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熊代佑輔が集中切らさず選抜初制覇・全日本選抜柔道体重別選手権100kg級レポート

(2014年5月16日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版5月16日掲載記事より転載・編集しています。
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全日本選抜柔道体重別選手権100kg級レポート
熊代佑輔が集中切らさず選抜初制覇
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1回戦、羽賀龍之介が高橋良介から大内刈で「有効」を先制

大会前日の計量時に「世界選手権代表派遣見送りの可能性あり」との衝撃的な通告が為されたこの階級。

合わせて「全日本選手権までを見て派遣の有無を判断」との通達も為されたが、国際大会で実績を残した選手が皆無と言って良い中で、今大会での一発勝負に世界選手権代表を賭けてきた選手、国際大会に派遣されて序列的には上位と目されていた選手、そして全日本選手権に出場を決めている選手と、そもそもそこにバリューを置いておらず予選に出場していない選手、とこの情報を受け入れる選手の立場は様々。奮起、動揺、諦念、憤り、開き直りと様々な感情揺れ動いたであろう中、決勝まで勝ち上がったのは羽賀龍之介(旭化成)と熊代佑輔(ALSOK)の2人。

羽賀は1回戦で同学年の強敵高橋良介(警視庁内定者)と対戦。左内股を仕掛け続けて「指導」2つを奪取すると、捌かれ続けた内股の残像を利用して2分25秒に左内股から左大内刈に連絡「有効」を得る。高橋の気持ちが切れた2分56秒には大内刈気味の左内股を押し込んで一本勝ち。

準決勝は第1シードの小野卓志(了徳寺学園職)と対戦。前回世界選手権出場者と、昨冬「武者修行」枠にピックアップされてモンゴル単独行を敢行するなど首脳陣の期待を受けた若手の意地と意地がぶつかりあうこの試合は、「指導」の取り合い。29秒羽賀に場外の「指導」、37秒小野の片手内股に偽装攻撃の「指導」、1分57秒小野に場外の「指導2」、2分54秒には双方に「取り組まない」反則で小野に「指導3」、羽賀に「指導2」が累積する。残り12秒、羽賀が小外刈で小野を場外にはたき出したところでいったん小野に場外の「指導4」が宣告されるがこれは取り消し。「指導3」対「指導2」の差を以って羽賀の決勝への勝ちあがりが決まった。羽賀が両襟の内股を度々放って積極的に試合を進め、3分過ぎにはこの内股で小野のひざを着かせる場面はあったが小野も「韓国背負い」や右大内刈の突進も見せて散発ながらも山場を作っており、差をつけることが非常に難しい試合だった。

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準決勝、熊代佑輔が乙津瑞希を左大外刈「一本」に仕留める

一方の熊代はこの日の第2シード選手。1回戦は試合巧者斎藤俊(新日鐵住金)との消耗戦となったが、局面局面を制し続けて手堅く抜け出し「指導3」対「指導2」の優勢で勝利。準決勝は前戦で昨年の講道館杯王者増渕樹(旭化成)を「一本」で食って勝ち上がってきた乙津瑞希(東芝プラントシステム)を僅か1分22秒、豪快な大外刈「一本」に仕留めて決勝進出を決めてきた。

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決勝、羽賀が左内股で攻めるが熊代は足を高く上げて捌いて動ぜず

決勝は羽賀、熊代ともに左組みの相四つ。

羽賀は両襟を握り、釣り手の肘を振りつつ左小内刈を入れて間合いを探る。30秒には左内股を見せるが熊代は揺るがず足を高く上げて捌き、羽賀はすぐに戻って間合いの攻防を継続。小内刈、大内刈と軽い技で牽制を続ける羽賀に対して熊代は両襟から引き手で袖、さらに釣り手操作で柔道衣をずらしてジワジワと組み手の完成を狙う。

1分過ぎ、熊代が高い右一本背負投。しかしこれは腰が砕けて羽賀は外側に逃れ、伏せた相手に被さり横三角を狙う。熊代耐え切って「待て」。経過時間は1分15秒。

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熊代が右袖釣込腰、手が離れるが頭を脇下に入れて固定を確保「一本」

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再開後熊代先んじて引き手で袖を確保。数合のやり取りののち、互いに釣り手で横襟を高く握るガップリ四つの形が出来上がる。

