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グランドスラムチュメン第1日各階級レポート

(2014年7月16日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版7月16日掲載記事より転載・編集しています。
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各階級レポート
グランドスラムチュメン第1日
■ 60kg級
-木戸慎二が優勝、キタダイは苦手の日本勢突破出来ず-

【入賞者】 エントリー20名
1.KIDO, Shinji(JPN)
2.KITADAI, Felipe(BRA)
3.MUSHKIYEV, Ilgar(AZE)
3.OSHIMA, Yuma(JPN)
5.KARAKIZIDI, Savva(RUS)
5.MSHVIDOBADZE, Robert(RUS)
7.LUTFILLAEV, Sharafuddin(UZB)
7.PETRIKOV, Pavel(CZE)

優勝は木戸慎二(パーク24)。準々決勝で第2シード者シャラフディン・ルトフイラエフ(ウズベキスタン)に「有効」をリードされるも左大内刈「技有」、腕挫十字固「一本」と連取して逆転勝利。準決勝は前戦でイルガー・ムシュキエフ(アゼルバイジャン)に勝利したロバート・ムシュビドバゼ(ロシア)をこれも「指導2」ビハインドからの逆転「有効」で降して決勝進出。

決勝ではロンドン五輪3位のフェリペ・キタダイ(ブラジル)と対戦。ケンカ四つから脇を差し、あるいは釣り手を絞り込んでと形を変えながら粘るキタダイを相手になかなか主導権を握れなかったが、先手で内股、大腰を仕掛け続けながら展開を保つ。この粘りが功を奏し、キタダイの手立てが尽き始めた2分半過ぎから自分の形で組めるようになると、2分42秒から内股、足車、大内刈、再度の内股と約40秒に渡って連続攻撃。結果このシークエンスが終了した3分24秒に2つ目の「指導」を得てこの試合初めてのリードを奪う。キタダイは脇を差しての浮腰など一発技で対抗するが、以後も木戸は緩急出し入れしながら試合を作り続け、残り43秒には3つ目の「指導」を得てそのまま優勢勝ちで試合を終えた。

第1シードのキタダイと実力ナンバーワンの木戸が予想通りに決勝を争い、日本選手に3連敗中のキタダイを木戸が破って優勝を飾るという大枠順当に進んだトーナメント。不確定要素と成り得る日本のジュニア選手大島優磨(国士舘大2年)が準決勝進出を逃して3位、というトピック以外は特に波乱もなく、穏当な結果であった。


【日本人選手勝ちあがり】

木戸慎二(パーク24)
成績:優勝

[1回戦]
木戸慎二○優勢[有効・内股]△エイサー・マジャシー(サウジアラビア)
木戸は左、マジャシーは右組みのケンカ四つ。左内股「有効」で勝利。

[準々決勝]
木戸慎二○腕挫十字固(4:41)△シャラフディン・ルトフイラエフ(ウズベキスタン)
左相四つ。組み際に抱きついてきたルトフィラエフの体を捨てながらの支釣込足で「有効」を失う。残り1分過ぎ、疲れの見える相手を組み際の左大内刈で浴びせ倒して「技有」を奪って逆転に成功。続いて巴投から腕挫十字固に繋いで「一本」。

[準決勝]
木戸慎二○優勢[有効・体落]△ロバート・ムシュビドバゼ(ロシア)
ケンカ四つ。「指導2」リードされるが左大内刈を仕掛け続けて追撃。相手の右内股を豪快な裏投で返すも相手が尻から落ちノーポイント。3分42秒、相手の右小外刈の直後の左体落で「有効」を奪い逆転。

[決勝]
木戸慎二○優勢[指導3]△フェリペ・キタダイ(ブラジル)

キタダイの変則組み手に先手の払腰、内股で細かく攻撃しながらチャンスを待つ。2分半過ぎから急に組めるようになり、技を繋いで「指導」連続奪取。一発技を狙うキタダイをいなしながら攻撃を続けて勝利。


大島優磨(国士舘大2年)
成績:3位

[1回戦]
大島優磨○合技(3:14)△アウドラジズ・アルバシ(サウジアラビア)
左相四つ。低い左背負投で「技有」を先行。相手がクロスグリップで引き込んできたところに応じ、しつこく寝技を展開し縦四方固「一本」。

