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新鋭近藤亜美が初優勝、悲願の世界選手権進出狙った山岸絵美は決勝で涙・全日本選抜柔道体重別選手権48kg級レポート

(2014年5月3日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版5月2日掲載記事より転載・編集しています。
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全日本選抜柔道体重別選手権48kg級レポート
新鋭近藤亜美が初優勝、悲願の世界選手権進出狙った山岸絵美は決勝で涙
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準決勝、山岸絵美は山﨑珠美のパワーに退かず裏投を狙う

決勝に進んだのは第1シードの山岸絵美(三井住友海上)と近藤亜美(三井住友海上)の2人。階級を引っ張ってきたベテランと、今春入社の新人による同門対決となった。

山岸は1回戦で高橋瑠衣(修徳高3年)を2分17秒の崩袈裟固「技有」(17秒)、さらに左払腰「一本」(2:50)で仕留めて貫禄のスタート。勝負どころとなった山﨑珠美(山梨学院大3年)との準決勝は、パワー自慢の相手の機先を制す裏投を見せるなど積極的に試合を展開。1分15秒の隅返が偽装攻撃と判断される「指導」を受けたが、奥襟を持ち合うリスキーな展開に退かず、左大内刈から得意の左足車に連絡(※公式記録は大外刈)して2分51秒「有効」を奪取。優勢で勝利して決勝進出を決めた。

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1回戦、近藤亜美が黒江優希から大内返「一本」で勝利

一方の近藤は1回戦で社会人の強者黒江優希(北関東綜合警備保障)から小外刈「技有」、「指導2」を奪ってリードした末に残り18秒に大内返を決めて一本勝ち。
準決勝は十田美里(自衛隊体育学校)から2分1秒、2分55秒と2つの「指導」を奪って競り勝っての決勝の畳。

両者の対決は、グランドスラムパリ優勝の山岸、グランドスラム東京王者でグランプリデッュセルドルフ3位の近藤という、世界選手権進出の権利を持つ唯二人による、事実上の代表決定戦だ。

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決勝は開始早々に近藤が右内股で「有効」獲得

山岸は左、近藤は右組みのケンカ四つ。

山岸が左出足払で相手を崩しながら前進、左足を大外刈の形に大きく振り上げて牽制しながら腰の差しあいを挑む。しかしこれに応じた近藤が思い切り右内股。目を瞑って掛けた、とでも形容すべきその思い切り自体に不意を突かれた格好の山岸大きく崩れて宙に浮き、右手を畳に着いて落下、近藤は伏せようとする山岸の左肩に体を押し付けてめくり上げ「有効」、23秒。

残り時間は3分37秒、山岸は「まだ時間はある」とばかりに表情を一切変えず。しかし悲願の世界選手権進出に向けてあまりにも重いビハインド。

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山岸がタイミング良く巴投、近藤は一回転して膝から着地

引き手争い、腰の入れあいから山岸が優位を確保。強気に左大外刈を引っ掛けて、近藤が崩れ伏せようとすると左内股に連絡、あわやポイントという場面を作り出す。これは双方崩れて「待て」。

1分過ぎ、山岸は膝車の牽制を経て相手の左後隅に向かってダッシュ。近藤を横移動に誘い込むとまたぎステップを入れてタイミング良く横巴投。近藤は崩れながらも自ら一回転して膝から着地、山岸は下から引き込んで寝技を展開。山岸が近藤の背中についてめくり返しを試みたところで「待て」。ここで近藤に「指導1」、経過時間は1分26秒。

次のシークエンスは近藤がまず片手の右小外刈を放ち、釣り手一本の攻防に山岸を巻き込む。山岸釣り手を伏せての左内股、近藤は右一本背負投に座り込んで展開を切り、山岸は伏せた近藤の左から左手で襟を掴み、体をまたいで右腕で左脚を掴みつつ自ら回転する絞技を試みる。しかし近藤耐え、自分だけが前傾した山岸の手が切れて「待て」。経過時間は2分4秒、残り時間は1分56秒。

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山岸の右一本背負投、直後近藤に2つ目の「指導」宣告となる

続く展開、猛然と前に出るかと思われた山岸、意外にも手先の組み手争いに応じて時間を消費。近藤が近づくと両袖を握っての出足払で牽制、次いで動き鋭くノーステップの左体落に飛び込むがこれは距離が足りず左足が相手の股中に落ちてしまい近藤が乗り越えて耐える。一旦離れた山岸、釣り手を確保すると、今度は右の一本背負投。これは相手の腕が自身の首に巻きついてしまい投げ切れなかったものの攻勢が買われ、直後近藤に2つ目の「指導」が宣告される。経過時間は2分38秒、残り時間は1分22秒。

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近藤が一方的に引き手を確保、山岸の攻勢はこのシークエンスから失速

残り時間と「指導」4つを積み上げないと山岸の勝利がないという事情を考えると、次のシークエンスで近藤に3つ目の「指導」が入るかどうかがこの試合の分水嶺。しかし山岸は突進せずに手先の組み手争いを受け入れ、前に出たのはリードしている近藤。時計回りに動いて先に引き手で袖を得ると、連動してほとんど同時に山岸の奥襟を掴んで一方的に自分だけが持つ形を作り出す。山岸釣り手を突きながら時計回りに回って組み手を直そうとするが、引き手を一方的に握られる状況は変わらず、攻めの体勢が取れない。山岸が組み手を修正しようと苦慮する間に近藤は左内股で攻め、この技を受けたことをきっかけに浅いながらも袖を握ることに成功した山岸は巴投を選択。しかし状況優位で相手が良く見えている近藤は崩れずにしっかり潰して「待て」。経過時間は3分6秒、残り時間は56秒。

