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グランプリ・ブダペスト第1日男子各階級レポート

(2014年6月22日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版6月22日掲載記事より転載・編集しています。
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男子各階級レポート
グランプリ・ブダペスト第1日
■ 60kg級
-高藤直寿が圧勝優勝、凄み漂う強さで他を寄せ付けず-

【入賞者】 エントリー32名
1.TAKATO, Naohisa(JPN)
2.PAPINASHVILI, Amiran(GEO)
3.MILOUS, Sofiane(FRA)
3.MUSHKIYEV, Ilgar(AZE)
5.DASHDAVAA, Amartuvshin(MGL)
5.KOSSAYEV, Yerkebulan(KAZ)
7.GERCHEV, Yanislav(BUL)
7.SHIRINLI, Vugar(AZE)

第1シードの高藤直寿が圧勝優勝。

決勝は今大会最大の敵にして世界選手権優勝争いのライバル、アミラン・パピナシビリ(グルジア)と対戦。ケンカ四つで横から背中に腕を回してくる相手に対して釣り手操作で間合いを確保して攻め続けると、3分半過ぎに焦れた相手が組み手をスイッチして左組みの形で奥襟を叩きに来る奇襲。この試合でパピナリビリが初めて見せた形だったが、高藤瞬時に得意の右大腰で迎え撃って宙を舞わせ見事な「一本」。ワンチャンスを確実に生かしたと言ってしまうのは簡単だが、相手の奇襲、それも伏線なしのファーストアタックを慌てず、しかも飛び切りの大技で仕留める高藤の冷静さと勘の良さ、選択の大胆さはまさしく鳥肌もの。

決勝までの勝ち上がりの過程も素晴らしかった。組めば投技、崩れれば寝技とアグレッシブに攻め、いつでもどこからでも「一本」を狙う構え。片手の攻防を挑まれても攻撃の手札、威力とも相手を上回り、自らの技の多彩さから来る経験値ゆえか変則技への対応も完璧。準決勝でイルガー・ムシュキエフ(アゼルバイジャン)を送襟絞「一本」で仕留めた通り、もはや相手としては中途半端な掛け潰れすら許されない状況。5戦5勝、うち4つの「一本」という数字以上に高藤の全方位的な強さが際立った大会。他選手が「高藤は一段力が違う」とあきらめたとしてもおかしくない、凄み漂う柔道であった。

今大会でより一層ライバル達にプレッシャーを与え、実力、そして精神的な駆け引きと世界選手権に向けて死角なし。本番は絶対の優勝候補に挙げて間違いないだろう。前哨戦としては順調すぎるほどの大会であった。

第2シードのパピナシビリと第3シードのダシュダバー・アマーツブシン(モンゴル)による準決勝はパピナシビリが小内刈「有効」と4つの「指導」を奪って完勝。

ダシュダバーとソフィアン・ミルス(フランス)の3位決定戦は、この週明けに世界選手権代表選考を控えるミルスが「技有」ビハインドから左体落を押し込んで「技有」を取り返し、最後は腕挫十字固「一本」。昨年60kg級の世界選手権代表なしの屈辱を味わったミルスが意地を見せ、最後のアピールに成功した形となった。ダシュダバーは世界選手権上位候補だが、屈辱的な2連続一本負けで一歩後退。来月のウランバートル大会での巻き返しなるか注目したい。

【日本人選手勝ちあがり】

高藤直寿(東海大3年)
成績:優勝

[1回戦]
高藤直寿○小内刈(1:37)△ツェンドチル・ツォグトバータル(モンゴル)

左相四つ。組みたがらない相手に敢えて釣り手から持って左背負投、これを起点に引き手も確保して左小内刈「一本」。

[2回戦]
高藤直寿○優勢[有効・袖釣込腰]△ルーカス・キエルバシンスキー(ポーランド)

左相四つ。開始早々に右袖釣込腰で「有効」。以後は組みたがらない相手と噛み合わずビッグチャンスはなかったが、立って、寝てと攻め続けて危なげなく終了。

[準々決勝]
高藤直寿○袖釣込腰(2:21)△ヤニスラフ・ゲルチェフ(ブルガリア)

高藤左、ゲルチェフ右組みのケンカ四つ。右組みの形から始めて両袖に持ち替え、右袖釣込腰「一本」。

[準決勝]
高藤直寿○送襟絞(0:42)△イルガー・ムシュキエフ(アゼルバイジャン)

左相四つ。左小内刈で崩して送襟絞。相手は即座に「参った」。

[決勝]
高藤直寿○大腰(3:32)△アミラン・パピナシビリ(グルジア)

