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インターハイ柔道競技女子団体戦マッチレポート④準決勝

(2014年9月10日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月10日掲載記事より転載・編集しています。
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④準決勝
インターハイ柔道競技女子団体戦マッチレポート
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準決勝に臨む淑徳高。先鋒浜未悠の出来が勝敗の鍵を握る

大成高 - 淑徳高
(先)中江美裕 - 浜未悠
(中)鍋倉那美 - 井上智賀
(大)鈴木伊織 - 井上舞子

大成は中堅を重量級の粂田晴乃から63kg級高校選手権王者の鍋倉那美にチェンジ。最終盤に至って明らかに「攻撃」にチームの舵を切る。

戦闘力の高い選手を3人並べることとなった大成に対し、淑徳は先鋒が78kg級講道館杯2位の浜、大将が78kg超級で東京代表を務め今大会好調の井上舞子というパーソナリティが違う強者2人のセパレート布陣。

先鋒戦でマッチアップする中江と浜はともに攻撃力もあり消耗戦の中でもギャップを作り出して一点取って来れるという、一言で言って仕事の出来るタイプ。接戦では相手の右への「担ぎ大内刈」一辺倒の単調な攻めに陥りがちな中江よりも、階級が上で飛び道具的な一撃もある浜のほうが得点の可能性は高いのではないかと思われるが、事前評として得点を織り込むことは難しい。不確定要素の多すぎるカードだが引き分けと考えておくのが妥当。

大将戦は体格に勝る井上舞子優位としたいところだが、鈴木伊織は典型的重量ファイターを凌ぐ、潰すということに掛けては今代随一。状況の積み上げはしっかり行うが爆発力に欠けるタイプの井上がここで一点取ることは難しい。とはいえ、井上は先手攻撃で凌ぐ鈴木タイプに対してミスを冒すようなタイプでもなく、体格差を考えてもここは引き分けとしておくのが穏当。

となるともっとも勝負が揺れるのは中堅戦。
大成としてはこの中堅戦で鍋倉が一点取り、先鋒戦と大将戦をセーフティに乗り切るのが勝利への最短シナリオ。一方の淑徳としては、井上が鈴木を追いかけることになった場合の展開の厳しさを考えても、先鋒戦での勝利が必須。浜で取り、中堅戦を分けて、大将戦は「状況を作る」ことに長けた井上舞子に組み勝たせたまま試合を終えるというのが理想のシナリオになるはずだ。

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中江の背負投が「有効」

先鋒戦は中江が右、浜は左組みのケンカ四つ。鍔迫り合いの中で序盤中江に「指導」1つが入り、2分を過ぎたところから試合が加速。中江は得意の右大内刈を度々見せ、浜は左大内刈からの左大外刈で中江を大きく崩す。

3分17秒、中江が右背負投。半ば潰れたところから走って乗り込む中江らしい一撃に浜場外際で転がり「有効」。残り1分を切ったところで決定的なポイント。

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浜が残り23秒で左内股「有効」を獲得、ポイントで並ぶ

しかしここで試合を壊すわけには行かない浜、残り23秒で左内股に中江を捉え「有効」を取り返す。

試合は双方1つの「有効」を取り合って引き分け。大成にとっては飲み込めるシナリオ、なんとしてもここで取りたかった淑徳にとっては痛い結果で、先鋒戦は終了。

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鍋倉(右)は背中に釣り手を回しての右内股で攻め、的確に山場を作る

中堅戦は大成の鍋倉那美が右、淑徳・井上智賀が左組みのケンカ四つ。

鍋倉上から釣り手を確保して右内股、時折引き手から持つパターンの変化を見せながらさらに横から背中を深く抱いて右内股で攻め続ける。たまらず下がった井上に対し39秒「場外」の判断で「指導1」。
井上、ベンチの「行かないからまっすぐ立て!」の声に奮起し鍋倉との脇に差し合いに応じ左内股、左大内刈と良いタイミングで打ち返して体勢を立て直すが、2分過ぎから鍋倉が再び攻勢。右内股、右大腰、右内股と3度井上を伏せさせ、1分19秒井上に対しついに2つ目の「指導」が宣告される。

あと1つの「指導」を取り返せば引き分けに持ち込める井上はここから猛追。しかし鍋倉は井上が思い切り放った左内股を股中で透かしてあわやポイントという場面を作り、残り16秒で井上が放った左大内刈も耐え切ってタイムアップ。この試合は「指導」2つによる僅差の優勢で鍋倉が勝利するに至った。