[2回戦]
大島優磨○肩固(1:44)△ルドウィグ・ペイシャー(オーストリア)
ベテランのペイシャーに柔道をさせず。2分掛からず肩固「一本」で勝利。

[準々決勝]
大島優磨△腕挫十字固(1:00)○サワ・カラキジディ(ロシア)
ケンカ四つ。カラキジディが「跳び関節」、一度は相手を跨いで逃れたかに思われたが、めくり回されてしまい一本負け。

[敗者復活戦]
大島優磨○払腰(3:14)△パヴェル・ピエトリコフ(チェコ)
ケンカ四つ。「指導」3つを得ても攻撃意欲は衰えず、払腰「一本」でフィニッシュ。

[3位決定戦]
大島優磨○背負投(4:17)△Mロバート・ムシュビドバゼ(ロシア)
場外際の判断を誤り「指導2」まで連続失陥。さらに場外際で強引に入った内股をめくり返され1分56秒「有効」失陥。しかし以後攻め続けて「指導」3つずつのタイにまでスコアを戻し、4分17秒豪快な左背負投「一本」でゴール到着。大島、表彰台を確保。

■ 66kg級
-チバナ強い!日本選手2人をいずれも「一本」で屠り去る圧勝V-

【入賞者】 エントリー24名
1.CHIBANA, Charles(BRA)
2.ROKUGO, Yuhei(JPN)
3.ARDANOV, Anzaur(RUS)
3.FUKUOKA, Masaaki(JPN)
5.KHAN-MAGOMEDOV, Kamal(RUS)
5.LAVRENTIEV, Denis(RUS)
7.OATES, Colin(GBR)
7.URIARTE, Sugoi(ESP)

ワールドランキング1位のチャールズ・チバナ(ブラジル)と日本勢の優勝争い、そして世界選手権に向けて今季成長著しいチバナの仕上がり、という2つの観点で注目された今階級であるが、チバナの強さは予想以上だった。
全試合一本勝ちで準決勝に進出すると、昨年世界選手権で敗れている福岡政章(ALSOK)を僅か56秒、いずれも右背負投で2度投げつけて合技の一本勝ち。決勝は六郷雄平(了徳寺学園職)をこれもわずか57秒、両者の体がともに宙に舞いあがる豪快な裏投「一本」で屠り去る。

日本勢優勢と思われた世界選手権だが、優勝候補筆頭はこの人ではと思わせる結果と内容。チバナ一人の強さが際立つ形でトーナメントは幕を閉じた。

福岡は3位決定戦でデニス・ラヴリンティエフ(ロシア)に「指導2」を先行されるも、三角絞からの崩上四方固で一本勝ち、無事に表彰台を確保。

もと60kg級世界王者のリショド・ソビロフ(ウズベキスタン)は2回戦でカマル・カン・マゴメドフ(ロシア)に小外刈「技有」で敗退。転向2度目の世界選手権を前に未だ66kg級にアジャスト仕切れていない印象だった。

【日本人選手勝ちあがり】

福岡政章(ALSOK)
成績:3位

[2回戦]
福岡政章○優勢[技有・谷落]△ナウリズベク・マイラシェフ(カザフスタン)

[準々決勝]
福岡政章○優勢[指導1]△カマル・カン・マゴメドフ(ロシア)

[準決勝]
福岡政章△合技[背負投・背負投](0:56)○チャールス・チバナ(ブラジル)
開始早々、チバナが両手で右片襟を握る右背負投で「技有」獲得。
さらに釣り手一本で前襟を握った状態から、飛び込みざま引き手で裾を握って右背負投「一本」。チバナは昨年世界選手権で敗れた福岡に完勝。

[3位決定戦]
福岡政章○崩上四方固(3:44)△デニス・ラヴリンティエフ(ロシア)
「指導2」失うも、三角絞に固めたまま崩上四方固へ。相手はたまらず「参った」。

六郷雄平(了徳寺学園職)
成績:2位

[1回戦]
六郷雄平○送襟絞(1:39)△アレクサンダー・ベタ(ポーランド)

[2回戦]
六郷雄平○優勢[技有・小内巻込]△ズミトリ・シェールスハン(ベラルーシ)
左相四つ。相手が谷落を試みようと抱きついてきたところで、体勢入れ替えて相手の左腕を脇に抱き込んでの左小内巻込「技有」。相手の釣り手を絞ったところを低い左一本背負投に入られて「有効」を失うも、以降の追撃許さず逃げ切り。

