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グランプリウランバートル最終日各階級ひとこと展望

(2014年7月6日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版7月6日掲載記事より転載・編集しています。
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各階級ひとこと展望
グランプリウランバートル最終日
■ 90kg級
-第1シードのデニソフが頭一つ抜け出す、注目は世界ジュニア王者グビニアシビリの出来

参加選手:22名
日本人選手:下和田翔平(京葉ガス)

第1シード(プールA):DENISOV, Kirill (RUS) WR4位
第2シード(プールC):ODENTHAL, Marc (GER) WR10位
第3シード(プールD):GVINIASHVILI, Beka (GEO) WR14位
第4シード(プールB):DONIYOROV, Erkin (UZB) WR17位

第1シードは2009年ロッテルダム大会2位、2010年東京大会と2013年リオ大会で3位と世界選手権で3つのメダルを持つキリル・デニソフ(ロシア)。8月の世界選手権でも主役を務めるはずのこの人の実績と力が他を圧している。第2シードのマルク・オーデンタール(ドイツ)は2013年からワールドツアーに皆勤を始めたドイツ期待の新鋭であるが、3度の表彰台のうちグランドスラムは1度のみ(グランドスラムパリ3位)という成績と10位というランキングが示す通りジャスト「グランプリ」入賞レベルという評が現状妥当なところで、昨年は世界選手権も含めてデニソフ、エルモント(オランダ)、リパルテリアニ(グルジア)、イ・キュウオン(韓国)、西山大希と世界でメダルを狙うレベルの選手には見事に全敗、実は名のある選手を打倒したことがほとんどない。今大会も爆発力を期待するのは難しいと考えるべきで、2回戦のクータグ・ツォグトゲレル(モンゴル)に食われる可能性すらある。

むしろ注目すべきは第3シードの18歳、昨年の世界ジュニア選手権王者ベカ・グヴィニアシビリ(グルジア)。シニアデビュー戦のグランドスラムパリではベイカー茉秋、次戦のグランプリ・デュッセルドルフではイリアス・イリアディス(ギリシャ)、グランプリ・トビリシではデニソフとトーナメントの早い段階で強豪と当てられ続けてなかなか入賞が出来なかったが、この枷が外れるやグランプリ・サムスンでいきなり優勝。同大会決勝ではオーデンタールを破っている。若さと勢いを考えると世界選手権ではダークホース候補と考えておくべきで、この選手のパフォーマンスには大いに注目したい。決勝でデニソフとの再戦があるとすれば、世界選手権に向けた成長曲線を測る絶好の機会となるはずだ。

下和田翔平(京葉ガス)は第1シードのデニソフの山に入り、対戦予定は準々決勝。この試合は苦戦を予想するが、今大会の参加メンバーは上記3人までと以下の選手に少々差がある印象で、表彰台確保は現実的に手が届く目標。健闘を期待したい。

■ 100kg級
-最大の話題はカブラエフの参戦。フレイ、熊代、チョグハン、レイズと役者揃ったプールC、Dの結果と内容に注目

参加選手:18名
日本人選手:熊代佑輔(ALSOK)

第1シード(プールA):PETERS, Dimitri (GER) WR7位
第2シード(プールC):FREY, Karl-Richard (GER) WR9位
第3シード(プールD):MAHJOUB, Javad (IRI) WR12位
第4シード(プールB):BUZACARINI, Rafael (BRA) WR17位

ロンドン五輪王者のタギル・カブラエフ(ロシア)の参加が最大の話題。五輪後は昨年5月のパンナムオープン・ブエノスアイレスに参加(優勝)したきりで、復帰がいつになるのか注目されていたが、この時期にワールドツアーにエントリーするということは今夏の世界選手権の出場は濃厚。どれだけの強さを発揮するか注目したい。

カブラエフは格が違う、と規定しておき、上位争いは第1シードのディミトリ・ピータースと第2シードのカールリヒャード・フレイの両ドイツ勢が軸。これに絡むダークホースは日本大のレイズカヨル(カナダ)、熊代祐輔(ALSOK)、チョ・グハン(韓国)のアジア勢3人(レイズはカナダ所属だが)ということになる。