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鈴木(左)は時に逆組を強いられながらも攻め合いから降りず、引き分けを獲得

大将戦は大成・鈴木伊織が右袖釣込腰、右大内刈と連続で仕掛けて淑徳・井上舞子に形を作らせず、時に逆組みを強いられながらも技を止めずに中盤戦までを戦いきる。終盤井上が左内股を軸に攻勢に出て3分24秒鈴木に「指導」が宣告。スタミナ切れの気配漂う鈴木の前にもはや試合を決める2つ目の「指導」宣告は時間の問題かと思われたが、陥落寸前の鈴木はここでギアを入れ直し右大内刈、右袖釣込腰に入り込む。あくまで攻撃を以て残りの時間を凌ぎ切り、引き分けでこの試合を終えることとなった。

大成高 1-0 淑徳高
(先)中江美裕×引分×浜未悠
(中)鍋倉那美○優勢[僅差]△井上智賀
(大)鈴木伊織×引分×井上舞子

熱戦は1-0で大成の勝利に終着。全戦通じて互いが良く攻め合う好試合であった。
先鋒戦で中江が先行した「有効」が盤面全体に効いた。単発に陥ることなく山場をしっかり作った鍋倉、最終盤に攻める選択で巨躯の井上を止め切った鈴木の強気と大成は全員がしっかり仕事を果たして決勝進出決定。好チーム淑徳は惜しくもベスト4で終戦となった。

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準決勝に臨む敬愛高

敬愛高 - 東大阪大敬愛高
(先)児玉ひかる - 池絵梨菜
(中)山口凌歌 - 斉藤芽生
(大)梅津志悠 - 米澤夏帆

盤面を読むのが非常に難しい試合。

中堅戦はエース山口を送り込む敬愛がどうしても1点欲しいポジションだが、今季の斉藤の安定感と大きい選手を捌きかねる場面が多い山口という相性を鑑みて引き分けと読むのが妥当。山口が「どうしても1点」の覚悟を以て攻め続ければ「指導」2つ以上の奪取の可能性は十分あるが、メンタルのタフな斉藤がこの力関係での攻め合いに根負けするとは考え難く、そして後ろに勝利濃厚の梅津が控えてかつ自分の相手は攻め合いから降りない大型パワーファイターという状況と山口の性格を考えると、ここで山口が試合を壊すほどの攻めを繰り広げると考えるのは少々ムリがある。

大将戦は体格差を考えると「上から目線」で戦える関係にあって技一撃の破壊力もある梅津が優位と思われる。担ぎ技のある米澤は武器の相性自体は悪くないが、梅津の高い地力の前にそもそもこれを発揮できる場面自体を作れるかどうかとなると、非常に難しいはず。

と比較的様相が読みやすい後ろ2戦に比して難しいのがその前段。金鷲旗以来大型の体格に似合わぬ素早い連続攻撃と圧倒的なパワーで相手を捻じ伏せて来た1年生児玉ひかると、70kg級高校選手権王者池絵梨奈がマッチアップする先鋒戦だ。双方好調、普通に考えれば大型選手相手に我慢が効いて担ぎ技もある池がやや優位だが、それとて表現としては「我慢が利く」レベルで、絶対の優位とは言い難い。児玉は今季の試合出場自体がまだ少なく中量級のトップファイターとどこまでの試合が出来るかどうかは未知数。様相読み難い試合だが、ハッキリしているのは後ろが優位である以上児玉としては引き分けを織り込んで戦うことが可能で、一方の池としてはなんとしても取らねばならないというその「仕事」の内容。


つまり盤面は大枠敬愛が優位。先鋒戦を我慢して、力関係的に優位の後ろ2戦で確実に点を重ねるというシナリオは十分計算が立つもの。ただし爆発力のある池と代表戦で戦うことは避けたいはずで、出来れば個々のポイントは小さくても後ろ2枚で2点、中堅戦が引き分けた場合でも梅津がどこまで大きなスコアで勝ってこれるかが勝利のカギになる。

一方の東大阪大敬愛としては池の勝利が必須であり、同時にもしここで引き分けてしまうとそのまま試合が終わってしまいかねない最大の勝負ポイント。池が挙げた点をテコに、残り2試合の星勘定はもちろん、出る、下がる、守る、というような試合の局面局面を優位に運ぶ展開に持っていきたい。

