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勝負どころの日本戦は5番手選手ピノの活躍で勝ち抜け、強力布陣投下のフランスが見事優勝飾る・チェリャビンスク世界柔道選手権女子団体戦レポート

(2014年9月2日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版9月2日掲載記事より転載・編集しています。
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勝負どころの日本戦は5番手選手ピノの活躍で勝ち抜け、強力布陣投下のフランスが見事優勝飾る
チェリャビンスク世界柔道選手権女子団体戦レポート
■1回戦

日本 4-1 北朝鮮
[52kg級]橋本優貴○崩上四方固(2:20)△リム・ソムキム
[57kg級]志々目愛△崩上四方固(0:57)○リ・ヒョスン
[63kg級]田代未来○縦四方固(2:08)△キム・スギョン
[70kg級]田知本遥○不戦△
[70kg超級]田知本愛○大内刈(1:11)△ソル・キョン

序盤一進一退の攻防も得点ポイントで確実に勝利を挙げた日本が大勝発進。
橋本優貴はリム・ソムキムが放った片手の右大内刈の掛け潰れを逃がさず、崩上四方固「一本」。
松本薫の負傷リタイア、宇高菜絵の膝の不調を考慮したか急遽一階級上の57kg枠での起用となった志々目愛は開始から攻撃的だったが、続くシークエンスは相手の片襟の左背負投をきっかけに寝技に持ち込まれ崩上四方固で一本負け。これでスコアは1-1となったが接戦気運もここまで。63kg枠で田代未来が左大内刈「有効」からの縦四方固で一本勝ちを果たすと、70kg枠は不戦勝、70kg超枠は田知本愛が昨季の78kg級金メダリストのソル・キョンを左大内刈で一蹴。4-1の大差で勝利を決めた。

ポーランド 3-2 ブラジル
[52kg級]カロリナ・ピエンコウスカ○優勢[有効・内股返]△サラ・メネゼス
[57kg級]アレタ・ポドラック○優勢[指導2]△ラクエル・シウバ
[63kg級]アガタ・オズドバ△優勢[指導1]○ラファエラ・シウバ
[70kg級]クリズ・カタリナ○優勢[指導2]△マリア・ポーテラ
[70kg超級]ダリア・ポゴジャレッツ△反則[※足取りによる]○ロチュレ・ヌネス

ポーランドがブラジルに競り勝ち。というよりも48kg級五輪王者メネゼス、57kg級リオ世界選手権王者ラファエラ・シウバらを並べたブラジルの意外な敗戦。

52kg枠は相四つのメネゼスに対して先手攻撃で山場を先送りしていたピエンコウスカが、中盤メネゼスの内股を完全に見切って内股返「有効」を奪って優勢勝ち。ブラジル唯一の穴である57kg枠はアレタ・ピドラックが「指導2」でしっかり取りこの時点で既にスコアは2-0。63kg枠は本職よりも一階級上での出場ながらも昨季の世界王者ラファエラ・シウバが右大外刈、右内股で攻めて「指導2」でブラジル勝利。2-1、ポーランドリードで試合は後半戦へ。
後半2戦はこれまでの「名前」で考えればブラジル優位かと思われたが、70kg枠は個人戦銅メダル獲得で勢いに乗る28歳クリス・カタリナが右大外刈と組み際の右一本背負投の組み合わせで巧みに攻めてマリア・ポーテラを圧倒し、「指導2」の優勢で勝利。この時点でポーランドの勝利が決まった。ブラジルは不調のメネゼスを1階級上で起用する判断が凶と出て1回戦敗退決定。48kg級五輪王者で昨年の銅メダリスト・メネゼスは個人戦と団体戦を合わせて2戦2敗という意外過ぎる成績で今大会を終えることとなった。

