PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

グランプリ・ブダペスト第1日女子各階級レポート

(2014年6月22日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版6月22日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード
第1日女子各階級レポート
グランプリ・ブダペスト
■ 48kg級
-地元クセルノビスキが気合入った柔道で優勝、近藤亜美を力で退ける-

【入賞者】 エントリー20名
1.CSERNOVICZKI, Eva(HUN)
2.MOSCATT, Valentina(ITA)
3.GALBADRAKH, Otgontsetseg(MGL)
3.KONDO, Ami(JPN)
5.FIGUEROA, Julia(ESP)
5.LIMA, Taciana(GBS)
7.CHERNIAK, Maryna(UKR)
7.ROSSENEU, Amelie(ISR)

第2シードに入った地元選手エヴァ・クセルノビスキ(ハンガリー)が見事優勝。ヴァレンチナ・モスカット(イタリア)との決勝は粘る相手を力で制し続けて3つの「指導」を奪取。投げで決まらないのが不思議なほどの圧倒的な試合を繰り広げ、「指導3」対「指導1」の反則累積差で優勝を決めた。

日本の世界選手権代表、近藤亜美は準々決勝でクセルノビスキに敗退。
27秒に左一本背負投から立ち上がったところを、クセルノビスキの右小内巻込に捕まり「有効」失陥。以後は右小外刈で前に出て「指導2」まで取り返すが、終盤に片手の右払腰から左一本背負投と技を繋いだところをクセルノビスキの右内股巻込に捕らえられてしまい2つ目の「有効」失陥。そのまま試合終了となった。

「有効」2つはいずれも「技有」あるいは「一本」がコールされてもおかしくないもので、近藤は完全な力負け。展開、そして失点の場面と近藤の身の軽さや思い切り、技のつなぎといったストロングポイントが相手のパワーに潰されたという体の完敗であった。

クセルノビスキは長年ランキング一桁台を張り続けている階級有数の強豪で、ロンドン五輪3位決定戦では失意の中で畳に上がった福見友子から勝利した実績もあるが、歴代日本のトップ選手はこの選手にほとんど負けていない。ゆえに、高校を卒業したばかりの若手とはいえ世界選手権で「1人代表」を務める近藤の完敗は、かつて最強階級であった日本の48kg級の苦戦を端的に示すものとして衝撃的であった。

クセルノビスキはこれまで、試合以上に稽古でのパワーと強さが際立つ選手であった。大柄な体格ゆえの減量のきつさが試合のパフォーマンスの低下を招き、かつスタミナの無さという弱点を生み出していたのではと思われるが、前日計量と試合時間の1分短縮というルール変更がこれまで以上の強さを生み出しているという観察がひとつ成り立つ。世界選手権では要警戒だ。

【日本人選手勝ちあがり】

近藤亜美(三井住友海上)
成績:3位

[2回戦]
近藤亜美○袈裟固(1:43)△シエ・シーシー(中国)

右相四つ。組み合うことを回避した相手が滑り崩れて16秒偽装攻撃の「指導1」。近藤前に出て右払腰を仕掛けると、組んでいられない相手は右一本背負投に潰れて40秒偽装攻撃の「指導2」。
それでも組みたがらない相手が低い右袖釣込腰に潰れると、近藤冷静に脚を差し入れて右内股の形でめくって寝技に移行。首を極めて右から縦四方固、さらに左に降りて崩袈裟固で抑え切り「一本」。


[準々決勝]
近藤亜美△優勢[有効・小内巻込]◯エヴァ・クセルノビスキ(ハンガリー)

右相四つ。27秒、近藤の左一本背負投からの立ち上がりを、クセルノビスキが右小内巻込。一本背負投のフェイントが良く効き「有効」。
以後近藤は右小外刈で前に出て場外の「指導」、消極の「指導2」を得るが上背とパワーで劣って苦しい展開。
終盤、近藤が片手の右払腰、そして左一本背負投と技を繋ぐがその終点を狙ってクセルノビスキ思い切った右内股巻込「有効」。そのまま試合終了。

