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【eJudo’s EYE】田代未来復活、キャリアに「噛み合った」選考の英断が覚醒促す・チェリャビンスク世界柔道選手権63kg級「評」

(2014年9月3日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月3日掲載記事より転載・編集しています。
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【eJudo’s EYE】田代未来復活、キャリアに「噛み合った」選考の英断が覚醒促す
チェリャビンスク世界柔道選手権63kg級「評」
田代未来が見事銅メダル獲得。逆転負けを喫した準決勝の前年度世界王者ヤーデン・ゲルビ戦以外の5試合を全て一本勝ち、3回戦では歴代の日本代表とメダル争いを繰り広げてきたアニカ・ファンエムデン(オランダ)にも大内刈「一本」で勝利とその結果はまさしく秀逸であった。

一般のスポーツファンにとっては世界の大舞台に立った田代の活躍は「デビュー」という文脈で捉えられるものだろうが、柔道ファンにとっては貼るべきラベルは「復活」であろう。結果以上に、覇気溢れるその柔道の内容自体が素晴らしかった。率直に言って、田代がこんなに元気の良い柔道を披露したのは3年ぶりのことである。

国内の取るべきタイトルを全て取り、中学3年で世界カデに優勝、高校1年時にはユース五輪と世界ジュニアにも優勝して順風満帆だった田代は高校2年の夏に左膝十字靭帯断裂の大怪我を負い、長期の欠場を余儀なくされた。
リハビリを経て復帰した後の田代は、高校3年時の講道館杯で3位、グランドスラム東京出場(初戦敗退)、ヨーロッパ・オープンソフィアでシニア国際大会初優勝と順調にキャリアを積み重ねた。成績だけで言えば出来過ぎなくらいであったが、「負傷前」の輝きと爆発力を知るものからするとそのパフォーマンスは明らかに物足りないものであったはずだ。社会人となった2013年に積んだ講道館杯3位、グランドスラム2位という成績にあってもこの事情は同じであった。
このまま、量産される強豪選手の1人としてキャリアを積んで徐々にトップに辿り着くのか、それともあの明らかに他と異なる輝きを取り戻すのか。何らかのブレイクスルーがない限り現在の「成績は残すが突き抜けられない」動的膠着のループが濃厚と思われたこの時期、何かがなければ「ただの強い選手」に終わりかねない大事なこの時期に田代に訪れたのが、世界選手権代表抜擢という一大インシデントである。

選出後最初の大会となったグランプリ・ブダペストでは見事優勝。全勝という結果以上にそのモチベーションと使命感溢れるパフォーマンスは間違いなく「負傷前」の田代の輝きそのものであった。これならばあるいは、と思わせた世界選手権本番での活躍は前述の通りである。スタミナに難のあるファンエムデンを相手に敢えて足技で崩し続けてその自滅を待ち、事前情報と異なり意外にファンエムデンが頑張るとみるや無造作に攻めに出て大内刈一発で勝負を付けた3回戦などは鳥肌ものの出来であった。寝技でミスを犯した準決勝についての論評は山ほどあるが、ここは世界選手権初出場の田代が見せた好パフォーマンス、明らかに選手としての運命を変えた今大会の素晴らしい出来にフォーカスしておくべきだろう。

田代本人の努力は言うまでもないが、これは強化陣の英断の賜物である。最終選考会である選抜体重別での田代の成績は3位で、63kg級の他選手同様世界選手権代表の選出条件を全て満たしたとは言い難かった。7階級中もっとも選考が揉めたと伝えられるこの階級は、過去の実績なり最終選考会の成績なりという客観的に無難な選択が為されてもおかしくないはずであった。順当に選考が為された女子7階級の中で唯一の「無理筋」がこの63kg級であったわけだが、今大会の成績に進退が掛かっていた南條充寿監督が勝利と育成両方にフォーカスしたこの決断、今回は明らかな吉と出た。将来性や戦闘力、「上向きかどうか」という数値化できない部分を評価しての選考は前体制時に大いに物議を醸したものだが、「許される範囲」にこれがある場合の裁量について再び考えさせられる選考と結果であった。

とまれ、今回の田代ピックアップは強化側の勝ちたい事情と、田代の選手としてのキャリアのここしかないという時期にこれしかないという必要なものが噛み合った双方にとっての妙手であった。苦しい時期に「選ばれる資格のある位置」に踏みとどまった田代本人と関係者の努力、そして田代をピックアップした強化の英断に拍手を送りたい。


文責:古田英毅
Text by Hideki Furuta

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月3日掲載記事より転載・編集しています。
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