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上川大樹好調継続、逆転「一本」で七戸龍を破る・全日本選抜柔道体重別選手権100kg超級レポート

(2014年5月17日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版5月17日掲載記事より転載・編集しています。
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全日本選抜柔道体重別選手権100kg超級レポート
上川大樹好調継続、逆転「一本」で七戸龍を破る
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準決勝、七戸龍は王子谷剛志を「指導」2つの優勢で破る

優勝候補は、2連覇を狙う第1シードの七戸龍(九州電力)、第2シードの上川大樹(京葉ガス)、そして原沢久喜(日本大4年)の3名。決勝には七戸と上川が勝ち上がってきた。

大会三連覇を狙う七戸は1回戦で岩尾敬太(京葉ガス)を相手に「取り組まない」「偽装攻撃」「消極」と3つの「指導」を奪った末に横四方固で一本勝ち(3:32)。準決勝は前戦で百瀬優(旭化成)に「指導4」と完勝してきた王子谷剛志(東海大4年)との厳しい試合を「指導2」対「指導1」の僅差で勝ち抜き、今年も順当に決勝進出。

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上川大樹は大一番の原沢久喜戦にあっという間の払腰「一本」で勝利

一方今期絶好調の上川は1回戦こそしぶとい上杉亮太(旭化成)を相手に慎重に試合を進めて「指導3」による優勢勝ちだったが、準決勝の大一番・原沢久喜戦は会場息を詰めて見守る中、なんと開始僅か15秒、強烈な右払腰を決めて一本勝ち。相手に釣り手を押さえさせたまま、肘を上げて手首を伏せることで引き寄せ、その防御を無力化した見事な一撃。そのやはり今期の上川は違うと満場を唸らせ、堂々3年連続の決勝進出。

決勝は七戸と上川ともに右組みの相四つ。両者の決勝対決は3年連続、一昨年は大外刈「一本」で、昨年は内股と袈裟固の合技「一本」でいずれも七戸が勝利しているというカード。

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決勝、七戸が片襟の右大外刈で上川の足首を捕まえ「有効」

七戸やや性急に、上川は丁寧に「礼」をしタイミングが噛み合わず。主審に呼吸を合わせるよう促されるがまたしても噛み合わないまま「始め」の声が掛かり、試合が開始される。

七戸はまず引き手から求め、受け入れた上川は相手に合わせて釣り手から組み手を開始。上川は七戸が高く持った釣り手をやや嫌うがまずは両襟を握って「組み合う」勝負へと七戸を誘導。

20秒、上川は引き手を袖に持ち代えると横襟を高く握った七戸の釣り手を剥がそうと首を上げ、背筋を使って角度差を生み出して、組んだ二本をキープしたままこれを切り離す。七戸切られた動作そのままに一旦手元に腕を引き戻すが、あくまで袖を握りこんだ上川の手がついてきて離れない。七戸ならばとこれを再び上川の襟を狙って送り戻すその動きに合わせて、釣り手で右片襟を握って右大外刈の奇襲。スッポ抜けかけたが打点を低く切り替えて上川の足首を捕まえ、体を捨てながら相手を真横に刈り落として「有効」、経過時間は25秒。会場どよめく中そのまま右からの袈裟固に抑え込む。

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七戸は袈裟固、後袈裟固と繋ぐが上川はワンハンドで振り返して逃れる

絶体絶命の上川、しかし諦めず必死で鉄砲返し。七戸は右手を離して畳を突いて耐え、次いで崩したバランスを保つべく後袈裟固に連絡するがその変化の瞬間上川は上半身を起こすことに成功。左手で七戸の首越しに襟を握ってプレッシャーを掛けながらさらに一段身を起こすと、左手を離して自身の左側に空間確保、右手一本でそのスペースに向けて七戸を反時計回りに振り起こす。一瞬の拮抗の後、七戸ゆっくりと回転して伏せ「解けた」が宣告される。抑え込み時間は9秒、経過時間は33秒。

