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"玉鋼"佐々木健志が練磨ぶりを発揮、全試合一本勝ちで島根県勢初の選手権制覇・第36回全国高等学校柔道選手権81kg級レポート

(2014年4月23日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版4月23日掲載記事より転載・編集しています。
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第36回全国高等学校柔道選手権81kg級レポート
"玉鋼"佐々木健志が練磨ぶりを発揮、全試合一本勝ちで島根県勢初の選手権制覇
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準決勝、佐々木健志が佐野安大から内股「一本」

絶対の優勝候補不在、今年度の強化指定選手を基準に選ばれるシード選手もいないという大混戦となったこの階級。

その中を決勝に勝ちあがったのは佐々木健志(平田高2年)と飯島俊佑(東海大相模高2年)。ともに関係者の前評判が高かった2人だが、地方の公立校からの「叩き上げ」と、中央の強豪校のエース格という好対照の顔合わせとなった。

佐々木はここまでの5試合を全て「一本」で勝利しての決勝進出。1回戦は田中大勝(青森北高2年)を巴投(0:16)、2回戦は北村翔太(近江高2年)を内股(0:56)、3回戦は酒井勇輝(東海大甲府高2年)を背負投(0:15)、と滑り出しの3試合はいずれも1分掛からずに勝負を決め、準々決勝は優勝候補の呼び声高かった青木雅道(宮崎工高2年)を合技(2:17)、準決勝は佐野安大(静岡学園高2年)を内股(1:04)に仕留め、圧倒的な内容での決勝進出。

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1回戦、飯島俊佑が米澤智史を内股透「一本」に仕留める

一方の飯島は11年全国中学大会と12年全日本カデ選手権の準優勝者にして、今代の東海大相模高で主将の重責を担う強者。1回戦は米澤智史(北陸高2年)から内股「技有」、内股透「一本」(1:32)と連取して勝利、2回戦は義見祐太(作陽高1年)を内股「一本」、3回戦は小野寺嵩成(小牛田農林高2年)を大腰「一本」(1:22)、準々決勝は強敵鳥居天凱(神戸国際大附高2年)を僅か51秒の内股「一本」に仕留めて4戦連続の一本勝ち。続く準決勝の天野拓実(桜丘高2年)戦を内股「技有」優勢で勝ち抜けての決勝の畳。

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開始早々、飯島が左内股で「有効」を奪う

決勝は佐々木が右、飯島が左組みのケンカ四つ。
佐々木が釣り手を上から、飯島は下から持っての引き手争い。

佐々木が引き手を求めると飯島一瞬嫌い、佐々木は高い左一本背負投を見せるがすぐに反転して戻り、引き手争い継続。

飯島、引き手を持つなり釣り手を畳んで左内股。
釣り手で外から相手の腕をロックし、手首を伏せたまま体を捨てる取り味のある一撃。佐々木は釣り手を襟から離して、相手の釣り手を押しながら回避を試みるが飯島の体を捨てる動作が予想よりも早かったか、力を逃がせず頭から畳に突き刺さりこれは「有効」となる。経過時間は25秒。

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佐々木の右小外刈、飯島は伏せる

ビハインドを追う佐々木は前進、左の「韓国背負い」を見せて攻撃継続。飯島は圧を掛けてターゲットの固定を試みるが佐々木巧みに柔道衣をずらして動ける空間を確保、飯島の左内股に体捌き良く右小外刈を合わせると飯島大きく崩れ伏せて「待て」、経過時間は1分7秒。

佐々木、釣り手で上から前襟を掴んで左一本背負投。これは投げ切れないと見たか自ら戻る。経過時間は1分33秒。
飯島、腰を先に入れておいての左内股。透かした佐々木は釣り手を突いて前に押し込むと飯島は崩れ、佐々木すかさず得意の寝技に持ち込む。ほとんど「抑え込み」宣告寸前まで持ち込むが、飯島振り切って畳に伏せ「待て」。経過時間は1分50秒、リードは飯島だが徐々に佐々木がペースを掴んで試合の流れが変わりつつある印象。

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佐々木が左小内刈、飯島たまらず転がり「技有」

続く展開。引き手争いの中で釣り手を上から握った佐々木が一旦内側に飯島の腕を織り込む動作を見せ、続いてツイと前に相手を引き寄せながら左一本背負投のフェイントを入れた左小内刈。背負投動作の引き寄せが強く、畳上を跳ねた飯島は着地で両足を踏ん張るその瞬間に後ろ技を合わさることとなり、たまらず真裏に転がる。飯島は一瞬尻餅、佐々木は一本背負投の形に腕を抱えたまま押し込み、伸び上がるように背中で押さえつけてフィニッシュ。これは「技有」となる。経過時間は2分2秒。

