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前田千島が地力発揮、決勝で再び黒木七都美を破る・第36回全国高等学校柔道選手権52kg級レポート

(2014年4月17日)

※ eJudo携帯版「e柔道」およびeJudoメルマガ版4月16日掲載記事より転載・編集しています。
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第36回全国高等学校柔道選手権52kg級レポート
前田千島が地力発揮、決勝で再び黒木七都美を破る
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2回戦、前田千島が福本美樹から腕緘で一本勝ち

決勝に進出したのは第1シードの前田千島(市立国分中央高2年)と第2シードの黒木七都美(大成高1年)。昨年の全日本カデ体重別選手権決勝と同じ顔合わせとなった。

昨年の全日本カデ王者で、世界カデ選手権代表も務めた前田は2回戦で福本美樹(倉吉農業高1年)を腕緘「一本」(1:26)、3回戦は激戦区東京の代表向江紗良(淑徳2年)から「有効」優勢、準々決勝は黒川美咲(中京高1年)を腕挫十字固(1:01)、勝負どころの準決勝は48kg級世界カデ48kg級王者常見海琴(埼玉栄高1年)にGS延長戦の末の「有効」優勢で勝利しての決勝の畳。

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決勝に臨む黒木七都美

一方の黒木は一昨年の全日本カデと全国中学大会を制した強者。2回戦は野中咲希(高松商高2年)を内股(0:40)、3回戦は檜垣由利奈(広陵高1年)を大外返(1:04)、準々決勝は藤井恵奈(名張高2年)を一本背負投(1:06)と3試合連続の一本勝ちでベスト4まで勝ちあがり、準決勝は野村華子(東北高2年)を1分34秒に奪った払腰「有効」の優勢で破ってしっかり決勝まで勝ち上がってきた。

昨年の全日本カデ決勝の対戦では序盤の黒木優勢の流れを前田が朽木倒「技有」一撃で跳ね返して勝利しているというカード。

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序盤は黒木が優勢

前田、黒木ともに右組みの相四つ。

ともに組み手の一手目を欲しがる手先の組み手争い。黒木が足技に混ぜ込んで釣り手で奥襟を叩き、右払巻込に潰れて「待て」。

30秒過ぎ、なかなか引き手の取れない前田は手順を飛ばして右釣り手を奥襟に叩き込もうとするが、中途でキャッチした黒木がその右腕を左引き手で抱き込む良い形を作り出す。危機を感じた前田掛け潰れて一旦展開を切らざるを得ず、主審は前田に偽装攻撃の「指導1」を宣告する。経過時間は55秒。序盤は黒木がやや優勢。

続く展開はまず黒木が右片袖を両手で握った右払腰。受けた前田が黒木の釣り手を落とし、両者が袖を絞りあう様相となる。主審はこの膠着を見極めると「極端な防御姿勢」との判断を下し両者に「指導」を宣告する。経過時間は1分10秒。受けた「指導」はこれで前田が2回、黒木が1回。

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黒木が肩越しに釣り手を入れて払腰

黒木は引き手から先に得て右体落。打開を狙った前田はともかくは持たせて貰える釣り手を橋頭堡に、黒木の左腕を両手で保持するケンカ四つクロスの形で右内股を仕掛けて手数を積もうと試みる。しかし黒木はいなして引き手で袖、釣り手で肩越しに背中を持って右払巻込。前田は崩れ伏せる。経過時間は1分47秒。
続く攻防も黒木が先に引き手で襟を確保、支釣込足で前田の右足を蹴っておいての右払巻込で展開を終える。経過時間は1分11秒、残り時間は49秒。

ここで前田が初めて引き手を先に得る。左引き手で襟を掴むと上から圧をかけながら両手で黒木の右腕を手繰って右袖を確保。黒木は嫌うが前田はあくまでこの袖を離さずに前に出て、釣り手を肩越しに背中に入れると思い切った右大外刈。黒木仕方なく後ろ回り捌きの払腰の形に逃げるがそもそも両手を持っていない状態のためこれは明らかな攻撃偽装の回避運動。両手を畳について前に倒れた黒木に対し、主審即座に偽装攻撃の「指導」を宣告。経過時間は2分30秒、残り時間は30秒。これでスコアはタイとなる。

黒木再び先に引き手で襟を得て、釣り手を肩越しに入れると引き手で前田の右腕を抱え込んで右大外刈。しかし前田は崩れず自分だけが畳に伏せ落ちる形で「待て」。残り時間は20秒。

再開の声を聞いて前田は前に。変わり始めた潮目に戸惑ったか黒木はなぜか反応が遅れ、前田は一瞬で引き手で袖、釣り手で奥襟を確保することに成功。畳を蹴って前に出ると黒木は前田を背中側にそのまま送り出す形で右払巻込に潰れて展開を切る。残り時間は8秒。

