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決勝対決はムンクバットに軍配、山岸絵美は惜しくも2位・アジア大会48kg級レポート

(2014年9月21日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月21日掲載記事より転載・編集しています。
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決勝対決はムンクバットに軍配、山岸絵美は惜しくも2位
アジア大会48kg級レポート
【成績上位者】エントリー15名
1.MUNKHBAT, Urantsetseg(MGL)
2.YAMAGISHI, Emi(JPN)
3.JEONG, Bo Kyeong(KOR)
3.KIM, Sol Mi(PRK)
5.BAIKULEVA, Aigul(KAZ)
5.WU, Shugen(CHN)
7.LIKMABAM, Shushila Devi(IND)
7.VAN, Ngoc Tu(VIE)

前回王者の粘着系ファイター、ウ・シュウゲン(中国)が準々決勝で敗れるという波乱を後目に、決勝は予想通り13年世界選手権王者ムンクバット・ウランツェトセグ(モンゴル)と山岸絵美による本命対決。ともに全試合を「一本」で勝ち上がってのマッチアップとなった。

右相四つのこの試合はムンクバットがパワーで山岸を圧倒。というよりも、山岸の投げを警戒して組みたがらないムンクバットが片襟のあおりと片手の背負投、そして自身のフィールドである寝技に引きずり込んでと会話を拒否した一方的展開で主導権を握る。
40秒過ぎから始まった寝技のシークエンスで、伏せた山岸に対しムンクバットは得意の横三角に打って出る。右、左と揺さぶりを掛けながら山岸の左脇に脚を侵入させることに成功すると、めくり返して山岸の右腕を括る。山岸は体をずらして身を起こしかかるが、ムンクバットは腕を確保したまま山岸の体をまたいで右に降り、自身の左足を山岸の右膝裏に当てる変則技で「抑え込み」の宣告を聞く。準決勝でも見せたこの、プロセスの感覚では崩上四方固、両者の重なる角度なら横四方固、腕の確保を源泉に同側に降りて抑えるという構造上では縦四方固といずれにも取れる変則の抑え込みは18秒まで山岸を制することに成功、これは「技有」となる。

山岸追撃を開始するがムンクバットの片手技による先制攻撃に焦ったか散発傾向に陥ってしまい、組み手に混ぜ込む得意の足技が出ない。逆に「指導」を狙う悪循環。

ムンクバットが消耗した残り1分からはラッシュに成功、残り41秒で「指導」2つを得るが、ムンクバットは偽装攻撃気味の技を厭わず、崩れては下から寝技に引き込み、山岸の頭を捕まえて固定。巧みに時間を使う。

結局このままタイムアップ。ムンクバットが「技有」優勢で勝利してアジア大会初優勝を決めた。

ムンクバットは強かった。一段上がった体の強さはもちろんのこと、世界選手権で舐めた屈辱ゆえか自身のストロングポイントである寝技にさらに戦術の重心が傾き、それがさらなる隙のなさを生み出すこととなった。近藤亜美に比較的鷹揚に組ませたゆえ得意の一撃を食うに至ったというあの対戦の経緯に鑑みてか、グランドスラム・パリでは組み勝負に応じて(山岸がムンクバットの払腰を隅落「技有」に捉えて勝利)いた山岸相手に一切まともに組ませず寝技勝負を徹底。世界選手権での負けがその完成度を一段押し上げた感あり。

この日の山岸は集中高く、動き良く、素晴らしい出来であった。ムンクバットの強さと僅かな戦術のミス、そしてやはり左肩の負傷が大きかったと見る。

戦術的には、追撃にかかった中盤に、ムンクバットが一発技以上に怖れていたはずの足技を繰り出せずに時間を消費してしまったことが悔やまれる。ビハインドという状況はもちろんだが、パワーの上では自身に大きく勝る相手が先手攻撃に走っているという眼前の現象が、冷静な山岸をして、来ない相手への一発狙いという難しい選択と追い込んだのではないかと見る。

