PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

グランドスラムチュメン第1日各階級ひとこと展望

(2014年7月12日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版7月12日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード
第1日各階級ひとこと展望
グランドスラムチュメン
■概況

世界柔道選手権(8月25日~30日、ロシア・チェリャビンスク)を1月後に控え、IJFワールドツアーはこのチュメン大会を以て一旦クローズ。前週のグランプリ・ウランバートルまでに各国の代表クラスは調整試合をほぼ終えている印象だが、まだ「引き揚げない」国があるのか、またここのところ試合に出ていない強豪の出場があるかどうかによって階級の様相は大きく異なる。

そんな中、この時期のロシアの大会に選手を派遣するのが恒例となっているブラジルが1軍
を連れて参戦。このブラジル勢に、選手層が厚く2番手以降でも十分上位争いに加わる力がある地元ロシアとアジア大会代表を大量に送り込んだ日本が対抗するというのが全階級通してもっとも多い構図で、ここに男子はアゼルバイジャン、女子はここに至っても選手を引き揚げずに粘るカナダとドイツの皆勤国が絡むというのが大枠の構造。63kg級のヤーデン・ゲルビ(イスラエル)、70kg級のキム・ポリング(オランダ)とジブリス・エマヌ(フランス)、78kg級のケイラ・ハリソン(アメリカ)、78kg超級のキン(中国)など女子の中量級以上は主役級が単独参戦する階級が多く、こういってはなんだが、世界選手権直前にも関わらず十分楽しめる大会となりそうな気配。

■60kg級

-第1シードのキタダイが優勝候補、強豪の影薄く日本勢は上位進出が濃厚-

参加選手:20名
日本人選手:木戸慎二(パーク24)、大島優磨(国士舘大2年)

第1シード(プールA):KITADAI, Felipe(BRA) WR7位
第2シード(プールC):LUTFILLAEV, Sharafuddin (UZB) WR11位
第3シード(プールD):MUSHKIYEV, Ilgar (AZE) WR13位
第4シード(プールB):PAISCHER, Ludwig (AUT) WR21位

第1シードがロンドン五輪3位のフェリペ・キタダイ(ブラジル)。実績から考えればこの階級はキタダイ1人が大きく抜け出した一点豪華主義のトーナメント。この人に日本の木戸慎二、そして大島優磨の日本勢2人が絡むというのが優勝争いの基本線と見て良いのではないだろうか。

キタダイは柔道が比較的オーソドックスで、アクロバティックな高藤直寿やパワーファイターのパピナシビリ(グルジア)とガンバット(モンゴル)など個性派が覇を競う60kg級にあってはどちらかというと優等生タイプで爆発力には欠けるところがある。ロンドン後は12年12月のグランドスラム東京で石川裕紀に、昨年11月のグランドスラム東京では志々目徹に、今年2月のヨーロッパオープン・オーバーヴァルトでは川端龍にと日本勢には3連敗を喫しており、国内の代表争いに楔を入れたい木戸としては、五輪メダリストへの挑戦という「足し算」のテーマではなく、むしろ絶対に負けられないという厳しい条件設定を強いられる大会となる。

第2シードはグランドスラム・バクーで3位入賞を果たして売り出し中の23歳シャラフディン・ルトフィラエフ(ウズベキスタン)。第3シードがパリ世界選手権3位の強者イルガー・ムシュキエフ(アゼルバイジャン)。

大島はプールBに配置され、第4シード者で32歳の大ベテラン、ルドウィグ・ペイシャー(オーストリア)と2回戦で対戦予定。ペイシャーは勢いを失って既に数年、大島としてはここをキッチリ勝って、木戸より先に実現するキタダイ戦で五輪メダリストの首級を挙げて周囲にその名前を轟かせたいところ。

木戸はプールCに配され、準々決勝でルトフィラエフ、準決勝でムシュキエフとなかなか歯ごたえのある山。決勝のキタダイ戦以上に、パワーもあって試合の上手いムシュキエフ戦が山場となるのではないだろうか。


