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大住有加が優勝、阿部香菜初戦敗退で混沌の世界選手権代表は田代未来が初選出・全日本選抜柔道体重別選手権63kg級レポート

(2014年5月9日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版5月9日掲載記事より転載・編集しています。
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全日本選抜柔道体重別選手権63kg級レポート
大住有加が優勝、阿部香菜初戦敗退で混沌の世界選手権代表は田代未来が初選出
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1回戦、西川真帆が阿部香菜から「技有」奪取

パリ、リオの2大会で世界選手権代表を務めた阿部香菜(三井住友海上)が初戦で西川真帆(龍谷大4年)に敗退するという波乱の幕開け。阿部は1分18秒、2分17秒と立て続けに「指導」(いずれも「消極的」)失陥。ペースを掴めないまま3分0秒には小外掛で「技有」まで失う最悪に近い展開。
必死で攻めるも得意の内股はことごとく空回りして力を伝えられず。残り2秒に裏投に捕まえて畳に叩きつけるが判定は無情の「技有」。結果、攻撃ポイントはタイ、序盤に失った「指導」2つの差を以って西川の勝利が決定した。

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田代未来が嶺井美穂から逆転の左小外掛「一本」

1回戦、田代未来(コマツ)と講道館杯2位の嶺井美穂(桐蔭学園高2年)による若手注目対決は2分22秒嶺井が大内刈「技有」でリード。今大会に世界選手権進出を掛ける田代は残り1分38秒で「一本」を取らねばならない窮地に立たされたが、2分48秒に右小外掛を決めて一本勝ち。準決勝進出を決めて希望を繋いだ。

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片桐夏海が組み手の巧さと手数で津金恵を封殺

12年グランドスラム東京王者の津金恵(筑波大1年)は初戦で片桐夏海(コマツ)に「指導3」で敗退。講道館杯準決勝の対戦では津金に組ませず切り離しを続ける片桐に対して審判が「切り離して攻撃しない」反則を取れずに逆に津金に「指導」を与え続けるという不可解な判定で片桐が勝利しているが、今回は津金にやや元気がない。津金に「場外」と「取り組まない」(双方同時)、片桐に「取り組まない」(双方同時)と「攻撃せずに標準的でない組み方をする」と双方2つの「指導」が宣告された末のGS延長戦1分2秒、津金に消極的との判断で「指導」が与えられて勝負が決した。

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準決勝、片桐夏海が西川真帆から払巻込「一本」で勝利

荒れた展開の中を決勝に進んだのは片桐夏海と大住有加(JR東日本)。ともに環太平洋大出身の同級生対決となった。

片桐は前述の通り1回戦で津金恵を「指導3」の優勢で下し、準決勝は前戦で阿部に勝利した西川真帆を払巻込「一本」(2:43)に屠り去っての決勝進出。

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準決勝、大住有加が田代未来を横三角からの崩上四方固で抑え込む

一方の大住は1回戦で昨年の世界選手権代表田中美衣(了徳寺学園職)と対戦、寝技ファイター田中のお株を奪う格好での横四方固「一本」(3:30)で勝利。田代未来との準決勝は中盤に得意の横三角から崩上四方固、13秒で「解けた」となったが、これで獲得した「有効」ポイントを守ったまま試合を終えて優勢勝ち。見事決勝へと勝ち上がってきた。

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決勝。片桐は一方的な組み手を志向、変則組み手で「指導」を受ける

決勝は片桐が右、大住が左組みのケンカ四つ。双方ともにパワーファイターだが、上背は70kg級からの転向選手である大住が勝る。

引き手争いのさ中、片桐奥襟を確保してハンドル操作で右前技に腰を切ると、大住頭を下げて崩れ「待て」。

大住前に出てまず釣り手の確保を狙うが、組み手にこだわる片桐は手を握り合わせてあくまで嫌い、双方一本も持てず。主審、攻守を良く見極めて片桐の側に「取り組まない」判断の「指導1」を宣告する。経過時間は27秒。

大住は左の外巻込の構えで腕を抱き込もうとするが、回り込んで回避した片桐は引き手で大住の左袖、釣り手で背中を持つ「ケンカ四つクロス」の変則組み手で一方的に組み、右大外刈。大住は左払巻込で一旦展開を切る。

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大住が腹を突き出して強引に投げをうち、変則組み手の突破を図る

再開後、片桐はまたも「ケンカ四つクロス」の変則組み手で、相手に持たせず自分だけが攻撃することを企図。大住、引き手を確保すると釣り手で肩口を掴んでこの形を突破し、腹を突き出してその上に片桐の重心を乗せて強引に投げを打つ。この試合初めて会場がどよめき、大住は左払腰に連絡。降りて回避した片桐は右内股で展開を切るが、主審はここで片桐に対し片袖(攻撃をせずに標準的でない組み方をする)の「指導2」を宣告。経過時間は1分32秒。

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大住の大外刈、刈り足は届かずも片桐崩れ落ちる

両袖の形から片桐は袖を流して谷落に食いつくが、大住はこれをきっかけに引き手で袖、釣り手で奥襟を持つことに成功、持つなり、左大外刈を仕掛ける。この日初めてまともに組ませてもらえた大住のファーストアタックは迫力十分、刈り足は股中に落ちたが片桐グシャリと崩れて伏せる。大住が得意の横三角を狙い、片桐が耐え切り「待て」。経過時間は2分10秒。

