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宇高菜絵が豪快「一本」で2年ぶりの優勝、松本薫は衝撃の初戦敗退・全日本選抜柔道体重別選手権57kg級レポート

(2014年5月7日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版5月7日掲載記事より転載・編集しています。
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全日本選抜柔道体重別選手権57kg級レポート
宇高菜絵が豪快「一本」で2年ぶりの優勝、松本薫は衝撃の初戦敗退
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1回戦。大友真貴子が松本薫を右一本背負投「一本」に屠り去る

ロンドン五輪金メダリスト松本薫(フォーリーフジャパン)が衝撃の初戦敗退。
ジャイアントキリングを果したのは大友真貴子(コマツ)。「指導1」ビハインドにも気後れせずに試合を続け、場外際で松本を時計回りに呼び込みながら高い打点の右一本背負投、背中で松本を捕まえると片脚を大きく挙げてさらに一段高度を上げる。場内の大歓声の中、最後は縦回転に自らの体を投げ出して松本を畳に叩きつける豪快な「一本」、2分24秒。起こりの時点で「一本」フィニッシュまでを明確にイメージした大技、見事な一撃だった。

投げられた松本は主審の宣告を見やると、膝を屈したまま手で顔を覆ってガックリ。一瞬、股中に手を入れかける(新ルールでは反則)など防御の選択に迷ったか、背中を抱える形でまともに技を食ってしまったのが致命傷だった。選択の良し悪しよりも思い切りの良さと選択の早さ自体で勝負の綾を手繰り寄せてきた松本、まさしく不覚の一撃だった。

松本は試合後、悔しさに泣きじゃくりながら「もう1度世界の舞台に立つために優勝することしか考えていなかったが、心と体のどちらもダメだった。勝ちたいという気持ちが強すぎた」とコメント。緊張状態の中で、大友の思い切りの良さと松本積年の弱点である一発に対する受けの意外な脆さがクロスして現出したアップセット劇だった。

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決勝進出の山本杏

決勝に進出したのは山本杏(国士舘大1年)と宇高菜絵(コマツ)の2人。

山本は昨年の世界選手権代表で今大会の第1シード者。1回戦は金子瑛美(自衛隊体育学校)から「指導1」リードで迎えた終盤戦、相手の首を抱える左の「首投げ」(公式記録は大腰)を決めて一本勝ち(3:45)、準決勝では前戦で石川慈(コマツ)を破った出口クリスタ(山梨学院大1年)を1分26秒に奪った右一本背負投「有効」で優勢勝ち。一時の低調から復活の兆しを見せての決勝進出。

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準決勝、宇高菜絵が大友真貴子から小外刈「有効」

一方の宇高は1回戦で平井希(自衛隊体育学校)と対戦、組み手のしぶとさが売りの平井から「両手の指を組み合わせる」「場外」「消極的」「偽装攻撃」と4つの指導を奪って勝利(3:32)。準決勝は同門の後輩大友真貴子から開始早々の18秒に奪った右小外刈「有効」を持って優勢勝ち、2戦通じて危なげなく戦って決勝へと駒を進めてきた。

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決勝、宇高が一方的に組み、山本は嫌って右一本背負投で展開を切る

決勝は山本が左、宇高が右組みのケンカ四つ。

双方釣り手一本での引き手争い。宇高はまず右小外刈を数発、散弾の一発が山本の踝にパチリと合うと見るや一段力を込めて投げにかかるが山本は崩れず。
双方が引き手を握り合わせた23秒、双方に「指導」が宣告される。

続く展開は宇高が進入角度を変えてまず引き手で袖を確保。山本応じて両襟となるが宇高はすぐに切り離して自分だけが一方的に袖を握る形を作り上げ、続く動作で釣り手を山本の首裏に叩き込む。あまりに宇高優位の体勢に、山本は組み手完成の瞬間早い判断で右背負投に潰れて展開を切り「待て」。経過時間は43秒。

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宇高の右大外刈が見事に決まって「一本」

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再開後、再び両袖の形が出来上がる。宇高はあっさり切って釣り手をフリーにし、その手を相手の奥襟に叩き込む。
嫌った山本が頭を上げようとする動きに合わせて、引き手を腹側に折込みながら右大外刈。まず斜めから刈り足を入れて山本の動きを止めると、大きく踏み込んで真裏に刈り落とす典型的な「ケンカ四つの大外刈」だ。

相手の左手を切った瞬間から投げの完成まで流れるように手順が進行。重心を集められた右足を刈られた山本は逆らう術なく、死に体となって宙を舞いこれは見事な「一本」、1分2秒。

会場のどよめきしばし収まらず。いかにも宇高らしい豪快な一撃で勝負は決着、29歳の宇高が10歳年下の山本を力で捻じ伏せ、2年ぶり3度目の全日本選抜体重別制覇を成し遂げた。

調子が良いときの宇高は手がつけられない。決勝で決めて見せたまず引っ掛けて止め、次いで踏み込んで真裏に刈り倒す二段大外刈は女子ではなかなかお目に掛かれない、パワーとセンスと何より度胸が必要な「男の技」。大会史上に宇高の名を刻み込む、まことに見事な一撃だった。

宇高は2010年東京世界選手権に出場。自他共に「先に仕掛ける」ことを課題と認識して臨んだ大会だったが、本番では消極的な試合に終始して3回戦敗退、試合後は「想像以上だった。勇気が足りなかった」と唇を噛んでいた。一番の得意技が常に返されるリスクを伴う大外刈であることもあり、以降もその切れ味鋭い刃を懐に呑んだままここ一番で勝負に出れないというもどかしい試合が多かった宇高だが、経験を重ねることでメンタルで一皮剥けたか、一気に一発の魅力という長所のほうが「表の顔」として表出しつつある印象だ。

大会後の強化委員会の結果、宇高は順当に今夏の世界選手権代表に選出された。「持ち合う」新ルールは「行くしかない」という方向に作用して宇高の良い面を引っ張り出している感がある。成長カーブは上向き、いままで力のリミッターとなっていたメンタル面の課題は克服されつつあり、ルールは追い風。この状況で迎える2度目の世界選手権、宇高の活躍に注目せずにはいられない。第二代表の松本薫ともども、表彰台の頂点を極めるレベルの活躍を期待する。

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優勝の宇高菜絵

【成績上位者】

優 勝:宇高菜絵(コマツ)
準優勝:山本杏(国士舘大2年)
第三位:出口クリスタ(山梨学院大1年)
第三位:大友真貴子(コマツ)

宇高菜絵選手のコメント
「柔道をやってきて良かった、という瞬間でした。今日に掛ける思いは柔道人生で一番強かったので、結果が出て本当にうれしい。ベテランと言われるようになりましたが、まだまだやれるぞというアピールにはなったかなと思います。最年長者の誇りを持って、周囲に目標とされる選手になりたいです。」

【1回戦】

大友真貴子(コマツ)○一本背負投(2:32)△松本薫(フォーリーフジャパン)
山本杏(国士舘大2年)○大腰(3:45)△金子瑛美(自衛隊体育学校)
宇高菜絵(コマツ)○反則[指導4](3:32)△平井希(自衛隊体育学校)
出口クリスタ(山梨学院大1年)○優勢[指導2]△石川慈(コマツ)

【準決勝】

山本杏○優勢[有効・一本背負投]△出口クリスタ
宇高菜絵○優勢[有効・小外刈]△大友真貴子

【決勝】

宇高菜絵○大外刈(1:02)△山本杏

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