■66kg級

-優勝争いの軸はチバナも、ノーシード者に有力選手ひしめく接戦階級

参加選手:24名
日本人選手:福岡政章(ALSOK)、六郷雄平(了徳寺学園職)

第1シード(プールA):CHIBANA, Charles (BRA) WR1位
第2シード(プールC):OATES, Colin (GBR) WR7位
第3シード(プールD):SHERSHAN, Dzmitry (BLR) WR11位
第4シード(プールB):KHAN-MAGOMEDOV, Kamal (RUS) WR12位

シード選手だけで考えるとチャールズ・チバナ(ブラジル)の1人舞台、警戒すべきは第4シードに入ったロシアの3番手カマル・カンマゴメドフのみという少々密度薄く感じるトーナメントだが、リオ世界選手権銅メダリスト福岡政章を筆頭に、ロンドン五輪5位のスゴイ・ウリアルテ(スペイン)、もと60kg級の絶対王者リショド・ソビロフ(ウズベキスタン)、60kg級で09年ロッテルダム世界選手権3位のエリオ・ヴェルデ(イタリア)に売り出し中の六郷雄平と4つ角シードから外れた選手に面白い人材が揃っている。第2シードのコリン・オーツ(イギリス)は今季グランプリ・サムスンで3位入賞、グランドスラムバクーでは優勝を飾っていてランキング自体は高いが、地力と柔道の質を考えるに、注目すべきはむしろこれらノーシードの強豪たちであろう。優勝候補はチバナ、対抗馬は福岡かカンマゴメドフというのが順当な見方のはずだが、現在の勢いを考えれば六郷が面白いのではないだろうか。最高到達点の高さに比してその柔道の面白さが不安定感を生んでいた感のある六郷、代表戦線に絡んでいけるかどうか今大会は正念場だ。

福岡はプールBに配置、準々決勝でカンマゴメドフかソビロフと対決し、準決勝はチバナとの対決が濃厚。厳しい配置だ。

六郷はプールD。第3シードのディミトリ・シャーサン(ベラルーシ)と2回戦で対決するが、山場はむしろ準々決勝のミルザヒッド・ファルモノフ(ウズベキスタン)戦であろう。準決勝で対戦予定のオーツには昨年グランプリ・チェジュでの優勝時に浮技「有効」で勝利しており、こちらは福岡に比べると大分戦い易い組み合わせ。決勝進出は現実的な線だろう。


■73kg級

-強豪選手は出場回避、エルモントの一人舞台が濃厚

参加選手:26名
日本人選手:出場なし

第1シード(プールA):ELMONT, Dex (NED) WR6位
第2シード(プールC):POMBO DA SILVA, Alex William (BRA) WR12位
第3シード(プールD):ORUJOV, Rustam (AZE) WR14位
第4シード(プールB):UNGVARI, Miklos (HUN) WR16位

トーナメントの目玉となるはずだった2010年世界選手権王者の秋本啓之(了徳寺学園職)が負傷のため出場を回避。第1シードに座った2011年パリ世界選手権2位で昨年のリオ世界選手権でも3位に入賞している30歳のベテラン、デックス・エルモント(オランダ)の一人舞台と言って良い陣容となった。

第3シードのルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)、第2シードのアレックス・ポンポダシルバ(ブラジル)は国際大会の常連だが、実績、今季の勢いともにエルモントらに混ざって世界選手権のメダルを争うだけのレベルにはない。
第4シードにはロンドン五輪で突如復活を果たして3位入賞を果たした大ベテランのミクロス・ウングバリ(ハンガリー)が入っている。ロンドン以後はなかなか成績が出なかったが4月の欧州選手権では3位入賞を果たしており、むしろ勢いを買っておくべきはこちらかと思われる。ということは30歳のエルモントを33歳のウングバリが追い掛けるという、昨今珍しいベテラン主体のトーナメントということになりそうだ。