[準々決勝]
六郷雄平○片手絞(2:14)△デニス・ラヴリンティエフ(ロシア)

六郷が左、ラヴリンティエフが右組みのケンカ四つ。組み際に両襟の左内股で相手をつぶして片手絞。相手は立ち上がろうとするも中腰になり掛けた体勢のまま「参った」。

[準決勝]
六郷雄平○裏投(2:36)△アンザルウル・アルダノフ(ロシア)

ケンカ四つ。互いに背中を持った状態が続き、六郷幾度も左小外掛を狙う。2分36秒、場外際で仕掛けた左小外掛から裏投で放り、「一本」

[決勝]
六郷雄平△裏投(0:57)○チャールズ・チバナ(ブラジル)

ケンカ四つ。チバナ開始早々に小外掛の形から足を高く抜きあげる裏投を試みるが六郷辛くも防ぐ。57秒、六郷が中途半端に左大内刈を入れたところにチバナ再び足を高く放り出しての裏投。両者の体がもろとも宙に浮く豪快な一撃は「一本」。

■ 73kg級
-本命相次ぎ敗退でトーナメントは混迷、地元のヤルツェフが優勝飾る-

【入賞者】
1.IARTCEV, Denis(RUS)
2.CONTINI, Marcelo(BRA)
3.KURZHEV, Uali(RUS)
3.POMBO DA SILVA, Alex William(BRA)
5.OZDOEV, Zelimkhan(RUS)
5.SHOKA, Vadzim(BLR)
7.JEZEK, Jaromir(CZE)
7.UNGVARI, Miklos(HUN)

※日本選手の出場はなし

第1シードのデックス・エルモント(オランダ)が初戦で無名選手のウアリ・クルシェフ(ロシア)にGS延長戦「指導2」対「指導3」という映えない内容で敗退。第4シードに座ったミクロス・ウングバリ(ハンガリー)も準々決勝でバドジム・ショーカ(ベラルーシ)に敗れてトーナメントは大混戦。

優勝を飾ったのは地元ロシアのデニース・ヤルツェフ。準々決勝で第2シードのアレックス ウィリアム・ポンボ ダ シウバ(ブラジル)を浮技「技有」で破ると準決勝は同じロシアのゼリムハン・オズドエフから腕挫十字固で一本勝ち(1:25)。決勝はダークホースのマルセロ・コンティーニ(ブラジル)を「指導2」対「指導1」で破って優勝を決めた。

ヤルツェフは現在イサエフとモグシコフを抑えてランキング的にはロシアの1番手だが、序列的には3番手の選手。表彰台は3番手以降でチームを組んだロシアから2人、そしてほぼ全階級で一軍を送り込んだブラジルから2人と有力2か国が独占することとなり、今大会の参加層の二極分解ぶり、密度の薄さがクッキリ現れたトーナメントだった。

■ 48kg級
-メネゼス優勝、決勝は山岸絵美を送足払「一本」に仕留める-

【入賞者】 エントリー13名
1.MENEZES, Sarah(BRA)
2.YAMAGISHI, Emi(JPN)
3.LIMA, Taciana(GBS)
3.MOSCATT, Valentina(ITA)
5.DOLGOVA, Irina(RUS)
5.RUMYANTSEVA, Kristina(RUS)
7.AKKUS, Sumeyye(TUR)
7.KONDRATYEVA, Nataliya(RUS)

優勝はロンドン五輪王者のサラ・メネゼス(ブラジル)。昨年のリオ世界選手権でのV逸(ムンクバット・ウランツェトセグに敗れて3位)以来一貫して低調、12月のグランドスラム東京3位(近藤亜美に敗退)、2月のグランドスラム・パリでの入賞なし(アマンディーヌ・ブシャーに初戦で敗退)はともかく、6月は一段レベルの落ちるグランプリ・ハバナで地元のメストレアルバレス(キューバ)に敗れて3位に終わるなどいま一つ冴えない柔道を続けてきたこの人だが、この日も動きも決して良くない。準々決勝はイリーナ・ドルゴワ(ロシア)に物憂そうな試合を展開し、終盤までに「指導2」対「指導3」のビハインド、丁寧に足技で取ろうとするも逐一足を打ち返されて状況を打開出来ずほぼ終戦かと思われたが、残り10秒を過ぎたところで大内刈から内股巻込に変化して「有効」奪取でなんとか逆転。準決勝もヴァレンティナ・モスカット(イタリア)を背負投「一本」に仕留めたが持ち前のスピードは鳴りを潜めたまま。