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佐々木は左腕をロックして粛々と手順を進行

佐々木は動きを止めず流れるように飯島の左側に進出、一瞬立ち上がって未だ仰向けのままの飯島の左腕をグイと引き上げると、腕を抱きこんだまましゃがみこみ胸で飯島の動きを制する。左半身を制された飯島は右向きに転がって逃げようとするが佐々木は冷静。両手でロックした飯島の左腕を離さず、半身になった飯島の体をいったんまたいで腕挫十字固を狙う。

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佐々木が上四方固で一本勝ち

飯島、残った右手で頭にかかった佐々木の右脚を払いのけて顔を上げるが、あくまで左腕の拘束を解かない佐々木はこれを橋頭堡に右手を右横帯に持ち替えて上四方固に移行。主審は「抑え込み」を宣告。ここまで激しく抵抗していた飯島ほとんど動けず、「一本」、2分52秒。佐々木が逆転で高校選手権初制覇、キャリア初の全国優勝を成し遂げた。

決勝までの試合を全て違う技で「一本」を獲得したオールラウンダーぶりに、ベーシックな組み立てのみで全国の猛者を狩ってしまえる膂力とスピード。こう書くと才能先行型の選手と思われてしまうかもしれないが、稽古で鍛え上げられてきたその練磨の程が匂いたつ、鍛鉄のような戦いぶりが佐々木の最大の魅力。

飯島との寝技の攻防は、投げから移行した最初の一瞬、相手の腕を引き上げて制した初段ですでに九割方勝負がついていた。「(投げから寝技への繋ぎの速さは)意識して繰り返し練習してきた」というコメント、そして全国大会決勝という大舞台での実践はまさしくその練磨のわかりやすい一証左だ。古武士のような風貌とたたずまいからも、「鍛えこんできた」バックグランドが匂いたつ。鋼のような体と技の切れ味、そしてタフな戦いぶりはまさしく島根県産「玉鋼」だ。

佐々木の父親は平田高の監督・浩三氏。島根大時代に全日本学生体重別に出場、卒業後も全日本選手権の中国予選で活躍してきた軽量級の猛者だ。子供のころから父親のもとで柔道を学び、地元の高校に進学した佐々木はまさに「純・島根産出」。中央の強豪というわかりやすいルートではなく地方で、それも決して強豪県とは言えない島根の地で鍛錬を重ね、誰からも好かれるクラシカルな組み立てで全国大会を制するに至った佐々木の柔道と経歴は多くの高校生を勇気付けたに違いない。

こういってはなんだが、ゲームに特化した試合技術の発達が激しすぎる中央では、指導者に志があっても事情が許さず、このタイプの選手はもはや地方からしか輩出しようがない。中央の強豪のメソッドを追うのではなく、地方という環境でしか出来ない選手、地方でしか実践できないポリシー溢れる選手を作り出す。昨年来の個人戦における「中央以外」の選手の躍進は、各地の指導者にこの道を指し示しているように思われてならない。地方復権、その価値の再構築という高校柔道界の潮流を一段強める、佐々木の圧勝劇であった。

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優勝の佐々木健志選手

【入賞者】
優勝:佐々木健志(平田高2年)
準優勝:飯島俊佑(東海大相模高2年)
第三位:佐野安大(静岡学園高2年)、天野拓実(桜丘高2年)
第五位:青木雅道(宮崎工高2年)、鳥居天凱(神戸国際大附高2年)
    川端悠生(上宮高2年)、村上陣亮(天理高2年)

佐々木健志選手のコメント
「全試合一本勝ちは出来過ぎ。信じられないです。大会前は怪我も多く不安があったのですが、本番は開き直って戦えました。準々決勝で得意の寝技で勝てて『今日は調子がいいな』と初めて思えました。尊敬する柔道家は、父です。今日は準々決勝から一試合一試合『覚悟は出来ているか?』と声を掛けられ、その一言で思い切り戦うことが出来ました。いつも先にポイントを取られてしまうんですが、もっと自分からいけるんじゃないかと、そこが反省点です。気を抜いてると夏負けてしまうので、またここからしっかりやり直します」

【準々決勝】

佐野安大(静岡学園高2年)○大外返(2:50)△川端悠生(上宮高)
佐々木健志(平田高2年)○合技(2:17)△青木雅道(宮崎工高2年)
天野拓実(桜丘高2年)○小外掛(0:44)△村上陣亮(天理高2年)
飯島俊佑(東海大相模高2年)○内股(0:51)△鳥居天凱(神戸国際大附高2年)

【準決勝】

佐々木健志○内股(1:04)△佐野安大
飯島俊佑○優勢[技有]△天野拓実

【決勝】

佐々木健志○合技[小内刈・崩上四方固](2:52)△飯島俊佑

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