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今大会ベストバウト披露したジョンダウンが感動の金メダル、阿部香菜はミスを重ねて自滅・アジア大会63kg級レポート

(2014年9月23日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月23日掲載記事より転載・編集しています。
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今大会ベストバウト披露したジョンダウンが感動の金メダル、阿部香菜はミスを重ねて自滅
アジア大会63kg級レポート
【成績上位者】エントリー11名
1.JOUNG, Da-Woon(KOR)
2.YANG, Junxia(CHN)
3.ABE, Kana(JPN)
3.URDABAYEVA, Marian(KAZ)
5.BALDORJ, Mungunchimeg(MGL)
5.KIM, Su Gyong(PRK)
7.CHANG, Ya-Jau(TPE)
7.WATANABE, Kiyomi(PHI)

優勝は地元韓国のジョン・ダウン。決勝では明らかに体の力に勝るヤン・ジュインシュア(中国)を相手に粘りに粘って「指導2」差を追いつきGS延長戦突入。とはいえ消耗すれば消耗するほどパワーファイターに分がある延長戦で具体的にどう勝つのか、という少々希望の抱きにくい試合を2分半に渡って攻め続けることで拮抗確保、最後はこの日初めて繰り出す座り込みの左一本背負投一閃。虚を突かれた相手が崩れると走り切って押し込み劇的な「有効」奪取で勝利決定。苦戦が続く地元勢初の金メダルを決めるとその場で両手で顔を覆って涙、万雷の拍手を浴びていた。

コーチ席に座るのはかつての名選手ファン・ヒーテ。海外から見るとコーチングの適性をちょっと想像しがたい泥臭いスタイルの選手であったが、見事愛弟子が母国の苦境を救う金メダルを獲得、それもファン自身の得意技である低い背負投で決めるというおまけつき。抱きついたジョンを肩に抱えて場内を歩き始めると観衆のボルテージは最高潮、スタンディングオベージョンでこの快挙を称えた。

この63kg級決勝はまさしく今大会のベストバウト。どう考えても分の悪い試合を、何が何でも勝つという執念だけで粘り切り母国に初の金メダルをもたらしたジョンのド根性ファイトは国籍を超えて人の心を揺さぶるものがあった。

実績上唯一最大の優勝候補と目されていた阿部香菜は準決勝でヤンに敗れて3位。このヤン戦はまず相手の先手攻撃を許し、これを潰しては中途半端に寝技を挑み、そして取り切れず「待て」を貰うという繰り返しで序盤戦を終えてしまう。立ち勝負か寝勝負か判断つかない目先のリアクションだけで時間を消費した報いは「指導」2つの失陥。そして残り時間が少なくなったところで打った手は過程を飛ばしての投げではなく、下がる相手に2度「巴十字」を仕掛けるという悪手。当然ながら食いつきは浅く相手に時間消費のチャンスを献上することとなる。
そしてもはやどうにもならなくなった残り数秒で脇を差して仕掛けた左内股を横車で返されて「有効」失陥。先に反則を受け、下がる相手に効かない攻撃を繰り出し、最後は強引な技を返されるという女子選手がパニックを起こしてアップセットを食らう「悪い試合」のお手本のようなミスのオンパレードであった。

国内では「あれ(横車)は相手の背中が先についたのでは」という議論がかまびすしいと耳にするし、阿部自らの「背中がついたと思ったが受け入れないといけない」というコメントも直接聞いたが、問題はその判定云々より、あの煮詰まった状況で雑な内股を仕掛けなければいけないところにまで陥ったそれまでの試合構成にある。ここまでミスと思考停止を重ねて、目を瞑って体を捨てる一発で全てを帳消しにしてしまうというのは虫が良すぎる話であるし、そもそも主審はヤンの横車の意図と最終的なコントロールを感じたからこそ「有効」をヤンに入れたわけであるし、横車での切り返しはワールドツアーを通じて頻発しているトレンドで審判団は横車という技を「取る」ことを頭に入れ直しているというバックグランドもあるし、冬季の国際大会ではこれと同じく時間差なく落ちた内股と横車の攻防が切り返した側のポイントとなった判例もある。つまりは飲み込める範囲の判定である。繰り返すがカタストロフの因は、それまでのあまりにまずい試合の進め方にあった。

阿部は、自分がどれだけ周囲にとって怖い選手であるかきちんと意識していたのだろうか。

マイナー大会も含めてワールドツアーを毎回ウォッチしていると、阿部や新井千鶴のような破壊力と切れ味のある技のある選手が、いかに異次元の存在であるかが骨身に染みてわかる。その阿部に対して「持たざるもの」たちがどのような手立てと心構えで臨んで来るか、分析と対策はあったのだろうか。あったとしたら、なぜそれを遂行出来なかったのか。