[敗者復活戦]
近藤亜美○送襟絞(1:24)△マリナ・チェルニアク(ウクライナ)

右相四つ。相手の大外刈を刈り返して大外返「有効」。そのまま寝技に持ちこみ送襟絞で「一本」。

[3位決定戦]
近藤亜美○横四方固(0:47)△ジュリア・フィゲロア(スペイン)

開始からアグレッシブ。崩れた相手に寝技を挑み、横四方固で一本勝ち。わずか47秒で勝利決定。

■ 52kg級
-ケルメンディがネト、ウラニーら強豪立て続けに下し戴冠-

【入賞者】 エントリー30名
1.KELMENDI, Majlinda(KOS)
2.GIUFFRIDA, Odette(ITA)
3.NAREKS, Petra(SLO)
3.STARKOVA, Oleksandra(UKR)
5.EURANIE, Annabelle(FRA)
5.GNETO, Priscilla(FRA)
7.MAROS, Barbara(HUN)
7.SUNDBERG, Jaana(FIN)

第1シードのリオ世界選手権王者マリンダ・ケルメンディ(コソボ)が全試合一本(1試合の「指導4」反則、1試合の不戦勝ち含む)勝ちで圧勝優勝。

対戦相手は強豪ばかりだったが、2回戦でローラ・ゴメス(スペイン)を腕挫十字固(1:20)、準々決勝でプリシラ・ネト(フランス)を左払腰「有効」からの横四方固(4:00)、準決勝はアナベール・ウラニー(フランス)を「指導4」で下す圧倒的な試合ぶりで決勝進出。

決勝は昨年の欧州ジュニア王者オデット・ジュッフリダ(イタリア)が負傷のため畳に現れず、あっさり優勝を決めることとなった。

この日の強さを見る限り世界選手権はやはりこの人が優勝候補の一番手。ガッチリ奥襟を掴む力勝負志向も新ルールに噛み合い、かつて競り合っていたライバル達を引き離しつつあると見て間違いないかと思われる。

まだ代表が決まっていないこの階級の世界選手権代表決定を週明けに控えるフランス勢2人にとっては失意の1日。ネトはケルメンディ相手に抑え込みを2度逃げる執念を見せたが3位決定戦にも敗れて5位、同じくウラニーも5位に終わり、少なくともこの階級の「2枠行使」の可能性はこの日でほぼ消滅した感ありだ。

■ 57kg級
-松本薫が優勝、ドルジスレン、カプリオリウを寄せ付けず-

1.MATSUMOTO, Kaori(JPN)
2.RECEVEAUX, Helene(FRA)
3.BEDETI, Vlora(SLO)
3.KARAKAS, Hedvig(HUN)
5.CAPRIORIU, Corina(ROU)
5.DORJSUREN, Sumiya(MGL)
7.LU, Tongjuan(CHN)
7.ROPER, Miryam(GER)

松本薫が圧勝で優勝。最大の山場と目されたのは準々決勝の2013年ワールドマスターズ王者ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)戦だったが、パワーファイトを仕掛けたい相手を逆に力で圧倒。右小外刈を連発して主導権を取り続け、グランプリ・デュッセルドルフでの対戦時と同じ「指導2」優勢でここを勝ち抜ける。

五輪決勝の再戦となったコリナ・カプリオリウ(ルーマニア)との準決勝では完全に相手を呑んでかかり、右、左と形を変えて組んでくるカプリオリウの柔らかい受けを攻め続けることで追い込み、中盤に有無を言わさぬ右大外刈で体を固定して「技有」、さらに気持ちの切れた相手を右小外刈で転がし合技「一本」で完勝。エレン・ルスヴォ(フランス)との決勝も「指導2」奪取後、後がない相手が仕掛けてきた右大内刈を体捌き良く大内返に捕らえて「技有」奪取。そのまま優勢勝ちで優勝を決めた。