フランス 3-2 チュニジア
[52kg級]アナベール・ウラニー○優勢[内股・有効]△ヘラ・アヤリ
[57kg級]オトーヌ・パヴィア○優勢[指導2]△ネスリア・ヤラシ
[63kg級]アンロール・ベラル○優勢[技有・大内刈]△メリエム・バヤウイ
[70kg級]ファニーエステル・ポスヴィト△優勢[技有・内股返]○ホウダ・ミレド
[70kg超級]エミリー・アンドル△反則[指導4](2:27)○ニヘル・シェイキロウホウ

全て個人戦出場者で固めたフランスが試合開始から3連勝、あっさり勝ち抜け決定。
しかし70kg枠のファニーエステル・ポスヴィトが「有効」を先行しながら内股を返され「技有」を失って失点、さらに前日78kg超級で銅メダルを獲得したばかりエミリー・アンドルが「アフリカの浮技女王」ニヘル・シェイキロウホウに奥襟を叩かれ続けて「指導4」で敗れるなど、次戦に向けて不安を残す、バタバタの立ち上がりとなった。


ほか、ロミー・タラングル、ミリアム・ローパー、マルチナ・トラジソス、イリアナ・マルツォク、ルイーズ・マルツァンの充実布陣を揃えたドイツは5-0でアルジェリアを一蹴。

キューバは52kg枠にヤネット・ベルモイアコスタ、70kg枠にオニキス・コルテスアルダマ、そして70kg超枠にイダリィス・オルティズを入れるという本気布陣で中国を圧倒、4-1で勝利。

韓国は当日にチームの出場を取り消し、さらに試合開始直前に再度エントリー申請という慌ただしい一日。試合開始ギリギリになってマットオーダー調整を強いられた主催者を振り回したが、畳に上がったのは3人のみ。スロベニアに2-3で屈し、1回戦敗退となった。

1回戦の結果は下記。

[1回戦結果]

ドイツ 5-0 アルジェリア
フランス 3-2 チュニジア
スロベニア 3-2 韓国
ポーランド 3-2 ブラジル
ロシア 4-1 メキシコ
キューバ 4-1 中国
モンゴル 4-1 カザフスタン

■準々決勝

日本 3-2 ドイツ
[52kg級]橋本優貴○GS技有・内股(GS0:13)△マリーン・ケリー
[57kg級]宇高菜絵△優勢[有効・巴投]△ミリアム・ローパー
[63kg級]田代未来○片手絞(3:35)△マルチナ・トラジドスTRAJDOS, Martina
[70kg級]ヌンイラ華蓮△優勢[技有・内股]○ラウラ・ファスカスコッホVARGAS KOCH, Laura
[70kg超級]山部佳苗○体落(3:13)△ヤスミン・クルブス

一進一退の激戦を日本が制した。

52kg枠の橋本優貴は強豪マリーン・ケリーとの息詰まる攻防をGS延長戦が始まるなりの両袖の右内股「技有」で制し、まず日本が1点先制。しかし57kg枠は個人戦王者の宇高菜絵がミリアム・ローパーを相手に圧倒的に攻め込みながら2分5秒に巴投で「有効」失陥。以後は負傷の右膝を押して右大外刈を仕掛け続けるが、僅かに及ばず「指導」3つを積み上げたところでタイムアップ。宇高敗戦でスコアは1-1のタイ。

しかし63kg枠の田代未来は開始早々強豪マルチナ・トラジドスを左大内刈に捉えて「技有」獲得。徐々に田代の技に目が慣れ始めたトラジドスに中盤抱き付きの左小外刈を食って「有効」を失うが、終盤相手が大外刈に掛け潰れるとあっと言う間に「腰絞」に捉えて一本勝ち。2-1で日本が勝ち越し。

70kg枠は個人戦で銀メダル獲得の快挙を成し遂げたヌンイラ華蓮がこの日初出場。しかしここはワールドランキング2位でワールドツアー上位常連でありながら個人戦では着外に終わったラウラ・ファルカスコッホが、その鬱憤を晴らすかのように開始早々ほとんど怒気を孕んだケンケンの左内股で「技有」を奪う。さらに中盤左小外刈で「有効」を追加するが、ヌンイラ必死で耐え、タイムアップまで畳から降りずに「優勢」でこの試合を終える。2-2、タイスコアで勝負の襷は最終戦へと引き継がれる。

