PAGE TOP ↑

柔道1

柔道2
柔道4 柔道5

eJudoとは?情報募集・お問い合わせサイトマップ

鍋倉那美が高校カテゴリ初優勝、ライバル嶺井美穂は2位の佐藤史織に破れる・第36回全国高等学校柔道選手権63kg級レポート

(2014年4月17日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版4月16日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード
第36回全国高等学校柔道選手権63kg級レポート
鍋倉那美が高校カテゴリ初優勝、ライバル嶺井美穂は2位の佐藤史織に破れる
eJudo Photo
2回戦、嶺井美穂が後迫志音から背負投「一本」

第1シードの嶺井美穂(桐蔭学園高1年)と第2シードの鍋倉那美(大成高1年)の一騎打ちとの前評判があったこの階級だが、嶺井は準々決勝で陥落。2回戦で後迫志音(日南振徳高1年)に背負投「一本」、3回戦は鈴木くるみ(八千代2年)を小外刈「一本」と順調だったが、準々決勝で佐藤史織(新田高2年)にGS延長戦の末に僅差の旗判定で敗れた。

eJudo Photo
準々決勝、佐藤史織の右背負投で嶺井が畳に落ちる

佐藤はノーシードからの勝ちあがり。1回戦は今唯(藤枝順心高1年)に僅か23秒の大内刈「一本」で勝利、2回戦は沼辺忍(青森北高2年)を「有効」優勢で退け、3回戦は石井美緒(夙川学院高年)にGS延長戦「有効」(GS0:13)で勝利。準々決勝は前述の通り優勝候補筆頭の嶺井美穂を下し、準決勝は斉藤百湖(修徳高1年)に「有効」優勢で勝ち抜け。5戦してフルタイム戦った試合が4試合、うち2試合がGS延長戦での決着と、持ち前のしぶとさを存分に発揮しての決勝進出。

eJudo Photo
2回戦、鍋倉那美が原琳々子から右大外刈で「技有」

一方の鍋倉は2回戦で原琳々子(松商学園高2年)を内股「有効」大外刈「技有」と連取した末の内股(1:05)、3回戦で楠本亜美(長崎明誠高1年)をこれも内股(0:07)、準々決勝では甲斐春梨(熊本中央高2年)をまたしても内股(0:31)と得意の内股一本槍で3連続一本勝ち。準決勝で迎えた米澤夏帆(東大阪大敬愛高2年)との大一番は開始早々の13秒に奪った内股「有効」で勝利しての勝ち上がり。徹底マークをかいぐぐっての決勝進出だ。

eJudo Photo
鍋倉が右内股で先制攻撃

佐藤、鍋倉ともに右組みの相四つ。

佐藤は右手で右片襟、これが中途で防がれると軌道を変えてそのまま右袖をまず握り、持ち替えて左引き手で鍋倉の右袖を確保。しかし鍋倉は持たせたまま右内股、受けた佐藤がこれで左引き手を離すと、続いて今度は片襟を握って右内股。佐藤は膝をつき、鍋倉は釣り手を背中から帯に持ち替えて決めに掛かるが、佐藤はその場に踏みとどまって耐える。鍋倉粘って脚を高く上げて転がすが、佐藤は体を突っ張ったまま頭から着地、なんとか伏せて「待て」。経過時間は22秒、最初に山場を作ったのは鍋倉。

佐藤が右襟を両手で握った右背負投に座り込み、両者潰れて「待て」。

鍋倉が引き手で襟、釣り手で背中を確保。引き手を袖に持ち変えて右払巻込を仕掛けるが潰れる。主導権は投げに行っている鍋倉、佐藤の技は拮抗の演出に留まる感あり。

eJudo Photo
鍋倉の右大外刈、佐藤は座り込んで返しを試みる

1分過ぎに佐藤が引き手で袖を得るが鍋倉は前に引き落として引き手で袖、切れた釣り手で背中を確保、同時にすかさず右大外刈。佐藤は膝をついて前に座り込む形で返そうとするが果たせず「待て」。経過時間は1分30秒。鍋倉が技を重ねるシークエンスが数度重なった形だが、主審は「指導」宣告を行わず、試合を動かしに掛からない。

続く展開、引き手を確保した鍋倉は相手の右足を蹴る支釣込足。崩し技ではあるが佐藤大きく崩れて手を畳につき、鍋倉は押し込んで倒そうとするが主審は技の継続中にも関わらず不可解な「待て」で試合を止める。