プールAはエルモントの勝ち上がりが濃厚で、プールBはウングバリが、唯一アップセット要素を孕むミラリ・シャリポフ(ウズベキスタン)を凌いで勝ち上がる可能性が大。事前予測としてはは4つ角シードが順当に勝ち上がって、エルモントが優勝すると見込んでおくしかない。その通りに進んでも、中途でシナリオが狂っても熱狂できる要素は少なく、率直に言って見どころ少ない階級。

■48kg級

-メネゼスと山岸の決勝対決に期待

参加選手:13名
日本人選手:山岸絵美(三井住友海上)

第1シード(プールA):MENEZES, Sarah (BRA) WR2位
第2シード(プールC):LIMA, Taciana (GBS) WR5位
第3シード(プールD):YAMAGISHI, Emi (JPN) WR6位
第4シード(プールB):MOSCATT, Valentina (ITA) WR29位

ロンドン五輪王者のサラ・メネゼス(ブラジル)が第1シード。第3シードに山岸絵美が入り、参加選手僅か13名ながら思わぬ豪華な陣容となった。

メネゼスは昨年のリオ世界選手権で3位。優勝したムンクバット・ウランツェトセグ(モンゴル)に敗れたこの大会はともかく、以後はグランドスラム東京で近藤亜美に敗れて3位、グランドスラムパリではアマンディーヌ・ブシャー(フランス)にも苦杯を喫してなんと入賞なし、6月のグランプリ・ハバナでも地元のダヤリス・メストレアルバレス(キューバ)に敗れて3位と苦戦が続いている。世界選手権に向け、最終戦のこの試合でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。成績以上に、あの活きが良いと表現するしかない試合ぶりが復活する目はあるのか。大いに注目したい。

山岸は準々決勝で地元のクリスティナ・ルメンツカヤ(ロシア)と対戦。準決勝ではシード選手のリマ・タチアナ(ギニアビサウ)ではなく、おそらくナタリア・コンドラチェワ(ロシア)との対戦が濃厚。コンドラチェワはロンドン五輪代表を務めた後は1年間に渡りほとんど試合に出ず、ゆえにランキングは高くないが今年は3月のグランプリ・トビリシと5月のグランドスラム・バクーで3位を獲得して復調傾向にある。昨年のグランドスラム東京では山岸が勝利しているが、メネゼス戦前の唯一の山場となるはずのこの試合をまず大事に戦いたいところ。


■52kg級

-見出し

参加選手:18名
日本人選手:中村美里(三井住友海上)

第1シード(プールA):MIRANDA, Erika (BRA) WR2位
第2シード(プールC):CHITU, Andreea (ROU) WR7位
第3シード(プールD):COHEN, Gili (ISR) WR8位
第4シード(プールB):RYZHOVA, Yulia (RUS) WR12位

優勝候補は中村美里。高ランキング選手が顔を揃えたが世界選手権で覇を競うレベルにあるのは第2シードのアンドレア・キトゥ(ルーマニア)、次いでシード順1位のエリカ・ミランダ(ブラジル)の2人のみで、両者ともに安定感のある選手ではない。地元ロシアの女子は昨年来総じて実力を上げており特に固技技術の取得の速さには目を見張るものがあるが、この階級の2番手選手ユリア・リゾヴァは今のところこの文脈に連なるようなパフォーマンスを見せていない。大会をリードするのは中村とキトゥ、一段落ちてミランダと見ておいて間違いないだろう。

中村はプールDに入り、ギリ・コーヘン(イスラエル)との準々決勝を経て、準決勝ではキトゥとローラ・ゴメス(スペイン)の勝者と対戦することになる。

トーナメントの興味はまず、負傷からの復帰以来未だ本来のパフォーマンスを見せていない中村がどのような戦いを見せるか。ジックリ展開の優位を積み重ねて足技で転がし、最終的には寝技で取るという、いわば「時間いっぱいを使って圧勝する」のが中村のスタイルだが、試合時間の短縮と「組み合う」新ルールにより、国際柔道の流れはパワーがあり、かつ組み合っての大技一撃がある選手優位に傾いている。選抜体重別決勝ではあと1つの「指導」を得る時間が足りずに苦杯を喫したばかりの中村には、勝つためにより早い攻撃、より相手を恐れさせる投技の一撃が求められるはず。今大会どのような手立てを持って試合に臨み、そして勝つのか。楽しみに見守りたい。