70kg超枠は山部佳苗に超大型選手ヤスミン・クルブスがマッチアップ。前日の個人戦ではクルブスが「指導」1つで勝利しているカード。クルブスは体の大きさと圧力は抜群だが、接近されると受けが極めて脆いという選手。入り込む勇気を山部が出せるかどうかが唯一最大の勝負の焦点だが、山部が度々見せる右大内刈はやはりアウトサイドからの遠方射撃に留まる。しかし手数が買われ2分16秒クルブスの側に「指導1」。山部は明らかにこの「指導」を持ったまま順行運転で逃げ切りを図るが、終盤場外の「指導」を食らって試合はタイスコア。
ここでクルブスはケンカ四つの山部に対して釣り手を外から奥襟に叩き込み、引き寄せて山部を圧殺。強制的に技が利くところまで距離を詰められた山部は、決着つけねば畳から降りられぬルールとタイスコアという現状に背中を押される形で、右肩を相手の体の中で回して右体落。クルブス崩折れて「一本」、3分13秒。

山部殊勲の一本勝ち。日本が3-2で勝利して準決勝進出決定。

山部は結局、自分では行かずに状況に背中を押されての遅攻。装甲は厚いが足腰はケーキ並み、という体のクルブスを相手に最後まで自らその装甲の中に踏み込む勇気を示すことは出来ず、この勝利も個人戦の汚名を晴らしたというよりも前日の自分の不甲斐なさと逃した魚の大きさを再確認することとなった印象。一方メダルを獲得した田代はトラジドスを上から目線で寄せ付けず、ヌンイラも状況の悪さに関わらず畳に踏みとどまり続ける図太さを見せ、明らかに大会前より一段骨が太くなった感ありの一番であった。

フランス 4-1 スロベニア
[52kg級]プリシラ・ネト△優勢[指導1]○ペトラ・ナレクス
[57kg級]オトーヌ・パヴィア○大外巻込(2:18)△ヴォリラ・ベデッティ
[63kg級]クラリス・アグベニュー○優勢[指導1]△ティナ・トゥルステニャック
[70kg級]マルゴ・ピノ○横四方固(5:00)△アンカ・ポガニック
[70kg超級]オドレイ・チュメオ○優勢[指導2]△アナマリ・ヴェレンチェク

スロベニアの戦力が厚いのはペトラ・ナレクスが投入された52kg枠、次いでティナ・トゥルステニャックがいる63kg枠、そしてなんと言っても78kg級の強者アナマリ・ヴェレンチェクが配された78kg超級枠。堂々たる布陣であるが、フランスはこの3ポジション全てを初戦と入れ換えてキッチリ手当て。52kg枠にプリシラ・ネト、そして63kg枠には世界王者のクラリス・アグベニュー、そして70kg超級には超級銅メダリストのアンドルを下げてまで、ヴェレンチェクの同階級かつ格上のライバルであるオドレイ・チュメオを配するという万全の布陣。
スロベニアはナレクスが取ったが、フランスは予定通りにパヴィアが一本勝ちしてタイスコア。63kg枠のアグベニューは序盤にもぎとった「指導」1つを持ったまま粘るトゥルステニャックを退け、スコアは2-1。ここで双方戦力が一段落ちる70kg枠の試合を迎える。
この試合はフランスのマルゴ・ピノがケンカ四つのアンナ・ポガニックを相手に大善戦、残り30秒を過ぎたところで相手の左背負投を潰して寝技攻撃開始、縦四方固に抑え込む。これはすぐに「解けた」となり残り時間は5秒、しかし諦めないピノは主審に「待て」を宣告する間を与えずすぐに抑え直して殊勲の横四方固「一本」。