互いに釣り手を動かし、柔道衣と立ち位置をずらしながら投げを仕掛ける間合いを狙い合う長い攻防。
二本持ち合ったまま続くこの精神戦に羽賀が焦れたか、左釣り手を放して片襟側に持ち替えようとする。熊代の釣り手を切り離そうと試みたのか、片襟技を狙ったのか、それとも自身の引き手の上に乗せる技を考えたのか、このアクションを熊代は見逃さない。羽賀の釣り手の動きをそのまま流す方向に思い切り良く右の袖釣込腰。

腰に引っ掛けられた羽賀たまらず一回転。熊代、釣り手は離れたが、首を脇下に入れて支点を確保すると両足を踏ん張ってブリッジする形で相手の体を抑え付けてフィニッシュ。主審高々と手を挙げて「一本」を宣告。

試合時間1分48秒、熊代見事な一本勝ちで初優勝を決めた。

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東海大の先輩後輩対決は先輩・熊代に軍配

代表派遣なしの可能性ありの報に選手の動揺激しい中、最後まで途切れることのなかった熊代の集中力は見事だった。一方の羽賀は首脳陣の期待の高さを実力を以って周囲に裏付けたいところだったが、無念の敗戦。あまりにインパクトの強い一本負けで、あるいはと思われていた世界選手権代表選出も夢と消えた。

大会終了後の強化委員会の結果、100kg級の世界選手権代表派遣の如何は全日本選手権以後に持ち越されることが決定し、結果としてこの階級の代表派遣は見送られることとなった。

国際大会でほぼ1年全く実績を残せていない現状、かつここ3大会のシニア王者が小野(13年選抜)、増渕(13年講道館杯)、熊代(14年選抜)と「日替わり」状態で是が非でも推すべき国内の強者が現れないという状況に鑑み、世界選手権代表派遣なしの荒療治はまことに妥当なものと考える。複数選手のグループを作り、試合の準備に時間を消費するのではなくジックリ強化したいという強化方針も支持したい。

ただし、その伝達方法に関しては異議ありだ。事前に伝えておくことがフェアとの判断からの急な措置であったのではないかと思われるが、問題は試合前ギリギリというそのタイミング。少なくとも選手がその事態を飲み込み、それぞれに咀嚼、整理して試合の準備を行うだけの時間が必要だったのではないか。

機会はないわけではなかった。たとえば、大会まで1ヶ月を残す3月4日に行われた「強化フォーラム」である。ここには連携を図るという目的のもとに強化選手の所属の指導者、コーチがズラリと並んでいた。欧州国際大会が終わって海外勢との戦力比較も終了していたはずであり、所属と選手に理解を求める場としてはこれ以上のものはなかったのではないだろうか。派遣なしの判断は支持、おそらく本稿のような批判が起こることを覚悟でそれでも事前に伝えておくべきと考えたその誠実さも支持するが、タイミングと、まさしく強化フォーラム設置の目的であったはずの「選手、所属との連携」に関してはいささか配慮に欠けたと評しておきたい。

文責:古田英毅

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優勝の熊代佑輔選手

【成績上位者】
優 勝:熊代佑輔(ALSOK)
準優勝:羽賀龍之介(旭化成)
第三位:小野卓志(了徳寺学園職)
第三位:乙津瑞希(東芝プラントシステム)

熊代佑輔選手のコメント
「羽賀には2回負けていて、今回勝たないと次の対戦が負担になってくるので絶対に勝とうと思っていました。(袖釣込腰は)狙ったわけでなく、たまたまかかりました。上の世代の選手の活躍は中堅、若手が不甲斐ないということなので今年こそは勝ちたかった。100kg級が世界に水を開けられているという評価はその通りだと思うので、やるべきことをやって頑張ります」

【1回戦】

熊代佑輔(ALSOK)○優勢[指導3]△齋藤俊(新日鐵住金)
小野卓志(了徳寺学園職)○優勢[指導2]△小林大輔(ALSOK)
羽賀龍之介(旭化成)○内股(2:56)△髙橋良介(警視庁内定者)
乙津瑞希(東芝プラントシステム)○合技[横車・肩固](4:35)△増渕樹(旭化成)

【準決勝】

羽賀龍之介○優勢[指導3]△小野卓志
熊代佑輔○大外刈(1:22)△乙津瑞希

【決勝】

熊代佑輔○袖釣込腰(1:48)△羽賀龍之介

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