当然「指導」が宣告されるかと思いきや主審はスルー。位置的に場外ではなく、そもそも技は継続しているので場外を宣告する場面ではなく、反則宣告のためでもなく、さりとて寝姿勢から立ち姿勢への移行の際でもなく、危険な関節技が極まり掛けていたわけでもない。ではなぜ「待て」で攻防を中途で止めたのかまったくもって理解に苦しむ裁定。試合展開に差をつけられない判断の遅れにこの不可解な「待て」が重なり試合には泥沼の気配が漂い始める。経過時間は1分34秒。

両袖の絞りあいから佐藤が右小外刈、受けた鍋倉が右内股に変換して「待て」。経過時間は1分59秒。

鍋倉が引き手で襟、釣り手を肩越しに背中に入れると間をおかずに思い切った隅返。佐藤避ける動きと同時に脚をパスして抑え込みを狙うが果たせず「待て」。経過時間は2分19秒、残り時間は41秒。

以後も鍋倉が上から目線の組み手で引き手を先に握って試合を引っ張り、佐藤は凌ぎつつなんとか片襟を握って担ぎ技を仕掛けられる形を探るという展開。

eJudo Photo
鍋倉が右大内刈、佐藤は尻餅をついて崩れ伏せる

残り17秒、鍋倉が引き手で右袖を確保すると、右釣り手を持たれることを警戒した佐藤は鍋倉の右釣り手を先に両手で握って防ぐ。しかし鍋倉は持たせたまま両手で片袖を握る形に釣り手を流しつつ鋭い右大内刈、佐藤が崩れると釣り手で左の肩口を握って固定しながらケンケンで押し込む。佐藤は背中を丸めて首を抜きながら90度横を向いて尻餅をつき、次いで反転して畳に崩れ伏せる。場内大いに沸くがこれはノーポイント。ここに至るも主審は「指導」を宣告せず。

佐藤、組み手を2度切り離すと組み付きながら右内股巻込に潰れる。鍋倉が払い落として背中についたところで終了ブザー。両者ともに攻撃ポイント、反則ポイントともになく試合はGS延長戦にもつれ込むこととなった。

手先の組み手争いから、佐藤が右釣り手で相手の右片襟を狙って素早く伸ばす。しかし、瞬間鍋倉は左構えにスイッチしてその腕を透かして引き手でその袖を確保して押し込み、佐藤は半身になってしまう。鍋倉の前には佐藤の側面、そして佐藤の前には誰もいないという鍋倉の一方的優位が一瞬出来かかるが危機察知能力の高い佐藤すぐに体を振り戻して引き手を切りにかかる。鍋倉その戻る動きに合わせて右大外刈に飛び込むが引き手が切れてしまい、たたらを踏んで後ろに抜け、反転正対してこの攻防は終了。経過時間はGS8秒。

佐藤は右釣り手でまず右片襟を握って引き寄せ、引き手で右袖を狙うガチガチの勝負組み手。鍋倉が引き手で袖を捕まえて対応すると佐藤は組み手の完成を狙って引き手を2度、3度と大きく切って離れようとするが鍋倉あくまで離さず、その切る動きに合わせて一歩踏み込んで右大外刈。佐藤が釣り手側に体を捌くとそのまま右内股へと繋ぐ。しかし釣り手を巻き込み流す動作が早過ぎ、佐藤が崩れる前に体を捨てる形になってしまい潰れて「待て」。経過時間はGS13秒。

eJudo Photo
佐藤は釣り手で右片襟を狙う

佐藤が片袖の右内股で潰れ、鍋倉が片襟の右大外刈で攻めた直後のGS1分5秒、佐藤に1つ目の「指導」が宣告される。開始から実に4分5秒、ようやく主審が試合に介入。

鍋倉は片襟の大外刈、佐藤も片襟の技で対応。鍋倉が内股を仕掛けるが崩しきれずに自ら手を畳についてしまい、佐藤がいなし落として「待て」。続いて佐藤の右小内刈を鍋倉が右大外刈に変換して掛け潰れ「待て」。残り時間は20秒。