4枚が強力なチームの残り1枚は、チームの強さを守らんとのプライドで意外な強さを発揮する。団体戦の法則は洋の東西を問わず。
5番手選手ピノの得点で3点獲得のフランスはこれで勝利決定、最終戦は失意のヴェレンチェクをチュメオが「指導2」で下し、4-1の大差を以て準決勝進出を決めた。

前戦でブラジルを食ったポーランドは勢い止まらず、開催国ロシア打倒にも成功。ロシアは52kg枠のナタリア・コンドラチェワがカロリナ・ピエンコウスカに横四方固「一本」で勝利したが、得点ポジションのはずの57kg枠でイリナ・ザブルディナがアレタ・ポドラックを押しに押しながら一本背負投「有効」を失い意外な敗戦を喫し、ここから試合は大混戦。63kg枠はポーランドのアガタ・オズドバがエカテリーナ・バルコワを右内股「一本」で破る殊勲を挙げ、70kg枠はロシアのイリナ・ガジエワが個人戦銅メダリストのカタリナ・クリスの右大外刈を抱分「一本」で破る意地を見せてお返し。試合は2-2のまま最終戦へ。ここで畳に上がったポーランドのダリア・ポゴジャレッツがロシアのマリア・シェケロワを相手にGS延長戦9分という大消耗戦を戦い切り、「指導2」で勝利。3-2でポーランドの準決勝進出が決まった。

準々決勝最後の一番はキューバがモンゴルに勝利してベスト4入り決定。最後衛に78kg超級金メダリストのイダリス・オルティスを置くキューバに対してモンゴルは前4人で3点を獲得して試合を決めるしかないというハンデ戦を強いられたが、強豪対決となった52kg枠でムンクバータル・ブンドマーがヤネット・ベルモイアコスタから試合終了直前に横落「技有」で勝利する殊勲で盤面の流れをいきなり掴む。57kg枠は2013年ワールドマスターズ王者のドルジスレン・スミヤが順当に合技「一本」で取って2-0。これで試合の行方ほぼ確定と思われたが。キューバは国際的には無名のマイリン・デルトロカヴァヤルが強豪バルドルジ・ムングチメグから右内股で「有効」を奪って勝利し抵抗。
2-1、モンゴルリードで迎えた70kg枠の対戦はキューバが個人戦で銅メダルを獲得した泥試合ファイター・オニキス・コルテスアルダマ、モンゴルが実力者ツェンドアユシュ・ナランジャルガル。この一番はコルテスアルダマが右内股で掛け潰れたところをツェンドアユシュ・ナランジャルガルが引き込んで腕挫十字固「一本」で勝利。
最終戦はオルティスがバトトルガ・ムンクツヤを袖釣込腰と谷落の合技「一本」で一蹴したが時すでに遅し。「前4人で3点」というミッションを見事達成したモンゴルが準決勝へと進むこととなった。

[準々決勝結果]

日本 3-2 ドイツ
フランス 4-1 スロベニア
ポーランド 3-2 ロシア
モンゴル 3-2 キューバ

■敗者復活戦

ドイツはスロベニアを相手に52kg枠のマリーン・ケリーがペトラ・ナレクスを相手に大外刈「技有」、ミリアム・ローパーがヴィオラ・ベディティにGS上四方固「一本」でともに敗れるという最悪の立ち上がり。しかし勝負ポジションの63kg級でマルチナ・トラジドスがティナ・トレステニャクとの強豪対決を「指導1」で制して息を吹き返すと、ラウラ・ファルコスコッホが合技で順当に一本勝して2-2にスコアを戻し、最後はルイーズ・マルツァンがアナマリ・ヴェレンチェクとのこれも強豪対決を右大内刈「技有」で下す殊勲。3-2で勝利して3位決定戦進出決定。

ロシアはキューバを相手に勝負どころと目された52kg級枠でナタリア・クズティナがヤネト・ベルモイアコスタに「指導2」対「指導1」で勝利するとそのまま4連勝。78kg超枠には選手を入れずにイダリィス・オルティズへの不戦敗を飲み、4-1の圧勝で3位決定戦への勝ち上がりを決めた。