山岸前へ。距離を測り合う数合を経て組み手争いに応じた近藤を捕まえると左後隅に押し込みながらの左大外刈、これは相手の左足まで届かず股中で受けた近藤が振り戻そうとすると、山岸は座り込みの左背負投に連絡する。捌いた近藤は右体落、さらに立ち上がって思い切った右内股。山岸体を持っていかれそうになるが立ったまま腰を切って耐え切り、「待て」。このシークエンスは拮抗、攻防に優位の差はつかず。

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山岸が片手の左大外刈、直後終了ブザーが鳴り響く

山岸この段に至っても一手目の組み手争いは淡白。手先の探りあい一合を経て近藤を捕まえると時計回りの運動に誘導して巴投を放つが、ビハインドかつ残り時間が少ない不利の中でのこの選択は得点奪取という観点からも「指導」狙いという視点からも、明らかに判断ミス。十分予期した近藤の前に全く高度が取れずに潰されて「待て」。残り時間は僅か14秒。

近藤は釣り手一本の組み手争いに山岸を巻き込んでクロージングを図る。山岸片手の左大外刈に片手の左背負投と技を繋ぐが近藤外側に逃れて凌ぎ、終了ブザー。この試合は「有効」優勢で近藤の勝利に終わった。

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同所属の2人、新人の近藤が勝利を収めることとなった

同所属の2人、稽古では山岸が圧倒的優勢との情報もあったが、無印から一気に最高峰大会を制したグランドスラム東京同様近藤がその大物ぶりと大舞台での強さを見せ付けた試合となった。

試合の分水嶺は2分38秒から3分6秒に至るシークエンスでの近藤の攻勢権確保と山岸の消極姿勢。リードしながら立て続けに「指導」を失っていた近藤だが、ここで山岸が3つ目の「指導」を積み上げられなかったことでその勝利の確率はまず一気に上がり、その後山岸が追いかける展開ではタブーと言って良いはずの巴投で展開を2度潰したことで近藤の勝利はほぼ確定したと言って良い。そして1度目の巴投掛け潰れを誘発したのは間違いなく組み手の状況の悪さで、ということはよりピンポイントで語るならば、試合の勝敗を揺らした最大のポイントはこのシークエンスのスタート時に近藤が順行運転の釣り手ではなく、攻撃のための引き手をまず求め、一方的に袖を得たことにあったと評されるだろう。試合が落ち着く前に思い切った一撃を見舞い、勝負どころで守るのではなく攻撃することでリードを保った近藤の積極性が勝利を生んだと断じたい。

一方の山岸はその消極性の罰を食った形。リードされたことはともかくその後がいただけなかった。立ち勝負で一発食らうことが最も怖かったはずの近藤に対して、まるでビハインドがないかのごとくの丁寧な組み手と、展開が一度止まる巴投という判断ミス。巴投に関しては序盤に放ったあわやポイント寸前という一撃があったが、この技の成功体験に嵌ったのだろうか、なんとも解せない選択だった。
消極姿勢に消極的判断、これでは逆転は覚束ない。今期から採用された4分という短い試合時間の中、立って攻防する時間が長ければ長いほどその分だけ優位が転がり込んでくるはずの力関係で、繋ぐ先が寝技しかない巴投で追いかけるという判断は、かつて上から目線の組み立てで世界最強と称された山岸らしからぬものであった。

初優勝の近藤は順当に世界選手権の代表に選出。昨年の全日本ジュニアには出場さえ適わずスランプの袋小路に嵌りこんでいたホープが、あっという間に世界の舞台へと躍り出ることとなった。関係者が口を揃えて「持っている」と語る勝負強さを発揮できるか、世界選手権には大いに期待したい。

山岸は今度こそ手が届くかと思われた世界選手権の舞台を踏むこと叶わず。ファン、そして敵味方を問わず関係者全てが選出を期待したであろう今大会であったが、無念の結果となった。決勝を争った近藤が同所属であることで2枠目選出も期待薄。最強選手山岸は、その称号につけられてきた「悲運の」という接頭辞を今回も外すことが出来なかった。

谷亮子引退以降も最強の名を継ぎ続けてきた今階級であるが、以後の主役たちには常に悲劇の影がつきまとう。谷以外に「笑う」選手の出現はあるのか。代表近藤の活躍に期待したい。

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優勝の近藤亜美

【1回戦】

山岸絵美(三井住友海上)○払腰(2:50)△髙橋瑠衣(修徳高3年)
山﨑珠美(山梨学院大3年)○大内返(1:59)△森﨑由理江(鹿屋体育大柔友会)
近藤亜美(三井住友海上)○大内返(3:36)△黒江優希(北関東綜合警備保障)
十田美里(自衛隊体育学校)○優勢[指導2]△渡名喜風南(帝京大1年)

【準決勝】

山岸絵美○優勢[有効・大外刈]△山﨑珠美
近藤亜美○優勢[指導2]△十田美里

【決勝】

近藤亜美○優勢[有効・内股]△山岸絵美

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