再開後、上川は手順を変えず釣り手を求める。七戸片襟の右体落で迎え撃って上川を崩す。

一発を狙う上川、ジックリと前に。七戸は釣り手で高い位置を得る絶好の形を作り出すもののリードもあってかやや慎重に相手の出方を伺い、一方前に出続けながら攻撃機会を伺う上川も低い位置に落とされた釣り手の位置をなかなか上げられず技を出すことができない。慎重な七戸、攻撃志向ながらも槍を突き入れる一穴をなかなか見出せない上川という構図のまま20秒近く足技の牽制のみの膠着が続き、1分25秒双方に「指導」。

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上川が右払腰、ことごとく七戸に引き手を切られるがあくまで攻撃を止めず「指導」3つまで奪取

上川は両襟で前進。呼吸を整えると右大内刈、さらに気合十分の右払腰と技を繋ぐが心得た七戸あっさり引き手を切って相手を突き飛ばし、つんのめった上川が場外に出て「待て」。経過時間は1分47秒。

再開後、七戸が組み手争いなくあっさり釣り手で奥襟を得るが、上川表情を変えず引き手で脇下を突いて距離を取りつつあくまでジックリ試合を進める。2分9秒七戸の前進に合わせて放ったノーステップの右払腰は七戸が引き手を切って砕き「待て」。続く展開も七戸の前進を受けた上川が出足払を2度、3度、これを餌に出足払フェイントの右払腰へと繋いで山場を作る。七戸は揺るがず、どうやら上川得意の払腰の威力は懐の深い七戸には通じにくいという構図が見えてきた印象だが、ここで主審が試合を止め、七戸に2つ目の「指導」を宣告する。経過時間は3分5秒。

奮起した七戸は右大外刈、両襟で迎え撃った上川は後ろ回り捌きの右払腰に捉え返そうとするが間合いが取れずにバランスを崩し、危機を感じた七戸も深追いせずにこの攻防は終了。以後上川が右払腰を2度試み、釣り手を引き寄せながらの右小内刈を放った直後の4分16秒、双方に「指導」が宣告される。上川の累積はこれで「2」、七戸はついに「3」となり、あと1つの「指導」で上川の逆転勝利となるところまで状況が煮詰まる。宣告の瞬間、会場にさざ波のようなどよめき。

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リードの七戸は上川の釣り手を抱きこんで展開のスローダウンを企図

この上げ潮を捕まえてあと1つの「指導」を積み上げてしまいたい上川だが、勝負に出ようとするたびに七戸が一歩前に出て距離を狂わせ、その意図を潰す。残り25秒で上川が放った右内股も七戸押し返して出足払に繋ぎ、上川を外に押し出して「待て」。

上川釣り手を振りながら前に出るが、七戸は奥襟を掴み、上川の釣り手を低く落とし抱いて展開をスローダウン。このまま試合終了濃厚かと思われたが最後にドラマが待っていた。

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上川が七戸の出鼻を捉え、相手を引き寄せながらの右大外刈「技有」

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上川が支釣込足を入れながら前に。さらに組み手とは逆の左小内刈を入れて七戸の左足をずらし崩すと、「指導」失陥の危機を感じた七戸この技をきっかけに前に。右足、左足、そして右足とおそらくは右大外刈を狙って踏み込んだこの動きに合わせて、相手をスルリと力の圏内に引き寄せた上川はカウンターの右大外刈。

上川の射程距離内に呼び込まれ、同時に着地の瞬間を刈られた形になった七戸全く逆らえず投げ込みのように一回転半。観客一同が敵味方問わず思わず投げに合わせて気合の一声を発した見事な一撃、会場どよめく中で主審は即座に「一本」を宣告。回り過ぎたという判断でこれは「技有」に訂正されたが、残り時間は僅か2秒で、この技で勝負が決した事実は変わらず。上川が「技有」による優勢で勝利を収め、2011年大会以来3年ぶり2度目となる全日本選抜体重別選手権制覇を決めた。