[敗者復活戦結果]

ドイツ 3-2 スロベニア
ロシア 4-1 キューバ

■準決勝

日本 - フランス
[52kg級]橋本優貴 - アナベール・ウラニー
[57kg級]宇高菜絵 - オトーヌ・パヴィア
[63kg級]田代未来 - クラリス・アグベニュー
[70kg級]田知本遥 - マルゴ・ピノ
[70kg超級]山部佳苗 - エミリー・アンドル

57kg枠は個人戦準決勝の再現。この時は宇高が勝利しているが、右膝に負傷を抱えた宇高のコンディション、この日のパフォーマンス、そしてリード後「指導」連続奪取で追いすがられた個人戦後半の様相を考えると得点を期待するのは難しい。本来の力関係はともかく、負傷を抱えて疲労困憊、さらに交代すべき松本は肘をケガしてリタイア、代替起用された志々目が初戦で敗れているというネガティブバックグランドの二段重ねでスクランブル出場となった宇高に対して、リベンジに燃える最大のライバルに「もう一回勝ってこい」というのは酷すぎる話だろう。

63kg枠も厳しい。圧倒的な内容で金メダルを獲得したアグベニューが相手ではいかに田代が好調でも事前予測として得点を織り込むのは楽観的に過ぎる。ここでは失点を前提条件として試合を組み立てるべき。
日本の得点ポイントは52kg枠、そして70kg枠。特に70kg枠は絶対に取りたいところ。この日活躍して乗っているとはいえこの枠に起用されたマルゴ・ピノのワールドランキングは32位。団体戦に向けて力を貯めて来たはずの田知本遥であれば十分勝利が可能のはずだ。

となると星勘定はここまでで2-2のタイ。おそらく高い確率で出来上がるこの状況で勝負を掛けるべきは山部佳苗とエミリー・アンドルが対峙する70kg超枠。山部は個人戦でアンドルに敗れてはいるが今年2月の直接対決では「指導3」の圧勝を演じてもおり、メンタルに弱点を抱える山部が個人戦敗退の開き直りを以てこの試合で好パフォーマンスを発揮する可能性は十分だ。

日本優位と思われた52kg枠はしかし、ウラニーが左内股巻込で「有効」を奪う衝撃的な立ち上がり。橋本は「指導」1つを失って苦しいところだったが、最終盤に得意の寝技に持ち込んで横四方固。一旦6秒で「解けた」が宣告されるが、解けたことをきっかけにむしろ体勢の優位を一段上げて抑え込み直し「一本」、3分38秒。思惑通りに日本が1点先制。

57kg枠はパヴィアが宇高に勝利。リベンジに燃えるパヴィアはアグレッシブに前に出て奥襟を叩き続け、宇高の釣り手を落としながら、むしろ大外刈に誘うかのような構えで試合を進める。「指導2」まで受けた宇高は2分46秒に右大外刈に打って出るが、待ち構えたパヴィアはその刈り足の膝を支点に半回転、ほとんど後ろ回り捌きに巻き込んで大外返に打って出る。個人戦でも再三狙っては失敗していた形だが、今回は宇高が耐えきれず。パヴィアはとうとう捕まえたとばかりに笑みを見せながら体を捨てて「一本」。これでスコアは1-1。宇高は負傷箇所である右膝を支点に投げられ、再度ここを痛めたかしばし動けず。

63kg枠は王者アグベニューが左相四つの田代から1分2秒左大外巻込で「技有」獲得。しかし田代は飛びかかり、釣り手で相手の左肩を叩き押しながらの左大外刈「有効」を取り返して会場を沸かす。田代敗戦はしたものの試合の流れは壊さず、むしろ反抗気運を盛り上げてタイムアップの声を聞く。アグベニュー勝利でスコアは1-2、しかしここまではほぼシナリオ通り、勝負の行方はまだまだわからない。

