PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

若武者高市賢悟が世界王者海老沼匡に一本勝ち、余勢駆って国内最高峰大会を初制覇・全日本選抜柔道体重別選手権66kg級レポート

(2014年5月4日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版5月4日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード
全日本選抜柔道体重別選手権66kg級レポート
若武者高市賢悟が世界王者海老沼匡に一本勝ち、余勢駆って国内最高峰大会を初制覇
eJudo Photo
高市賢悟が鉄砲返しで海老沼匡の横四方固を剥がし、崩上四方固で抑え込む

準決勝で大アップセット。世界選手権2連覇中の海老沼匡(パーク24)が高市賢悟(東海大3年)に敗れた。

この試合は海老沼が左、高市が右組みのケンカ四つ。
開始早々高市の右小外刈に海老沼が転がりかけて会場どよめく。海老沼は転びながら腕挫十字固を狙って攻防を収め高市の技はノーポイントとしてスルーされたが、波乱含みの立ち上がり。

高市思い切った右内股で攻めるが、海老沼は自身の右一本背負投から作り出した展開で高市を横四方固に捕らえる。早々に試合終了かと思われたがしかし高市鉄砲返しでめくり返して逆に海老沼にかぶさると主審は「抑え込み」を宣告。海老沼必死に逃れてこの抑え込みは3秒で「解けた」。ここで高市に「取り組まない」判断の「指導」が宣告される。経過時間は1分59秒。

eJudo Photo
高市が海老沼の体を完全に持ち上げる

eJudo Photo
高市は腰を切り返すと密着キープでフィニッシュ、落ち際の回避の巧みな海老沼もこれは逃れられず「技有」

3分、海老沼の左内股を高市が捕まえ、腹を突き出して相手の体を完全に持ち上げる。会場の悲鳴と歓声が交錯する中、一瞬降ろしどころを探った高市は腰を左側に切り返して時計回りに投げ落とす。身の軽い海老沼は落ち際に身を捻りたいところだが高市は密着をキープしたまま自身も体を浴びせる完璧なフィニッシュで海老沼の体を制御、移腰「技有」。高市にとってはこれ以上ない、海老沼にとってはもはや勝利への道が「一本」か「指導4」のいずれかしかありえない決定的なポイント。

しかし海老沼、3分30秒過ぎのもつれ際に高市を後袈裟固に固め主審は「抑え込み」を宣告。乱戦もこれで終了かと思われたが高市またも逃れて7秒で「解けた」。いずれにも勝利の可能性のある場の「荒れ」は収束せず継続。

eJudo Photo
高市は右腹と後襟の二点で海老沼を拘束、抑え込んで一本勝ち。(公式記録は崩袈裟固)

残り1分、海老沼が左腰車。高市縦回転で大きく崩れ伏せて、直後の4分2秒高市に「指導2」宣告。この攻防に手ごたえを得た海老沼は4分14秒に左腰車で高市を転がし「有効」奪取と猛追するが、高市は着地しながら、自身が縦回転に体を捨てた勢いで自らと平行一直線に落ちてきた海老沼の体を抱えて抑え込む好反応。主審は「抑え込み」を宣告、海老沼の左から左腕で右腹を抱え、右手で首の裏から後襟と二点をガッチリ確保する強烈な拘束。

会場騒然の中、刻々時間が経過。海老沼は動けずそのまま4分29秒合技の「一本」宣告に至る。

第1シード海老沼、トーナメントから脱落。高市は一撃だけの「アクシデント」ではなく、斬り合いの乱戦を制する精神的な骨の太さ、再三の寝技の攻防を制する地力の高さを披露しての価値ある勝利だった。一方の海老沼は初戦でも小倉武蔵(了徳寺学園職)に左背負投「有効」で先行されるなど大会通じて不安定な内容で、波に乗り切れないまま畳を後にすることになった。