阿部を相手に組んだら投げられるから組み手を徹底管理して先手攻撃で掛け潰れる。寝技の襲来は覚悟早々に蓋を閉じておく、確信的な掛け潰れだからこの初動は早い。そして阿部のスクランブル技は内股に決まっているから、雑な仕掛けてあれば横車に切り返すことももちろん織り込んでおく。ヤンの構成した試合は「持たざる」ものの手立てとしては極めてオーソドックスであるが、では相手が明らかにこの行動を起こして試合を始めたとき、本来阿部はどういう手を打つプランを持っていたのか。持っているシナリオがズレたときにはどのような判断を下すことになっていたのか。

既に二度の世界選手権を経験している阿部がメンタルでパニックを起こした、というのであればまずもって到底受け入れがたい話であるが、大会と選手をまたいで打ち続く「力を出せない状況」は、これは本人一人の責任に帰するべきではない。ひょっとしたら代表や所属に帰するのでもなく、女子柔道を取り巻く文化までを考えなければいけないのかもしれない。これはいずれ機会があれば稿を改めて書きたいが、いずれ、全てを柔道にささげて必死で腕を磨いて来た選手が、メンタルのパニックや思考停止でその力を発揮できないのは勿体なさすぎる。努力は報われねばならない。強化は、個人の責にこの失敗を帰することなく、その分析と対策を考えるべきである。

【3位決定戦】

URDABAYEVA, Marian(KAZ)○優勢[技有・浮落]△BALDORJ, Mungunchimeg(MGL)
阿部香菜○崩袈裟固(3:56)△KIM, Su Gyong(PRK)

【決勝】

JOUNG, Da-Woon(KOR)○GS有効・一本背負投△YANG, Junxia(CHN)

■日本選手勝ち上がり

阿部香菜(三井住友海上)
成績:3位

【準々決勝】

阿部香菜○優勢[有効]△WATANABE, Kiyomi (PHI)

阿部の初戦は今夏のインターハイ70kg級2位、渡辺聖美(富士学苑高)。
1分36秒渡辺に「指導」。渡辺、阿部の内股の振り戻りに巴投を合わせてあわや「有効」という場面も作るがノーポイント。
残り48秒、阿部が左内股。渡辺またいで腕挫十字固を狙おうとするが阿部は腰を突っ込んで進み、「有効」。このポイントで勝利決定。
阿部は動き硬く、到底順調とは言えない滑り出し。

【準決勝】

阿部香菜△優勢[有効・横車]○YANG, Junxia (CHN)

開始早々ヤンが横落、阿部は寝技に持ちこんで下からのめくり返しを試みるが果たせず「待て」。
続く展開、阿部が膝車で崩すとヤンは左一本背負投に潰れ、阿部またしても「国士舘返し」を試みるが果たせず「待て」。経過時間は1分6秒。
ヤンは内巻込、耐えた阿部は両襟で相手の動きをとどめる作戦に出るが、ヤンは巴投で展開を切る。阿部は主導権を握るが技が出ない。阿部が狙った腕挫十字固が不発となったところで阿部に「指導1」、経過時間は2分3秒。
阿部、腕を突っ張ったまま後ろに重心を置いて拮抗を偽装する相手に「巴十字」を放つも不発。2分40秒には双方に「指導」。
2分54秒、ヤンは左一本背負投の形に腕を抱えた左大外刈。阿部は寝技に食いつくがヤンはこれでさらに一段時間を消費することに成功。

もはや過程を飛ばしてでも投げの効く間合いに入り込むことが必要な阿部だが、ここで阿部が採った手は「巴十字」。相手が後ろ重心のためこの技は遠間に落ち、阿部は続いてまたもや下からのめくり返しを試みるが、スタート位置が浅いためヤンは余裕を持って対処し十分時間を使う。「待て」が掛かった時点で残り時間は21秒。

阿部、残り1秒で脇を差して接近し強引な左内股。ヨウは落ちながら横車に迎え撃ち、これは「有効」。今大会にライバルおらずと目された阿部、なんと準決勝で敗退決定。

【3位決定戦】

阿部香菜○崩袈裟固(3:56)△KIM, Su Gyong(PRK)

敗戦でようやく吹っ切れたか阿部の動きは良し。左相四つの横変形で試合が進み、37秒内股「有効」。残り46秒で首抜きの「指導」を食うが、相手を激しくあおって畳に伏せさせると崩袈裟固「一本」。

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