決勝は上川の執念とあくまで投げを狙う姿勢に勝利の女神が微笑んだ。勝負を決めた右大外刈は相手の出篭手に技を重ねる後の先の技ではあったが、あと数秒そのまま時間を過ごせば勝利という状況にあった七戸に敢えての前進攻撃を強いたのはここに至るまでの「指導」3つの積み上げであり、あくまで投げを狙い続けた上川の一撃のプレッシャーであり、そしてその積み上げを可能ならしめたのは言うまでもなく序盤の七戸の袈裟固を返して絶体絶命の危機を脱した勝利への執念であった。警戒線内に相手が侵入するや否やの一撃の速さと強さも見事であったが、この日は上川の技の威力とともに、何よりこの点に注目すべきであろう。

上川は今年2月のグランプリ・デュセルドルフと3月の全日本選手権東京ブロック予選に抜群の内容で優勝。優勝という成績、「一本」連発という結果はもちろんこと、かねてよりメンタルの不安定さが指摘され続けてきた上川が披露した別人のような好戦的内容に「ついに上川が覚醒した」と期待する声が多々あがっていた。そんな中、昨年全日本選手権準優勝者の原沢、そして明らかに相性の悪い(本人は否定するが)七戸との連戦は上川の覚醒がホンモノかどうかを測る上での最終試験であった。原沢を秒殺、苦手の七戸に対して抑え込まれながら諦めずに試合をやり直す粘りと、「一本」級の見事な投げ。今回の試験は実力的にもメンタル的にもどうやら合格、この時点では上川の変身は「本物」と評して良いかと思われる。この好内容が国際大会、無差別のブロック大会、国内シニアとそれぞれ違うカテゴリで3大会連続していることも買っておきたい。

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3年連続で決勝を争った2人。今回は順位が入れ替わった

敗れた七戸。グランドスラム・パリ優勝という圧巻の成績を残したが、全日本選手権九州予選では思わぬ黒星。捲土重来を期した今大会だったが、リードを守れず悔しい敗戦となった。
しかし上川戦ではまず序盤の大外刈で相変わらずの相性の良さを見せたこと、上川の好調を支えた技術的要因であるノーステップの右払腰をことごとくあっさり潰して完封したこと、食った技が後の先の技というアクシデント要素が強いものであることなど、次回対戦に向けて好材料も多かった。この対戦を経て、次回の勝負に良いイメージを抱けたのはむしろ負けた七戸のほうではなかっただろうか。国内、国際問わず再戦があるとすれば、それはおそらくは極めて高いステージ、自身のキャリアを賭けるような場になるはず。上川逆転勝利という結果と中途の苦戦、七戸が見せた相性の良さと勝負を誤る因となった慎重さ。この日並べられたこれらの要素を記憶した上で、次の対戦を注視したい。


文責・古田英毅

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優勝の上川大樹選手

【成績上位者】
優 勝:上川大樹(京葉ガス)
準優勝:七戸龍(九州電力)
第三位:王子谷剛志(東海大4年)
第三位:原沢久喜(日本大4年)

上川大樹選手のコメント
「内容的にはまだまだ。これから練習です。まだまだ自分の組み手になれないし、技も遅い。人一倍、思いは強いと思っていますし、次もしっかり結果を出せるように頑張ります」

【1回戦】

上川大樹(京葉ガス)○優勢[指導3]△上杉亮太(旭化成)
七戸龍(九州電力)○横四方固(3:32)△岩尾敬太(京葉ガス)
原沢久喜(日本大4年)○GS指導4(GS0:19)△高橋和彦(新日鐵住金)
王子谷剛志(東海大4年)○GS指導3(GS2:19)△百瀬優(旭化成)

【準決勝】
上川大樹○払腰(0:15)△原沢久喜
七戸龍○優勢[指導2]△王子谷剛志

【決勝】

上川大樹○優勢[技有・大外刈]△七戸龍(九州電力)

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