高藤左、パピナシビリ右組みのケンカ四つ。パピナシビリは釣り手で背中を深く持つが、釣り手が良く動く高藤は巧みに間合いを作りながら左内股、左袖釣込腰で攻める。パピナシビリは出し投げの形で対抗しつつチャンスをうかがうという様相で試合が推移。「指導1」を取り合うも、大枠の展開、もつれ際の攻防ともに常に高藤が優位。
3分半過ぎ、焦れたパピナシビリが左組みの形にスイッチして左手で奥襟を叩く奇襲。しかし高藤瞬時に右大腰を合わせて思い切り投げつけて一本勝ち。強敵パピナシビリを寄せ付けず。

■ 66kg級
-高市賢悟優勝、苦しい序盤を戦い切る-

【入賞者】 エントリー33名
1.TAKAICHI, Kengo(JPN)
2.SHERSHAN, Dzmitry(BLR)
3.SHIKHALIZADA, Nijat(AZE)
3.ZANTARAIA, Georgii(UKR)
5.KARDAVA, Shalva(GEO)
5.ZAGRODNIK, Pawel(POL)
7.DEGEN, Junior(NED)
7.FLICKER, Tal(ISR)


高市賢悟が苦しい試合の連続も集中を切らさず、攻め続けて優勝。

序盤から難しい試合が続いた高市だが、粘り強く守り、そして攻め続けて勝ち上がる。最大の山場と目された準決勝のザンタライア戦は相手の左内股を返して「技有」リードも、相手の左大外刈を返し損ない強引に巻かれて大外巻込「技有」失陥とこれも苦しい試合。しかし「指導」差リードを得てこの試合を勝ち抜けると、決勝はダークホースのズミトリ・シェールスハン(ベラルーシ)から内股「技有」、背負投「有効」と連取。直後に背負投で「有効」を失い、自ら挑んだ寝技の攻防で抑えられる(ノーポイントで逃れる)などこの試合もスンナリとは行かなかったが、気持ちを切らさず試合を終えて優勝を決めた。

昨年来の「海外選手相手に全勝」という代表抜擢の因となったステータスを今大会も続けた格好の高市だが、内容はまさしく苦戦続き。相手に凌がれた時の攻撃の幅の狭さ、そしてこの日は体の強さとバランスの良さで「結果オーライ」となった受けの方法論に課題を残した印象だ。背負投を志向してか常に釣り手から持ち続けることで流れを失い、かつそれを修正せずに度々ピンチを迎えた1,2回戦など試合中の戦術選択も賛否の分かれるところであるはずで、経験値の不足は否めない印象。抜群の体幹の強さと、釣り手さえあればとあくまで担ぎ技を仕掛け続ける忍耐力と技の威力、そしてスタミナと、このクラスでも通用するストロングポイントが見えた一方、世界選手権までに乗り越えるべき課題もまた多く見つかったであろう一日。

ザンタライアは3位決定戦でパウエル・ザグロドニック(ポーランド)を腰車「一本」に下して表彰台を確保している。高市には敗れたが、日々この階級への対応力を上げている印象で、世界選手権も表彰台候補と見積もって間違いないかと思われる。

【日本人選手勝ちあがり】

高市賢悟(東海大3年)
成績:優勝

[2回戦]
高市賢悟○優勢[指導3]△アブドウラ・アブデュルザリドフ(ロシア)

右相四つ。相手は右組みの左構え。高市は釣り手から持ち続けるがこれを利用されて右大外刈、片襟の右体落、右大外刈と3度大きく崩されてあわやポイント失陥という場面も。地力と技で勝って、20秒偽装攻撃の「指導」、2分9秒偽装攻撃の「指導2」、2分39秒場外の「指導3」と奪うが自身も2つの「指導」を失うという難しい試合。一旦抑え込み掛けながら逃げられる場面もあり、立ち上がりとしては微妙な内容。「指導3」対「指導2」の辛勝。

[3回戦]
高市賢悟○合技[引込返・横四方固](5:00)△ミハエル・バルツシック(ポーランド)

またもや左構えから頻繁に右技を仕掛けてくるタイプで、釣り手からの手順に拘る高市は度々危ない場面を迎えるが際のバランスのよさでことごとく回避。終盤までに「指導2」をリードする。
終了間際、焦って低い体落に潰れた相手を引き上げて引込返「技有」、そのまま横四方固に抑え込み合技「一本」。

