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インターハイ柔道競技女子団体戦マッチレポート⑤決勝

(2014年9月11日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月11日掲載記事より転載・編集しています。
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⑤決勝
インターハイ柔道競技女子団体戦マッチレポート
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順当に決勝まで勝ち上がって来た大成高

大成高は比較的組み合わせに恵まれ、順調な勝ち上がりでの決勝進出。1回戦は出雲西高(島根)を3-0、2回戦は天理高(奈良)を3-0、3回戦は富士学苑高(山梨)を3-0、準々決勝は広陵高(広島)を3-0と文句のない出だし。唯一最大の勝負どころと目された準決勝の淑徳高(東京)戦には中堅に鍋倉那美を投入、その鍋倉の1点を以て1-0で勝利して決勝への勝ち上がりを決めてきた。

決勝のメンバーは全員2年生。中学時全国タイトルを総ナメにした黄金世代、初の高校カテゴリ制覇なるか。

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強豪との鍔迫り合いを制してきた東大阪大敬愛は初の決勝進出

一方の東大阪大敬愛高は厳しい配置を勝ち上がっての決勝進出。1回戦の沖縄尚学高(沖縄)戦、2回戦の藤枝順心高(静岡)という強豪2チームを3-0で下して勢いに乗ると、3回戦は嶺井美穂を擁する桐蔭学園高(神奈川)に1-0、準々決勝は創志学園高(岡山)を2-1、そして準決勝では優勝候補一番手と推す声も高かった敬愛高(福岡)を2-0と、全ての試合で入賞、あるいは優勝してもおかしくない強豪と戦い続け、そして制し続けての決勝の畳。

3年生の池絵梨菜と米澤夏帆に2年生の斉藤芽生という布陣は3年前、香長中で全国中学大会を制した時のメンバーと全く同じ。高校カテゴリでも常に団体戦の優勝候補に挙げられながらなかなか結果の出なかった池、米澤にとっては3年目、最後の大会にして初めて迎える全国大会決勝。いったいどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。

オーダー順は下記。

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決勝が開始される

大成高- 東大阪大敬愛高
(先)中江美裕 - 池絵梨菜
(中)鍋倉那美 - 斉藤芽生
(大)鈴木伊織 - 米澤夏帆

中量級と軽重量級の強者3枚を並べて粒揃い、どこからでも攻められる戦力のある大成と、選手3枚それぞれ体格的にもタイプ的にも凸凹の大きい東大阪大敬愛という構図。

大成としては先鋒戦さえ凌げば、中堅戦、大将戦で得点を積み重ねることは十分想起出来る力関係。特に担ぎ技を持つもの同士で体格に勝る構図の大将戦はまずまず得点を織り込んでおいて良いはずだ。中堅戦は63kg級の鍋倉がエンジンを上げ過ぎると大型選手斉藤の返し技に捕まるという危惧があるが、少なくとも手数を積まねば勝利は覚束ない。得意技が大型選手に返されやすい「片足技」の内股である鍋倉が手数と攻撃のバランスをどう取って攻めるか、ここが注目ポイント。

一方の東大阪大敬愛は、事後の計算どうあれ、そして相手がどうあれ先鋒の池が取らねば始まらない試合。粘りが身上の中江からポイントを挙げることは至難の技だが、たとえ「僅差」でもここでの勝利なくば試合を組み立てること自体が難しい。池で取り、失敗出来ない状況になった相手にプレッシャーが掛かる状況で後ろ2試合を戦いたいところ。

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池絵梨菜が左内股で
攻める

先鋒戦は大成・中江美裕が右、東大阪大敬愛・池絵梨菜が左組みのケンカ四つ。
開始するなり池は両襟を握って前進、左内股で2度中江を大きく浮かせて崩す。展開の悪さを感じた中江は得意の右大内刈に打って出るが池は透かし、崩れた中江の体の上に乗って「待て」。経過時間は57秒。

力関係の優位を感じた池、確実に取るべく一瞬釣り手を開く作りで侵入を試みるが勘の良い中江はその瞬間先に右内股。池はしっかり潰すが、チャンスは潰える。

得点には至らずも池のプレッシャーがジワジワ効くという構造のまま試合は進み、57秒中江に片襟の「指導」。直後打開を企図した中江は右大内刈から内股への連絡を狙うが、池は振り返して動ぜず。

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中江美裕の右内股を池が股中で透かし「技有」

以後も池が片襟の右背負投、左背負投で主導権を握り続ける。
1分50秒、一瞬双方が直立する準備の間を経て中江が右内股。しかし準備万端の池は中江が反転する瞬間一歩進んで股中で回し捲り内股透「技有」。池は背を畳についた中江を逃がさずそのまま横四方固に抑え込み、2分8秒主審は「技有」、次いて「合わせて一本」を宣告。池が値千金の1点、それも「一本」という決定的な内容の1点を獲得し、東大阪大敬愛が先制。

