本戦はタイムアップ。
GS延長戦、片手の右背負投と座り込みの右小外刈を放ったキムは長島に場外を背負わせ、押し出す。押し出したまま長島が戻るルートに先に体を入れて押しとどめ、主審は「待て」を宣告すると長島に対して場外の「指導」を与える。決着。

【3位決定戦】

長島啓太○内股(1:01)△IMAMOV, Yakhyo(UZB)

ケンカ四つ。1分釣り手で奥襟を叩くとすぐに引き寄せ、引き手は深くほとんど脇下を握り込んだまま左内股。鮮やかに決まり「一本」。長島見事なフィニッシュで3位を確保。

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