ピータース側の山にはカブラエフがおり、決勝進出は堅い。この出来を除いたトーナメントの興味はダークホースに曲者タイプが詰め込まれたプールC、Dの戦況。

プールCでは準々決勝でアジア大会代表の熊代佑輔がフレイと対戦予定。23歳のフレイは実質的なワールドツアーデビューとなった昨年の後半に豪快な技で勝ちまくった注目選手だが、これもオーデンタール同様トップグループの選手の打倒はまだほとんどなく、ガシモフ(アゼルバイジャン)とサイドフ(ウズベキスタン)が「狩った」選手の最高到達点。組み勝たないと試合が構成できないタイプでもあり、実力が下の選手には派手に勝ち、上の選手には律儀に負けるという様相の試合が続いている。つまりは現状の熊代の力がトップグループに通用するかどうかを測るには絶好の相手と言える。注目の一番。フレイは冬季欧州大会で相手を殴って反則負けを食らうなど我慢が効かないタイプでもある。チャンスは十分。

プールDはスケール感ある柔道をするヤヴァド・マージョウブ(イラン)がシード選手。こちらは初戦でうるさい柔道が身上のチョ・グハンがマッチアップ。これは相性的に楽しめそうな一番。
その下の山から準々決勝に勝ち上がるのはレイズと見るべきだが、地元モンゴルのダバドルジ・バットエルデネは要警戒。レイズ側から見れば、パワーのダバドルジ・バットエルデネ、次戦はうるさいチョか懐が深いタイプのマージョウブとこれも現状の戦闘力と対応力を測るには非常に面白い配置。注目したい。

■ 100kg超級
-強行日程こなすオクリアシビリとモウラ、七戸の強豪3人が埋める「伏線」に注目

参加選手:20名
日本人選手:七戸龍(九州電力)

第1シード(プールA):OKRUASHVILI, Adam (GEO) WR3位
第2シード(プールC):MOURA, David (BRA) WR7位
第3シード(プールD):SHICHINOHE, Ryu (JPN) WR12位
第4シード(プールB):BREITBARTH, Andre (GER) WR13位

第1シードは「裏投げダルマ」ことアダム・オクルアシヴィリ(グルジア)。6月にグランプリ・ハバナ(5位)とグランプリ・ブダペスト(優勝)と2大会をこなし、来月に世界選手権を控えるにも関わらず連続出場。5週間で3大会という強行日程を組んで来た。

最終到達点が相手の腰に食いついての裏投か小外掛、隅落のほぼ3つで戦術的バリエーションはここに至る過程の変化のみ、そして毎大会スタミナの無さというウィークポイントを晒す形になっているこの人の連続出場は正直理解に苦しむところ。いまのところ戦術的にも新たな試みが見えるわけでもなく、ライバルたちに研究材料を与えるだけとなっているのではないかと余計な心配をしてしまうのだが、世界選手権に向けて何か考えがあるのか、それとも今回IJFとの約束でもあるかのように密度高く選手を送っているグルジアの「国策」に沿ったのか。とまれ、オクルアシヴィリは日本勢がメダルを獲得する過程で対戦の可能性が極めて高い選手。疲労度や戦術的な試行錯誤も含めてしっかり試合を観察しておきたいところ。

対抗馬は第3シードの七戸龍、第2シードのダビド・モウラ(ブラジル)。爆発力に欠ける第4シードのアンドレ・ブライドバルト(ドイツ)を押しのけてこの2人に続く勢力が前大会で上川大樹を下したバルナ・ボル(ハンガリー)とレヴァニ・マティアシビリ(グルジア)と評しておきたい。

オクルアシビリはベスト4までは無風、準決勝では同国のマティアシビリかブライドバルトと対戦することになる。マティアシビリが来た場合はこの時点での勝ちを譲って決勝での七戸との対戦を避ける可能性(僅少だが)も含めて勝敗の行方はわからないが、事前予測としてはオクルアシビリの決勝進出と予想しておくのが妥当だろう。

プールDに配された七戸は初戦でおそらくミハエル・ホラック(チェコ)、準々決勝はボル、もしくは階級を上げたバトトルガ・テムーレン(モンゴル)と対戦し、準決勝ではモウラと戦うという対戦順が実現濃厚。

七戸にとってモウラ、そして決勝で対戦するであろうオクリアシビリの2人はともに世界選手権での再戦が濃厚なライバル。そしてともに、七戸が「間合いを詰めさせないまま頭を下げさせて疲労を誘い、投げに至る」ことを大前提に試合を組み立てるはずの大型選手である。互いにそれを織り込んでいるはずの現状を鑑みるに、争点はその形に至る過程と、離れた間合いから七戸が放つ一撃の持ち札の切り方という、「駆け引き」と表現すべきディティールということになる。ここまで争点がハッキリしている中で、世界選手権に向けて互いにどこまでを見せるのか、どう見せていくのか。勝敗以上に、世界選手権に向けた各選手の「伏線」の埋め方に注目したい。