ところが70kg枠で田知本遥があっさり敗戦。ピノを相手に幾度も担ぎ技の侵入を許して間合いを測られると、「指導1」失陥後の1分23秒の組み際に左一本背負投を思い切り食って一本負け。日本は取るべきポジションをあっさり落とし、最終戦に勝負を持ち込むことなくこの時点で敗退決定。最終戦は山部佳苗がエミリー・アンドルに「指導2」で個人戦の借りを返したが時既に遅く、3-2でフランスの準決勝進出決定。日本の2大会連続優勝の夢は潰えた。

日本 2-3 フランス
[52kg級]橋本優貴○横四方固(3:38)△アナベール・ウラニー
[57kg級]宇高菜絵△大外返(2:46)○オトーヌ・パヴィア
[63kg級]田代未来△優勢[技有・大外巻込]○クラリス・アグベニュー
[70kg級]田知本遥△一本背負投(1:23)○マルゴ・ピノ
[70kg超級]山部佳苗○優勢[指導2]△エミリー・アンドル

五人制の試合で、ここまで一人に敗因が帰せられ易い展開も珍しい。その意味ではこの晴れの場で「やらかした」田知本がむしろ気の毒になってしまう、本人にとってもチームにとっても過酷な一番であった。

相手がローランキング選手であることと自身が3度世界大会を経験しているという顔合わせ的な事情、負傷者を抱える苦しいチーム事情とその中で世界王者相手に田代が一発食らわせて醸成した抵抗気運というバックグラウンド。そして、担ぎ技を幾度も仕掛けるという「攻撃者が投げるポイントを徐々に掴んで最後は投げ切る」かそれとも「受ける側が相手の技に慣れて受け切る、あるいはそれを利用して返す」か、という勝負者としての対話に完全に敗れた畳の中の事情。残念ながら「不甲斐ない」と評して終わるしかない、救いのない一番であった。

フランスは5番手ピノの大活躍で、決勝進出決定。

モンゴル 3-2 ポーランド
[52kg級]ムンクバータル・ブンドマー○小外刈△カロリナ・ピエンコウスカ
[57kg級]ドルジスレン・スミヤ○優勢[有効・左背負投]△アレタ・ポドラック
[63kg級]バルドルジ・ムングンチメグ○大外刈△アガタ・オズドバ
[70kg級]ツェンドアユシュ・ナランジャルガル△合技[払巻込・横四方固]○カタリナ・クリス
[70kg超級]バトトルガ・ムンクフツヤ△腕挫十字固(2:24)○カタリナ・フルマネック

ポーランドの快進撃もついにここまで、モンゴルが強力布陣の前3枚で勝ち抜け決定。
モンゴルはムンクバータル・ブンドマーとドルジスレン・スミヤのエース格2枚が2連勝。63kg枠もあっさり取り、ポーランドのエース格と規定されるカタリナ・クリスの登場を待たずして試合を決めた。

■3位決定戦

日本 3-2 ロシア
[52kg級]橋本優貴△優勢[指導1]○ナタリア・クズティナ
[57kg級]志々目愛△小外(1:00)掛○イリナ・ザブルディナ
[63kg級]田代未来○大内刈(2:15)△マルタ・ラバジナ
[70kg級]ヌンイラ華蓮○優勢[有効・大内刈]△アレナ・プロコペンコ
[70kg超級]山部佳苗○合技[大外刈・大内刈]△イリナ・ガジエワ

日本が逆転勝利で地元ロシアに快勝。

52kg枠では橋本優貴が個人戦のリベンジに失敗、57kg枠では志々目愛がイリナ・ザブルディナの引き手で脇を差す抱き付き右小外掛に嵌って一本負け。2連敗という苦しい立ち上がりだったが、勝負どころと目された63kg枠の田代未来が強豪マルタ・ラバジナを問題にせず2分15秒左大内刈「一本」で勝利。
残り2ポジションは日本が明らかに格上。ヌンイラ華蓮がアレナ・プロコペンコを相手に腰を差し合い、右大内刈から繋いだ右払腰で「有効」を奪って優勢勝ち。最終戦は山部佳苗が70kg級が本職のイリナ・ガジエワを合技「一本」で降して3位を確保した。