左肩の負傷については、守りの堅い山岸がムンクバットの脚の侵入を意外なまでの容易さで許したあの場面にその影響が強く感じられた。山岸は準決勝で、世界選手権で多くの選手が寝技メソッドの脆弱さをさらけ出すこととなった「後ろ手の攻防」をお手本のような正確さで制していることでもわかる通り、本来ムンクバットが相手でも簡単にこのようなミスを犯す選手ではない。亀で耐え、相手が三角で左右に体重を掛けて揺さぶってくる、というのは肩の負傷者にとっては最悪に近い状況だ。三角ファイターのムンクバットとのマッチアップはそもそも現在の山岸にとって少々酷な相性だったのではないだろうか。

とまれ上記の戦術選択のミスも、そしてそもそも山岸が三角を耐える状況を強いられたこともその因はムンクバットの強さ。寝技という明確な着地点、そしてそこに至るプロセスをパワーで支えるというこの構図を崩すのは容易ではない。この日ムンクバットが「一番強い選手」であったことは間違いないだろう。山岸のここまでの過酷なキャリアを知るものであれば誰でも、どうしても今日だけは勝って欲しい、と強くその勝利を祈ったはず。筆者もその一人だが、表彰台の位置は、残念ながら妥当なものであった。

【準決勝】

MUNKHBAT, Urantsetseg(MGL)○縦四方固(4:00)△JEONG, Bo Kyeong(KOR)
山岸絵美○崩上四方固(1:54)△BAIKULEVA, Aigul(KAZ)

【3位決定戦】

KIM, Sol Mi(PRK)○小外掛(1:09)△BAIKULEVA, Aigul(KAZ)
JEONG, Bo Kyeong(KOR)○優勢[指導1]△WU, Shugen(CHN)

【決勝】

MUNKHBAT, Urantsetseg(MGL)○優勢[技有]△山岸絵美

■日本選手勝ち上がり

山岸絵美(三井住友海上)
成績:2位

【2回戦】

山岸絵美○小外刈(0:47)△KONNGOEN, Orn-Areeya (THA)

左相四つ。相手を良く動かし、鎌足の左小外刈「一本」。初戦、山岸の動き良し。

【準々決勝】

山岸絵美○足車(1:50)△ LIKMABAM, Shushila Devi (IND)

ケンカ四つ。じっくり間合いを測った山岸、斜めからの大外刈でまず膝を殺し、次いで左前隅に回し投げる。得意技で会心の「一本」

【準決勝】

山岸絵美○崩上四方固(1:56)△BAIKULEVA, Aigul (KAZ)

前戦でウ・シュウゲン(中国)を破ったアイグル・バイクレワとマッチアップ。
ケンカ四つ。崩した相手が伏せ、腕が残ると相手の体に肘を押しつけながら制してめくり返し崩上四方固「一本」。世界選手権で頻出した「後ろ手からの攻防」のお手本のような展開で、あっさり一本勝ち。

【決勝】

山岸絵美△優勢[技有・縦四方固]○MUNKHBAT, Urantsetseg(MGL)

昨年の世界王者ムンクバットと対峙。
ケンカ四つ。前戦でジョン・ボキョン(韓国)に腰車「有効」を食っているムンクバットは山岸の投げを徹底警戒。組み際の技と一方的なあおり、そして崩してからの寝技で試合の主導権を握る。1分半過ぎからの寝技の攻防、伏せた山岸に対して左、右と横三角を狙って足を差し入れつづけたムンクバットは山岸の左脇に脚を侵入させることに成功、めくり返して山岸の右腕を括る。山岸耐えるが、ムンクバットは右腕を拘束したまま相手の体を跨いで右側に降り、左足を山岸の右膝裏に当てて止める変則の抑え込み。山岸なんとか逃れるが「技有」。
山岸は「指導2」まで追い掛けるが、ムンクバットは先手攻撃と引き込んで頭を抱える攻防の塩漬けで時間を使ってタイムアップ。山岸無念の敗退。

文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

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