両袖を握って突っ張り踏ん張った佐藤、釣り手を持ち替えて片襟片膝の右背負投に座り込むが距離が遠く、半回転したところで鍋倉が両手で押さえ潰す。佐藤が立ち上がって前に一歩踏み出した瞬間終了ブザーが鳴り響き、合計5分が終了。勝敗の行方は旗判定に持ち越されることとなった。

eJudo Photo
旗は3本が鍋倉に揃う

旗は3本が白の鍋倉に揃い、決着。僅差3-0の優勢勝ちで鍋倉の高校カテゴリ初優勝が決定した。

「一本取る柔道を目指しているのに、相手が強くなると出来ない。悔しい」と不満を口にした鍋倉だが、しぶとい佐藤を相手に、しかも主審が攻勢シークエンスに無反応な状況できちんと山場を作り続けた精神力は見事。攻め急いで雑になる場面はあったが、決勝の勝利は実力に比して妥当な結果であったと思われる。

嶺井、鍋倉の両巨頭を相手にともに判定決着にまで持ち込んだ佐藤のしぶとさも賞賛に値する。日本一と評する向きもある、新田の稽古量が透けて見える図太い戦いぶりであった。

そしてこの決勝、主審の仕切りは褒められたものではなかった。序盤出すべき場面で「指導」を与えることを躊躇したために以後も反則宣告が出来なくなって最後まで試合をさせてしまったという典型的なケースであり、攻勢守勢を見極めてスコアの差を生み出して試合を活性化する、必要な場面では適宜介入して「攻めあう」ことを推奨するというルールの精神に悖る、反射神経の鈍いジャッジだった。この試合が切り離しの続く泥沼に陥ったのは、その行為がスルーされることで暗黙のうちに以後もそれが了とされてしまった本戦中盤までの主審の裁きにあったと言われても仕方のないところだろう。

選手の有利不利と審判技量の巧拙を超えてなにより残念なのは、これまでの2試合と反則裁定の基準が違いすぎたこと。1試合目の52kg級決勝で示された、IJFルールに則り取るべき場面ではキッチリ「指導」を宣告して試合に差をつけていくという暗黙の指針を無視したと評されても仕方がない。反則裁定の基準に疑問が持たれる中で投技の攻防にストップを掛けた1分34秒の「待て」については指針以前の問題で、こちらは審判技量の巧拙という観点から選手観客の不信感を招いてもおかしくない、悪いタイミングでの悪い判断だったと評せざるを得ない。

ともにオーソドックスな形でないところからでも技を仕掛けられる佐藤と鍋倉の対戦ということで審判にとっては難しい試合であったかもしれないが、有利不利を超えて、選手には気の毒な試合であった。その中で勝ちを得た鍋倉のメンタルのタフさを改めて賞賛する次第である。

【入賞者】

優勝:鍋倉那美(大成高1年)
準優勝:佐藤史織(新田高2年)
第三位:米澤夏帆(東大阪大敬愛高2年)、齊藤百湖(修徳高1年)
第五位:甲斐春梨(熊本中央高2年)、嶺井美穂(桐蔭学園高1年)
    黒﨑かれん(中京高2年)、藤井古都里(高岡龍谷高2年)

鍋倉那美選手のコメント

「投げて勝ちたかったので、そこは悔しい。やりにくいなという気持ちがあった。でも、判定であってもそこで勝つことが出来たのは、ひとつ良かったです。内股ばかりだったので足技をかなり練習してきたつもりだったのですが、結局内股に頼ってしまいました。足技が出せるようになるのが次の課題です。憧れの谷本歩実さんのように人間的にもしっかり成長して、東京五輪に出たいです」

【準々決勝】

佐藤史織(新田高2年)○GS僅差△嶺井美穂(桐蔭学園高1年)
齊藤百湖(修徳高1年)○袈裟固(2:22)△藤井古都里(高岡龍谷高2年)
鍋倉那美(大成高1年)○内股(0:31)△甲斐春梨(熊本中央高2年)
米澤夏帆(東大阪大敬愛高2年)○小外刈(0:12)△黒﨑かれん(中京高2年)

【準決勝】

佐藤史織○優勢[有効]△齊藤百湖
鍋倉那美○優勢[有効]△米澤夏帆

【決勝】

鍋倉那美○GS僅差△佐藤史織

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版4月16日掲載記事より転載・編集しています。
ドコモ版QRコード
docomo版QRコード
KDDI版QRコード
au版QRコード

→eJudoトップページに戻る
→「ニュース・マッチレポート」に戻る




supported by KAYAC 運営会社サイトポリシー  RSS copyright (c) 2005 ejudo all rights reserved.