負傷にポカ負けと国内では色々と波のある松本だが、グランプリ・デュッセルドルフ優勝に今大会の勝利と国際大会ではキッチリ結果を残し、その強さは相変わらず。技の技術や組み立ての巧拙ではなくマクロにもミクロにも、入り口から出口までアグレッシブに戦うこと自体で勝ち抜くタイプの松本が集中力もモチベーションも失わず、当たり前にそれを遂行する様には凄みが漂う。周囲に松本の強さと怖さを再び印象づけたであろう、圧勝Vであった。

3位にはカプリオリウの内股を裏投気味の大外刈で切り返し「有効」を奪って勝利した地元のヘドウィグ・カラカス(ハンガリー)と、ドルジスレンの棄権で表彰台に滑り込むこととなったヴィオラ・ベディティ(スロベニア)が入賞。ハバナ大会に続く連戦のカラカスはこのところ調子を上げてきており、組み合わせ次第では世界選手権表彰台争いのダークホース的存在となる可能性が出てきた。

【日本人選手勝ちあがり】

松本薫(フォーリーフジャパン)
成績:優勝

[1回戦]
松本薫○袈裟固(1:57)△ヤディニス・アマリス(コロンビア)

ケンカ四つ。右出足払で転がし、ローリング2回を経ての崩上四方固、さらに横四方固と繋いで一本勝ち。

[2回戦]
松本薫○小内刈(1:53)△ノラ・ジャコヴァ(コソボ)

右相四つ。ジャコヴァは右小外刈、松本は左袖釣込腰で攻めあう。
松本は長い寝技の展開を2度続けて主導権確保。
1分53秒、右横変形から引き手で相手の釣り手を抱きこみつつ、岡田弘隆式の脚を差し入れる右小内刈。頭から叩き落して「一本」。

[準々決勝]
松本薫○優勢[指導2]△ドルジスレン・スミヤ(モンゴル)

ケンカ四つ。松本が右小外刈を連発して圧倒。1分30秒過ぎには小外刈、大内刈、内股とアグレッシブに技を繋いで「指導2」まで奪取。
ドルジスレンはこの後右腰車を見せるがまともに入った技はこれのみ。立ち技、寝技と迫力の攻めを続けた松本がグランプリデュッセルドルフに続きワールドマスターズ王者のドルジスレンを完封。

[準決勝]
松本薫○合技[大外刈・小外刈](3:04)△コリナ・カプリオリウ(ルーマニア)

受け柔らかく、右、左と形を変えて組んでくるカプリオリウを松本が徐々に追い詰める。立って、寝てと攻め立てて1分27秒には這いずって場外に逃れたカプリオリウに「指導2」。
ノラリクラリと相手の技を受ける相手に対し、松本ここからペースアップ。右小外刈から脚を戻さず右大外刈に繋ぎ、脚を高く上げて逃げるカプリオリウを追い込んで体を捨てて「技有」。
直後、やや気持ちの切れた相手に右小外刈を決めて2つ目の「技有」奪取で試合終了。松本の強さ際立つ。

[決勝]

松本薫○優勢[技有・大内返]△エレン・ルスヴォ(フランス)

左大腰、左腰車と逆の大技を連発して主導権を確保「指導2」を得る。
ルスヴォは残り1分半で右腰車を放つが思い切った技はこの1つだけで、試合の流れは完全に松本。

3分1秒、後がなくなったルスヴォの右大内刈を体捌き良く返して「技有」奪取。以後も攻め続けてままタイムアップで危なげなく優勝決定。

■ 63kg級
-田代未来充実の内容で優勝、世界選手権に展望開ける-

1.TASHIRO, Miku(JPN)
2.TRAJDOS, Martyna(GER)
3.DI CINTIO, Maelle(FRA)
3.VAN EMDEN, Anicka(NED)
5.OZDOBA, Agata(POL)
5.VALKOVA, Ekaterina(RUS)
7.PUCHE, Isabel(ESP)
7.SZABO, Franciska(HUN)

田代未来が素晴らしい内容で優勝。一本勝ちを3つ並べて準決勝に進出すると、最大の勝負どころと目された第1シードのアニカ・ファンエムデン(オランダ)戦は「指導1」のリードをテコに立って、寝てと奔放に攻め続けて試合巧者の相手が企図する反撃のきっかけをことごとく殺して優勢勝ち。決勝は左相四つのマルチナ・トラジドス(ドイツ)が釣り手を肩越しから奥襟に持ち替えようとする瞬間を狙い済まして左大内刈で抱き返し「技有」奪取。このポイントを持ったまま試合を終えてIJF主催シニア国際大会初優勝を決めた。