[準々決勝]
高市賢悟○優勢[技有・背負投]△ジュニア・デゲン(オランダ)

右相四つ。序盤から多彩な技で攻め続け、2分過ぎに右背負投で「技有」を奪う。やや危ない場面もあったが終始攻め続け優勢勝ち。

[準決勝]
高市賢悟○優勢[指導2]△ゲオルギー・ザンタライア(ウクライナ)

ケンカ四つ。序盤に両者「指導」も、57秒に相手の左内股をめくり回して内股返「技有」奪取。以後ビハインドを追ったザンタライアの猛攻にさらされ残り2分に左大外巻込で「技有」を取り返されるが、背負投と内股で攻勢を続けて4分13秒に二つ目の「指導」を奪取。そのまま時計を進めて「指導2」対「指導1」の反則累積差で勝利。

[決勝]
高市賢悟○優勢[技有・内股]△ズミトリ・シェールスハン(ベラルーシ)

高市右、シェールスハン左組みのケンカ四つ。開始早々に高市が右内股、相手が腕挫十字固を狙ってまたいだところをそのまま押し込み「技有」奪取。
残り1分、高市の右背負投を相手がまたいでまたも腕挫十字固を狙う。高市再びそのまま押し込んで「有効」追加。
直後相手の左背負投に転がされた高市は「有効」を失うが、この展開からの寝技で相手を立たせず。一時は縦四方固で抑えられかかるが逃れて残り12秒まで時計を進める。そのままタイムアップ、高市が「技有」優勢で優勝決定。

■ 73kg級
-シャフダトゥアシビリついに復活、そして衝撃の負傷退場-

【入賞者】 エントリー32名
1.SCVORTOV, Victor(UAE)
2.SHAVDATUASHVILI, Lasha(GEO)
3.KHASHBAATAR, Tsagaanbaatar(MGL)
3.REKHVIASHVILI, Zebeda(GEO)
5.DUPRAT, Pierre(FRA)
5.GANBAATAR, Odbayar(MGL)
7.DREBOT, Serhiy(UKR)
7.PARLATI, Enrico(ITA)

無名の若手選手として迎えたロンドン五輪で66kg級を制し、翌年の欧州選手権で優勝も以後は沈黙、73kg級転向以降もまったく映えない柔道を続けていたラシャ・シャフダトゥーァシビリ(グルジア)が大爆発。1回戦でシード選手のルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)に大内刈「一本」、2回戦は地元のジュラ・ハル(ハンガリー)に掬投「有効」の優勢勝ちだったが、準々決勝はピエール・デュプラ(フランス)を大内刈「一本」で料理し、準決勝は優勝候補一番手のハッシュバータル・ツァガンバータル(モンゴル)から大内刈で「有効」「技有」と連取、さらに得意の隅返を相手に抱かせておいての大内刈で思い切り投げつけての一本勝ち。

ついにシャフダトゥーァシビリが来たと関係者が色めき立つ素晴らしい内容だったが、しかし決勝は過酷な運命が待っていた。ヴィクター・スクボトフ(UAE)に大外刈を仕掛けた際に悲鳴を上げて倒れこみ、そのまま立ち上がれず。足を捻ったのか、そのまま試合を棄権して畳を去ることになった。

倒れた状況、そしてその苦しみようからしておそらくは重傷。「五輪だけの一発屋」の悪評を払拭したこの日の内容は世界選手権でも主役級の活躍が期待出来るのではという素晴らしいものであったが、出場の可否は微妙かと思われる。やはり「五輪で運を使い切ってしまった」のか。負傷が軽症であることを祈りたい。

というわけで優勝はスクボトフ。もともとワールドカップが主戦場の選手だったが2013年にモルドバから移籍するなり急成長。昨年のグランプリ・アブダビではUAEに地元大会初の優勝をもたらし、今大会を前にしたワールドランキングはなんと9位というハイランク。今大会でIJF主催大会2つ目のタイトルを得て、どうやら上位選手として定着しつつある印象だ。

ツァガンバータルは3位決定戦で同国の後輩、27歳のガンバータル・オドバヤルに一本勝ちして表彰台を確保。昨年はあまりの試合出場数の多さに疲労したか後半はまったく精彩を欠いたが、今期は2月に欧州シリーズをこなして以降はこれがまだ2試合目で、明らかに出場試合を絞り始めている。その成果か今大会は久々ツァガンバータルらしい体の強さが見られ、試合内容も充実。世界選手権に向けて復調傾向と見積もって良いかと思われる。

文責:古田英毅
(writer:Hideki Furuta)

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