二大会連続の金メダル獲得はならなかったが、個人戦メダル獲得により自信をつけた田代とヌンイラが明らかに一段レベルの上がった試合を披露するなど、日本女子には収穫多き大会であった。

ドイツ 3-2 ポーランド
[52kg級]ロミー・タラングル○内股(2:45)△カロリナ・ピンコフスカ
[57kg級]ミリアム・ローパー△優勢[技有・抱分]○アレタ・ポドラック
[63kg級]マルティナ・トラジドス△合技[腰車・袈裟固](2:04)○アガタ・オズドバ
[70kg級]ラウラ・ファルガスコッホ○GS指導1(GS0:51)△カタリナ・クリス
[70kg超級]ルイーズ・マルツァーン○優勢[指導1]△ダリア・ポゴジャレッツ

ドイツはロミー・タラングルの一本勝ちで順調に試合を滑り出すが、ポーランドは57kg枠と63kg枠でミリアム・ローパーとマルティナ・トラジドスを立て続けに降すという盤面からは予想し難い番狂わせを演じて粘る。ドイツは70kg枠のラウラ・ファルガスコッホと70kg超枠のルイーズ・マルツァンのエース格2枚の勝利で逆転したが内容はいずれも「指導1」。まさしく辛勝であった。

■決勝

フランス 3-2 モンゴル
[52kg級]プリシラ・ネト○優勢[有効・袖釣込腰]△ムンクバータル・ブンドマー
[57kg級]オトーヌ・パヴィア△優勢[有効・背負投]○ドルジスレン・スミヤ
[63kg級]クラリス・アグベニュー○優勢[技有・大外巻込]△バルドルジ・ムングチメグ
[70kg級]マルゴ・ピノ△優勢[指導2]○ツェンド アユシュ・ナランジャルガル
[70kg超級]オドレイ・チュメオ○払腰(0:44)△バトトルガ・ムンクツヤ

52kg枠はプリシラ・ネトが左袖釣込腰を逆側に抜け落とし「有効」、その後「指導2」まで追いすがられるが逃げ切りムンクバータル・ブンドマーに勝利。

もっとも勝敗が揺れる可能性があると思われたこの第一戦の強豪対決に勝利したことで以後はフランスの圧倒的ペースかとも思われたが、2戦目はドルジスレン・スミヤが残り46秒、左背負投でオトーヌ・パヴィアの股下に潜り込み「有効」を奪って勝利。これでスコアは1-1。モンゴル、激しく抵抗。

63kg枠はクラリス・アグベニューが左外巻込「有効」、左大外巻込「技有」を奪って勝利。しかしこのポイントの後いずれも抑込技を取り逃がしたことで場の空気乱れたか。70kg枠ではここまで大善戦のマルゴ・ピノをツェンド アユシュ・ナランジャルガルが「指導2」で下す。4戦戦ってスコアは2-2、金メダルの行方はオドレイ・チュメオとバトトルガ・ムンクツヤがマッチアップする最終戦に委ねられることとなった。

右相四つのこの試合はあっという間の劇的決着。44秒、チュメオが一旦右内股に触っておいての右払腰を叩き込むとバトトルガ・ムンクツヤ耐えきれず宙を舞い「一本」。フランスが3-2でモンゴルを凌ぎ、見事金メダルを獲得した。

フランスは豪華陣容を投入したその「本気度」に見合うリターンをしっかり得たという形。戦力的に唯一抗しうると思われた日本との準決勝が最大のポイント、そして日本戦を含め、苦しい試合をことごとく勝利した5番手マルゴ・ピノの活躍光る大会であった。

入賞チームの一覧は下記。

【入賞者】

優 勝:フランス
準優勝:モンゴル
第三位:ドイツ、日本
第五位:ポーランド、ロシア、スロベニア、キューバ

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