しかし山岸絵美(三井住友海上)との決勝だけは完璧な出来。左組みの山岸がおそらくは得意の足車を狙って横滑りにメネゼスを誘導、一瞬その動きに付き合うなり山岸の移動の際に合わせてタイミング抜群の送足払一閃。
もろとも一瞬宙に浮き、決めで相手の頭に自分の顔をぶつけてしまうほどの勢いがついた一撃はもちろん「一本」。試合時間僅か33秒、メネゼスが難敵山岸を破って久々の国際大会制覇を成し遂げた。

調子が上がらない中、ブラジルチーム恒例となったロシアへの一軍派遣政策に乗っかって今大会に出場したメネゼス。決勝1試合限定、それもまさしく一瞬ではあったが、世界選手権直前に「らしさ」を見せた収穫ありの大会であった。

敗れた山岸は「一本」2つで順調な勝ち上がりであったが、決勝は前述の通り自身のお株を奪われた形の鮮やかな技で一本負け。

メネゼスと山岸の対決以外はほとんど見どころのない階級であったが、決勝の真打対決と鮮やかな「一本」決着で多少救われた感あり。出場僅か13人であったが、その点贅沢な階級であった。

【日本人選手勝ちあがり】

山岸絵美(三井住友海上)
成績:2位

[2回戦]
山岸絵美○払腰(0:18)△クリスティナ・ルマンツェバ(ロシア)
山岸が左、ルマンツェバが右組みのケンカ四つ。開始するなり左払腰で「一本」。

[準決勝]
山岸絵美○横四方固(2:43)△タシアナ・リマ(ギニアビサウ)
左相四つ。長身の相手に対し常に動き回って奥襟を与えず、寝技で攻めて試合を優位に進める。2分過ぎに左一本背負投で相手を伏せさせ、縦四方固に繋いで「一本」。

[決勝]
山岸絵美△送足払(0:32)○サラ・メネゼス(ブラジル)
期待通りの強豪対決。開始早々、山岸相手を引手側に誘導すべく横にスライドするがメネゼスその動きに合わせて強烈な送足払一撃。山岸宙を舞い文句なしの「一本」。

■ 52kg級
-中村美里が順当に勝利、キトゥとミランダは3位入賞で最終戦を纏める-

【入賞者】 エントリー18名
1.NAKAMURA, Misato(JPN)
2.RYZHOVA, Yulia(RUS)
3.CHITU, Andreea(ROU)
3.MIRANDA, Erika(BRA)
5.GOMEZ, Laura(ESP)
5.SCHWARTZ, Roni(ISR)
7.FLORIAN, Larisa(ROU)
7.GIUFFRIDA, Odette(ITA)

ノーシードで滑り出した中村美里(三井住友海上)が順当に優勝。最大の山場は準決勝の第2シード者アンドレア・キトゥ(ルーマニア)戦だったが、両袖でパワーを封殺して「指導3」奪取、さらに焦った相手に大内刈を捻じ込んで「技有」を奪うという完璧な試合。決勝は前戦で第1シードのエリカ・ミランダ(ブラジル)を破った地元のユリア・リツォヴァ(ロシア)を「指導3」の優勢で降してフィニッシュ、危なげなく優勝を飾った。

対戦相手のうちメダリストクラスはキトゥのみ、そのキトゥもここ数大会パフォーマンスが良くなく連戦の疲労が明らか、という周囲の状況を考えれば手放しで喜ぶわけにはいかないかもしれないが、順行運転の範囲内で破綻なく優勝を飾った中村の復帰ロードは順調と評して差し支えないかと思われる。ただし相手を追い詰めながら最後までノーリスクの細かい技だけで試合を終えた決勝は懸案の爆発力不足の解消ならず、と捉えることも可能なでもあり、課題の見えた大会でもあった。

