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国際柔道シーンを牽引する「高藤流」炸裂、世界王者高藤直寿が国内大会初制覇・全日本選抜柔道体重別選手権60kg級レポート

(2014年4月25日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版4月25日掲載記事より転載・編集しています。
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全日本選抜柔道体重別選手権60kg級レポート
国際柔道シーンを牽引する「高藤流」炸裂、世界王者高藤直寿が国内大会初制覇
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1回戦、高藤直寿は「フロントスープレックス」で北原隆文に一本勝ち。初戦から高藤ワールド全開。

決勝に進出したのは高藤直寿(東海大3年)と石川裕紀(了徳寺学園職)の2人。

世界選手権王者となって選抜体重別に戻ってきた高藤はもちろん今大会第1シード、初の国内シニア王座を狙っての勝ち上がり。1回戦は北原隆文(筑波大4年)を相手に正面から腹を付けて持ち上げる「フロントスープレックス」(公式記録は抱分)で一本勝ち(2:13)、準決勝は昨年巴投で選抜体重別初優勝の夢を挫かれた川端龍(了徳寺学園職)に、1分28秒巴投「有効」を奪ってお返し。順当に決勝へと勝ち上がってきた。

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1回戦、石川裕紀が木戸慎二から左内股「技有」

一方の石川は、1回戦でグランドスラムパリ代表(3位)の第2シード者木戸慎二(了徳寺学園)を相手にまず1分0秒の左内股「技有」で先制、さらに「指導」3つを奪った末に腕挫十字固で一本勝ち(2:50)と抜群の立ち上がり。準決勝も志々目徹(了徳寺学園職)の左背負投を回旋を呉れながら返す横車「一本」(1:08)の大技に仕留めて快勝。昨年8月の実業個人、10月の国体と圧倒的な強さを見せながら肝心の講道館杯で力を出し切れなかった、その鬱憤を晴らすかのような素晴らしい内容での決勝進出。

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決勝、石川が組み手と逆の右腰車。高藤が抑え潰す

決勝は高藤、石川ともに左組みの相四つ。

高藤、開始早々に両足の巴投。石川が高藤の右側に伏せて降りると右の内股の形で足を差し入れてめくりに掛かる。石川耐え切って「待て」。経過時間は18秒。

石川、釣り手で奥襟を叩くなり組み手と逆の右腰車。高藤が抑え潰して「待て」。経過時間は32秒。

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石川、2連続で片腕を抱え込んだ引込返

続く展開、石川が左釣り手でガップリ奥襟を得ると、高藤は引き手で脇を差して組み手とは逆の右大腰。昨年来国際大会で高藤が左相四つ相手に度々見せてきた必殺技だが、十分心得た石川は左体落の形に切り替えして潰し、伏せ掛けた高藤の右腕一本を抱えて引込返。高藤反応良く先に回転して捌くが、石川あきらめずに再度引込返、高藤は下から足を絡んで耐え、石川は高藤の左腕に体を被せて足を抜きに掛かるが「待て」。経過時間は59秒。

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石川が巴投から腕挫十字固を狙う

ここから石川が山場を作る。両襟で右の大外刈を見せると流れるような動きで巴投に連絡。高藤は立ち上がって回避、続く展開では右袖釣込腰を放って流れを押し戻そうとするが石川これを両手で潰し「待て」。再開後、石川今度は一気に奥襟を得て高藤の頭を下げさせると左小内刈、巴投、さらに下から腕挫十字固と流れるように攻撃を繋ぐ。直後の1分56秒、高藤に「指導」。

直後、引き手を確保した石川が再び「巴十字」を狙って横滑りの巴投を仕掛けるが高度差が取れずに潰れる。主審即座に偽装攻撃の判断で石川に「指導」を宣告、2分14秒。石川のアドバンテージは18秒でリセット。

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高藤が変則の左浮腰、石川は腕固で釣り手を殺す

続く展開、高藤は左釣り手で石川の右腕を捕まえ、ついで背中に回してその腕をロック。石川は高藤の左後隅に進出して逃れようとするが、高藤下から腹を合わせて石川を持ち上げ、左側へ落とそうと試みる。石川が浮きかかり場内は大歓声、高藤釣り手を首に持ち替えて決めに掛かるが石川は腕固でこの釣り手を押し返しつつ両足で畳に降り、双方が崩れて「待て」、経過時間は2分32秒。

石川が釣り手で肩越し、次いで奥襟を確保すると高藤は肩車で潰れて展開を切り「待て」。

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石川の右一本背負投、高藤滑り崩れて「有効」

ここで石川、高藤の右片襟を両手で握ると組み手とは逆の右へ低い一本背負投。学生時代から度々大物を狩って来た石川の得意技だが、心得た高藤は踏ん張って回避するが石川の右足に左足が引っかかりズルリとすべり崩れる。石川反応良く腕を緩めないまま高藤の踏ん張りに合わせて振り向き、高藤は背負投フェイントの後ろ技を食ったのと同じ形で後方に転がる。主審一旦スルーして両者を開始線に戻すが、インカムによる修正指示を受けたか場内のどよめき去らぬ中、時間差で「有効」を宣告。経過時間は3分3秒、残り時間は1分57秒、絶好調石川がついに高藤からもリードを奪う。