明らかに前田の側に流れが傾きつつあるこの状況のまま、本戦3分が終了。勝敗の行方はGS延長戦に縺れ込むこととなった。

黒木が左引き手で襟を掴むと、前田やや対応を誤りこれに付き合う形で左手でこの左をクロスして抑え、釣り手で奥襟を探る。黒木はこの手をかわして釣り手で肩越しに背中を掴むことに成功。前田は頭を下げられた不利な体勢のまま顔を黒木の右脇につける形で前進、黒木は呼び込んで右大外刈を放つ。前田一旦踏みとどまるが黒木入りなおして体を前に捨てる。前田はなんとか身を捻り「待て」。

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前田が先に引き手で襟を確保

この攻防で黒木が持ち直したかに見えたが、以後は前田の一方的展開。

前田、先に引き手で襟を確保。黒木嫌って一旦切り離すが前田すぐに持ち直して引き手で襟、釣り手で奥襟を握って圧力を掛けると黒木の頭が下がる。前田は圧力を掛けたまま右小内刈を2連発、さらにステップを切っての前技のけん制、右小内刈と技を繋ぐと、黒木は頭を上げることが出来ず前田の攻撃の波が止むのを待つのみとなる。

10秒近くに渡ってこの状態が続き、これを見極めた主審は「待て」を宣告。合議の末に黒木に対し「極端な防御姿勢」による「指導」が宣告されここで試合は決着。「指導」3つによる優勢で前田の勝利が決まった。

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試合は「指導」3回で決着

試合のポイントは前田の引き手を巡る攻防。前田は釣り手から持つことを受け入れた序盤戦、さらにGS開始後最初のシークエンスは黒木に攻撃を許したが、引き手を先に得た本戦2分20秒から30秒のシークエンス、そしてGS延長戦30秒からスタートした最後の攻防では一方的な攻勢を取り、いずれの場面も「指導」を獲得して勝利することとなった。

とはいえ、それだけ前田に地力があったということ。黒木としては自身が引き手を先に得て前田にこの手順を妥協させる以外に手立てがなかった力関係と評することも可能で、中盤、終盤と試合が進むにつれて流れが前田に傾いた試合展開も織り込むとやはり前田の力が上だったと評するほかはない。

黒木は中学2年時から戦術的な組み手と先手の技、そして相手の意識の死角から進入するような一撃で全国大会を制してきた早熟の試合巧者。反則累積差での決着という地味なスコアではあったが、大枠、前田の地力が黒木の試合力を上回ったという対戦であった。

そして上記の構図を浮かび上がらせたのは審判の好ジャッジ。当たり前のことではあるが、「取るべきところは取り、見るべきところは見る」という経過観察と反則宣告の基準が非常に明確で、結果これだけの接戦においても試合は緩むことなく展開され、そして互いの力関係が歪まずスコア差に浮かび上がることとなった。以後の個人戦決勝9試合、そして翌日の団体戦決勝と揺れ続けることになる今大会の主審のジャッジであったが、その滑り出しで行われたこの決勝初戦のジャッジは以後に基準を示す一番手としてふさわしいものであった。うまく捌いて当たり前、という難しい仕事が審判だが、素晴らしい「当たり前」ぶりであったと評したい。

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優勝の前田千島選手

【入賞者】
優勝:前田千島(市立国分中央高2年)
準優勝:黒木七都美(大成高1年)
第三位:常見海琴(埼玉栄高1年)、野村華子(東北高2年)
第五位:黒川美咲(中京高1年)、藤井恵奈(名張高2年)
    五十嵐真子(横須賀学院高1年)、村上栞菜(夙川学院高1年)

前田千島選手のコメント
「リードされましたが最後まであきらめずに戦えて良かった。相手は年下なので絶対に負けられないという気持ちでした。いつも先にポイントを取ってその後下がってしまうのですが、今日は逆の立場。あきらめなければ勝てるということがわかったのが収穫です。これからも最後まで攻めきる柔道をしたいと思います」

【準々決勝】

前田千島(市立国分中央高2年)○腕挫十字固(1:01)△黒川美咲(中京高1年)
常見海琴(埼玉栄高1年)○優勢[有効]△五十嵐真子(横須賀学院高1年)
黒木七都美(大成高1年)○一本背負投(1:08)△藤井恵奈(名張高2年)
野村華子(東北高2年)○横四方固(1:07)△村上栞菜(夙川学院高1年)

【準決勝】

前田千島○優勢[有効]△常見海琴
黒木七都美○優勢[有効]△野村華子

【決勝】

前田千島○GS指導3△黒木七都美

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