キトゥは3位決定戦でロニ・シュワルツ(イスラエル)を「技有」優勢で破って3位を確保。

ミランダは3位決定戦で強敵ローラ・ゴメス(スペイン)と対戦、一本背負投「技有」で勝利してこちらも3位に滑り込んでいる。

【日本人選手勝ちあがり】

中村美里(三井住友海上)
成績:優勝

[1回戦]
中村美里○送襟絞(0:44)△アントニーナ・トフスツェスカヤ(ロシア)
左相四つ。開始早々左小内刈で押し込んで「技有」。続いて左小外刈で伏せた相手を片手絞「一本」に斬って落とす。圧勝スタート。

[2回戦]
中村美里○合技(1:49)△ギリ・コーエン(イスラエル)
中村が左、コーヘンは右組みのケンカ四つ。相手が背中を叩いて来た瞬間に左小内刈を合わせて「有効」。そのまま横四方固に入り「一本」。

[準々決勝]
中村美里○優勢[技有・内股]△オデット・ジュッフリダ(イタリア)
左相四つ。釣り手の絞り合い。「指導」1つをリードした3分25秒、焦った相手が右背負投を仕掛けて膝を着いたところを左内股で回し「技有」。

[準決勝]
中村美里○合技[2:10]△アンドレア・キトゥ(ルーマニア)
ケンカ四つ。パワーファイター相手に両袖の形で攻め続け3つの「指導」を積み重ねる。1分43秒、組み際に両袖の左大内刈を入れて「技有」。そのまま立たせず袈裟固に固めて合技「一本」。

[決勝]
中村美里○優勢[指導3]△ユリア・リツォヴァ(ロシア)
ケンカ四つ。終始組み勝って左小外刈を細かく入れ続け、大内刈、足車へと繋ぐ。引き手を一方的に制し続けたこともあり、リツォヴアはノーリスクで手数を重ねる中村の重囲を突破出来ない。「指導」3つ累積で終戦。

■ 57kg級
-ブーシェミンピナードがワールドツアー2連勝、同世代の出口クリスタはマロイに再び敗れて5位-

【入賞者】 エントリー23名
1.BEAUCHEMIN-PINARD, Catherine(CAN)
2.MALLOY, Marti(USA)
3.FILZMOSER, Sabrina(AUT)
3.OHAI, Loredana(ROU)
5.DEGUCHI, Christa(JPN)
5.LIEN, Chen-Ling(TPE)
7.CAPRIORIU, Corina(ROU)
7.QUADROS, Ketleyn(BRA)

優勝を飾ったのは昨年の世界ジュニア選手権銀メダリスト、20歳のキャサリン・ブーシェミンピナード(カナダ)。2回戦はカルラ・グロル(オランダ)を腕挫十字固「一本」(2:14)、準々決勝は前戦で第1シードの世界王者ラファエラ・シウバ(ブラジル)を破った連珍羚(台湾)から背負投「有効」を奪って勝利、準決勝はベテランのサブリナ・フィルツモザー(オーストリア)のしつこい寝技を耐えきり「指導1」優勢で勝ち抜き。世界選手権銀メダリストであるマーチ・マロイ(アメリカ)との決勝も「指導1」で辛勝。前週のグランプリ・ウランバートルに続くワールドツアー2大会連続優勝を決めた。

世界ジュニアでブーシェミンピナードと戦った出口クリスタ(山梨学院大1年)は五位。準々決勝でマロイと対戦、片手かつ後ろに重心を置いて一方的に一本背負投で攻めてくる相手を捕まえきれずに縦四方固「有効」、一本背負投「有効」で連続失陥で敗戦。グランドスラム東京に続いての連敗だが、どうもこの相手とは間合いが噛み合わない印象。

出口は3位決定戦でフィルツモザーと対戦、「有効」リードの1分10秒に頭を下げられながらも得意の大内刈で「技有」を追加してスコア的には視界良好だったが、ここから始まった寝技の攻防で腕一本を固められ、所謂「裏固」に抑え込まれて逃れること叶わず。一本負けで5位に沈んだ。敗戦した2試合、勝利した本戦のヨヴァナ・ロギッチ(セルビア)、イリーナ・ザブルディナ(ロシア)戦も合わせてこの日は一貫してパワー負けする場面が多く、今後の課題が一つハッキリ見えた印象だ。