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鍋倉那美が度々右内股で斉藤芽生を攻める

中堅戦は大成・鍋倉那美が右、東大阪大敬愛の斉藤芽生が左組みのケンカ四つ。
斉藤開始早々に引き手を得て左内股。同時に「よいしょ!」という独特の掛け声で攻めをアピールしやる気十分。
引き手争いの中、相手の進攻を止める斉藤の左出足払に手を焼いていた鍋倉が40秒に引き手で袖を確保。一方的に自分だけが袖を握る組み手を作ると右背負投に飛び込み、続くシークエンスでも思い切った右内股に飛び込む。斉藤慌てず一旦回避、まず引き手を切り、次いで襟を切り離し、そしてチョンと引っ掛ける巧みな左小外刈を入れてすかさず組み手をやり直す。鍋倉右内股、戻るといったん離れて上下に相手を煽って右内股、次いで右背負投と技を繋ぐ。さらに出足払、右内股と技が加速し始めたこのタイミングで斉藤に「指導」が宣告される。経過時間は1分47秒、残り時間は2分3秒。

鍋倉は一気に相手に差をつけるチャンス。しかし斉藤は失点後のこの大事なシークエンスを出足払、送足払と立て続けに足技を放ってしっかり展開を留保。2分30秒過ぎには明らかに疲れた様子で陥落も時間の問題かと思われたが、ここで斉藤は肩越しに釣り手を入れることに成功。左大外刈、支釣込足と立て続けに入れると2分45秒、鍋倉に「極端な防御姿勢」での「指導」が宣告される。

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残り数秒、鍋倉が右体落を放ったところでタイムアップ

差がなくなってしまった鍋倉が勝利を得るには一発投げるか、あと2つの「指導」を得るしかない。鍋倉出足払の撃ち合いの中から下がって隙間を作り回し込みの右内股を放つが、斉藤動ぜず。

斉藤は左内股、さらに出足払に送足払とタイミングの良い足技を連発。動きの起こりに鋭い足技を合され続ける鍋倉はなかなか攻め込めず。30秒過ぎに斉藤が自身の左内股の戻りから送足払を2連発したあたりで主導権はどうやら斉藤に移る。鍋倉は右体落に潰れ、最後は釣り手の肘を上げた右体落を放ったところで試合終了。この試合は引き分けに終わった。

斉藤は殊勲の引き分け。今季は掛け潰れずに立って攻撃を続けること、そしてこの送足払の獲得で一段戦闘力が上がって大活躍であったが、その成長を存分に見せつけた集大成の4分間であった。

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米澤夏帆は中江美裕の技を潰しては寝技で攻める粘りの試合を展開

1-0、「一本」1つで東大阪大敬愛がリードという状況で迎える大将戦は大成・鈴木伊織
と東大阪大敬愛・米澤夏帆ともに右組みの相四つ。大成としては鈴木が「一本」を取って代表決定戦に勝負を持ち込むしか勝ちの可能性がない状況、そして東大阪大敬愛としては引き分けはもちろん「一本」以外であれば負けても優勝が決まるという大一番。

始まるなり引き手の取り合いが一合、次いで鈴木が得意の「右大内刈を仕掛けながら右前隅に捻る」技に打って出るが、心得た米澤は相手の横に降りて横三角、相手のガードが堅いと見るや「国士舘返し」と寝技で時間を消費し、35秒に「待て」。

この攻防にこの試合の様相は端的。投げ合うよりも相手に潰れさせて寝技を仕掛けて山場を先送りしようとする米澤の意図が嵌り続け、試合は動的膠着。

続く展開、鈴木が片襟の右背負投、潰れたところを米澤が国士舘返し、腕挫十字固と狙って「待て」。経過時間は1分0秒。

鈴木が右体落に座り込むと米澤は鈴木とタイミングを合わせて一歩右にズレて潰し、「国士舘返し」、鈴木は畳に降り続けて粘り「待て」。経過時間は1分45秒。

鈴木が座り込みの右背負投、しかしこれも心得た米澤は外側に降りて回避、「国士舘返し」で攻め続け「待て」。ここで主審は米澤に「指導」を宣告する。経過時間は2分17秒。

鈴木両袖を掴んで右袖釣込腰、相手の防御は承知の上で左に抜け落とすことを図るが、米澤は背中を合わせるようにして受けると自ら畳に降りて「国士舘返し」。次いで鈴木が両襟の右背負投に座り込んだところで米澤に2つ目の「指導」が宣告される。経過時間は3分8秒、残り時間は52秒。