eJudo Photo
1回戦、高市が宮崎廉を背負投「一本」に仕留める

決勝に進んだのは高市と、これも若手の大学新卒者六郷雄平(了徳寺学園職)の2人。

高市は1回戦で宮崎廉(日本通運)を相手に2つの「指導」を受けながらも隅返「有効」、背負投「一本」(3:27)と連取して勝利。前述の通り準決勝は海老沼匡に合技「一本」で勝利しての決勝進出。世界王者撃破という「勝負」に勝ち、あとは結果を得られるかどうか。キャリア上この上なく重要な一番。

eJudo Photo
1回戦、六郷雄平がグランドスラム東京王者の高上智史から巴投「有効」

一方の六郷は1回戦で世界選手権「2枠目」争いの一番手と目されたグランドスラム東京王者高上智史(旭化成)に序盤の巴投で得た「有効」を守りきって勝利。準決勝では昨年の世界選手権銅メダリスト福岡政章(ALSOK)を巴投「技有」で下し、こちらも本命格2人を倒して堂々迎える決勝の畳。

eJudo Photo
六郷が巴投、草刈りを試みたところで「待て」

決勝は高市が右、六郷が左組みのケンカ四つ。

オープニングの攻防は高市が右の背負投、受けた六郷が横三角を狙って「待て」。経過時間は22秒。

その後は高市が釣り手で前襟を外側から、六郷が同じく前襟を内側から握っての長い引き手争い。出足払を打ち合うのみの牽制を経て44秒に六郷が鋭い左体落に身を翻すが、これは高市が冷静に潰し、続く展開も六郷が両襟を持つなり巴投、潰れて「草刈り」の体勢に入ったところで「待て」。経過時間は1分ちょうど。

eJudo Photo
六郷が左内股、高市は手を着き、頭を支点に倒立して着地

やや展開でリードされたと見たか、高市釣り手を突いて片手の右内股を放って展開に一度楔を打ち込む。
1分20秒、引き手で袖を確保した六郷がグイとその腕を腹に抱き込むと、高市切ろうと頭をごと体の位置を極端に低くして応じる。六郷は定石通り脚を差し入れて左内股。高市の頭を下げさせて縦回転に高市を回すが高市は頭で倒立する形で回転を制御、無事腹ばいに着地して「待て」。経過時間は1分31秒。

eJudo Photo
高市が右背負投、場外まで追いかけるがノーポイント

高市が引き手を確保。六郷切り離す動作をたびたび見せるが高市あくまでこれを離さず、場外に向かって右背負投。得点が想起される深い一撃、高市は六郷が外側で崩れるとみるや走って場外に追うが、ここは六郷がその追い足より早く走りきって、高市は追いきれず。六郷がアドボードに激突して「待て」。経過時間は1分29秒。

続く展開はまたもや長い引き手争い。そのさなか高市が引き手で六郷の裾を持って攻防する場面が出来上がる。しばしあって六郷がその手をはたくと、高市あきらめて切り離す。
大迫明伸主審はこの攻防を、「攻撃をすることなしに標準的な組み方以外の組み方をする」行為と採点、双方に「指導」を宣告する。経過時間は2分30秒。

eJudo Photo
六郷抑えかかるが高市はあっさり回避

直後の展開、六郷は高市の突進に合わせて巴投、動きを止めずに立ち上がると左小内刈に繋ぐ。受けた高市は隅返に切り返し、寝技の攻防から六郷が崩袈裟固で抑えかかる形となる。この試合最大のチャンスだったが、ここは高市が伏せて好機終了、「待て」。経過時間は2分56秒。

六郷の左体落に送足払、高市の巴投と攻めあった末の3分46秒、六郷が巴投。手が切れ、高市がガッチリ潰したこの技に主審即座に偽装攻撃の「指導2」を宣告する。

ついに破れた均衡に六郷は猛ダッシュ、高市は両襟でまずその攻撃機運を潰し、次いで引き手を袖に移動。後ない六郷は左大内刈を引っ掛けて動き良く左内股に移行。高市が力の外側に逃げるとみるや足を戻して横巴投に繋ぐが潰れてしまいここで攻撃が切れてしまう。主審は「待て」を宣告。経過時間は4分5秒、残り時間は55秒。