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高藤、腹をつけて相手を持ち上げ、「やぐら投げ」の形で足を持ち上げる

リードを得た石川は当然ながら左釣り手で奥襟を深く叩く強気の組み手、もっとも大事な得点後の時間帯を上から目線の柔道で乗り切ろうとするが、高藤またしても組み手と逆の右に大技を放つ。引き手で脇を差し、ほとんど右横帯と言って良い位置まで深く帯を握って相手の体を固定、腹を合わせるようにして持ち上げ、次いで相撲の「やぐら投げ」の形で相手の股中に入れた右脚を差し上げて技の高度を一段上げる。

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高藤の技が「技有」、公式記録は移腰となる。

大腰か、浮腰か、移腰か、はたまた右の内股か、技名称決定係の頭を悩ます強烈な一撃。おそらく右大腰までは予期していたはずの石川、たまらず畳に崩れ落ち「技有」、3分13秒。

大きなリードを得た高藤は以後順行運転で試合を展開。石川が3分51秒に放った両袖の巴投、4分25秒に放った右袖釣込腰、最終盤に放った両手で帯を握っての引込返のいずれも良く見極めて潰し、じっくり寝技で時間を使う。最後は縦四方固を狙って攻め続けたまま、終了ブザーを聞くに至る。

高藤が「技有」優勢で勝利で選抜体重別初優勝、そして国内シニア大会初優勝を成し遂げた。

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優勝の高藤直寿

これまで「国内で勝てない」と言われ続け、一足飛びに世界選手権の王者となって選抜体重別に帰ってきた高藤だが、この日披露した柔道はまさしく「世界標準」だった。

1回戦で見せた「フロントスープレックス」(抱分)に代表される、「腹を下から合わせることで相手を持ち上げ、崩れた方向に落とす」やぐら投げや後腰、移腰、小外掛は、昨年初頭以来サインジャルガル・ニャムオチルをはじめとするモンゴル勢が国際大会で使用してセンセーションを巻き起こし、現在は軽量級、軽中量級のパワーファイターの標準技術になりつつあるテクニックである。

では高藤の勝利の所以は単に「世界のトレンドに敏感だから」というべきなのであろうか。否である。高藤は、今や全階級の必須技術になりつつある「ナオスペ」(支釣込足をハンドル操作で振り返す)、や「相四つ相手の逆方向への大腰」、その大腰を餌に使っての「逆片襟横落」、この日の決勝で見せた「腕をロックしての浮腰」などの発明者であり、世界の選手から模倣されるオリジナル技の発信源グループの一人である。現代柔道の新テクニックは身体能力の高い軽量級、軽中量級の選手が生み出してやがて他階級に伝播していくというパターンが定着しつつあるが、その最先端である軽量級の技術革新のトップランナーが、日本の高藤なのである。

もともと奔放さが売りであった高藤の柔道であるが、国際舞台デビュー以降、この「生み出す」力は明らかに一段スケールアップしている。

つまりは、国内大会でなかなか勝てなかった高藤は、国際大会に出ることで獲得した一段上の発想力と新技を持ち込んでついに日本の大会を制した、自身がトレンドを作り出した国際派柔道を以ってしてこれまでどうしても獲れなかった日本国内タイトルを獲得するに至ったと評することも出来るだろう。まことに高藤らしい、そして現代柔道の軽量級王者らしい、面白味のある勝ちっぷりであった。

敗れた石川も本領発揮と言える大会であった。ここ一番の勝負であったはずの講道館杯ではかつてもっとも頼った技術である逆方向への背負投一辺倒という「暗黒面」に陥って実力を発揮できなかったが、その反省か選抜の大舞台で昨年来の素晴らしい柔道を披露。担ぎ、跳ねる一発の強さに勝負の巧さを兼ね備えて、奥行きの深い選手になってきた。高藤独走の様相ますます強まる60kg級であるが、今後の活躍に期待したい。


【成績上位者】
優勝:高藤直寿(東海大3年)
準優勝:石川裕紀(了徳寺学園職)
第三位:志々目徹(了徳寺学園職)
第三位:川端龍(了徳寺学園職)

高藤直寿選手のコメント

「決勝の石川選手は大学の先輩、お世話の恩返しをしようと戦いました。思ったような柔道は出来なかったですが、両親も来ていますし、どうしても結果が欲しかった。世界で勝ったといってもまだ1回だけですから、まだまだ勝ち続けたい。今日は外国人選手みたいな柔道で勝ちましたが、日本人らしい柔道で勝てるように頑張ります」

【1回戦】

高藤直寿(東海大3年)○抱分(2:13)△北原隆文(筑波大4年)
川端龍(了徳寺学園職)○優勢[指導2]△山本浩史(ALSOK)
石川裕紀(了徳寺学園職)○腕挫十字固(2:50)△木戸慎二(パーク24)
志々目徹(了徳寺学園職)○優勢[指導3]△大島優磨(国士舘大2年)

【準決勝】

石川裕紀○横車(1:08)△志々目徹
高藤直寿○優勢[有効・巴投]△川端龍

【決勝】

高藤直寿○優勢[技有・移腰]△石川裕紀

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