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残り1分を過ぎ、2つの「指導」を失った米澤が右背負投に打って出る

ここまで「仕掛けさせて寝技で時間を使う」ことに終始した米澤、残り1分となったこの時点で戦法を変えてゆらりと前へ。自ら片襟の右背負投に打って出る。思い切りの良いこの技をなんとか残した鈴木は攻め合いに応じ、左組みの構えから右袖釣込腰を放とうとするが米澤はこれをさせず。

残り30秒を切ったところで鈴木が右一本背負投。潰した米澤はしめたとばかりに国士舘返、腕挫十字固で十分に時間を使い、鈴木が抜け出して「待て」を貰ったところで、残り時間は僅か11秒。

米澤、右一本背負投を仕掛けて鈴木に攻撃の暇を与えず、やがて終了ブザーが鳴り響く。

この試合は鈴木が勝利したがその内容は「指導」2つによる僅差の優勢。結果、先鋒戦で「一本」を得ている東大阪大敬愛は1-1の内容差で勝利決定。初のインターハイ制覇を成し遂げることとなった。

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優勝決定、喜ぶベンチの2人と平田勝美監督

【決勝】

東大阪大敬愛高 ①-1 大成高
(先)池絵梨菜○合技(2:08)△中江美裕
(中)斉藤芽生×引分×鍋倉那美
(大)米澤夏帆△優勢[僅差]○鈴木伊織

高校選手権を制した春から一段柔道の骨が太くなった池、鋭い足技と強い足腰の獲得により持ち前の安定感がさらに上がった斉藤と勝利の要因は数あれど、この決勝は米澤の頑張りがなにより目立った。

体を捨てながら技を掛けることが得意な鈴木に対し寝技勝負と割り切った前半戦、そして「指導2」失陥で残り1分なら上出来とモードを変えて攻めに出てクロージングを図った終盤戦という構成、そしてそれを強者鈴木相手にやり抜いた根性は見事。

前半、鈴木は自身の技がことごとく「あと一歩で掛かりそうな」惜しいタイミングの技であったためにかえって米澤のペースに嵌り、「今度こそ投げる」と潰れてはその術中に嵌っていった。米澤にとっては運の良い面もあったがこれも自身が発する「面倒くささ」があればこそ。

戦後、平田勝美監督は「昨日の1回戦を見た時にこの景色は見えていました。今まで見た中で一番良い試合が出来て、優勝を確信しました」と目に涙を浮かべながらもきっぱりコメント。その言葉通り、決勝では指示の言葉は少なく、短く。選手を送り出すにあたっても、試合中でも、試合を終えた選手を迎えるときも、アイコンタクトと短い言葉で意志を通じさせる様には選手への信頼が透けて見えた。

あれから3年。ケガに苦しみ、適正体重に悩み、組み合わせに泣かされ、苦しんだ結果、米澤と池が取りまくった香長中時代と3人それぞれの役割は変わったが、強さの到達点は確実に上がった。3年目、3人の成長と試合の流れが見事噛み合っての優勝劇であった。

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優勝の東大阪大敬愛高

【入賞校】

優 勝:東大阪大敬愛高(大阪)
準優勝:大成高(愛知)
第三位:淑徳高(東京)、敬愛高(福岡)
敢闘賞:広陵高(広島)、木更津総合高(千葉)、八千代高(千葉)、創志学園高(岡山)


平田勝美監督のコメント
「昨日の一回戦が終わったところで、この景色は私には見えていました。今まで見た中で一番良い試合、それぞれが鳥肌が立つような試合をしてくれて、その時優勝を確信しました。ケガに苦しんだことも多かったんですが、今の3年生が人数も多く、良くまとまっていました。中学時代に活躍した池と米澤は意識の高さを感染させてくれたし、まわりにそれを受け止める力もあった。団結力で勝ったと思っています。米澤は52kg級から57kg級、そして63kg級と自分の体をコントロールすることに苦しみましたが、苦労する中で視野も広くなって回りが見えるようになった。試合を締めるのは米澤しかいないと思っていました。すべての人に感謝です。」

池絵梨菜選手のコメント
「うれしいです。先鋒でしっかり流れを作ろうと必死でしたが、一戦一戦楽しくやれたと思います。1年生の時から優勝が目標でしたが入ってすぐに肩をケガしてしまって。うまくいかないときも支えてくれたチームのみんなの期待に応えられるようにと頑張りました。平田先生からは『自分のことだけにならないように、回りを見て』『チームの気持ちが一つになるように』といつも言われていて、今日はそれが出来た気がします。とにかく、最後の団体戦で勝てて、本当にうれしいです」

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