■ 78kg級
-世界王者ソル・キョン突如参加、北朝鮮勢の好パフォーマンス最終日も続くか

参加選手:15名
日本人選手:出場なし

第1シード(プールA):JOO, Abigel (HUN) WR4位
第2シード(プールC):MALZAHN, Luise (GER) WR5位
第3シード(プールD):JEONG, Gyeong-Mi (KOR) WR7位
第4シード(プールB):ROBERGE, Catherine (CAN) WR8位

2週間前のグランプリ・ブダペストに出場(3位)したばかりのヨー・アビゲイル(ハンガリー)、6月のグランプリ・ハバナに出場して3位のルイーズ・マルツァン(ドイツ)と5位のキャサリン・ロバージ(カナダ)、そこにベテランのジョン・ギョンミ(韓国)が入って4つ角シードを構成した。

世界選手権に向けて強豪国が次々に選手を「引き揚げる」中で、年間通じたワールドツアー皆勤国のドイツとカナダが残り、世界選手権と地元開催のアジア大会の2連戦を睨んだ韓国がこのタイミングで若手に交えて準トップ選手を派遣する。今大会全階級を通じた傾向が如実に現れたこの階級だが、もう1つ「北朝鮮選手の参加」という今大会の特徴も綺麗に踏むこととなった。昨年リオ世界選手権で並み居る強豪を抑えて無印から優勝を飾ったソル・キョン(北朝鮮)がエントリーしているのだ。

24歳のこの選手、リオ世界選手権以前もアジア大会(2010年70kg級2位)、アジア選手権(2012年70kg級3位、2013年78kg級2位)、世界選手権(2011年パリ大会7位)などビッグゲームだけには顔を出していたのだが大会出場自体が僅少で、試合を観察出来るのは貴重な機会。昨年10月の東アジア大会では決勝で中国選手に敗れており未知の最強選手という印象からは外れるが、今大会北朝鮮選手はいったいに力強いパフォーマンスを見せており、この状況で出場するソルの仕上がりは世界選手権に向けて非常に貴重なデータ。配置はプールB、対戦順は2試合目(準々決勝)でロバージ、準決勝でヨー。今年もメダルに絡む力を維持しているのかを測るには丁度良い相手だ。

今大会の興味は第1がソル・キョンの出来。第2は昨年から躍進著しいルイーズ・マルツァンの仕上がり具合、この2つに尽きるのではないか。力も柔道もある程度読める第1シードのヨーよりも、この2人に絞ってトーナメントを見守りたい。

■ 78kg超級
-クルブス、コニッツ、キムユンキョンらハイランカー揃うも見どころ少ないトーナメント

参加選手:14名
日本人選手:参加なし

第1シード(プールA):KUELBS, Jasmin (GER) WR6位
第2シード(プールC):KIM, Eunkyeong (KOR) WR7位
第3シード(プールD):KONITZ, Franziska (GER) WR8位
第4シード(プールB):KOCATURK, Gulsah (TUR) WR15位

ヤスミン・クルブスとフランジスカ・コニッツというドイツの巨大選手2人がシード入り。四つ角シードはここにキム・ユンキョン(韓国)と、一段落ちてグルサ・コジャトルク(トルコ)。世界選手権で入賞ラインから表彰台への滑り込みを狙うレベルの選手が数名揃ったというトーナメントだ。ダークホースと成り得る選手も19歳のクブラ・カラ(トルコ)くらいでしかもこの選手は2回戦で同国のコジャトルクと対戦が予定され勝ち上がりの可能性は僅少。コニッツとクルブスはいずれも圧力に巻き込みという典型的重量選手スタイルで、キムは動ける選手だが技が切れるわけではなく、3者ともに柔道に華があるタイプではない。見どころが少ない階級だ。クルブス、コニッツ、キムそれぞれの対戦相性を見極めるというテーマを設定することは可能だが、おそらく見ていて楽しい試合にはならない。ハイランカーが揃った割に役者が少なく、低調なトーナメントだ。

文責:古田英毅
text by Hideki Furuta

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版7月6日掲載記事より転載・編集しています。
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