世界選手権で表彰台を争うレベルの敵との対戦はファンエムデンのみ、入賞を争うレベルの相手はトラジドスのみというトーナメントであったが、田代が得たものは大きい。
ワールドツアー(グランプリ以上)でまだタイトルのない田代が世界選手権に向けて結果を残したという事実、そしてタイトル奪取による自信の醸成はもちろんだが、何よりその内容、元気の良さを大いに買いたい。田代がこれほどイキイキとした柔道を披露したのは本当に久々ではないだろうか。

中学時代から天才と呼ばれ続けた田代だが、高校2年時の膝の大怪我でキャリアは一時中断、復帰以後のパフォーマンスも決して本来のものではなかった。結果こそ残してはいるが、かつて放っていた光を知るファンにはもどかしい内容が続き、かつての華やかさの反作用を受けたかのごとく、柔道にどこか暗さが漂う面があったのは否めない。

貪欲な連続攻撃に素早い寝技、そして狙い済ました一撃。この日の柔道にはその田代が放つ光の「上がり目」がついに見られた。ファンエムデン突破にワールドツアー初優勝という結果はもちろん、世界選手権に向けてこの点大いに展望が開けた一日だったのではないか。世界選手権代表への抜擢による使命感が田代のメンタル的な復活のきっかけになるのであれば、これは首脳陣としても本望であろう。収穫多い1日であった。


【日本人選手勝ちあがり】

田代未来(コマツ)
成績:優勝

[2回戦]
田代未来○縦四方固(3:27)△セクヒル ハリム・モハメド(ポーランド)

左相四つ。相手の左内股を潰して崩上四方固に入るも途中で逃げられ「有効」に留まる。続いて、相手の組み際の抱き付き左小外刈を潰して縦四方固に固めて「一本」。

[3回戦]
田代未来○小外掛(2:26)△マグダレン・クルサコワ(オーストリア)

田代が左、クルサコワが右組みのケンカ四つ。
田代が左大内刈から左小外刈につないで「技有」。さらに左大内刈で場外際に追い込んで転がし「有効」とポイントを連取。
もはやいつ試合を決めるかという圧倒的状況。お互い釣り手のみを持った状態から体を寄せて裏投気味の左小外掛、見事に決まって「一本」。

[準々決勝]
田代未来○肩固(2:09)△フランシスカ・スザボ(ハンガリー)

右相四つ。開始早々両袖の左小外刈で「有効」。さらに左内股「有効」から寝技を展開し、頭を逆手で抱え込む変形の肩固で「一本」。

[準決勝]
田代未来○優勢[指導1]△アニカ・ファンエムデン(オランダ)

最大の山場。左相四つ。ファンエムデンは再三得意の右袖釣込腰を試みようとするが、田代はしっかり釣り手を押さえて体の回転を許さない。
30秒、ファンエムデンに場外の「指導」。田代は相手の釣り手を落としながら左小外刈、左小内刈、左体落に相手をあおっての左内股と奔放に攻め続け、寝技も相手に先んじて攻める。田代の意欲を嫌気した感のあるファンエムデンは打開の一手が打てないまま終戦。

[決勝]
田代未来○優勢[技有・大内刈]△マルチナ・トラジドス(ドイツ)

左相四つ。双方釣り手を落としあう相四つ横変形の形から田代が粘り強く足技を繋いでリズムを掴む。
2分30秒、トラジドスが釣り手を肩越しに入れ、次いでここから奥襟に持ち替える。この瞬間に合わせて田代は首を抱えつつ左大内刈で押し返し、決め良く相手を叩きつけて「技有」奪取。最後は寝技で攻め続けたまま試合を終え、文句なしの勝利で優勝決定。


文責:古田英毅
(writer:Hideki Furuta)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版6月22日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.