再開後、大住の前進を持て余した片桐は引き手を抱きこんで釣り手で背中を持つと、右足を相手の右ひざ裏に入れる「サリハニ状態」の膠着を作る。全く動きを止めたまま釣り手を一段、二段と深く釣り手を握り、ようやく右払腰を放ったところで主審が「待て」。当然ながら片桐に「攻撃をせずに標準的でない組み方をする」判断で3つ目の「指導」が宣告される。経過時間は2分25秒。片桐はあと1つの「指導」で反則負けとなる後のない状態。

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片桐が「有効」を得る

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大住は腕緘から崩上四方固への移行を狙う

続く展開、大住の釣り手を流しいなしながらチャンスを伺う片桐が釣り手で上から背中を叩くことに成功。大住は脇から背中を抱いて食いつくが、片桐は下がりながら再び「サリハニ状態」を一瞬作り出すと右内股、さらに右大外巻込に連絡。崩れ伏せた大住に食いつき、軸足を大きくあげてめくり転がして「有効」、2分47秒。

しかし大住、回り過ぎた片桐の背を捕まえて横三角。腕緘を経由して崩上四方固に移行すると主審は「抑え込み」を宣告。しかし片桐は抑え込みが安定する前に身を捻って逃れ3秒で「解けた」。経過時間は3分17秒、残り時間は43秒。

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大住、左払巻込で「有効」を取り返す

一転ビハインドを負った大住は猛然と前へ。引き手で袖、釣り手は脇を差して背中を確保すると片桐その前進を捌けず持ち合いに応じてしまい、大住は引き手を抱きこんで左大腰、次いで左払巻込に連絡。下がりきれない片桐外足を固定されて場外まで転がり「有効」、経過時間は3分35秒、残り時間は25秒。スコアは再び大住の「指導3」リードに戻る。

片桐は右内股巻込崩れの右大内刈で潰れ、大住は横三角から寝技を選択。この攻防が終了した時点で残り時間は僅か3秒。

片桐、袖を流して谷落に抱きつくが相手は崩れず立ったまま、自分のみがズリ落ちたところで終了ブザー。大住が「指導3」の優勢で勝利し、全日本選抜体重別初優勝を達成した。

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同級生対決は大住に軍配

決勝は比較的似たタイプの対戦ながら、試合を見る限り地力は大住が一段上。中途で片桐がリードを得た一瞬はあったが、組み手の優位確保に腐心して試合を組み立てた片桐に対し、あくまで投げ、そして抑えることを狙った大住の側に勝利の女神が微笑んだという構図の試合であった。

片桐にこの試合で与えられた3つの「指導」は相手の攻勢を受けてのものではなく、「取り組まない」に「攻撃を行わずに標準的でない組み方をする」と全てが組み手に関わる反則。1回戦でもこの2つの反則をともに受けており、組ませずに勝つことを志向した戦術面に大きな課題を残した大会だった。

世界選手権代表争いは混沌。ビッグゲームで実績を残しているのは阿部と田代の2名だが、昨年世界選手権代表でグランプリデュッセルドルフ3位の阿部は今大会1回戦で敗退、グランドスラムパリ3位の田代未来は準決勝敗退、そしてこの2人の直接対決であったグランドスラム東京決勝では阿部が田代に「指導3」対「指導2」で勝利しているというまことに悩ましい状況。

結果、若手の田代が世界選手権代表に選ばれることとなったが、主要大会のタイトルが一つもない状況での代表選出はこの階級の混迷を端的に表していると見て間違いない。ここ数年、メダル確実の有望階級かつ若手に人材が密集し育成も順調と評されてきた63kg級だが、昨年の世界選手権代表の2名はともに初戦敗退で、決勝を争ったのは社会人でかつまだ国際大会の実績のない大住と片桐。ジュニア世代はいまだ肝心の選抜で爆発的な成績を残すに至っておらず、世代交代がスムーズに進んでいないと評されても仕方のない状況になってきた。

かつては谷本歩実と上野順恵を擁し「どちらが出ても優勝」と世界最強を誇っていた日本の63kg級であるが、いまや代表1名を決め兼ねるという厳しい状況。田代は高校2年次の膝の大怪我以前の輝きを未だ取り戻せていない印象だが、今大会はキャリア最大の大チャンス。結果はもちろん、何よりもあの天才性を海外選手に見せ付けるような、素晴らしい柔道を期待したい。

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優勝の大住有加

【成績上位者】

優 勝:大住有加(JR東日本女子柔道部)
準優勝:片桐夏海(コマツ)
第三位:西川真帆(龍谷大4年)
第三位:田代未来(コマツ)

大住有加選手のコメント
「うれしいです。同級生で学生時代良く乱取りをしていたので、投げられないようにしなきゃと思っていました。1回やられてしまいましたけど(笑)。たくさんの方のサポートあっての出場なので、結果が残せてうれしいです。減量もスムーズで、63kg級でもやれることを実感しました。この階級で代表に選ばれるようになっていきたいです」

【1回戦】

西川真帆(龍谷大4年)○優勢[指導2]△阿部香菜(三井住友海上)
田代未来(コマツ)○小外刈(2:48)△嶺井美穂(桐蔭学園高2年)
片桐夏海(コマツ)○GS指導3(GS1:03)△津金恵(筑波大1年)
大住有加(JR東日本女子柔道部)○横四方固(3:30)△田中美衣(了徳寺学園職)

【準決勝】
片桐夏海○外巻込(2:47)△西川真帆
大住有加○優勢[有効・崩上四方固]△田代未来

【決勝】
大住有加○優勢[指導3]△片桐夏海

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