第1シードのシウバを破った連は敗者復活戦でもコリナ・カプリオリウ(ルーマニア)を大内刈「一本」(2:38)で破りこの日2つ目のアップセットを成し遂げた。3位決定戦はロレダナ・オハイ(ルーマニア)に敗れて5位に終わったがシウバ相手には三角絞で「一本」を奪っており、なかなか国際舞台で力を出せなかった連がひとつインパクトを残した大会となった。

【日本人選手勝ちあがり】

出口クリスタ(山梨学院大1年)
成績:5位

[1回戦]
出口クリスタ○優勢[有効・体落]△ヨヴァナ・ロギッチ(セルビア)
右相四つ。足技を繰り出しながら相手を追い込み、「指導」先制も、がっぷり組みつかれて支釣込足から押し込まれ「有効」を失う。残り30秒、出口の足技を受けた相手が左背負投に逃げたところを右腰車で返して「有効」。これでなんとか追いつき、それまでに奪った「指導」2つを以て勝利。辛勝。


[2回戦]
出口クリスタ○優勢[指導1]△Zイリーナ・ザブルディナ(ロシア)
右相四つ。ザブルディナしつこく腕挫十字固を狙う。出口なんとか立って逃れるが、続く展開もザブルディナがすぐに支釣込足で振り落とし、再び徹底して腕十字固を狙う。力はザブルディナが上の印象。出口は早めの技出しで対抗するが、ザブルディナは潰すなり力任せの寝技を展開して非常に苦しい試合。
2分20秒、組み際の右大内刈で転がしかけるが背中をつかせるには至らず。
最終盤、ザブルディナがネジが切れたかのように突如疲労。両袖から掛け潰れてしまい、残り0秒で偽装攻撃の「指導1」。出口、粘りが功を奏して勝ちを拾う。

[準々決勝]
出口クリスタ△優勢[有効・縦四方固]○マーティ・マローイ(アメリカ)
試合開始早々、潰されたところからしつこく寝技を展開され、長身を利した縦四方固で「有効」を奪われる。片手で後ろ重心、持ち際に左右の一本背負投で先手を打つマロイを相手にペースが掴めず、組み際に逆の右一本背負投で「有効」を追加される。「指導2」まで追い上げるも得点奪取の気配ないまま試合終了。


[敗者復活戦]
出口クリスタ○優勢[技有・大内刈]△ケトレン・クアドロス(ブラジル)
右相四つ。開始早々、組み際に右大内刈で追い込んで「技有」。その後も相手の釣り手を常に落とし、要所で担ぎ技を仕掛けて試合を優位に進めたままタイムアップ。

[3位決定戦]
出口クリスタ△後袈裟固(2:33)○ザブリナ・フィルツモザー(オーストリア)
力負けしつつも「有効」「技有」と技一撃の威力でリードを積み重ねるが、「技有」を奪った展開から腕一本を固められ、裏固で抑え込まれてしまう。一本負けで終戦。

■ 63kg級
-阿部香菜淡々と持ち味発揮、全試合一本勝ちで余裕の優勝-

【入賞者】 エントリー22名
1.ABE, Kana(JPN)
2.VALKOVA, Ekaterina(RUS)
3.DREXLER, Hilde(AUT)
3.SURAKATOVA, Pari(RUS)
5.GURTSIEVA, Margarita(RUS)
5.GWEND, Edwige(ITA)
7.CHANG, Ya-Jau(TPE)
7.OSUMI, Yuka(JPN)

第1シードがリオ世界選手権王者ヤーデン・ゲルビ(イスラエル)、第2シードが同大会準決勝でゲルビの反則技術のために敗れた阿部香菜(三井住友海上)というなかなかに贅沢なトーナメント。

しかしゲルビは早期敗退、優勝はゲルビと戦うことのないまま阿部が浚うこととなった。

阿部の出来は抜群。1回戦はミア・ヘルマンソン(スウェーデン)を横四方固「一本」(3:26)、準々決勝はヒルデ・ドレクスラー(オーストリア)を縦四方固「一本」(4:00)、準決勝はパリ・スラカトヴァ(ロシア)を大外刈「一本」(1:00)で余裕を持って勝ち上がると、決勝は地元ロシアの新鋭、23歳のエカテリーナ・バルコワ(ロシア)をファーストコンタクトの左内股で放り投げて「一本」(0:22)。長身で懐が深く、普通に考えれば内股の間合いが合わないはずの相手を引き出すなり真っ向から叩き落とす迫力の一撃。度胸に技の切れ味、そして技術の高さと久々阿部の持ち味が存分に表現された素晴らしい一発であった。