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池絵梨奈が再三の左背負投で攻め込み2つの「指導」を奪取

先鋒戦は敬愛・児玉、東大阪大敬愛・池ともに左組みの相四つ。
池は左背負投に飛び込むが児玉は崩れず、腕力で正対まで振り戻してその強さは明らか。
児玉が左内股で攻め込むが池はこれを透かしてペースを掴むと、1分20秒過ぎから激しく相手を煽っての左小内刈、左大内刈と攻撃を積み上げ、次いで思い切り左背負投。これに児玉が半身に近い形で崩れ落ちた直後の2分1秒、児玉に「指導1」。池はさらに左小内刈、右袖釣込腰と技を積み上げ、2分12秒には児玉に場外の「指導」が宣告される。

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斉藤芽生が山口凌歌を攻める

池はまだ足りぬ、とばかりに左背負投、左内股と取り味のある技を連発して投げに掛かるがここは児玉が耐えきってタイムアップ。この試合は池の僅差(指導2)による優勢勝ちとなった。

中堅戦は序盤から東大阪大敬愛の斉藤が左内股を中心に攻め込み、攻めること自体による動的膠着を図る。1分30秒を過ぎたあたりから山口が攻勢に出、右大内刈に右袖釣込腰とアグレッシブに攻めるが、この試合は結局引き分け。1-0、「僅差」による得点1つで東大阪大敬愛がリードという状況で勝負の襷は大将戦に繋がれる。

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米澤夏帆が右背負投、いったん止まってから押し込み直し「有効」

大将戦は敬愛・梅津志悠、東大阪大敬愛・米澤夏帆ともに右組みの相四つ。
開始するなり米澤がスルリと右背負投に入り込む。梅津時間差なく掛けとほとんど同時にドスンと右肩から畳に落ちる。不意を突かれた梅津、そして仕掛けた米澤までもがこの体勢のまま思わず一瞬動きを止めてしまうほとの絶妙なタイミング、そして決定的な位置関係。梅津は耐え、米澤は釣り手を梅津の脇に突っ込んで走り直して転がし切り「有効」、22秒。

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米澤が左一本背負投、

もはや攻めるしかない梅津は片襟を握った高速の右大外刈、釣り手で背中を引き寄せての右大内刈と激しく攻めて1分13秒米澤に「指導1」。以降梅津はペース落とさず攻め続けるが、米澤は左一本背負投で対抗、梅津の大内刈を右背負投に変換して落ちるなど苦戦の中でも梅津に山場を作らせない。それでも攻め続ける梅津、その右大内刈を米澤がなんとか膝をついて耐えきった直後の1分4秒、米澤に2つ目の「指導」。梅津、そして敬愛が逆転勝ちを収めるまであと「指導」2つ、東大阪大敬愛が逃げ切るために許される「指導」失陥はあと1つ。

梅津再開直後飛びついて右大外刈。横について耐えた米澤はクレバーに寝技を選択、腕挫十字固を狙って時間を消費して「待て」、残り時間は43秒。

梅津ここから一方的に攻め、残り27秒で米澤に3つ目の「指導」。敬愛勝利に必要な反則ポイントはあと「1」、東大阪大敬愛勝利に許される失点は「0」。
ここで米澤は左背負投、応じた梅津は右大外刈に打って出るが潰れ、米澤は食いついて寝技を選択。あくまで立たせず攻防を続け「待て」が掛かった時には残り時間は僅か2秒。

もはや梅津に出来ることは残っておらず、そのまま試合は終了。米澤殊勲の優勢勝ちで、準決勝第2試合は東大阪大敬愛の勝利に終わった。

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悔しがる梅津を思いやる児玉と山口。敬愛はまたしてもインターハイ制覇ならず

東大阪大敬愛高 2-0 敬愛高
(先)池絵梨菜○優勢[僅差]△児玉ひかる
(中)斉藤芽生×引分×山口凌歌
(大)米澤夏帆○優勢[有効]△梅津志悠

この試合も第1試合に劣らぬ好試合であった。池の1点は盤面全体に効いたが、これは双方呑みこめる範囲。不利な試合の様相固まる前にもっとも強い一撃を呉れた米澤の勝負師ぶりが光る一戦であった。

2回戦で全国大会3連覇中の埼玉栄を倒してトーナメントの主役であった敬愛はここで脱落。児玉、梅津にスコア上の負けこそついたが意地溢れる戦いぶりは見事であった。取られた梅津のミスに敗因を求めるよりは東大阪大敬愛の執念のほうを称えるべき、見応えのある試合だった。

結果決まった平成26年度インターハイ柔道競技女子団体決勝のカードは、

大成高 - 東大阪大敬愛高

となった。

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