eJudo Photo
リードの高市、六郷を立たせずあくまで寝技で時間を消費

高市、釣り手を激しく振りながら片手で前進、次いで片手の右背負投に座り込む。
六郷はまたいで腕挫十字固を狙うが浅く、手首近くに腰を据える形になってしまう。高市逃がさず後ろについて引き落とし寝技を選択。残り時間を考えると立って勝負するしかない六郷は必死に立ち上がろうとするが、中腰となったところで再び高市が下から食いついて抱きつき回す。縦四方固に近い形で六郷が足を絡んで耐え続け、「待て」が掛かった時点で残り時間は僅か13秒。どうやらこの攻防で勝敗は決した感。

六郷奥襟を叩いて左大外刈、さらに左内股と繋ぐが浅く、試合はそのまま終了。「指導2」の優勢で高市の優勝が決まった。

eJudo Photo
勝者宣告を待つ高市

決勝はほとんど差のない試合。最終盤のもっとも揺れる時間帯を無力化した高市の寝技、敢えて言えば巴投を主体に組み立てた六郷に対して高市が背負投で山場を作ったこと、などを勝因として挙げられないこともないが、大枠どちらが勝ってもおかしくない試合であった。「指導」で得たリードをソリッドに生かした試合運びの巧さと、短刀を抱いて懐に飛び込むような大胆さが売りの六郷に慎重な試合運びを強いた地力の勝利というのが妥当な観察であろうが、ここは現役世界王者海老沼を、それももっとも力の差が必要とされる合技の「一本」で破った高市の今大会における「主役」属性を会場が認めたと捉えるべきだろう。勝負に勝って試合に勝った、というよりは、後段の「試合」の結果を規定してしまうほどにその「勝負」が鮮やかだった、その余勢を駆っての優勝と総括したい。

高市は、左右の袖釣込腰を駆使して巨漢選手を投げ捲くる天才児として名を売った小学生時代、担ぎ技を左右に繰り広げて泥臭く結果を残してトップグループに踏みとどまり続けた中・高時代を受けて、どうやら新たな柔道スタイルを確立しつつある気配。自身認める通り、メンタル的にも技術的にも寮で同室という同級生高藤直寿の影響が色濃く感じられる。高藤の影響は東海大の他選手も口を揃えて認めるところであり、新王者高市の登場というインパクトとともに、東海大の「強さの連鎖」という好スパイラルを存分に示した優勝劇であった。

世界選手権には第一代表として海老沼、後日第二代表として高市が初選出された。高市の選出理由には「海外で負けておらず、負けた選手は日本人のみ」ということも併せて説明された。73kg級とともに厚い層、高い到達点で日本の最強階級と称されるこの階級、両者の健闘を祈りたい。

eJudo Photo
優勝の高市賢悟

【成績上位者】
優勝:高市賢悟(東海大3年)
準優勝:六郷雄平(了徳寺学園職)
第三位:海老沼匡(パーク24)
第三位:福岡政章(ALSOK)

高市賢悟選手のコメント
「苦しい試合ばかりでした。海老沼さんと試合が出来るのは国内ではこの大会だけなので、ぜひお願いしたいと思っていました。高藤以上に『海外選手っぽい』と言われているので二つ持ってしっかり投げるようにしていきたいです。高藤とはルームメイトで、世界チャンピオンになってくれて嬉しいですが、悔しい気持ちもあります。自分も世界選手権で金メダルを獲りたいです」

【1回戦】

海老沼匡(パーク24)○小内刈(4:30)△小倉武蔵(了徳寺学園職)
高市賢悟(東海大3年)○背負投(3:27)△宮崎廉(日本通運)
福岡政章(ALSOK)○優勢[有効・出足払]△森下純平(了徳寺学園職)
六郷雄平(了徳寺学園職)○優勢[有効・巴投]△高上智史(旭化成)

【準決勝】

高市賢悟○合技[移腰・崩袈裟固]△海老沼匡
六郷雄平○優勢[技有・巴投]△福岡政章


【決勝】

高市賢悟○優勢[指導2]△六郷雄平

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版5月4日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.