大住有加(JR東日本女子柔道部)は2回戦で世界王者ゲルビを得意の横三角に捉え、崩上四方固「有効」で勝利の大殊勲。しかし次戦のバルコワ戦は引き手を自ら切り離しての釣り手一本背負投というオーソドックスな技に捕まり思い切り転がって一本負け、敗者復活戦では中堅選手のエドヴィッジ・グヴェン(イタリア)に小外掛「技有」で敗れて決勝ラウンドにすら進むことが出来なかった。

ゲルビ打倒の時点でトーナメントの主役に躍り出掛けた大住であったが、以後の連敗と7位陥落という結果からすれば、阿部-ゲルビの因縁対決というドラマの実現を阻止し、かつ世界選手権本番直前でライバル国の誰もがチェックしたかったはずのゲルビの以後の試合を封じたという「悪役」ロールを務めてしまった感あり。単にトーナメントを引っ掻き回したのみで畳を去ることとなったと評されても致し方ないところ。ブダペスト大会のヌンイラ華蓮(3位)、ウランバートル大会の片桐夏海(2回戦敗退)と高橋ルイ(初戦敗退)に続き、日本のパワーファイタータイプがなかなか国際大会で成績が残せないという悪い流れを引き継いでしまった。国内を席巻しているパワータイプがことごとく苦戦。シリーズ通してクッキリ現れたこの傾向は首脳陣の脳裏に強く刻まれたに相違なく、来年以降の代表選考にも影響大と考えておくべきだ。

【日本人選手勝ちあがり】

阿部香菜(三井住友海上)
成績:優勝

[2回戦]
阿部香菜○横四方固(3:26)△ミア・ヘルマンソン(スウェーデン)
阿部が左、ヘルマンソン右組みのケンカ四つ。背中を取りにくる長身のヘルマンソンに対抗し、阿部が釣り手で距離を取る展開が続く。中盤、左内股で相手を伏せさせ、引き込んで横四方固に入り決着。

[3回戦]
阿部香菜○縦四方固(4:00)△ヒルデ・ドレクスラー(オーストリア)
ケンカ四つ。長身の相手に対し、釣り手で距離を取り続け、寝技で優位に試合を進める。試合終了間際に左内股からつぶれた相手を強引に巻き込み「有効」。そのまま縦四方固に入り「一本」。


[準決勝]
阿部香菜○大外刈(1:09)△パリ・スラカトヴァ(ロシア)
左相四つ。右構えをとる相手の引き手を首を使って噛み殺し、横変形の形から豪快な左大外刈で「一本」。


[決勝]
阿部香菜○内股(0:22)△エカテリーナ・バルコワ(ロシア)
組むなりの見事な左内股。長身の相手に怖じない豪快な一撃で「一本」。

大住有加(JR東日本女子柔道部)
成績:7位

[1回戦]
大住有加○横四方固(1:33)△ハリマ・モハメッド・セギール(ポーランド)
左相四つ。相手の釣り手を絞った状態から、組み際の左大外巻込「技有」。そのまま横四方固に入ったところで負傷した相手が「参った」。

[2回戦]
大住有加○優勢[有効・崩上四方固]△ヤーデン・ゲルビ(イスラエル)
大住は左、ゲルビは右組みのケンカ四つ。お互いに背中を持っての内股の打ち合い。場外際、内股で掛けつぶれた相手に得意の三角が入り、崩上四方固での「有効」奪取に成功。
ゲルビは大住の懐の深さに有効打を繰り出せずそのまま時間。大住、世界王者のゲルビ打倒に成功。

[準々決勝]
大住有加△一本背負投(2:20)○エカテリーナ・バルコワ(ロシア)
ケンカ四つ。相手が引き手を自ら切り、逆技の左一本背負投。投げ込みのごとくキレイに決まって「一本」。

[敗者復活戦]
大住有加△優勢[技有・小外掛]○エドヴィッジ・グヴェン(イタリア)
ゲルビ打倒の大住、前戦の敗戦をひきずったかこの試合も落として決勝ラウンドに進めず。


文責:古田英毅
text by Hideki Furuta

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版7月16日掲載記事より転載・編集しています。
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