もう1つの注目トピックは、昨年の異常までの連続出場から一転、4月の欧州選手権(3位)以降まだ1度しか試合をしていないキトゥの復調なるかだ。パワーが売りのキトゥだが昨年後半は疲労困憊でその長所が削られてしまい一線級の選手にはことごとく敗戦。休養を経た26歳のキトゥがどのようなパフォーマンスを見せるのか、つまりは世界選手権に向けて予想されるコンディションの補助線は上向きなのか下向きなのか。ここを注目しておきたい。

■57kg級

-有力選手揃ったトーナメント、出口クリスタの躍進に期待

参加選手:23名
日本人選手:出口クリスタ(山梨学院大学1年)

第1シード(プールA):SILVA, Rafaela (BRA) WR2位
第2シード(プールC):MALLOY, Marti (USA) WR4位
第3シード(プールD):QUADROS, Ketleyn (BRA) WR5位
第4シード(プールB):FILZMOSER, Sabrina (AUT) WR6位

4つ角シードはリオ世界選手権王者ラファエラ・シウバとケトレン・クアドロスのブラジルコンビ、それにベテランのサブリナ・フィルツモザー(オーストリア)にリオ世界選手権2位のマーティ・マロイ(アメリカ)と錚々たる面子。これにコリナ・カプリオリウ(ルーマニア)や31歳となった北京五輪王者ジュリア・クインタバレ(イタリア)までが参加して後者はなんとノーシード、前週のグランプリ・ウランバートルで優勝したばかりのキャサリン・ブーシェミンピナード(カナダ)が辛うじて8番手シードに滑り込むという人材の密度高いトーナメントとなった。

プールAにはシウバとブーシェミンピナード、それに連珍羚(台湾)。最激戦のプールBではフィルツモザーへの挑戦権をカプリオリウとクインタバレが争う。この2つのブロックはまさしく大混戦だ。

そんな中で出口クリスタは比較的戦い易いプールCに入った。ただし準々決勝ではグランドスラム東京で敗れたマロイ戦があり、これが大きな山場。準決勝で対戦予定のクアドロスには2月のヨーロッパオープン・ローマで、決勝で対戦濃厚のシウバにはグランドスラム東京でそれぞれ勝利した経験があり、準々決勝をクリアすれば優勝も十分見えてくる。出口らしい思い切った戦いに期待したい。


■63kg級

-世界王者ゲルビが参加、阿部は世界選手権のリベンジなるか-

参加選手:22名
日本人選手:阿部香菜(三井住友海上)、大住有加(JR東日本女子柔道部)

第1シード(プールA):GERBI, Yarden (ISR) WR2位
第2シード(プールC):ABE, Kana (JPN) WR4位
第3シード(プールD):UNTERWURZACHER, Kathrin (AUT) WR5位
第4シード(プールB):GWEND, Edwige (ITA) WR10位

昨年、「裾を使った絞技」を駆使して世界の頂点を極めたヤーデン・ゲルビ(イスラエル)が参戦、これがこの階級最大のトピックだ。今季は2月のグランプリ・デュッセルフドルフで2位入賞(バルドルジ・ムングンチメグに敗退)して以降は3月のグランプリ・サムスン3位、6月のグランプリ・ハバナも3位と成績はいまひとつ。もともと寝技の選手というよりはコンディションがその出来を大きく左右するパワーファイタータイプの選手でもあり、現時点での調整具合は世界選手権を展望する上でまことに貴重なデータとなるはず。注目。

この人に対抗し得るのは日本の阿部香菜のみ。昨年の世界選手権準決勝で敗れて以来の再戦となる今大会、反則技術で世界王者の夢を絶たれたあの悔しさを晴らすことが出来るか。決勝での対決に期待。

大住有加は2回戦でゲルビに挑戦。持ち前のパワーが世界王者に通じるのか、これも楽しみな一番だ。

文責:古田英毅
text by Hideki Furuta

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版7月12日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.